慶大の体育会を深掘りしていく新企画、「What is ○○部?」。第5回はバレーボール部男子!昨季の関東2部降格・残留を経て、現在は4月から始まる春季リーグでの「関東1部復帰」に燃えている。今回ケイスポは、日吉記念館で行われた新チームの練習を取材。新たな一歩を踏み出したバレーボール部男子の魅力と、選手たちの想いに迫る。後編では、主将・山元康生(法3・慶應)と副将・入来晃徳(環3・佐世保南)のインタビューをお届けする。
新主将・副将
主将
山元康生(法3・慶應)
ポジション:L(リベロ)
副将
入来晃徳(環3・佐世保南)
ポジション: OP(オポジット)
バレーボールの魅力
ーー原点に帰って、バレーボールの魅力を教えてください!
入来:OPというエースのようなポジションをやらせてもらっているのですが、一番魅力だと思うのはレシーブも含めていろいろな人がボールを繋いでくれて、苦しい状況の中でSの人がボールの下に潜り込んで上げてくれたトスを決め切った瞬間です。(苦しい状況だと)マイナスからプラスへと気持ちの振れ幅が大きくて「ウォー!」って上がる気持ちもあります。スパイクを一つ決め切るにも相手との戦いがありますし、OPというポジションは「仲間の想いを形にする」ポジションだと思うので、そういったところに魅力はあるかなと思います。
山元:大学バレーの魅力になりますけれど「派手でカッコいい」ところだと思います。みんなが高さも力もあるので、一つ一つのプレーがダイナミックで、そこは観ていてすごく力をもらえるのではないかなと思います。バレーボールのもう一つの魅力は、6人が3タッチで繋いで1点を取りにいくところだと思います。全員が繋いで、繋いで、最後にエースが決め切るという1点の中にも、チームの仲の良さとかいろいろなものが含まれているかなと。ダイナミックさと、チームスポーツならではの魅力をすごく感じられるスポーツだなと思います。
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エースとしてチームを牽引する入来副将
慶大バレー部について
ーー慶大バレー部独自だなと思う部分はありますか
山元:独自だなと思うところは「主体性」です。基本的には監督が練習にいらっしゃらなくて、練習メニューも自分たちで決めています。このチームにとって、目標達成のために何が必要なのか、何が足りていなくて補うべきなのかを考えながら、工夫して練習をしていく。代が変わってからも新しいメニューを取り入れたりだとか、いろいろな工夫はできていると思うので、自分たちで意見を出しあって、試行錯誤して形にできているというのが他のチームにはないところなのかなとは思います。「縦割り制度」については、このチームのテーマとして「個と個の繋がりを深めて結束力の高いチームを作りたい」というのがあって、去年までの反省としても縦割りが機能していなくて、スタメンとそれ以外の選手との繋がりが分断されているという問題があったので。チームが一つのまとまりを作れるように「縦、横、斜め」、縦割りの班も、同期も、ポジションも関係性も密にして、その結果としてチームとしての結束力が高まっていけばという思いで、積極的に取り組んでいます。
ーー入来選手は大学から慶應に入られましたが、慶大バレー部に入ってみて感じたことはありますか
入来:塾高の人が本当に多いので、塾高の文化を感じることもあります(笑)。部のイメージという点では、前年度まで大昭さん(=前主将・渡邊大昭、商4・慶應)という先輩がいて、側から見たら一人の力で決め切る「大エースバレー」みたいに見えるかもしれないですけれど、実際にチームに入ってみると高いレシーブ力で攻撃に繋げる選手、チームを支えてくれているスタッフの存在も大きくて、外から見るのとは違う印象を抱きました。
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練習後の振り返りを行う部員たち
練習について
ーー練習メニューは誰が決めているのでしょうか
入来:ほとんど学生主体で考えていて、少数精鋭のメニュー班(3年生が3人、2年生が数人)があります。具体的には、技術的に上手な選手やアナリストなど、チームを引っ張っていく人がメニューを決めることが多いです。
ーー練習の中で意識されていることはありますか
山元:この時期は試合がないので、どうしても選手はモチベーションを保つのが難しいということを上級生は特に分かっているのですが、それでも時間はない。残り2、3ヶ月でリーグ戦を迎えるという中で、いかにこの時期を実りあるものにしていくかがすごく大事なので。甘いプレーをしている人がいないか、意識の低い人がいないかは見ているつもりですし、そういったところに対してはわりと厳しく言っているつもりではあります。チームプレーを高めるというよりかは個々の技術を高める時期だと思うので、その分、一人ひとりが「目標を持ってバレーボールに取り組めているか」を見ながら練習しているのかなというのは感覚としてあります。
入来:チームマネジメントの考え方として「相手は自分の鏡だな」と思っているので、やはり自分がしっかりやっていれば相手もきちんとやってくれるのかなと。だからこそ「1日1日を無駄にしたくない」という思いが強くあります。誰でも言えるような言葉ではあるけれど、今日のサーブ1つでも、打ち方一つでも、結果一つひとつにフィードバックを持って次のプレーに活かすということを毎回必ずやっているので、そういった点で康生が言った話に被る部分もありますけれど、「時間を大切にする」というところは意識してやっていると思います。
山元:感動です。
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サーブレシーブ練習時の山元主将
ーー「自主練」を大切にされている印象がありますが
山元:今の時期はやるメニューがあまりないというのはありますが、あえて30分以上は残すように時間を見ながらやっているつもりです。個を高める時期だからこそ、それぞれが自分の課題に向き合ってほしい。先ほどの主体性ではないですけれど、自分で何が足りないかを考えて自由な時間に自分の練習をしてほしいという意味もあるので。今日、サーブレシーブの練習をしている人が多かったのは、自分も含めて今はサーブレシーブが足りていないだとか、オフ明けで感覚が鈍っているから、そこをまずは本数を取ってやらないとという意識があるからやっているわけで。スパイクを打つも然り、段トス練習をするも然り、個々人が考えて自分に必要なものに取り組む時間は必要だと思うので、そういう意味も込めて30分くらいは自主練の時間を取るようにしていますし、自主練を促したりというのも今の状況だと思います。
ーー入来選手が自主練の中で意識されていることは
入来:チームの最高学年なのでしっかりバレーボールに向き合うという意味もありますし、康生と一緒で「自分の弱点に向き合う」ということも意識しています。練習ごとにいろいろな課題が見つかるので、それに対してしっかり向き合える時間があるのは大きいかなと思います。
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練習後の自主練に臨む部員たち
新チームについて
ーー今年のチームスローガンは「PRIDE」ですが
入来:最高学年で今年が最後ということもあるので、今はしっかりモチベーションもありますし、今年1年最後までしっかりやり切りたいなという思いがあります。バレーボールは社会人でやることもないと思いますし、体を動かすというのも最後になると思うので。そこでしっかり何かしらの結果を残したり、結果を残せなかったとしても最後に泣くのは違うなという気持ちもあるので、満足して、やり切って終われたらいいなと思います。
ーー改めて、チームとしての目標を教えてください!
山元:「関東1部復帰」もうこれしかない。春にやるしかないと思っています。結果にとらわれるのはあまり良くないですけれど、先ほども入来と話していて「関東1部リーグに復帰するために」正しい行いなのか、正しい練習なのか、臨み方なのか、姿勢なのか、はこれからとことん追求していかなければいけないかなと思っています。そこは最上級生がしっかり引っ張っていかなければいけないですし、後輩たちのやる気とモチベーションも維持していかなければいけないという役割があると思います。
ーー最後に、新入生へメッセージをお願いします!
山元:未来の慶應を担う人たちよ、待ってます!一緒に高い舞台でバレーボールをしましょう。ということくらいかな。こちらは温かく受け入れますので、お待ちしています。
入来:バレーボールは結構派手で観るのが好きと言ってくれる人も多いですけれど、それ以上に難しいことや大変なこともあると思います。体育会全般に言えることだと思いますけれど、頑張った分嬉しいことも絶対あると思うので、たかがスパイク1本、レシーブ1本だったりもするけれど、大学生活でそんな喜びを経験をしたいと思う人は入ってくれてもいいんじゃないかなと思います!
ーーインタビューは以上です。ありがとうございました!
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写真撮影時にはジャンケンが始まりました(笑)
チーム全員が「関東1部復帰」という共通の目標を掲げ、日々の練習に励んでいる。主将・副将を中心に一人ひとりが自分の役割を全うし、チームの総合力を高めるべく春季リーグに向けた準備を進めている。その熱い想いと仲の良さ、そして個々の成長がチームの力となり、再び「関東1部の舞台」に返り咲くことを期待したい。チーム山元のこれからに注目だ。
(取材:村田理咲、梅木陽咲、長掛真依)