「ピッチャーの良いところを引き出せるように」(小笠原)
「大学で自分の実力が通用する」(三宮)
―昨シーズンはどんなシーズンでしたか
小笠原 上級生になって、ある程度落ち着いた中でリーグ戦に臨めたかなと思っています。キャッチャーとして慣れてきたというのもあって、自信になったシーズンだったし、逆にまだまだだなと思ったシーズンでもあります。
三宮 僕は初めて1シーズン通してベンチに入って、良かったこともあり悪かったこともあり、色んなことが経験出来たシーズンでした。それで優勝できたってことはとても嬉しいです。
―優勝の要因はなんでしょうか
小笠原 投打が噛み合ったなというのがあります。必要以上に(点を)取ったな、というイメージはないのですが、要所要所でピッチャーが抑えたりバッターが打ったりできたので、結果優勝できたという形だと思います。
三宮 僕も一緒で、投打が噛み合った、という感じですね。
―印象に残った試合を教えてください
小笠原 結果だけを見れば早慶戦がすごく良い試合になったなと思います。でもやっぱり明治、法政に勝てたときは「自分たちのやってきたことが間違ってなかったんだ」と思えて勢いに乗れ、まあ立教には負けましたが、早慶戦で勝てました。それも最初にいい形で入れたからかなと思っているので、僕的には明治戦や法政戦が印象に残っていますね。
三宮 僕は一番印象に残っているのは早慶戦ですね。でも個人としては明治戦でいいピッチングができたのでそれなんですけど(笑)。優勝できたときが一番ですね。
―三宮投手は明治1回戦でリーグ戦初勝利もありました
三宮 そうですね。始まる前から調子が良くて、いけるな、とはずっと思っていたのですが、それが結果として表れました。でもそれから調子が崩れて、それを持ち直せなかったのが次への課題ですね。
―三宮投手のピッチングをリードする小笠原選手はどう見ていましたか
小笠原 基本的に、ピッチャーとしての才能があって、分かっていても打てないまっすぐを投げられるので、調子が良かったらなかなか打てないというのが実際明治戦のときなんです。シーズン通して調子が良かったら、これから先発で5勝とかやってくれると思います。
―大きな期待をされていますね
三宮 厳しい注文なんで(笑)。すごい期待をされて…そんなにうまくはいかないと思うけど(笑)。
―昨シーズンの収穫はなんだったでしょうか
小笠原 前のシーズンはピッチャーをほぼ同じ3人(三宮、加嶋、加藤拓)で回していて、その3人についてはだいたいの特徴がつかめました。ここは生かせるだろうなという特徴を学べて、しかも優勝できたので、これから始まるシーズンに向けてそれを使っていきたいなと思います。
―タイプの違う3人の投手をリードしていて難しいなと思ったことはありましたか
小笠原 そうですね、3人違うピッチャーがいて…でも、勝っているときに投げるピッチャーが3人というのは人数的に見たら少ないと思うんですよ。その中で疲れもあるし、たまには打たれると思うし。良いときだったら誰がリードしても抑えられると思いますけど、調子の悪いときでも何とかしてピッチャーの良いところを引き出せるようにしていきたいなと思います。
―三宮投手の収穫は
三宮 調子が良ければですが、大学で自分の実力が通用するんだなと感じられたことです。その中で自分のメンタル面での弱さとかピッチングスタイルについても、まだまだやらなきゃいけないことがあると感じています。
―投げてみて見つかった課題もあったということですか
三宮 そうですね。
―具体的にその課題とはなんでしょうか
三宮 僕結構気持ちが弱くて…(笑)。自分でいけると思ったときは良いのですが、ダメだと思ったときはあがってしまったり、すぐ考えこんじゃったりします。試合中でも打たれたときの切り替えがあまり上手くないんです。みんなには気持ち強いでしょ?とか言われるんですけど、それはそういう風に見せていて、内面は弱いんで。もっと常に冷静でいられたらなと思います。
―小笠原選手は、三宮投手の精神的な動揺などが伝わることはありますか
小笠原 行動を見てもあまり分かりませんが、球を見ているとばらつきます。良い球が来ているときはそれなりのメンタルを持って投げてくれているんだろうなと思うので、やっぱりボールですね。
―小笠原選手は課題をあげるとするならなんでしょうか
小笠原 僕は短気というか気持ちが強いタイプなので、それを抑えて、ピッチャーの調子が悪くて迷っているときに落ち着いてアドバイスを言えるように、冷静さを保ってシーズンを乗り切るというのが課題ですね。
―お二人はプライベートなどで遊びに行ったりすることはありますか
三宮 一緒に出かけたりはしないですね(笑)。
小笠原 野球部って基本的に単独行動だよね。(団体行動は)本当に全員か、逆に2人とか。
―初めて会ったときはいつでしょうか
小笠原 一緒にこの寮に入ったときですね。
―そのときの印象は
三宮 関西人だな、と(一同笑い)。この感じと、あと喋り方とか。
小笠原 三宮は入ったときにけがをしていてずっと投げられず、投げているところを見たことがなかったので、印象は…
三宮 けが人?(笑)
小笠原 どんなピッチャーなのかなって思っていました。
「優勝するチームのキャッチャーでずっといたい」(小笠原)
「抑えて、勝てる投手が理想」(三宮)
―キャンプで重点的に取り組んだ練習は何ですか
小笠原 必要なときに必要なことをまんべんなくやったので、特にこれをやったというわけではないですね。どちらかと言えばバッティング練習をしました。基本的なことをやってきたので、今はオープン戦で実践を通じて経験をつんでいる段階です。
三宮 僕は、「今日はこれをやろう」と決めても、いざ試合になると昔の悪い癖が出ることが多くて。さっき課題にあげたメンタル面の問題で、気持ちの意識ができていないというか。それで夏のキャンプは結果を気にせずに、自分のやりたいことをやると決めて試合に臨みました。
―成長の実感はありますか
三宮 そうですね。小笠原に試合で受けてもらうときに、「今日はこれやるからストライク入らなくてもごめん」とか、最初に言って投げたりしているので(笑)。今までやろうとしたことがこの夏のキャンプではかなりできました。
―例えば、試したい球種を決めて投げるというようなことですか
三宮 どっちかというとフォームですかね。でも試しているときでも逆に悪くなかったりするんですけどね(笑)。
―小笠原選手はどういった成長を感じていますか
小笠原 やっぱり慣れですかね。やればやるほど慣れてくるじゃないですか。キャッチャーも3年目なんですけど、だいぶこのポジションに落ち着いたかなと。毎シーズンやっていて、物怖じせず冷静なリードをできるようになってきました。あの場所(キャッチャーズボックス)に座って、どんどん経験することから成長すると思っているので、今シーズンも頑張ります。
―キャンプを終えて、現在のチームの雰囲気はいかがですか
小笠原 監督が代わったので春と雰囲気はちょっと違いました。春のときも一度辞めた江藤さんが帰ってきたということでやりにくさはあったんですが、今回は新たな監督ということで、はじめは「どんな人なんだろう」と思っていました。髙多さんは一言で言うとすごく人間性がある人というか、あんまりとやかく言わない人ですね。そのなかでも甘えずにしっかり自分の野球をやって、せっかくこの期間に監督をしてもらっているので、優勝させてあげたいなと思います。
三宮 秋に向かっていくぞという雰囲気はあるんですけど、この雰囲気がいいのか悪いのかは大会に入らないとわからない。このままでいいのかって思う部分も、いい雰囲気だなって思う部分もあって。これで勝ったらいい雰囲気だって言われますし、負けたら抜けている部分が多い雰囲気だと言われちゃいます。結果の世界なので。
―オープン戦での手ごたえはありますか
小笠原 試合でやっていくなかで、しっかり練習してきたことができているなと思う場面もあるし、まだまだもっとやっておけばよかったという場面もあります。でも、いつもずっとそんな感じなので。
三宮 手ごたえって、実際わかんないよね。オープン戦はリーグ戦とは相手も違うし。
小笠原 リーグ戦に入って試合をやってみてああよかったな、と思うこともある。
三宮 春も自分があんな風になるとは、あんなに抑えられるとは思わなかったしね。キャンプの手ごたえ…、あえて言うなら次は社会人と試合するので、社会人とどれくらいできるかっていうのがありますけど。
―やってみないとわからない、まだまだこれからということですね
三宮 そうですね、春も社会人相手に大敗とかしてたので。
―三宮投手はオープン戦で先発していますが、先発とリリーフの違いは何でしょうか
三宮 僕はリリーフが苦手で(笑)。リリーフは登板するのが試合の途中からなので、気持ちの入り方も準備の仕方も難しくて。どこでいくとも最初は言われないで、突然今いけるかって聞かれたりする。試合に入っていく雰囲気はリリーフでは難しいなとずっと思っていました。先発はその分自分でしっかり準備してからいくんで、準備の部分では簡単というかやりやすいんです。高校でもずっと先発をやっていたので。でも先発は勝ち負けに関わることが多くて、しょっぱなで点を取られたらチームの雰囲気が悪くなるので難しい。先発とリリーフの違いはそういうところですね。
―六大学で特に警戒している選手は
小笠原 バッターだったら、明大の髙山選手、早大の中村選手や小野田選手とかいっぱいいます。
三宮 いっぱいいるよね。
小笠原 みんなが才能とか技術のあるバッターだと思うので、その中でも調子のいいバッターを注意したいというか警戒したいっていうのが一番です。そういう人を塁に出したら打線が止まらないんで。正直みんないいよね。
三宮 うん、みんないい。みんなだいたいどこのチームも警戒するバッターばっかりですね。特にって言うとさっきあげた3人ですけど。立大にも法大にもいます。
―話は変わりますが、それぞれ理想の投手像や捕手像があれば教えてください
三宮 勝てる投手ですね。勝てばいいんじゃないですかね(笑)。勝てばいいというか、チームが打てないときに抑える投手。と言っても、チームが打ってるときは打たれてもいいってわけじゃないですけど。抑えて、勝てる投手が理想です。
小笠原 勝てるキャッチャーが理想ですね。
三宮 (笑)
小笠原 キャッチャーって、評価されるポイントが他のポジションと違うと思います。たとえば打てたり盗塁を刺せたりすることも大事だと思うんですけど、目に見えるものじゃない才能とか技術というものがないとなかなか勝てるキャッチャーじゃないなと思います。ピッチャーの調子もあるし、キャッチャーの配球もいろいろあるしで、打たれたらピッチャーもキャッチャーも悪い。でも、キャッチャーのほうが何を投げるかということをリードしているわけだから責任は重い。ピッチャーが投げるボールにとっても、僕らが出すサインが大事だと思いますね。(三宮投手を指して)調子いいときは全然抑えてくれるんですけど。
三宮 調子悪いときにね。
小笠原 調子が悪くても駆け引きやピンチの場面は来ます。そんなときはひとつ間違えれば点が入って、抑えて点が入らないのとは全然違う。ピンチを抑えられるか抑えられないかで勝てるか勝てないかが決まってくる。結果論の話で、ピッチャーがいい球投げて抑えたらそれでいいんですけどね。ピンチのときにできる限り打たれないよう、自分の力でできるキャッチャーになりたいです。
―次のシーズンは4年生にとって最後のシーズンとなりますが、何か特別な思いはありますか
小笠原 特別っていうか、みんな引退はするので。
三宮 いつかはみんな引退するからね。
小笠原 4年生は4年生で最後の秋にみんなで優勝したいというのがあると思うんですよ。でも僕らは必死に、僕らなりに自由にやっていくのがいいかなと。4年生の引退を意識しすぎると良くないと思います。僕らはまだあと1年あるからって気持ちを持って思い切って頑張って、その結果、4年生の最後のシーズンに優勝して終わるという形に持っていきたいです。
三宮 4年生は最後なので、プレッシャーはすごいと思うんですけど。僕はあんまりそのことについて考えていなくて。優勝に貢献できればいいかなと思います。
―では、秋に向けてチームの目標と個人の目標をお願いします
三宮 チームの目標は佐藤旭主将が掲げている日本一です。僕はその前にリーグ優勝が一番と思っているので、まずはしっかりリーグ優勝してから日本一になることがチームの目標です。個人としてはたぶん先発をやると思うので、先発をした試合は負けないことです。負けないことが大事だと思うので。
小笠原 チームについては一緒で日本一になりたい。その前にはまず優勝してまた楽しくパレードをして、おいしいものを食べておいしいお酒を飲みたいなと。
三宮 (笑)
小笠原 個人としては優勝するチームのキャッチャーでずっといたいなと思います。試合に出続けることで経験をつめるし、優勝できるキャッチャーということで、理想である勝てるキャッチャーに近づくことができる。経験をつめばいろいろ見えてくると思うので、具体的に何がしたいとかはないですけど、とにかく試合に出たいですね。
―最後に、応援してくれている方に向けて一言お願いします
小笠原 どうぞ。
三宮 俺から?(笑)
小笠原 ピッチャーだからね。
三宮 (笑) 昨シーズンは早慶戦が優勝決定戦になったので、スタンドのファンの方もすごく盛り上がっていて。僕らもそれを見ながらこんなに応援されているんだと思いました。もう一度秋にも優勝に関わる試合をして、優勝できればいいと思うので、応援のほどよろしくお願いします。
小笠原 昨シーズンは応援してくれている方がすごく多いなというのが試合中に見えました。ピンチのときもチャンスのときも大きな声で応援してくれていたのですごく力になります。欲を言えばもっと応援して欲しいし、応援される選手になりたいです。ぜひ神宮球場へきて慶大を、特に小笠原を応援してください。よろしくお願いします。(一同笑い)
―お忙しい中、ありがとうございました!
(取材 角谷明香 山田万里子)
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