9月13日に開幕を迎える東京六大学野球秋季リーグ戦。2季連続5位という悔しい結果からの巻き返しを誓う慶大野球部が目指すのは2年ぶりの「日本一」。奪還へ向け闘志に燃える選手たちに、対談形式でインタビューを行いました!開幕前対談第1弾は、春季リーグ戦で不動の1、2番コンビとして打線をけん引してきた今津慶介(総3・旭川東)と小原大和(環3・花巻東)。ユーモア溢れる二人の掛け合いはファン必見です!
――他己紹介をお願いします!
今津:小原大和、岩手県出身の・・・
小原:そこから?!(笑)
今津:お互い外野かつ1・2番で、自分と仲良くさせていただいていて、彼は類まれな打撃センスを持っています。あとリーグ戦で稀にみる送球の悪さ。そしていろいろな即興ダンスができる。
小原:やめてくれそれは(笑)。今津さんは、本当にキャラが濃くて個性が強くて、リーグ戦ではベストナイン確定と言われながらちょっといろいろパフォーマンスをしてしまい…というのは置いておいて。リードオフマンとしてこいつが1番にいるので、いつも楽というか、何かしらやってくれます。あと僕もレフトから見ているんですけど、こいつも送球の悪さが目立っています(笑)。あと本当に野球センスが抜群で、バッティングも良くて足も速くて、本当に良い選手です。この人が慶應の打線のキーマンだと思っているので、2人で頑張っていきたいですね。
――(今津選手へ)春のベストナインを逃したことについては
今津:僕はあまりリーグ戦に出場したことがなかったので、ベストナインは考えていませんでした。でもオールスター(東京六大学野球オールスター戦)とか日米(日米大学野球選手権大会)の補助とかで他大の選手に会って、「なんでベストナインじゃないの?」とはめっちゃ言われました。

神宮での日米大学野球選手権のサポートに携わる今津(右)
――(小原選手へ)リーグ戦中途中交代を何度か経験、当時の心境は
小原:いじっていいのかなぁ(苦笑)。でもやっぱり自分に不安要素があったので、そこを克服して秋に臨みたいと思います。まずはフル出場を目標に、ベストナインじゃなくて(笑)。

今季もレフトで出場が濃厚な小原
――小原選手の第一印象
今津:僕の学年に聞いてもわかると思うんですけど、小原はまじで一番おかしいやつ。
――逆に今の印象は
小原:今もおかしいよな(笑)。
今津:でも根は真面目ですね。小原も20歳を迎えて、こいつ誕生日(3月1日)遅いんですよ。6か月前ぐらいに20歳になって、一緒にお酒とかも飲んだりして。
小原:より一層大人に近づけたというか、こっち(今津)に近づけたというか(笑)。
今津:成長した小原が見られるんじゃないかなと思います。
――今津選手の第一印象は
小原:僕以上にやばいと思っていて。でも誰にでも同じ態度で接することができるんですよ。先輩にもタメ口でいけるし。そのキャラがずっといいなって思っていました。だから、今の4年生のチームにも馴染んでいるし、どこでも自分のキャラを出せる性格が羨ましいです。
今津:ありがとうございます(笑)。そんなこと聞いたことない。
小原:こういう場でしか言えないからさ。
今津:嬉しいっすね。今の印象は?
小原:今の印象は、いつ寮にいるかわからない(笑)。生活習慣を少し直してほしいですね。野球をやっている人の生活習慣ではない(笑)。
――他に直してほしいところ
小原:うるさいところ。
今津:直す直す(笑)。そう思ってたんだ。
小原:あと、おおざっぱなところをもう少し丁寧にしてほしいですね。あと、全然話を聞いていない。「なんか言った?」みたいなの多いじゃん。そういう“やり投げ”なところがあるから。
今津:“投げやり”ね。
小原:やり投げって(爆笑)。母親がやってたから血が騒いじゃった(笑)。そこは直してほしいなと思います。
今津:まあまあ、お前もね。
小原:俺はないでしょ。
今津:小原は本当におもしろいし、容姿も端麗なので。
小原:いいよぉ?
今津:女性の方には小原の魅力に気付いてほしいですね。
小原:この秋一緒に頑張りましょう。
今津:神宮を黄色い歓声で湧かせましょう。
(二人で固い握手を交わす)
――逆に尊敬しているところ
今津:それはいっぱいあります。
小原:それは僕もあります。いろいろ柔軟に対応できるというか、このキャラなのでめっちゃバカそうに見えるんですけど、実は賢いんですよ。率先してミーティングの時も発言しますし、それがプレーにもつながる。普段はバカっぽいけど、野球になるとチーム思いなのが本当にすごいと思っていて、尊敬しています。
今津:彼は通常のIQも野球のIQも高くない(笑)。でも天才って集中力散漫だったりするけど、1つのことに長けているタイプっているじゃないですか。そういう偉人タイプだと思う。
小原:ええ?偉人??(笑)
今津:野球に対する探究心や好奇心、「もっと上手くなりたい」という向上心はチームの中でも抜けていると思います。そこを尊敬していますね。
小原:ありがとうございます。
――2人の共通点は
小原:このキャラなんで、お互い何かやらされない?
今津:確かに。
小原:僕たちの学年で「誰かやれ」ってなったら、どっちかが出る感じが多いんじゃないですかね。
今津:彼と共通している所って言ってもあんまり。嬉しくないんで。
小原:僕も嬉しくない。(笑)
今津:人間であることぐらいですかね。ギリ人間?(笑)まあ、“やらされるキャラ”ですね。
小原:後は右投げ左打ち。それと送球難(笑)。
今津:あと北国出身っていうのも共通点ですね。最近の暑さはきついです。この間、松山にも行きましたけど、やばかったよな。
小原:ひどすぎます。
今津:めちゃくちゃ暑くてやっぱり北国出身にはきついですね。バンテリンはドームだったのでよかったですね。下田もドームにしてほしいですもん。
小原:ケイスポでクラウドファンディング始めてもらって(笑)。
――2人とも学部がSFC。大学内での関わりは
今津:一緒に授業に行ったり。飲み行ったり。
小原:寮が一緒なんで。一緒にいる時間が長いですね。だから逆にオフはそんな一緒にいないよね。
今津:どっちもSFCなので、登下校も一緒だし、割と授業が被っていたりしますね。
――プライベートでの関わりは
小原:飲みに行ったりしますね。
今津:飯行ったり、武蔵屋(日吉駅裏(=ひようら)の商店街にあるラーメン屋)行ったりしていますね。夜、疲れてるときとか「パワー出したいな」というときに行きます。お互い武蔵屋好きで、おっちゃんたちと仲良いよな。
小原:でも次の日の動き悪いよね。油がすごい。もう足が回らなくて、回らなくて、ペースが。
今津:それでも気持ちがリフレッシュしますね。
――ここから野球の話に移ります。春季リーグを振り返って
今津:数字的には悪くなかったと思うんですけど、「僕が打って勝った」みたいな試合が少なくて、チームも5位に終わったので。秋は、個人の結果はもちろん、チームを勝たせられるバッティングがしたいと思っています。

チームトップタイ3本塁打を記録したリードオフマン・今津
小原:僕も数字的には悪くなかったです。でも彼が3割5分で、3本塁打打っていて、僕は3割6分だけど、本塁打を打っていません。秋は本塁打も増やしつつ、まだ打率もいけると思っているので、もう少し改善したいですね。そうしたらもっとチームを勝たせられる試合が増えると思うので、技術を上げて秋は頑張ろうと思っています。

チームトップの打率.362(リーグ6位)をたたき出した小原
――春で印象に残っている試合は
今津:明治戦ですね。勝ち試合を落としてしまってので。慶應にとって春のターニングポイントは明治戦だったと思います。秋も法政から始まって2カード目が明治なので、その2カードで秋が決まると感じています。
小原:僕も明治戦です。2回戦で髙須(大雅、法4・静岡)選手からフェンス直撃のヒットを打ったんですが、その直後の4回で途中交代。それが本当に悔しかったです。試合自体も5対1で勝っていたのに、結局サヨナラで負けているので。でも自分の守備が不安要素だったんだなというのを改めて痛感したので、あの試合から守備の練習を頑張ってやってきました。秋はその試合の悔しさを晴らすために、まずフル出場で出るというのを絶対条件として頑張りたいなと思っています。
――(小原選手へ)慶大野球部出身の兄2人(大樹、和樹)から春季リーグに関して何かコメントはありましたか
小原:お兄ちゃん2人からは「悪くはない」と言われましたね。でも途中交代が多いのは笑われましたし。「まだやれるんじゃないか」というか、中途半端なところが多かったので「秋はもっとチームを勝たせられる役割になれよ」と言われています。そこを目標にやっているので、(秋は)行けます。
――夏のキャンプを振り返って
今津:僕は総合的なバッティング技術の向上に取り組みました。守備はコンバートもあったんですけど、打順は監督がずっと「1番」を任せてくれていたので、その役割にどこまでプロフェッショナルになれるかにこだわりました。リーグ戦では気持ちが大事だし、そこは僕らの強みでもあるんですけど、最後に頼れるのは野球の技術でしかないので、そこに関しては、この夏は真摯に取り組めたかなと思います。
小原:僕はやっぱり守備です。春は途中交代が多かったので、スローイングをはじめいろいろなことを考えながら、守備面を重点的に取り組んできました。秋まであと2週間ですけど、結構自信はあります。技術は頑張って磨いてきたんで、あとはやるだけです。バッティングに関しては、今津と同じようにずっと「2番」に定着していて、どちらかといえば送るタイプよりも打ってチャンスを作るタイプだと思っています。バントでもよかったなと言わせないような、ちゃんとチャンスを広げられるバッターになっていきたいなと思っています。
――キャンプで面白かった話は
小原:僕と横地(広太、政3・慶應)、村岡(龍、商3・慶應)、吉田雄亮(商3・慶應)の4人部屋だったんですけど、腕相撲をして、1番弱かった人が、「愛を叫ぶ」というのをやっていました。もちろん負けたのは吉田っていう、貧弱ですぐ怪我をする、同期のピッチャーなんですけど。吉田が負けて、窓を思いっきり上げて。彼、彼女いるんですけど、その愛を叫んだってのが1番いいエピソードですね。
今津:良いエピソードだね!僕の面白かった話で言うと、僕北海道出身で、他みんな北海道のこと知らないじゃないですか。幕別の夜道は人が誰もいなくて、めちゃくちゃ暗くて本当に怖いんですよ。コンビニに行くのも自転車で10分くらいかかるので、みんなで「怖いな」って言いながら行くんですけど、そのときに僕が全く嘘の作り話をして、みんなをビビり散らかせたことかな。学生コーチの濱松(圭太、商4・土佐)さんっていうめちゃくちゃガリガリで、貧弱な方と一緒にコンビニに行ったら、俺が作った怖い話が怖すぎて本気でキレられました。(笑)
――今津選手はオールスター戦に参加しましたが、それを振り返って
今津:野球の技術はもちろん、野球以外でもコミュニケーションが取れました。いろんな人と飲みに行ったんですけど、結局最後は野球の話になるんですよね。立教の丸山(一喜、コミュ3・大阪桐蔭)とかが、「飲んでいる時野球の話なしな」みたいに言ってたんですけど、結局熱く野球のことを語り合ってしまう。技術のことやリーグ戦の戦い方まで、深い話もできて、とてもいい経験になりました。

2年連続でオールスターに選出された今津
――具体的に刺激を受けた選手は
今津:榊原(七斗、情コミュ3・報徳学園)ですね。同い年で同じ外野ということもあって、彼は日本代表で野球に関して尊敬する部分ばかりで、非常に勉強になりました。しかも彼はものすごく謙虚で柔らかい物腰で、優しく教えてくれる。ライバルというよりファンになってしまいました(笑)。ライバルというよりか、彼に負けないように、僕ら2人は頑張ります!
――オール早慶戦について
今津:割と僕ら活躍した方だね。2試合とも同点で、そこが1番びっくりしました。秋の前哨戦という位置づけで、「絶対負けられない」と思ってたんですけど、2試合とも同点という結果は非常に面白かったと思っています。小宮山監督も「秋は決戦」と言っていたので、その前哨戦になったんじゃないかなと思います。
小原:僕自身はオールスターで結構打てましたけど、リーグ戦ではそう簡単にはいかないと思っています。伊藤樹(スポ4・仙台育英)さんにも「リーグ戦になったら絶対抑えるから」と言われているんで、そこは気合いを入れて樹さんを上回れるように今はしっかり準備をしています。
今津:あと名古屋、愛媛共に素晴らしいところでした!

名古屋大会で最優秀選手賞を獲得した今津

チーム唯一マルチ安打を放った小原
――夏のオープン戦を重ねて調子は
今津:僕は開幕に合わせて調整してきたので、非常にいい状態で入れると思います。チームとしては、オール早慶戦で早稲田と互角かそれ以上に戦えたのが、非常に大きな手応えでした。オープン戦となると、他リーグのチームとやるんで実力を測りきれない部分もあるので、早稲田と対等に戦えたことは、秋の優勝争いに参戦できて優勝も見えてくるんじゃないかなというふうに感じました。
小原:個人的にはオープン戦でいい形を作れていますが、六大学の投手陣は簡単には攻略できないので、それ以上の準備をしていきたいです。チームとしては、春から課題だった走塁を重点的に強化しました。春は盗塁数が早稲田21個に対して、慶應は7個と大きく差があったので、その差を埋めるためにチームの中で走塁を意識してやってきました。かなりチームの走塁力も上がっていて、秋は仕上がりの良いチームになっていると思います。
――自身が思う秋季リーグ戦の注目選手は
小原:投手だと渡辺和大(商3・高松商業)です。僕は同部屋で、いつも頑張っているのを見ているので。外丸(東眞、環4・前橋育英)さん以上の頼れる投手なんで、秋はさらなる活躍を期待します。
今津:僕は水野(敬太、経2・札幌南)ですね。同郷なので。2年生ながら投手陣を引っ張る存在になっていて、メンタリティも素晴らしいものを持っていると思います。
小原:野手だと林純司(環2・報徳学園)。ずっと練習パートナーとして一緒にやってきて、相棒みたいな存在です。あいつの頑張りをいつも見ているし、彼は打撃も守備も自分なりに悔しいって言ってたんで。練習している姿毎日見ているので、本当に林は行けます。もう、期待しています。
今津:野手は吉開鉄朗(商3・慶應)。キャッチャーのスタメン争いが一番熾烈なので、スタメンかどうかは分からないです。1年生が加藤(右悟、環1・慶應)もいて、本当にどっちも良い選手なんですけど、同期っていうのもありますし、頑張ってほしいです。彼はプライベートと野球の差が一番はっきりしている選手で、プライベートでは本当に可愛いキャラで、本当に腹立つぐらいニヤニヤしてるような可愛いキャラです(笑)。でも野球になるとキャッチャーとして、自分のプレーに責任を持っている選手なので、彼に期待したいですね。
――この秋の目標は
小原:僕は首位打者を取りたいなと思っています。
今津:1つこいつのエピソードあって(笑)。こいつと1年秋のフレッシュ一緒に入ったんですけど。
小原:(苦笑)
今津:1年秋のフレッシュで神宮デビューしてて、フレッシュの前から「首位打者取ります」みたいなことを言っていました。本当にこいつ取れそうだったんで、みんな「マジ頑張れ」みたいな。そうしたら「いや、俺ホームラン打っていないから首位打者無理か」って言いだして。でも、首位打者って打率じゃないですか。でも、こいつホームランとか含めて1番いいバッターが首位打者だと思っていたんですよ。
小原:もうやだ。バカみたいなイメージついちゃうよ。
今津:首位打者の意味がわかっていなかった(笑)。
小原:終わった。今はわかりますよ、ホームランが・・・
今津:違う違う違う(笑)。1番打率がね、高い人が首位打者だね。僕は三冠王を狙います!
――ケイスポ読者やファンの方々にメッセージをお願いします!
今津:慶應は六大学の中でも愛塾心が強くて、そこが僕の好きなところです。秋も引き続き応援してほしいですし、僕らは注目されるほど輝けるタイプなので、どんどんケイスポを通じてファンを増やしてほしい。特に彼には女性ファンがもっと増えてほしいですね(笑)。
小原:春にケイスポで(早慶春野球号)僕と今津のツーショットが掲載されたんですけど、あれがめちゃくちゃ好評で。いいねもたくさん来て、女性からも(笑)。僕らはかっこよく映りたいタイプなので、たまにはそういう写真もお願いします! ふざけた写真ばかりじゃなくて(笑)
今津:あれめっちゃくちゃ好評でした!かっこよく掲載されることがそもそもないので。
小原:そうそう。ふざけた感じの写真しか撮り上げられないんで。たまにはかっこいい写真もお願いしますっていうのをケイスポのみなさんよろしくお願いします。
――最後に言い残したことは
今津:「シマレ、ガンバレ」ですね。これ地元の旭川東の子とか見てるので書いてほしいです。それで締めておいてほしいですね。お前は?
小原:俺は「小原家最終兵器」で。あざしたー!
今津:・・・。3(文字)・4(文字)が欲しいですよね。「シマレ、ガンバレ」みたいな。パッと出した方がいいよこれ。
小原:いやぁぁあ出ない!(笑)だってそっち用意してるやん。ずるくない?
今津:「オバレ、なんとかレ」みたいな。「シマレ、ガンバレ」みたいな感じでちょっと来てほしいな。
小原:ええ、きつくないすか。
今津:キッパレみたいな。「オバレ、なんとかレ」が欲しいの!俺は。
小原:・・・。「オバレ、アモーレ」みたいな?
今津:おお、良い!「シマレ、ガンバレ」「オバレ、アモーレ」ね!
(取材:加藤由衣、記事:河合亜采子)