【野球】エースと主砲の活躍で連覇へ好スタート 東大①

9月13日(土) 東大1回戦

佐藤旭主将の選手宣誓で熱き秋が始まった

佐藤旭主将の選手宣誓で熱き秋が始まった

春のリーグ戦を制し、王者として秋を迎えた慶大。今季から、髙多助監督が療養中の竹内監督に代わって指揮を執ることとなり、東大との開幕戦はその初陣にもなった。試合は初回、相手のミスにつけこみチャンスを作ると、谷田(商3)が豪快なスリーランを放ち幸先よく3点を先制。その後は山本泰(環3)の本塁打や齋藤(商2)の犠飛などで着実に加点した。投げては先発の加藤拓(政2)が7回7奪三振無失点と貫録のピッチングを見せ、慶大が連覇に向けて好発進した。

   
東大
慶大 ×
 東大:●白砂、関、宮台-喜入

 慶大:○加藤拓、明、土屋俊-小笠原、須藤

◆慶大出場選手

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商4・慶應)
[6] 山本泰寛(環3・慶應)
[9] 谷田成吾(商3・慶應)
[5] 横尾俊建(総3・日大三)
[8] 藤本知輝(環4・慶應)
[4] 竹内惇(商4・慶應)
[3] 齋藤大輝(商2・慶應)
[2] 小笠原知弘(環3・智弁和歌山)
  明大貴(政4・慶應)
  土屋俊一郎(商4・慶應湘南藤沢)
[1] 加藤拓也(政2・慶應)
  須藤隆成(環2・創志学園)
 

連覇を見据え2ヶ月を戦い抜く

連覇を見据え2ヶ月を戦い抜く

開幕投手を任されたのは、春の優勝の原動力となり、最優秀防御率も獲得した加藤拓。春は各カードの2戦目に先発することが多かったが、今秋はエース対決となる初戦に登板することが多くなると予想される。

 

その加藤拓は1回表、先頭の下嶋にライト前へ運ばれると、送りバントを決められいきなり1死二塁のピンチを背負ってしまう。しかし、ここで簡単に先制点を与えないのがエースたるゆえん。150キロ近い自慢のストレートで3番の笠原を見逃し三振、4番の有井をレフトフライに打ち取り、見事ピンチを切り抜けた。

その裏の慶大の攻撃は、先頭の佐藤旭(商4)が死球を受け出塁すると、続く山本泰の打球がショートのエラーを誘い、いきなり無死一、三塁のビッグチャンスを迎える。ここで、今夏大学野球日本代表にも選ばれた慶大の主砲、3番の谷田がバッターボックスへ。その4球目、「狙っていた球ではなかった」というものの、高めに浮いた球を振り抜くと、打球は大きな弧を描いてライトスタンド上段に着弾。ライトが一歩も動かない完璧な一打で慶大が3点を先制した。

 

山本泰が放った弾丸ライナーはスタンドへ一直線

山本泰が放った弾丸ライナーはスタンドへ一直線

それに応えるように、加藤拓は2回に3者連続空振り三振を奪い、流れをさらに慶大側へ引き寄せた。その後は「小笠原さん(=捕手・環3)と相談して変化球を増やした」というように、直球主体だった春とは一味違ったピッチングも見せながらゼロを並べていく。

4回までヒットは谷田の本塁打1本のみだった打線は5回、先頭の山本泰が弾丸ライナーでレフトスタンドへ突き刺す本塁打を放ち、1点を追加する。さらに7回には谷田の内野安打から無死満塁のチャンスを作り、竹内惇(商4)の内野ゴロの間に1点を追加、続く齋藤もきっちり犠牲フライを打ち上げ、ダメ押しに成功した。

 

8回表は、加藤拓の後を受け明(政4)がマウンドへ上がった。春は開幕カードの東大戦で打ち込まれ、この日も「春の苦い思い出がよみがえって少し緊張した」というが、結果は3人でピシャリ。空振り三振と内野ゴロ2つに抑える完璧なピッチングで、見事に春の雪辱を果たした。

そして最終回を締めたのは、リーグ戦初登板となる土屋俊(商4)だった。先頭バッターにポテンヒットを許したものの、躍動感あふれる投球で後続を3人で抑え、慶大が完封リレーで秋のリーグ戦初戦を飾った。

 

リーグ戦初登板の土屋俊

リーグ戦初登板の土屋俊

チャンピオンチームとして秋のリーグ戦に挑む慶大。開幕戦は、そのおごりをまったく感じない試合運びであった。序盤で主軸がしっかりチャンスをものにして主導権をつかみ、投手陣がテンポの良い投球で相手を圧倒。送りバントもきっちり2つ決め、守りに関しても失策、記録に表れないミスもなかった。春の優勝を支えた加藤拓、加嶋(商3)、三宮(商3)の3本柱に続いて、この試合は明と土屋俊の4年生コンビが好投したのも大きな収穫だ。唯一、タイムリーで鮮やかに得点するシーンが見られなかったのが残念ではあるが、「バットの振り自体は悪くないので、これから良い結果が出てくると思う」と髙多助監督が述べるように、ここから選手個々が状態を上げていくことだろう。選手のコメントにも、連覇への強い決意が見てとれる。How to play, How to win、今季のスローガンが選手たちに着実に浸透しているのは間違いない。チームとして、1試合1試合成長を続けていったその先に、2季連続の歓喜の瞬間が待っている。

 

【Keispo pick up】春秋連覇への号砲 谷田成吾

谷田が開幕戦から魅せてくれた

谷田が開幕戦から魅せてくれた

名実ともに六大学屈指の強打者に成長した谷田。4割5本15打点という高い目標を設定して臨んだ今シーズン、初戦でいきなり2安打1本塁打3打点と活躍した。初回の本塁打は、この夏の成長を示す、観客の度肝を抜く特大のものであった。谷田はこれで2シーズン続けて開幕戦で本塁打を放ったことになる。春の優勝に続いてこの秋も、谷田の開幕弾が優勝への号砲となるのか。谷田の一振りが、慶大を連覇へと導く。

 

(記事 菅谷滉)

 

 

 

◆打撃成績
   
[7] 佐藤旭 死球 中飛   二ゴ   中飛   投犠失
[6] 山本泰 遊ゴ失 右飛     左本① 二飛   二安
[9] 谷田 左本③   中飛   四球   三安 遊併打
[5] 横尾 一邪飛   右飛   中飛   死球 中飛
[8] 藤本知 遊ゴ   空三振   右安   四球  
[4] 竹内惇 四球     四球 左飛   二ゴ①  
[3] 齋藤 二飛     投犠打 空三振   中犠飛①  
[2] 小笠原   四球   四球   中越2 中飛  
1                
1 土屋俊                
[1] 加藤拓   左飛   中飛   見三振    
2 須藤               四球
◆投手成績
  投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
加藤拓 25 93
15
土屋俊 18
◆監督、選手コメント

髙多倫正助監督

(見事な初采配でした、今のお気持ちは)ほっとしました。一つ勝てたので、いいスタートを切れたと思います。(試合前のミーティングで、選手たちにどういった言葉をかけたか)神宮球場を自分たちの庭にしようと、要するに、自分たちの持っている力をここで全部出し切るようにと話をしました。(谷田選手の本塁打について)あのホームランでこちらの方に流れが来ましたので、非常に良いタイミングで打ってくれたと思います。(タイムリーは出なかったが、打撃陣の印象は)バットの振り自体は悪くないと思いますので、これからシーズンが進んでいくにしたがって、良い結果が出てくると思います。(加藤拓投手の投球は見事でしたね)そうですね、加藤が相手の流れをせき止めてくれましたので、勝つことができたと思います。(明投手、初登板の土屋投手については)いつも通りの力をこの舞台でも出してくれましたので、やはり4年生だなと思いました。(明日に向けて)明日は三宮が先発しますが、彼はオープン戦もずっと良かったので、そのままのピッチングをしてもらえたらと思います。

 

佐藤旭主将(商4)

(ついにラストシーズンが開幕。今の心境は)いよいよ始まったなという感じで、ワクワクしています。気持ち的にも身体的にもいい状態で入れたと思うので、このまましっかりと2ヶ月戦い切ることができたらと思います。(今日の試合を振り返って)相手のミスに付けこみながら効率よく点を重ねることができたかなと思います。まずは点を与えなかったということがチームにとって一番大きな収穫です。ただ、もう少し攻め切れる部分はあったと思うので、今日の反省というものを今後に生かしていきたいです。(この日リーグ戦初登板の土屋俊投手が好投を見せた)ああいう風に初登板の4年生がチームとしても刺激になりますし、これからどんどん上に行くためには新しい4年生の力も重要になってくると思います。土屋は本当にナイスピッチングをしてくれたと思います。(8回表には守備でハッスルプレーもあったが)捕れればベストでしたけど、ああいうプレーでチームが盛り上がってくれたら良いですし、けがのないようにハツラツとしたプレーで盛り立てていけたらなと思います。(開会式での選手宣誓について)野球人生の中で選手宣誓というのは初めてですごく緊張もしたんですけど、なかなか経験できることではないのでしっかり宣誓できたことで今後の自分の成長にもなるかなと思います。(明日に向けて)まだ始まったばかりなのでしっかり気持ちを引き締めて連勝で勝ち点を取りに行きます。

 

竹内惇(商4)

(今日の試合を振り返って)リーグ戦初戦ということで、勝てたのですごく嬉しいです。(いよいよラストシーズンが始まった)そこはあんまり、気持ちは変わらずにやってます。(オープン戦は打撃好調だったが)オープン戦とリーグ戦ではまた違うので、今日は打てなかったですけど、また練習して明日に臨みたいです。(明日に向けて)今日はいい形で勝てたんですけど、また明日、一から1点1点取っていけたらなと思います。

 

土屋俊一郎(商4)

(今日を振り返って)ランナーを出してしまったのですが、0で抑えられていたので良かったと思います。(神宮初登板だったが、マウンドに向かうときの気持ちは)人生で1番緊張しましたけど、抑えられたので良かったです。(調子は)調子はすごく良くて、トントン拍子でここまで来れたなと思います。(ラストシーズンの抱負)もうラストなので、緊張を楽しめるように、チームの目標の日本一になれるように、その原動力となれるように頑張ります。

 

藤本知輝(環4)

(幸先のいいスタートがきれたのでは)勝てればなんでもいいと思うので、結果は気にせず勝ちにこだわってやっていこうと思います。(開幕前取材で「楽しみたい」と言っていたが今日はどうだったか)はい、楽しめたと思います(笑)(9回には土屋俊が初登板)守備で迷惑をかけないように、捕れるボールはアウトにするということを心がけていました。(明日にむけて)やってきたことを出して勝つだけなので。打って、楽しめればいいかなと思います。

 

明大貴(政4)

(本日を振り返って一言)自分は春の東大戦がダメだったので、秋の初戦いい形で入って自信にもなりました。春は自信がないなかでピッチングしてたので、今日で今シーズンやっていけるなという自信がもてました。(開幕戦だったが緊張は)マウンド上がるまでしなかったのですが、マウンドたったら春の苦い思い出がよみがえってきて少し緊張してきて…。先頭バッターとれていけるなと緊張もほどけました。(ご自身の調子は)調子は夏のキャンプや合宿、それ以降のオープン戦もここまで調子よくこれてます。加嶋が欠けている状態なんですけど4年生代表として攻めていけるようなピッチングをしたいと思います。(今期の目標は)連覇に貢献することです。春は最後に優勝勝利投手になったのですが、やはり加藤拓とか三宮とか加嶋が主だったというシーズンだったので。自分が4年生の最後にチームの優勝に導けるようにいいピッチングをして優勝に貢献したいなと思っています。(明日に向けて)多分明日も登板あるって言われているのですが、今日みたいなピッチングを続けてチームの勝利に貢献して行きたいと思います。

 

小笠原知弘(環3)

(開幕戦、どういうお気持ちで臨んだか)春に優勝したことで、試合の運び方でわかるところはわかったんですが、まだわからないところもあって。その中でどんな試合ができるかなと思っていました。相手が東大ということで、必ず勝つぞという思いで試合に入ったんですけど、まだまだというか、いろんな課題が今日の試合でも見えましたね。(加藤拓投手のリードはどのように)加藤はまだまだ本調子ではないので、こういうときにどうやって抑えるかということを考えてリードしたつもりなんですけど。まだまだピッチャーもキャッチャーも経験が浅いので、もっと試行錯誤しながら結果的に優勝できたらいいかなと思います。(夏に力を入れたという打撃では二塁打が出た)打てて良かったなという感覚なんですけど、例えば今日だったらランナーが2塁にいる場面で打ちたかったのに結果は四球だったので。それよりは、チャンスで1本出して守備をがんばるというキャッチャーを目指しているので頑張ろうと思います。(明日に向けて)いい試合をして勝って、東大から勝ち点を奪うということを目標に、明日も一生懸命やって勝ちたいと思います。

 

谷田成吾(商3)

(今日の試合を振り返って)なかなかヒットが出ず得点に繋がらなかったんですが、そんななかでも粘り強く守って、中盤以降点が取れて良かったです。(ご自身のバッティングについて)初戦と言うことでヒットが欲しかったんですが、ホームランという形で出て良かったです。(そのホームランについて)狙っていた球ではなかったんですが上手く対応できました。(秋シーズンが開幕して)春優勝はしましたが日本一にはなれなかったので、それに向けて夏やって来て、準備は万端なのであとはやるだけです。(次に向けて)一戦一戦目の前の試合をしっかり勝てるように準備するだけです。

 

山本泰寛(環3)

(今日の試合を振り返って)初回に谷田の3ランで3点入って、気持ちに余裕が生まれ、初戦の緊張感がほぐれました。それで自分もしっかり2安打打つことができたので、いい初戦だったなと思います。(試合前はどのような気持ちで過ごしたか)初戦なので、東大とは言わず、本当にどこのチーム(との試合)であってもいいように、調整という意味ではなくて、自分のレベルアップをするという気持ちで臨みました。(本塁打について)はじめ詰まったと思い、行かないかなと思ったのですが、伸びてくれて入ったんでよかったと思います。(同級生の谷田の本塁打は刺激になったか)そうですね。谷田、横尾と同期が出ているんで、あいつらみたいにはいかないですが、しっかり自分の役割を出せればいいなと思います。(本日もマルチ。オープン戦からの好調を維持しているように見えるが)そうですね。調子はいいと思います。(今季の目標は)ここまでベストナインを取れなかったので、まずはベストナインを取って、守備でも打撃でも走塁でも活躍できるようにやっていきたいと思います。(明日への抱負)明日もやることは変わらないと思うので、しっかり自分のプレーを出し切ってやっていきたいと思います。

 

横尾俊建(総3)

(今日の試合を振り返って)勝ててよかったです。(5回のセーフティーバントを処理したプレーは警戒してのものだったのか)警戒してないです。(夏の間はどのようなことを重点的にやっていたのか)ウエイトトレーニングです。(明日に向けて)もう少し柔らかく打ちたいです。

 

加藤拓也(政2)

(今日を振り返って)勝てたことが一番大きかったです。ゼロで抑えようとマウンドに上がったのでその通りゼロで抑えられて良かったです。(加藤拓投手自身初の開幕投手だったが、助監督からの指名はいつあったのか)オフ明けの今週の水曜日に「一戦目行くぞ」と言われてそれに対して準備をした形です。(秋の開幕戦ということで特別な雰囲気や緊張感はあったか)開幕戦というか自分の中での開幕戦という感じでまあまだ神宮に対しても慣れてない部分があるので、そういう部分でちょっと緊張はしました。(序盤少し不安定だったが5回からノーヒットと立て直した。何か工夫した点は)今日は僕自身調子が悪い訳ではなかったので、ピッチングは変えずに小笠原さんと相談して変化球を増やし、フォームも自分で考えながらやったのでそこは問題なかったと思います。(春からグローブの色が変わったように見えたが)グローブを頼むときに今年はちょっと変えていこうと思って、まあ特にそんなこだわりはないんですけど…そこを言われるとどうなんでしょう…今年はこんな感じでいきます(笑)(次回の登板に向けて)リーグ戦は始まったばかりなのでこれからタフな戦いが続くと思うんですけど、自分らしく投げていければと思います。

 

齋藤大輝(商2)

(快勝だった)そうですね。ピッチャーもよく投げて、相手のミスをついて点をとることができてよかったです。(齋藤選手自身はオープン戦から苦しんでいるようにみえるが、キャンプから取り組んできたことは)ヒットを打てていないのは技術不足の面が大きいと思うので、とにかくもっと振り込もうということを継続しています。(そのなかでファーストの開幕スタメンを獲得)髙多監督の期待というか、頑張れよということなんじゃないかなと思います。(7回はきちんと犠牲フライを打てていた)その前の2打席ですごい緊張していて全然バットを振れていなかったので、一回開き直って思いきって振ろうと打席に入りました。(今後へ向けて)これからはちゃんと打ってチームに貢献したいと思います。

 

須藤隆成(環2)

(試合を振り返って)開幕戦でもみんな浮き足立っている様子はなく、落ち着いてやっている印象でした。自分はベンチスタートだったので、投手陣のピッチングの準備を手伝っていましたが、投手陣がしっかり0点に抑えられたことが良かったと思います。(9回に盗塁を決められたが)球を握り変える時にミスをしてしまったので直していきたいと思います。(今季初登板の土屋俊投手とのバッテリーだったが)ブルペンでちょっと緊張しているのかなと思ったんですが、その中でも合わせてくれたので良かったです。(明日に向けて)明日も点を多く取って勝つことをしっかり意識して、チームが雰囲気良く戦えるように頑張ります。

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