【ラグビー】大学選手権出場記念!注目選手スペシャル対談 / 第6弾 中山×今野

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大学選手権出場権5枠を争う全7戦の関東大学対抗戦を終え、4位通過で見事切符を手にした慶大。大学選手権出場決定を記念して、注目選手の対談企画を数回に渡ってお届けします。

企画ラストの第6弾を飾るのは、桐蔭学園出身の先輩後輩コンビ。今年BKリーダーを務められている今野さんと、主将を務められている中山さんに、ただの先輩後輩なだけではない濃い関係性について、そして組織をまとめる者としての気持ちについて伺いました。

 

中山大暉(環4・桐蔭学園)

今野椋平(環3・桐蔭学園)

 

 

ーーまずは他己紹介をお願いします!

 

今野:幼稚園から小中高大までずっと一緒で、ずっと追ってきた先輩で、もう「人生の先輩」みたいな感じなんですよね。人生で一番長く付き合いのある人が主将です。

それで、高校の時と大学入ってからで少し変わったなっていう面で紹介させてもらうと、高校の時はどちらかというと「影で支えながらチームを引っ張る」タイプの方だったのが、大学に入って主将になった今は、プレーでも言葉でも引っ張っていってくれるすごい頼りがいがある方になったので、そういう面で変わったかなと思います。

 

中山:僕は一人っ子なので、もう本当に弟みたいな感じですね。

(椋平は)今年になって怪我で抜けることも多くある中で、やっぱりチームに必要な存在だなっていうのはすごく感じましたし、BKのまとめ役を誰がやろうかっていう時に、4年生がいる中でもやっぱり椋平がいいんじゃないかっていうのは、みんなが思ってたことだと思います。「あいつじゃないと今年の代はできないだろう」っていうくらい、チームの中で信用があるなと感じますし、U20日本代表でプレーをして、プレーはもちろん、人間的に成長した部分も感じます。今本人の中でも調子が上がってきてると思いますし、チームを、BKを動かせる能力は自分が一番あるっていう思いはあると思うので、今最大限自信持ってやってるのかなっていうのが、椋平の姿を見ていて思うところです。

 

 

ーーお二人が慶應を目指したきっかけはなんですか?

 

中山:僕は小学校の時に通っていたラグビースクールの友達のお父さんが慶應で社会人コーチをやられていて、何回か慶應のグラウンドを見せてもらったり、大学生から直接練習教えてもらったりしていた中で、慶應に馴染みがあるというか、最終的にどこの大学に行きたいかなと色々悩んだ末に、スポーツ推薦ではなくて、入試で慶應に入ってみたいって思ったのがきっかけです。(慶應は)ラグビーだけではなくて、勉強面だったり、その後の将来の選択肢だったりが広がる大学だなと思ったので、最終的に慶應を志望しました。

 

今野:僕は幼い頃から早慶戦は毎年見に行っていて、正直言うと、最初は早稲田か慶應のどちらでもいいから早慶戦に出られればいいという気持ちでした。

それで最終的に行く大学を決めるってなった時に、桐蔭(学園高校)の先輩で今は早稲田の主将をやられている佐藤健次さん(早大スポ4・桐蔭)と慶應の中山大輝さんの2人に囲まれる一夜がありまして(笑)3人で電話をしたんですけど、2人とも熱く引き込んでくれて、魅力を伝えてくれました。そうした中で、やっぱり慶應の良さって、スポーツ推薦が無い分ものすごい優秀な選手が集まるというわけではないけど、そういった集団の中でひたむきなプレー、努力を続けて常勝軍団に勝つっていうところだなと思ったので、その魅力に惹かれて、最後の最後まで悩んだ末に慶應に入りました。

 

 

ーー対抗戦を振り返って、チームとして良かったところや悪かったなと思うところはどこですか?

 

中山:そうですね。BKでボールを動かせるようになったっていうのは去年のチームから変わったところかなって思いますね。去年はやっぱりハイパントを中心にモールで得点することが多かった中で、今年もモールのトライは多いとはいえ、それまでの過程でBKやFWがフェーズを重ねてトライするっていうシーンもありましたし、得点パターンが広がったっていうのは良かった点として挙げられると思います。

悪かったところで言うと、強豪校に対して良いディフェンスができないことが多かったかなと思います。去年に比べても失点率が高くなってしまっていたので、日体大戦で改善できた部分もありつつ、ここから選手権に向けて変えていかないといけないなという部分ですね。

 

今野:良かったところは、少し被ってしまうんですけど、今年は「攻める慶應」を目標に掲げて1年間やってきて、それを対抗戦の中で、BKのトライが増えたり、トライのオプションがいろいろ増えたりして、結果としてしっかり表れたというところです。実際に自分自身、プレーメーカーとしてチームの中心でゲームを動かす立場になって、その自分が「この3年間で1番楽しんでラグビーができてる」っていうのが1番の証拠で、ボールを動かすところに携われている部分で例年との違いをすごい感じています。

 

 

ーーお互いを評価しているところはどこですか?

 

中山:ゲームコントロールの力とキックの精度は、対抗戦リーグ内でも良いBKの選手はいっぱいいますけど、それと同じレベル、もしくはそれ以上のレベルでやれるというのが椋平の強みかなと思います。U20で試合に出ていたのも、やっぱりその2つが他の選手よりも優れているからだという風に思っていますし、実際にその2つを軸に今年の慶應は得点してるケースが多いので、そこはすごいなと思います。

 

今野:褒めすぎだよ(笑)大暉さんは、まずセットプレーのところでの安定感が他の選手と比べても全然レベルが違うので、後ろでBKとして安心してゲームができてるっていうのは、大暉さんがいるからかなと思います。あとはすごい器用なプレーヤーで、体の使い方が上手いっていうのと、BKなのかと思わせるほどの器用さを兼ね備えてるんですよね。 中学生くらいからずっと見ていて、器用だなとは思っていたんですけど、それがより磨かれて、BKが7人+1人になるくらいの強さを持っていると思います(笑)

和やかな雰囲気で話す今野

 

 

ーー中山さんから見て、今野さんがリーダーとしてチームを引っ張っていく姿はどう映っていますか?

 

中山:そうですね。思ったことを自分の言葉で伝えられる人間って少ないなと思っていて。 僕とヘッドコーチと監督の3人ともが同じ意見を持ってる中で、それは違うんじゃないかって勇気を持って行動してくれる人間って本当にいない中で、椋平はそれを社会人コーチも一緒になったミーティングでも自分が疑問に思ってることはしっかり言ってくれますし、チームとしての考えも「こっちの方がいいんじゃないか」とか、「この考えは賛成ではあるけど、こういう持ち方の方がいいんじゃないか」とか、そういう意見出しっていうのをすごくしてくれるので、そこが僕としても「ああ、そういう考え方があったのか」と思うこともありますし、チームのミーティングを活性化させてくれるる存在だなと思います。

 

ーーでは逆に今野さんから見て、主将の立場の中山さんはどう映っていますか?

 

今野:1番頼りになる存在であって、絶対的な人間かなっていう風に思います。なんで絶対的になってるかって考えた時に、自分の軸をしっかり持って選手と真剣に向き合ってこう話しているからだと思うんですよね。あと1番すごいなって思うのは、人の心を動かすような喋り方をできるところだと思っていて、 それがリーダーには1番必要だと思うし、それができてるのが大暉さんかなと思ってます。 練習や試合の終わりにみんなの前で大暉さんが喋るときに、伝えたいことがしっかり伝わるような話し方をしてくれるんで、聞いてるこっちも何を伝えたいのかすごいわかりやすいし、多分全部員がそれを目指さなきゃっていう風に思ってると思うんで、そういった姿は本当にすごいなと思います。

 

 

ーーそれぞれが主将やリーダーをやる中で意識していることは何ですか?

 

中山:僕がキャプテンになってからの1年間で自分で決めてやっていたのは、「チームで決めたことは絶対に自分が1番やる」ということです。1番きついことや、チームメイトがやりたくないことをまず自分が率先してやることで、チームメイトがやるハードルが下がると思いますし、自分が何かをチームメイトに伝えたい時に、自分の行動が伴ってないとどこかで「お前もやってないだろう」とか「口だけ」って言われてしまって、試合中厳しい状況になった時にも僕の言葉はみんなの耳に入っていかないんだろうなと思って。そのために、チームで決めたことは1番自分が率先してやりきるっていうのをキャプテンになってから1番意識しています。

絶対的信頼感のある中山主将

 

今野:僕が今年意識したのは、チームの全員とコミュニケーションを密に取るということです。軸となる重要な部分は主将や幹部全員で少しずつ補ってやっていけばいいかなという風に思ってたので、自分がリーダーとしてできることってなんだろうって考えた時に、誰とでも分け隔てなくコミュニケーションを取れるのが自分の1つの強みだと思ったので、それを活かして、自分がチームの中で1番ラグビーの知識やスキルを持っている分、コミュニケーションを通じてチームに還元していくことを意識してやりました。

 

 

ーー最後に、大学選手権という大会の魅力について教えてください

 

今野あ、先に言われたら言うこと無くなっちゃうので…締めはやっぱり主将が良いですよね!(笑)なので僕から先に言いますね(笑)

今までの対抗戦とかであれば、次の試合があるっていう、心の中で少し安心感があった部分があったと思うんですけど、大学選手権はトーナメントで負けたら終わり、4年生は引退になってしまうっていう戦いが続くので、やっぱり空気感であったり、試合に取り組む姿勢だったりがより一段と引き締まって、絶対に負けられないという意地と意地のぶつかり合いみたいなものが感じられると思うので、是非見に来てほしいですね。

 

中山:大学選手権は、椋平が言っていたように負けたら引退という大会なので、ここから大学選手権にかけては、4年生の色がすごく出る期間になっていくんですね。対抗戦が終わってから選手権まで少し時間が空く中で、各チームそれぞれの4年生がどういったラグビーをしたいか、どういう色を出した上で相手チームとぶつかりたいかっていうのをこの期間で確かめて、それを試合で発揮するっていうのはまさに見物というか、最後は「こういうラグビーをこのチームはしたかったんだ」って試合を通してわかる。そういうところがこの大会の魅力だと思います。

もう1つ面白いと思うのは、リベンジできるっていうところですね。高校生の全国大会は、県予選をやって全国大会をやってっていうずっと勝ち上がりだと思うんですけど、大学選手権の場合はただのトーナメントではなくて、総当たりをしてからトーナメントなので、例えばこの前は早慶戦で負けたけど、また早稲田とぶつかることができる可能性ももちろんあって、自分たちが負けた相手に対してもう1回リベンジできるっていうのは、他のスポーツでもなかなか無いのかなって思います。

最後の1ヶ月が何か変わるだけで、ラグビーのチームって大きく変わるので、そこで点差が逆になるパターンもあるので、そういったところは大学選手権ならではの見どころと言えるんじゃないかなと思います。

 

 

 

色紙に書く言葉が一瞬で決まった中山さんに対して、一向に決まらない今野さんという対照的なお二人。ようやく決まった今野さんでしたが、ここで「慶應義塾大学っていう字苦手なんだよな〜…書いて〜?」と中山さんにおねだり。しかし「自分で書けよ」とキッパリ断られると、長い脚をバタつかせながら渋々自分で書いてくれました(笑)

 

前回、ラグビー早慶戦号の新聞に掲載する色紙をお願いした際、今野さんから返ってきた色紙に書かれた「慶應義塾大学」の文字にどうも違和感があったのですが、ここに秘密は隠されていたみたいです(笑)

 

「バレてた(笑)」とまるで兄弟のような悪戯顔を見せてくれたお二人。

もしまだお手元に紙面が残っている方は、是非二人の直筆メッセージを比べてみてください!

 

 

12月14日(土)に、慶大の最初の大学選手権の試合が行われます。初戦の対戦相手は東洋大学。春の交流戦では慶大が10トライをあげて快勝。今年の目標である「ベスト4以上」に向けて大事な初戦ということで、大きな期待がかかります。

負ければ終わりのこの大会。今の中山組を見られるのも残り数試合となりました。

ぜひ応援に行って、秩父宮を黄色に染め上げましょう!

2人に大学選手権への意気込みを伺いました!

 

(取材:塩田隆貴、島森沙奈美、宇田川志乃 文:宇田川志乃)

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