【女子ラクロス】今だ見せろ4年の果敢な姿を!!4年連続のFINAL進出決定!!/関東学生リーグ FINAL4 vs立大

 

この日3得点とMVP級の活躍を見せた川村。これまでの不調を吹き飛ばした

この日3得点とMVP級の活躍を見せた川村。これまでの不調を吹き飛ばした

ついにやってきた大一番で慶大がその力を存分に見せつけた。真の日本一を目指す慶大にとって、この関東リーグのFINAL4、FINALの2戦が最大の山場となる。グループリーグを4勝1敗の2位で通過した慶大の相手は立大。2011年のFINALで敗れたほか、昨年のグループリーグでも敗戦を喫しており、慶大が苦手にしている相手だ。負ければTEAM2014は即引退というプレッシャーの中、序盤こそ相手に流れを渡してしまい2点のビハインドを与えるが4年生の活躍でその流れを慶大に引き寄せると後半のシーソーゲームもタイで乗り切り10-6で勝利。4年連続となるFINAL進出が決まった。

第27回関東学生ラクロスリーグ戦女子 FINAL4vs立大

11/3(月・祝)11:50ドロー@大井第二球技場

 

前半

後半

合計

慶大

10

立大

慶大スタメン
ポジション 背番号 名前 学部・学年 出身高校
G 21 高橋美帆 経3 慶應義塾湘南藤沢
DF 坂本佳子 政3 都立戸山
DF 22 飯豊文香 経4 慶應女子
DF 31 竹内さち 法4 成城学園
MD 33 廣野マキ 政4 慶應女子
MD 38 細田咲彩 経4 慶應義塾湘南藤沢
MD 41 鈴木智子 政3 慶應女子
MD 50 福井爽香 商3 慶應女子
MD 83 鈴木早紀 政4 慶應女子
AT 11 竹村薫 環1 桐蔭学園
AT 44 渡邊ひかり 法2 慶應女子
AT 88 川村真央 文4 慶應女子
慶大得点者   川村3、渡邊2、細田、鈴木早、福井、鈴木智、竹村

 

この日も飯豊のディフェンスは光っていた

この日も飯豊のディフェンスは光っていた

グループリーグを通じても試合の立ち上がりに不安を抱えていた慶大。この日もその「弱さ」が出てしまう。大一番というプレッシャーから「気持ち的に背負ってしまった」(鈴木智子・政3)と動きが硬くなってしまい立大に2点を先行される苦しい展開に。またオフェンス面でもフリーシュートが中々入らず不穏な雰囲気が漂ってきた。しかし、相手はこれまで苦手としてきた立大とあって「最初に2点取られるのも想定内」(竹内)と選手たちに焦りはなかった。「やるべきことをすれば勝てるという強い気持ちを持って」(鈴木早紀・政4)と苦しい時間帯を乗り切った慶大は徐々に試合のペースを掴んでいく。そしてその流れを慶大に引き寄せたのは幾度となく修羅場を乗り越えてきた4年生であった。まずは鈴木早がゴール前でボールをもらうと、味方のATにパスをするかと見せかけて自らシュート。これが入り反撃の糸口を作ると、グループリーグ5戦を通じて「シュートに課題が多かった」と自ら語る川村真央(文4)が前に飛び出した立大ゴーリーのミスを見逃さず無人のゴールにボールを流し込み同点。さらに細田咲彩(経4)が落ち着いてフリーシュートを決め試合をひっくり返す。前半の終わりにはこの最上級生の奮闘に応えるように鈴木智、渡邉ひかり(法2)の両下級生エースも得点をあげ立大を突き放す。最後は川村が得点を決め6-2とリードを4点に広げ前半を終えた。

 

苦しみながらもなんとか慶大のゴールを守り抜いた守護神・高橋

苦しみながらもなんとか慶大のゴールを守り抜いた守護神・高橋

後半の立ち上がりも前半と同じく立大に得点を許してしまう不安定さを見せてしまった慶大であったが、後半のエンジンがかかるのは早かった。その口火を切ったのはこの試合でけがからの復帰を果たした福井爽香(商3)のゴールであった。「自らの不注意によるけが」で日大戦と法大戦は欠場。それだけに「尚更自分のできることをやろう」と強い気持ちがあった。これまで苦しんできた福井のゴールもあり前半同様慶大のペースで試合が進むかと思われたが、立大のこの試合に懸ける強い想いにより次第に慶大は苦しい時間帯に突入していく。ピンチの数自体はそこまで多くなかったが、立大のシュート精度が高く点差が徐々に縮まっていく。一時は2点差まで追い上げられ慶大にも再び不安と焦りが見え始めたが、その悪い流れを断ち切って試合を決めたのはまたしても4年生であった。8-6で迎えた23分、自陣深くで細田が持ち前のグランドボールへの速い寄りを見せボールを奪うと鈴木早に素早くパス。その後ディフェンスラインから駆け上がった飯豊文香(経4)へボールが渡りカウンター攻撃の形を作ると最後は中央にいた川村へ絶妙なキラーパス。このパスを受けた川村がこの日3点目となるゴールを落ち着いて決め勝負あり。この日の4年生の活躍を象徴するかのような速く華麗なカウンター攻撃で立大の反撃の機運は完全に沈んだ。最後は渡邊がゴールを決め10-6で試合終了。慶大が見事に勝利をおさめ4年連続でFINALの舞台に進むことになった。

昨季は下級生で唯一レギュラーだった福井。今季はここまで苦しいシーズンだが、この試合をきっかけに復調できるか―

昨季は下級生で唯一レギュラーだった福井。今季はここまで苦しいシーズンだが、この試合をきっかけに復調できるか―

攻守両面で勝利に大きく貢献した鈴木早紀

攻守両面で勝利に大きく貢献した鈴木早

序盤は下級生を中心に動きが硬く2点を先行された慶大。後半にも立大に意地を見せられ追い上げられる場面があった。その苦しい場面でチームを救ったのはいずれも4年生であった。特にこの日3得点をあげた川村はグループリーグの5戦において、13得点をあげた渡邊とルーキーながら8得点をあげた竹村薫(環1)の2人の下級生ATがブレイクする中で4得点と思うようなプレーができず苦しんでいたが、この大一番ではここぞという場面で得点を奪い4年の意地を見せつけた。鈴木早もシュートは「あまり得意ではない」と語るがチーム初得点となるゴールを決め慶大に勇気をもたらした。竹内と飯豊の2人もしつこいディフェンスで相手の動きを止めただけでなく、積極的に前線に飛び出しチャンスを演出するなど慶大女子ラクロス部の代名詞でもある「攻撃的ラクロス」をしっかりと体現した。細田と廣野マキ主将(政4)も相手の激しいマークを前に思うように得点こそあげられなかったものの、それを逆手に取って積極的に囮になり味方を生かすプレーに徹するなど日本代表の名に恥じないクレバーなプレーを披露した。この4年生の強い想いがチームを4年連続のFINALの舞台に導いたのは間違いないだろう。

 

ロングパスを放つ坂本佳。ディフェンスラインから積極的にチャンスメイクする

ロングパスを放つ坂本佳。ディフェンスラインから積極的にチャンスメイクする

その一方でやはり立ち上がりの不安定さは課題のままだ。FINAL4は今までの試合とは比べものにならないくらい厳しい舞台。負けたら4年生は即引退のためどうしても「チーム全体が緊張して足が引いてしまった」(竹内)。その緊張は「マイナスのプレーが怖くなってしまうっていう迷い」(鈴木早)という悪影響を及ぼしてしまう。平常心で50分間臨むというのは非常に難しいが、できる限りそれに近い状態で臨むことが今後望まれる。特にこの試合に限って言えば下級生に硬さが見られたが、やはり下級生こそ大一番でも気負わずにのびのびプレーしてもらいたいところだ。

 

この日は臨機応変にプレーした細田。

この日は臨機応変にプレーした細田。

FINALの相手は開幕戦で敗れた(4●7)明大。一昨年のFINAL(9○7)、昨年のFINAL4(7○6)と対戦しておりここ数年の学生ラクロス界を引っ張っていっているといっても過言ではない相手だ。今季の開幕戦こそ自分たちのラクロスができずに敗戦を喫してしまったが、この敗戦をきっかけに選手たちがよりコミュニケーションを取り、自分たちを見つめなおした結果が4年連続FINAL進出につながったのも事実。アメリカ遠征も敢行し、開幕戦とは違う姿を明大に見せつけたいところだ。グループリーグで敗れた相手とFINALで対戦するのは昨年と同じ。再び日本一という称号をとらえそこで輝くことができるか――。次のFINALがその最大の関所だ。 

(記事 住田 孝介)

☆明大と慶大の激闘プレイバック

ここ数年学生女子ラクロスのトップを競ってきた慶大と明大。過去3年の公式戦での対戦でも熱戦を繰り広げてきた。ここではその過去3年の公式戦の激闘を振り返る。

①  2012年11月10日(土) 第25回大会FINAL

慶大9(5-3、4-4)7明大  

慶大得点者:出原由佳子(政卒)4、谷山なつき(経卒)、小川絵里子(商卒)、小嶋めぐみ(経卒)、細田、佐藤由佳(法卒)

 

この年の絶対的エース・谷山なつき(経卒)

この年の絶対的エース・谷山なつき(経卒)

創部26年での関東リーグ初制覇を狙う慶大は開始2分で小嶋めぐみ(経卒)が先制点となるゴールを奪うもその後逆転を許す。しかし、当時2年生であった細田のゴールで同点に追いつくとそこから一気に攻勢をかけ、前半を5-3とリードして折り返す。後半明大の猛攻を前に試合は一進一退の攻防に。FINALの舞台にふさわしい熱戦となったが、試合を決めたのは当時絶対的エースとして君臨していた谷山なつき(経卒)だった。7-7で迎えた終了2分前に値千金の勝ち越しゴールを決め最終的には9-7で試合終了。慶大が創部26年目にして悲願の関東初制覇を達成した。今のメンバーでこの試合スタメンだったのは廣野、飯豊、鈴木早、細田の4名。

 

②  2013年11月2日(日) 第26回大会FINAL4

慶大7(5-3、2-3)6明大

 慶大得点者:川村2、小川2、出原由、鈴木智、廣野

 

苦しい戦いとなったがなんとか勝利を手にした

苦しい戦いとなったがなんとか勝利を手にした

グループリーグ最終戦で立大に敗戦を喫し不安を抱えたまま臨んだFINAL4。慶大は立ち上がりこそ川村、出原由、小川という破壊力満点のAT陣がそれぞれ得点を奪いリードを奪うも徐々に試合のペースは明大に。慶大は前半終了間際に鈴木智が放ったシュートがまさかの時間切れで得点が取り消されるという不運にも見舞われた。後半も明大の前に自分たちのペースを掴めず、後半16分にはついに序盤作った貯金を使い果たし6-6の同点に追いつかれたが、終了2分前に廣野が決勝ゴールを見事に決め7-6で試合終了。前評判では明大有利と言われていたが、見事にその評価を覆し慶大がFINALの舞台への切符を手にした。今のメンバーでこの試合スタメンだったのは廣野、飯豊、鈴木早、細田、川村、竹内、福井の7名。

 

③  2014年8月14日(木) 第27回大会開幕戦

 慶大4(2-1、2-6)7明大

慶大得点者:鈴木智2、細田、渡邉

 

主将として、日本を代表するラクロスプレイヤーとして、廣野は日本一へと突き進む

主将として、日本を代表するラクロスプレイヤーとして、廣野は日本一へと突き進む

大学選手権連覇を達成し、名実ともに女王の名を手に入れた慶大。しかし、この開幕戦での慶大はその名には程遠い姿であった。廣野や細田といった慶大の要となる選手が明大の激しいマークの前に自由にプレーさせてもらえず、チーム全体に動揺が広がって自滅してしまい自分たちのラクロスを体現することができなかった。また、チームとしての完成度が低く、それゆえ個の力で勝負してしまい明大の高いチーム力に対抗できなかった。しかし、この敗戦後その原因をじっくり考え今後に生かすことができたからこそこうして再び明大にFINALの舞台でリベンジするチャンスが巡ってきたのも事実。「この敗戦があったから今がある」と12月21日の日本選手権決勝後に笑顔で選手たちがこう言えるようにと願ってやまない。

 

FINALの後もこの「笑顔」を見たいところだ

FINALの後もこの「笑顔」を見たいところだ

 

次戦 関東学生リーグFINAL vs 明大11月15日(土) 14:20

 

以下選手コメント

 

AT川村真央(文4=東京・慶應女子)

(今日の試合を振り返っていかがでしたか)最初の10分は良くなかったのですが、自分たちの流れが来たときに得点を決めきれたことが大きくて、後半も1からって感じでそのまま勝ちきれたので良かったです。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)気持ち的にもプレッシャーを感じていたのを露呈してしまい、そこの覚悟が足りなかったです。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)シュートの部分は今までのグループリーグの中で課題があったのですが、それを払拭できた試合だったと思います。(FINALに向けて意気込みをお願いします)明大は今まで慶大に2年連続で負けていて、その慶大が日本一になっているということで悔しさがあると思いますので、そのプレッシャーに負けないように覚悟を持ってやっていきたいです。

 

DF竹内さち(法4=東京・成城学園)

(今日の試合を振り返っていかがでしたか)FINAL4は毎年厳しい戦いになることは分かっていて、試合の入りが悪くて2点ビハインドになってしまいましたが、それも想定内だと思って自分たちのプレーをした結果流れを持ってこられたので良かったです。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)チーム全体に緊張があって、足を引いてしまいました。そこはFINALにむけて修正していきたいです。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)最初は足を引いてしまい相手に得点を与えてしまいましたが、流れが慶大に傾いてからはやるべきプレーができました。(FINALに向けて意気込みをお願いします)FINALは今まで以上に厳しい試合になると思いますが、慶大の良いところを相手にぶつけていきたいです。

 

MD鈴木早紀(政4=東京・慶應女子)

(今日の試合を振り返っていかがでしたか)最初の10分はパスが繋がらなくて苦しい時間帯でしたが、やるべきことをやれば勝てるという強い気持ちがあったので勝ちきれました。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)重要な試合になるとマイナスのプレーが怖くなってしまうっていう迷いがありました。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)最初は自分にも弱さもありましたが、コーチからも試合前に「最後は気持ちだよ」って言われていて、自分を信じることで味方も信じることができると思って自分を信じて、局面で弱いプレーもありましたが、それなりに自分のやるべきプレーもできました。(鈴木選手のゴールが慶大に勢いをもたらしました)チャンスがあってアタックに入るからにはゴールを向こうと思っていて、あまりシュートは得意ではないのですが、強い気持ちでプレーしたことが形になって良かったです。それがチームに勢いをもたらしたならさらに良かったです。(FINALに向けて意気込みをお願いします)相手は開幕戦で敗戦した明大で、明大は4年間ライバルとしてやってきたので、ここで勝たなければ先に進めないので自分と仲間を信じてやっていきたいです。

 

MD福井爽香副将(商3=東京・慶應女子)

(今日の試合を振り返っていかがでしたか)今日の試合は攻守の切り替えと雰囲気を大切にしていて、それができたので良かったです。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)いつも言われていますが、自分たちがやってやるって顔ではなくてやられてる顔になっていて、全体的に暗くなってしまいました。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)シュートを打てとは言われていて、得点を決めることができたのは良かったのと、ボールフォローを周りにさせないくらいグランドボールの寄りを速くすることを心がけていましたがそれができて良かったです。(けがからの復帰となりました)自分の不注意によるけがだったので、チームに迷惑をかけて申し訳ないという気持ちが大きくて、だから尚更自分のできることをやろうと思いました。(FINALに向けて意気込みをお願いします)FINALも絶対勝つのでみなさん応援よろしくお願いします!!

 

G高橋美帆(経3=神奈川・慶應義塾湘南藤沢)

(今日の試合を振り返っていかがでしたか)立ち上がりは緊張感が漂っていてどうなることかと思いましたが、勝てて良かったです。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)みんなボールを持っていても弱気な姿勢であったりしました。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)最初のシュートをセーブできたことは良かったですが、全体的にはクリアを出す判断が遅くて攻撃に繋げることが出来ませんでした。(後半も攻めこまれる場面が目立ちました)そういう時間帯もあることは想定内だったので、そこを我慢しきれたことは良かったです。(FINALに向けて意気込みをお願いします)関東制覇できるように頑張ります    

 

MD鈴木智子(政3=東京・慶應女子)

  (今日の試合を振り返っていかがでしたか)勝てて良かったというのが正直な感想です。(試合の入りが不安定だった理由はどこにありますか)気持ち的に背負ってしまったのですが、そこでもう一度気合いを入れ直すことができました。試合の入りが不安定なのはこれまでも課題だったので、修正していきたいです。(ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか)実は先週の日曜日に足首をけがしてしまい、昨日復帰したのでプレー面で不安もありましたが、気持ち的には万全に準備していました。 (FINALに向けて意気込みをお願いします)開幕戦で負けた明大が相手なので、この2週間しっかり練習して慶大らしく圧勝したいです。

DSC_6115

コメント

タイトルとURLをコピーしました