【ラグビー】関東大学対抗戦直前インタビュー④~慶大を支える2本の柱 宮川主将×濱田副将&栄光へと導く和田監督

宮川主将(左)と濱田副将(右)、この二人が秋にカギを握る

宮川主将(左)と濱田副将(右)、この二人が秋にカギを握る

 

 

 慶大の快進撃を支えていく二人、宮川尚之主将、濱田大輝副将。この二人なしに大学ベスト4は語れない。プレーで下級生を引っ張る、自信に満ち溢れたその力強い背中には重責ものしかかる。そのプレッシャーを越え、和田監督の下、慶大黄金時代を導くことはできるのか。和田監督を加え、3人に熱く語ってもらった。

 

 

――春シーズン、チームとして、個人として振り返って

宮川 チームとしては勝つことができてまずよかったなということと、個人としてはしっかり体作りができてけがなく乗り越えられたところが個人としてよかったなと思います。

濱田 チームとしては勝つことができていい流れで夏、秋を迎えられる準備が整ったということが一番で、けがから復帰したシーズンだったんですけど、次第体も、チームにも慣れてきていい流れでシーズンを終えられたと思います。

 

――秋に向けて取り組まなければいけない課題は見つかったか

宮川 秋までにはもっともっとチームとしての力を伸ばしていかなければならないなと思いました。

濱田 全体としてはチームアタック、チームディフェンスといったもの、Fwdとしてはセットプレーをもっと煮詰めていかなければいけないなと思いました。

 

――主将・副将としてうまくいかなかったところ

宮川 特にないですね。試合にフォーカスせずに継続的に常にトレーニング、体作りをやってきて、つらい厳しいなかでも結果を残せたのでうまくいけたかなと。まとめるというよりはプレーで引っ張りたいので、4年生中心にプレーの中でまとまりが生み出せたなと思います。

濱田 副将として最初からグラウンドに立ちたかったというのがあるんですけどけがをしてしまってそれができなかったのが春の悔いですね。復帰してからは今年はもうけがしないという気持ちでやっています。

 

――夏合宿でチーム、個人としてフォーカスしていた点

宮川 チームとしては今まで春からやってきたことがどこまで通用するかということと継続的に春から体を大きくしてきていたので帝京大にどこまでフィジカルで通用するかということ、あとは夏、オーストラリアへも行って組織的なディフェンスの部分で通用するかということをフォーカスしました。個人的には帝京大との対戦で相手がジャパンだったので、どこまで一対一で通用するかということを意識しました。

 

濱田 宮川が言ったことにプラスして一人一人のフィジカル面であったり、スキルというものに時間を割いていたので成長していていいなと思いました。個人的には三谷と一緒にFwdをまとめていく中でどうやったらまとまるのかということを考えて練習しています。

 

――夏に一番つらかったトレーニングは?

宮川 法政戦の前々日に、雨が降っていたので午後室内で練習したんですけど、ボクシングとかバイクこいだりとか本当につらかったです。特にバイクつらかったです。

 

濱田 僕もそれですね。二日間くらい疲れが抜けなかったです

 

――夏に自身のここが変わったと思うところは?

宮川 メンタル的に強くなったなと思います。大学ベスト4を目指すうえで試合中でもつらい場面があって、春はそこでばててしまったり、走れなくなった時もあるんですけど、そういったつらい中でも頑張れる気持ちの面で成長したと思います。

 

濱田 体がつらい時にいかに前に出られるか、ディフェンスアタックできるかということでそこは全員成長できていると思います。

 

――秋に取り組まなければいけない課題はあるか

宮川 春夏個人技を磨いてきたので、秋にそれをどこまでチームに還元できるか、そういった組織力という観点で今よりももっと成熟させていくべきだと思います。

 

濱田 Fwdとしてはセットプレーという点で、特にラインアウトを慶應の武器としてこれから生かしていけるようにしなければと思います。

 

――ご自身の現在のコンディションはどうか

宮川 絶好調です。全部基本的に調子いですね。足首とか痛かったんですけどそれも治って痛いところがないので。体重もいい感じに増えて今90キロあります!

 

濱田 けがなく絶好調ですね。疲れているときにしっかりと動けるようになってきていると思います。足首のこともあるので体重は維持しています。

 

――チーム全体の雰囲気はどうか

宮川 結構いいと思うので筑波戦期待していてください。Bksはみんなけがから復帰して、みんな頼もしいですし、大学一番を目指せるBksだと思います。

 

濱田 全体としてはいいです。Fwdは3年生が多くて、それでも3年生自身も引っ張っていかなければいけないという自覚が生まれてきて、3年、4年関係なく言いたいこと言えるいい雰囲気になってきていると思います。

 

――グラウンドが新しくなって違和感はあるか

宮川 今まだボールの弾みが弱かったりとかいい人工芝なので足がとられてしまったりとかまだ慣れない部分はあるんですけど、もう1・2週間使い込んで次第に慣れてきて、いいグラウンドで、いい環境でラグビーやらせて持っていると思います。

 

濱田 昨年とかグラウンド張り替えるまではけがをしやすいという理由などでホームの試合があまりなくて、張り替えてからはホームの試合も増えると思うのでそういった部分でもいいと思います。

 

――筑波大の強さはどういうところだと思うか

宮川 どこなんですかね。あんまり分析していないんでわからないです(笑)自分たちのこと考えてあんまり相手はかんがえてないです。

 

濱田 Bksはジャパンに入っている人もいるのでそれが強みであるかなと思うんですけど、その強みを逆に倒せたらいいなと思います。

 

――勝つためにカギとなるポイントはあるか

宮川 相手は筑波大だけではないので、FwdでもBksでも全体的に点が取れて、守り切れれば大学ベスト4も見えてくると思います。

 

濱田 Fwdではいかにタフに戦えるかというところが重要で、うちはいいBksがそろっているのでいかにそこにうまくボールを供給できるかというところがカギとなると思います。

 

――慶大のBksのここを見てほしいというものはあるか

宮川 慶應だったら10番(SO)ですかね(笑)10番見てもらえば慶應のすべてがわかると思いますよ!なので10番を見てください(笑)

 

――Fwdの見てほしいところはあるか

濱田 特にラインアウトのところは時間をかけてやっているので、そこがどれだけ慶應の強みになっているかというところを見てほしいなと思います。前はうまくいかないところがあったんですけど今は成功率を98%くらいに持っていけるかで頑張っているのでその確率をさらに上げられればと思います。

 

宮川 HOの中尾選手に注目してください。プレッシャーに彼はめちゃくちゃ弱いので。

 

濱田 ある意味キーマンかもしれないですね!プレッシャーに打ち勝てるかという点で。練習の中でプレッシャーかけ続けているので大丈夫だと思いますけど。

 

――気になっている他の大学、選手はあるか

宮川 特にないですね。相手のことより自分たちのことなので。自分たちのラグビーができるかということが大切だと思うので。でもしいて言うなら4強、明治・筑波・帝京・早稲田は少しは意識します。選手だと前は同じポジションの選手は気になったりしたんですけど今全然気にならないですね。相手のこと気にしてもどうにもならないなという気がしているので。

 

濱田 特にとかはないんですけど、一戦一戦勝っていかなければならないので戦う相手はどこであっても意識はしているんですけど。選手でいうと、同じ高校の選手が相手チームだったりすると意識はしますね。

 

――SO,FLとして自分の見てほしいところは

宮川 今までは自分のいくところを見てほしかったんですけど、人を使うというほうに面白味を感じてきたのでそっちの新しく手に入れた力を見てほしいなと思います。

 

濱田 タックルですね。どんな時でもどんな状況でもいいタックルができるかを追求してやっているのでそこを注目してほしいです。

 

――秋シーズンの目標は?

宮川 大学ベスト4です。

 

濱田 それをチームとして掲げているので、あとはベスト4の先ですね。

 

――ファンのみなさんにコメントをお願いします。

宮川 大学ベスト4を目指すうえで新しいグラウンド、和田監督のもと、いい準備ができていると思うので、2年連続で対抗戦5位に沈んでいますけど今年は必ず目標を達成するので時間があったら直接グラウンドに足を運んで応援していただければと思います。

 

濱田 大学ベスト4のためにチームとして日々調整、練習しているので試合に足を運んでみてもらって声援を送ってもらえれば、僕たちの力となってベスト4、さらにその上にいけるとおもっているので応援をよろしくお願いします。

 

宮川尚之(みやかわ・なおゆき)

成蹊高を経て現在環境情報学部4年生。昨年の公式戦は出場機会に恵まれなかったが、今年はSOとして2年ぶりの開幕戦に備える。キック、パス、全てにおいて優れた司令塔。

 

濱田大輝(はまだ・たいき)

桐蔭学園を経て現在総合政策学部4年生。春シーズンは開幕からけがに苦しんだが、秋への準備は万全。自慢のタックル、優れたリーダーシップでチームを鼓舞する。

(取材・宮本 大)

 

 

 

 

【和田監督】

 

田中前監督にかわり今年新しく就任した和田監督

田中前監督にかわり今年新しく就任した和田監督

――筑波大戦にはどのくらいベストメンバーでのぞめるか

春シーズンの主力の中では、服部(総3)以外は怪我人はおりません。WTBで起用予定の下川(商3)も服部に劣る選手だとは思っていなく、夏合宿で最も活躍した選手の一人で走攻守のバランスの取れた良い選手です。

――夏合宿で重点的に取り組んできたこと

個々のベースとなるフィジカル強化とファンダメンタルスキルの上昇です。また、スクラム・ラインアウトといったセットプレーにも重点的に取り組みました。

――今季はオーストラリアで合宿を行ったが

自分自身、現役時代に4年かのうち3回オーストラリア合宿の経験があります。その成果を一言で言うのは難しいですが、まずは先端のコーチングを受けることができる点です。また、学生時代に様々な経験をすることは重要だと思っており、海外経験もその一つだと思っております。部員はある意味狭い世界で毎日活動しており、グランドとキャンパスの往復で大部分を過ごしています。今回の合宿を通して世界には色々なラグビーがあり、多様な価値観に触れる中でラグビー選手としても人間としても成長できたと信じております。また、最終日にはオールブラックスとワラビーズのテストマッチを観戦しましたが、世界トップレベルの試合を生で観戦することでさらに刺激を受け、ラグビーをより好きになり、プレーヤーとして向上したい気持ちが強くなったようです。

――帝京大戦で感じた王者との差とは

完封負けは喫しましたが、夏合宿の勝った負けたというのは気にしても仕方ないと思います。一番見たかったのは一人一人のフィジカル・ファンダメンタルスキルがどれだけ通用するか、およびセットプレーがどれだけ通用するかでしたが、その中で1番の課題はセットプレーでした。主にラインアウトとスクラムで、思ったより強化出来て無かった点が最大の反省点でした。帝京の選手層の厚さ、一人一人の強さは当初から分かってはおりましたが、実際試合をして改めてその強さに触れることができたのも収穫です。

――夏合宿では24時間部員を管理出来るが

トレーニング・食事・睡眠その3つは徹底的に意識しました。

――今季から監督に就任されたが、今までのサラリーマン生活と慶大の監督の違いとは

まずは生活環境ががらっと変わって、オフィスに行って日に当たらない生活から毎日グランドで日に当たる生活になりました(笑)また、社会人は何にしてもお金が関わりますが、慶應の選手たちはお金をもらってやっているわけではないので、非常に純粋な「勝ちたい、うまくなりたい」という気持ちでやっています。ある意味、見返りのないものに対してここまで打ち込めるっていうのは素晴らしいことですし、その中にまた戻ってそういった学生と一緒に夢に向かってすすめるのは誰もが経験出来ないことだと思っています。

――和田監督の現役時代ラグビーと今のラグビーの違いとは

フィジカル面は今の方が圧倒的に優っていると思います。これは大学レベルだけでなく社会人でも平均体重が5~10kg位上がっていると思います。あとはラグビーのプロ化が進み練習効率も飛躍的に上がり、体系的になっていると思います。昔はグラウンドでどれだけ練習するかが鍵を握っていましたが、今グラウンドの練習の重要性は全体の半分で、あとの半分はジムや食事、休養など、オフグランドが重要になっています。私が現役の時はウェイトトレーニングも食事も各自任せでした。グラウンドでの練習も当時としては理論的・科学的にやってはいましたが、内容は今とは全然違います。例えば、今練習で長い距離を走ることはほとんどないですが、僕が現役の時は長い距離を多く走っていました。

――就任当初に大幅なコンバートを実施したが

慶應の永遠の課題として、ラグビー推薦が無く思った通り必要なポジションの選手を獲得することが不可能であるため、その中でどうしてもあるポジションの層が薄くなったりするので、限られた人材の中で適材適所を考えて各選手の強み弱みやチーム状況を考えて本人と相談してコンバートしました。

――春シーズンは「勝利」という結果が出たが

勝利は自信にはなりますが、その一方で秋の本番で結果を残さないと基本的には何の意味もないです。春や夏にいくら勝っても数年したら誰も覚えていないわけで、対抗戦・大学選手権でいくら勝てるかしか基本的に興味は持たれないです。このことは毎試合後に学生に言っております。それを理解した上で、勝ちを通して「おごりのない自信を持つ」ことが大切です。我々はまだ何の結果も残しておらず、チャレンジャーです。

――監督として初めての対抗戦を迎えるが

監督が緊張するとチームも固くなるので、いかに自然体でいることが選手の実力を最大限引き出すのには必要なのかなと思います。

――11月の明大戦と早大戦が鍵になるが

伝統の1戦ですし、大学選手権で良いグループに入るためにも絶対に負けられない戦いになると思います。

――初戦の相手である筑波大について

他の大学とは少し雰囲気が違うと感じます。筑波大はラグビー部の寮がなく、自主性を重んじるカルチャーだと聞いています。そういったカルチャーもあってか、試合を見てもクールで大人なチームだと感じます。バックスのチームというイメージもありますが、フォワードも強く、バランスの取れたチームですね。日本代表の二人以外も、個人能力に優れた選手が多く、個々の素材では慶應が劣っておりますので、チームワークとハードワークで勝つ慶應伝統のスタイルを体現するには格好の相手だと思います。チャレンジですね。

 

――Webをご覧の皆さまへメッセージ

スポーツではホームチームが圧倒的に有利です。ということはいかに試合を慶大のホームゲームに近づけるかも大切になってきます。これは絶対選手の力になりますので、是非皆さんサークルやゼミの友達などと試合会場に足を運んでください!!絶対にいい試合をお見せ致します!!

 

――ご協力ありがとうございました!!

                                   

                                              (取材・住田孝介)

     

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