【柔道】早慶対抗柔道戦直前企画 畳の上ではライバル、普段は大の仲良し!/早慶柔道部主将対談

柔道

11月22日(土)に柔道の聖地・講道館で行われる早慶対抗柔道戦。歴史ある早慶戦を前に、早慶主将の対談企画が実現!プライベートでも交流があるという早稲田大学柔道部の笠井雄太(スポ4・桜丘)主将と、慶應義塾大学柔道部の井口虎太郎(総4・暁星学園)主将にお話を伺った。

――他己紹介をお願いします

井口:笠井雄太選手です。早稲田のキャプテンで、僕が高3の年のインターハイチャンピオン(100kg超級)。まさか早慶で同期になるとは全く思っていなくて、とてもびっくりして入学したのをよく覚えています。コロナで早慶戦前後の懇親会とかがなくて、もちろん前から存在を知ってはいたんですけど、去年の早慶戦の後くらいから話すようになって、よく飲みに行っています。柔道は強いんですけど、普段は可愛くてお茶目なところもあるので、そこはギャップだなと思います。

笠井:井口くんです。今言った通り、1年生のときはコロナがあって交流する機会がなかったんですけど、去年の早慶戦後からすごく話すようになって、一言で言うと、文才。すごく頭の回転が速いです。

――仲の良いエピソードはありますか

井口:プライベートだと、柔道部の何人かで恵比寿に終電後から集まって、朝まで飲んだりとか。お互い忙しいので、頻繫には会えないですけど、今度も飲む予定があったり。

――主将として大切にしていることは何ですか

井口:「チームが勝ったらお前の手柄、チームが負けたらお前の責任」というのを先輩に言われたことがあって、本当にその通りだなと思っています。僕が試合に出て勝つことももちろん大切なんですけど、それよりもチームの勝敗についての責任が僕にはあると思うので、どうやってチームを勝たせようかを考えて、自分以外の誰かに干渉しないといけない。そのことを考えてこの一年はやってきました。

慶大柔道部主将・井口

笠井:フレンドリーかつ関わりやすい先輩像というのは意識していて、その上でメリハリをつけていこう、という感じでやっています。練習も私生活も、自分が1年生のときからすると見違えるくらい変わったと思います。

早大柔道部主将・笠井

――お互いに聞きたいことはありますか

笠井:いち選手として気になるんだけど、何で増量したの?

井口:増量したのは、笠井雄太を倒すため……

一同:(笑)

井口:高校時代は81kg、入学当初は73kgで、そこから20kgくらい増量しました。今言った理由もあるんですけど、3年生のとき、もしかしたら次主将になるかもしれないな、ということで決めました。東京都で階級にこだわって個人戦で勝ち上がることはとても難しいことなので、だったら階級にこだわらないで、さっき言った通りチームとして、団体戦で勝てるように、と。早慶戦や大学での団体戦は体重の制限がないので、体重が重い方が有力になる。なので、チームに貢献しようと思って増量しました。

――主将として苦労したことはありますか

笠井:柔道部は部員同士の仲が良くて、悪いことをしても、なあなあで流れてしまうことがあるので、上級生が怒らないといけない場面なのに監督に怒らせてしまうことがありました。僕も元々は怒るというよりは、一緒になってウェイウェイしていたいタイプなので、後輩を指導する上でのメリハリという部分は大変だったなと思います。

井口:僕も同じで、今まで優等生としてやってきたわけではなくて、むしろふざけている方だったし、人に怒るのも好きじゃないので苦労しました。上級生、そしてキャプテンなので、自分がちゃんとしなきゃいけないのは分かっていたんですけど、誰かが何かやらかしたときに怒るのが本当に心苦しかったです。「自分もこれで怒られたことあるよな」と思うこともありましたけど、そこは心を鬼にして言うようにしています。

――大学柔道の4年間を振り返っていかがでしたか

:僕は波があったなと。1年生のときはすごく期待されていたんですけど、予選は全部1回戦負けとかで。愛知から上京してきて、一人でご飯を作ったり、家事をしたりと忙しくて、余裕がなかったので1年生のときは結果が振るわなかったです。それが悔しくて、2年生では頑張って少しずつ結果が出てきたんですけど、今度はそれに慢心してまた調子が落ちて……それでも4年生では東京都で優勝できて。選手としてすごく波があったなと思います。

井口:入学したときは部員が多くて、全国大会に出ていた先輩もいたので、毎日ボコボコに投げられていました。でも、それが嫌だと思うことは一度もなくて、4年間充実していたなと思っています。去年2部リーグに落ちてしまったんですけど、今年キャプテンに選んでもらった代で無事1部復帰を果たすことができましたし、3年間やってきたことを、キャプテンになった代で後輩に伝えられたのが一番よかったかなと思います。

――4年間で一番印象に残っている試合は

笠井:去年の早慶戦で井口さんと一戦を交わしたことですかね。

井口:(笑)

笠井:あのときはまだあんまり話したことなかったよね。

井口:そうだね。(笠井は)岩みたいでした。

笠井:岩でした(笑)。

井口:そのまま6人抜きされました。あの試合は、僕は「畳に何分残れるかな?」という感じでした。インターハイも、東京都学生も優勝していて、2年生のときから講道館杯に出ているスター選手との対戦だったので、僕も印象に残っています。

笑顔があふれた取材

――今お話に挙がった早慶戦の話題に移ります。早慶戦ならではのことがあれば教えてください

井口:あの大人数の団体戦で、引き分けと勝ち抜きが両方ある試合は早慶戦でしか見られないですね。あとは講道館を貸し切って試合ができるっていうのはすごく豪華なことだと思います。それと、早稲田はあまり初心者の選手はいないと思うんですけど、慶應は初心者が多いので、普段公式戦にあまり出られない部員も出られて、みんなが活躍できる場だと思います。

笠井:講道館が特殊な場所で、8階とかに柔道場があるので、すごくスプリングが効いていて畳が跳ねるのと、室内なので、OBの方も含めてたくさん応援の声も響いて、独特の空気が生まれているなと思います。あとは毎年大番狂わせが起きるので、そこも面白いところなんじゃないかなと思います。

――早慶戦での注目選手を教えてください

井口:慶應は二人います。一人は長谷川大雅(経3・慶應NY)選手。彼は柔道を大学2年生から始めるというなかなか珍しい経歴の選手です。彼はずっとラグビーをやっていて、柔道は足を持ったらいけないんですけど、早慶戦のときは足を持ったりタックルしたりすごく嫌な戦い方をしてくるので、早稲田の選手は毎回動揺しています(笑)。その対戦は盛り上がるので、ぜひ注目してほしいなと思います。もう一人は真田優誠(法1・慶應)です。彼は1年生ながら今年全国大会に出場しています。気持ちが強いので、どれだけ不利な状況からでもしっかり一本を取って帰ってくるのがすごいなと思います。早稲田の選手だと、やっていて一番嫌だなと思うのは、副将の中島竜生(文構4・早稲田実業)選手ですね。中島選手も武道館杯に出るんですけど、手足が長くてやりづらい選手です。理系の院生みたいな頭のよさそうな顔をしているのに、柔道がとても強いのがギャップだなと思います。

笠井:慶應だと入道隼人(商4・慶應)選手。早稲田だと南出健槙(スポ3・鶴来)選手。彼は去年の早慶戦で、柔道とは程遠いような男同士の戦いをしていて、公式戦では見られない試合でした。いい意味で柔道を逸脱しているというか、悪く言えば柔道ではないんですけど……(笑)。

井口:殴り合い(笑)。入道が奥襟を取りに行って、南出選手も負けん気が強いタイプなので、それが顔にぶつかって、試合中に何度も謝るっていう。普通の試合ならもう反則負けなんですけど、早慶戦ならOKなので。今年もそこの二人はオーダーを合わせようかなと(笑)。

――早慶戦への意気込みをお願いします

井口:4年間やってきて、最後の試合が早慶戦になりました。僕は入学してから一回も勝っていないので、笠井選手をぶん投げて早稲田に勝ちたいと思います!

笠井:団体戦で戦う機会はあっても、部員全員で戦う機会はなかなかないので、4年間の集大成として、早慶戦連覇を目指して頑張っていきたいです!

――ありがとうございました!!

(取材:梅木陽咲、塩田隆貴)

タイトルとURLをコピーしました