慶大の体育会を深掘りしていく連載企画、「 What is 〇〇部?」。第31回は山岳部!今回ケイスポでは日吉近郊のクライミング施設を訪れ、練習に励む様子を取材した。また、主将の山本絋太郎、福田空雅の2選手にお話を伺った。
山本:理工学部3年生の山本絋太郎です。理工学部の物理情報工学科に所属しています。山岳部では主将を務めています。
福田:経済学部2年の福田空雅です。
山本:大学に入って「少し体を動かしたいな」と思っていました。新歓で星空の写真を見て、すごくきれいだなと感じて話を聞きに行ったんです。すると、その日のうちに「クライミングができるよ」と教えてもらって、それに惹かれて入部しました。
福田:高校時代に友達と少しだけ山に登った経験があって、「せっかくだから新歓に行ってみよう」と思ったのがきっかけです。クライミングの新歓に参加したときの雰囲気がとてもよくて、入部を決めました。
山本:やっぱり、入ったばかりの頃は体力的にかなり大変でした。でも、2、3回行くとだんだん慣れてきて、今はリーダーとしての大変さの方を強く感じています。山は事前に集めた情報と実際の状況が違うことも多くて、自分が想像していた景色や地形と全然違うこともあるので、そういうところが難しいなと思っています。
福田:登山そのものが大変なのはもちろんなんですけど、それ以前の準備が一番大変だと思っています。「この山に行きたい」という目標に対して、自分の実力を考えて、どんな練習が必要かを一つ一つ整理して、自分でステップを作って、それを踏んでいかなければならないところが大変です。

山本:今年度は特にロープワークというか、クライミングをかなり重視しています。山の中でもしっかりロープを出して、クライミングシューズを履いて登る、ということを実践してきました。あとは、一般登山道にとどまらないような歩行力をつけたいと思って、沢の遡行にも取り組んでいます。
福田:2年生になって、1年生を見る立場になったので、自分が危険なことをしないのはもちろんですが、周りを見ることを特に意識しています。危険な場所で転ばないよう声をかけたり、状況を確認したりして、リスク管理を重視しています。

リスク管理を徹底しているという福田
山本:とにかくコミュニケーションを大事にしています。登山ではチームごとに「パーティー」と呼ばれる単位で行動するんですけど、その中で自分がどういう役割を果たせるかを常に考えています。自分の体調や状態を伝えたり、気づいたことを共有したりすることを特に意識しています。
福田:登山は一人が強くても、すごいところには行けないと思っていて、全員がしっかり実力をつけることが大切だと感じています。そのために、「体力が足りないからこういうトレーニングをしよう」とか、「この登りが苦手だから、この練習をしよう」といった具体的なアドバイスをするようにしています。
山本:さっき福田が言っていたことにもつながるんですけど、いきなり大きな段階に進みすぎないように意識しています。「これができたから、次はこのくらいのレベルなら安全に行動できるよね」という形で、少しずつステップアップしていく感じです。その中で限界ギリギリを攻めていくので、コーチともしっかりコミュニケーションを取りながら、無理をしすぎないような山やルートを選ぶようにしています。
山本:自分はとにかく最新の情報をよく調べることを大切にしています。情報が少ない山に入るのも好きなんですけど、難易度が高くなればなるほど、事前情報がないとやっぱり不安になるので、新しい記録やレポートを徹底的に調べています。あとは装備はダブルチェックして、忘れ物がないように気を付けています。
福田:僕もまずは情報をしっかり仕入れることを大事にしています。それに加えて一番意識しているのが、その山に行くメンバー全員がちゃんと目標を持って臨めているかどうかです。メンタル面も含めて、全員が同じ方向を向いて準備できているかを重視しています。

山本:在学中に登ってみたい山として、北アルプスにある大きな岩壁を持つ「剱岳(つるぎだけ)」という山があります。すごく渋い山なんですけど、ぜひ挑戦してみたいと思っています。
福田:僕はどちらかというとクライミング派なので、アメリカにあるヨセミテ国立公園の、1000メートルくらいある岩壁を登ってみたいです。
山本:部全体でこれを目指す、という明確なものはあまりないんですけど、それぞれが自由に、本当にやりたい登山ができる土壌を整えることを今年のテーマにしています。あとは何より、事故なく登山を続けていくことが一番の目標です。
ーーありがとうございました!
※写真は一部山岳部提供
前編では山岳部について、活動内容や部の雰囲気などを紹介しています。
前編はこちらから!
【What is 〇〇部?】山に挑む学生たち/File.31 山岳部(前編) | KEIO SPORTS PRESS
(取材:小野寺叶翔)

