【野球】主将・横尾の千金弾 投手陣は粘りの継投 明大③

4月27日(月)東京六大学野球春季リーグ 明大3回戦

 

6回裏無死一塁、本塁打を確信した横尾は右腕を突き上げた

本塁打を確信した横尾は右腕を高々と突き上げた

勝ち点獲得、そして優勝のためには絶対に負けられない一戦となった明大との3回戦。慶大は初先発の小原大樹(環3)、三宮舜(商4)、加藤拓也(政3)がランナーを出しながらも粘りの投球を見せて中盤まで得点を与えず。6回に主将・横尾俊建(総4)が値千金の先制2ランを放つと、この2点を最後まで守り切った。2勝1敗で苦しみながらも勝ち点をあげ、優勝争いに踏みとどまった。

 
明大
慶大 ×
 

明大:●柳、星―坂本

慶大:小原大、三宮、○加藤拓―小笠原

 

◆慶大出場選手

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[8] 梅野魁土(環4・福岡大大濠)
[6] 山本泰寛(環4・慶應義塾)
[9] 谷田成吾(商4・慶應義塾)
[5] 横尾俊建(総4・日大三)
[3] 沓掛祥和(商3・慶應義塾)
[7] 齋藤大輝(商3・慶應義塾)
[2] 小笠原知弘(環4・智辯和歌山)
[4] 北村祐樹(商4・丸亀)
[1] 小原大樹(環3・花巻東)
  山本瑛大(商3・South Torrance)
  國富建大(総4・岡山城東)
  三宮舜(商4・慶應義塾)
  加藤拓也(政3・慶應義塾)
 

リーグ戦初先発を果たした小原大。緊張により制球を乱したものの、威力のある球で無失点にまとめあげた

リーグ戦初先発を果たした小原大。制球に苦しんだものの、威力のある球で無失点にまとめあげた

前日の完封負けから一夜が明け、1勝1敗で迎えた明大との第3戦。優勝のためには絶対に負けられない一戦に対して、大久保秀昭監督はメンバーを動かして臨んだ。チームトップの出塁率を記録している梅野魁土(環4)を1番、好調の沓掛祥和(商3)を5番、そして第1戦で好リリーフを見せた小原大を神宮初先発のマウンドに送る。

期待に応えたい小原大だったが、緊張の影響か、なかなか制球が定まらない。ボール先行の投球が続き、いきなり無死一、二塁のピンチを招く。続く佐野恵を一塁併殺打に仕留めるも、4番、5番に連続四球を与え、二死満塁としてしまう。ここで迎えた渡辺にも2ボールとしてしまうが最後は変化球で空振り三振に抑え、なんとか無失点で初回を終える。

不安定な投球はその後も続く。二回は高めに浮いた変化球を狙われ、一死から連打で一、二塁。三回には一死から四球を与え、5番・石井には左翼の頭を超える二塁打を打たれて二、三塁。だがどちらの回も走者を背負ってから粘りを見せて、得点は与えなかった。神宮ではデビュー以来、いまだに失点していない小原大。「マウンドに上がる以上、絶対に点はやらない」という言葉通りのピッチングでマウンドを後ろに託した。

打線は初回、1番に抜擢された梅野が四球を選んで出塁。だが、バスターエンドランや盗塁が決まらず走者を進めることができない。二回は先頭の横尾の右翼前ヒットと四球で一、二塁とするも小笠原知弘(環4)が併殺打に打ち取られてしまう。三回には四球と梅野のヒットでチャンスを作るも、山本泰寛(環4)の強い打球が三塁手の好守備に阻まれて得点には至らず。明大先発の柳から走者を出すものの、あと1本が出ない。互いに決め手を欠いたまま両チーム無得点で序盤を終える。

6回裏無死一塁、先制の2点本塁打を放つ横尾

6回裏無死一塁、先制の2点本塁打を放つ横尾

四回からのマウンドには第2戦で先発した三宮があがる。前日には7失点を喫したが「昨日打たれたので、このまま『三宮は打てる』とは思われないように」と気持ちを切り替えて臨んだ。走者は許しながらも、要所を締める投球でこちらも五回途中まで無失点に抑える。そして、二死二塁の場面でエース・加藤拓が登板。最速151キロの速球で相手をねじ伏せ、六回まで得点を許さない。

無失点で踏ん張る投手陣をなんとかして援護したい慶大打線。固く閉ざされた先制点の扉をこじあけたのは、主砲のバットだった。六回、四球で出た谷田成吾(商4)を一塁に置いて、4番・横尾が柳の甘く入ってきたチェンジアップを強振。打球はきれいな放物線を描いて左翼ポールを巻き、スタンド中段へ。第一戦に続く、値千金の先制2ランホームランだった。頼れる主将は何度も慶大ベンチに向かってガッツポーズをしながらベースを回り、ホームイン。明大に流れが傾いている中で飛び出した貴重な一発だった。

5回途中からリリーフ登板し、今季2勝目を挙げた加藤拓

5回途中からリリーフ登板し、今季2勝目を挙げた加藤拓

直後の七回、加藤拓は四球と暴投で一死三塁とされると、途中出場の竹村にタイムリーを浴びてすぐさま1点差とされてしまう。続く坂本にはストレートの四球を与えてしまい、同点のピンチを招く。しかし、今日の加藤拓はここから崩れなかった。好調の代打・上西を全球ストレートで空振り三振に仕留め、宮内は三塁ゴロに打ち取った。八回はこの試合で初めて明大打線を三者凡退に封じる。九回は先頭打者にヒットを許し、犠打で二塁に走者を進められるが、動じることなく後続を打ち取って試合終了。2対1で逃げ切り、明大から苦しみながらも勝ち点を奪った。負ければ優勝争いから脱落していただけに、この勝利の意味はとても大きい。

打線の入れ替えは結果的には得点には結びつかなかった。まだまだ本調子に程遠い選手ばかりで、投手陣も四球が重なりピンチを招くことが多かった。ただ、そんななかでも勝利という結果を出せたことが何よりの収穫だろう。「勝ち切ることが大事」(沓掛)というように、絶対に負けられない状況で、相手のペースに持ち込まれながらも最終的に勝ち切れたことは今後に生きてくる。大久保監督も「僕の目指す野球ができたのかな」と手応えを感じている。今日のような慶大の野球ができれば、逆転優勝も夢物語ではなくなってくる。

 

【Today’s Legend】  頼れる主将 横尾俊建

特大本塁打を含む3安打猛打賞を記録した横尾。自らのバットでチームをけん引している

特大本塁打を含む3安打猛打賞を記録した横尾。自らのバットでチームをけん引している

昨年から4番を打ち続けている主砲は今年から主将に就任。守備の際には積極的に投手に声をかけるなど、チームを引っ張っている。明大戦では2本のホームランを放って勝利をたぐり寄せた。その姿に対して大久保監督も「4番でキャプテンである彼が決めたというところに価値がある。非常に心強く思っている。」と全幅の信頼を寄せる。これからもそのバットと背中で慶大を優勝へと導いてくれるだろう。

記事:松下 聖

 

 

◆打撃成績

   
[8] 梅野 四球   右安   空三振   投ゴロ  
[6] 山本泰 右飛   三直   空三振     空三振
[9] 谷田 空三振   二ゴロ     四球   四球
[5] 横尾   右安   空三振   左本②   左安
[3] 沓掛   見三振   四球   右飛   空三振
[7] 齋藤   四球   一ゴロ   見三振   遊ゴロ
[2] 小笠原   遊併殺   四球   空三振    
[4] 北村     遊ゴロ 空三振     空三振  
[1] 小原大                
山本瑛     四球          
國富                
三宮                
加藤拓         二飛   空三振  
◆投手成績
  投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
小原大 16 63
三宮 12/3 26
加藤拓 41/3 19 68
 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

(苦しみながらも勝ち点を獲得)勝ち方としては最高の勝ち方というか。序盤からずっと相手の流れのなかで、少ないチャンスで効果的な一発で得点し、逃げ切れた。内容としては非常によかった。(先発は神宮初先発の小原大投手でしたが狙いは)加藤になんとかいい形でつなげたらなと。(攻撃でも早めの仕掛けが見られたが)もう今日負けたら終わりだから総力戦という思いで。それがなんとか形になったので。僕の目指す野球ができたのかなと思いますし、こういう試合を続けていくことが大事なのかなと。(投手陣はランナーを出しながらも粘りの投球でした)そうですね、本当はもうちょっとフォアボールを減らしてくれるといいんだけど。(横尾選手が素晴らしい一発)キャプテンとしていろんな思いもあるでしょうからね。4番でキャプテンである彼が決めたというところに価値があるんじゃないかなと思う。非常に心強く思っています。(次週に向けて)これで優勝ではないので。勝っても負けても先は続くし。やるべきことは目の前の試合を全力で戦うということですから。それに向けてまた調整していきます。

横尾俊建主将(総4)

(ナイスゲームでした。今日の試合を振り返って)勝ち点が取れてよかったです。(第3打席は無死一塁という場面でした。どんな気持ちで打席に入りましたか)谷田がつないでくれたので、初球からバットを振っていこうと思いました。(本塁打の意識は打席の中であったのですか)いや、無かったです。(打った球種とコースを教えてください)チェンジアップが高めに抜けてきたので、打ちました。(打った瞬間の気持ちは)いったかなと思いました。切れないでくれと思って打球を見てました。(大きなガッツポーズも出ました。私たちもあれほどまで感情を爆発させる横尾選手は初めて見ましたが)とにかく勝ち点1が欲しかった中で、勝利につながるホームランだったので、つい出ちゃいましたね。(直後の守りで1点差に詰め寄られたところで加藤拓投手に長い間声をかけに行きましたが、あそこでは何を)それはまぁ、秘密で。(昨日はバッティングの調子がよくないという話でしたが今日は猛打賞でした。打撃の状態は)いやでも、何が起こるのか分からないのが野球なので、今日はできる準備をして臨んだのでこれからも準備はしっかり大切にしていきたいです。(昨日の試合後からは特に何か練習などの準備をしたのでしょうか)んー、早く寝て、ゆっくり休みました。(雰囲気などチーム状態はいかがですか)すごくいい感じですよ。(打撃陣は本調子というわけではなさそうですが)向こうのピッチャーがいいのでそれは本当にしょうがないことだと思いますし、こっちもピッチャーが抑えて1点取って勝つ野球なので、いい感じじゃないですか。(横尾選手の一発でさらにチームも盛り上がっていきますね)そんなに一発も打てるものではないので、できればみんなで打ってみんなで勝ちたいと思います。(来週の東大戦に向けて一言お願いします)また勝ち点1を取れるように頑張りたいと思います。

梅野魁土(環4)

(まず勝ち点1奪取となった)勝ててほっとしてます。(試合を振り返って)試合の流れとして、ピンチが続いてそれをしのいでいたので、先に点を取りたいなと思っていました。横尾がよく打ってくれたなと思います。(今日は1番起用だったが)出塁してくれということで1番になったんだと思っていたので、2出塁できてよかったかなと思います。(チームトップの打率・出塁率だが)たまたまな部分もあると思うんですけど出塁は意識してやっていきたいと思います。(守備の面でも貢献している)一つのミスが失点につながってしまうので守備は全員でしっかりやっていこうと思っています。あまりミスは目立っていないのでよかったかなと思います。(次の試合に向けて)東大戦、油断できないので勝てるようにしっかり準備してやっていきたいと思います。

三宮舜(商4)

(今日の試合を振り返って)投打が噛み合って勝てたかなという感じですね。横尾のホームランとピッチャーも少ない点数で切り抜けられたので、やっとうちらしい野球が出来たのかなと。(登板のタイミングについて、どのように告げられていたのか)先発は小原で、その次中盤は(登板が)あるぞと言われていたので、気持ちの準備自体はしていました。(実際にマウンドに上がったが、昨日のリベンジをしたいという気持ちはあったか)そうですね、昨日打たれたので、このまま「三宮は打てる」とは思われないように投げました。(結果的には0点で抑えた)昨日も打たれてたので、「打たれたとしても点はやらない」と、割り切って投げました。(来週の東大戦に向けて)今日の勝ちでチームに勢いが生まれるんじゃないかなと思うんでこの流れに乗って行きたいです。

谷田成吾(商4)

(今日も1点を争うゲームでした)とにかく勝つことだけに集中して、全員で乗り切れたと思います。(昨日は完封負けだったが、ベンチのムードは)昨日は昨日と割り切っていたので、今日勝つことだけに集中できて臨めていたと思います。(プレッシャーは)今日負けたら優勝争いから脱落するっていうのが分かっていて、その緊張感の中でどういうプレーをするべきなのかをみんなで話していたので、プレッシャーというよりは、やるぞという感じでした。(1戦目と同じ柳投手が先発)1戦目勝っていますし、そんなに悪いイメージを持たずに行けたと思います。(第3打席は先頭で四球を選ぶ)打席での感じは悪くなくて、だいぶストライクとボールの区別ができるようになったのでストライクがきたら振ってやろうと思って打席に入っていました。(続く横尾選手が本塁打)飛距離もありましたし、これは入ったなと思いました。(東大戦への意気込み)個人としてもチームとしても巻き返したいですし、優勝するためにもここから連戦連勝で頑張りたいと思います。

小原大樹(環3)

(神宮での初先発を終えた感想は)昨日監督に伝えられたのですが、すごく緊張してなかなか寝られなかったです。マウンドに行っても緊張してしまったので、次からはしっかり三者凡退にして流れをつくっていきたいです。(四球が多かったですが、それでも無失点に抑えられた要因は)監督からもオープン戦からランナーを出してもいいからそこをゼロで切り抜けることの方が大切だと言われていたので、その意味でもマウンドに上がる以上絶対に点はやらないという気持ちでした。(今季は直球の走りがよさそうですね)高山さんとか明大のバッターはまっすぐに強いと言われていたんですが、そこでどれだけ自分のストレートで押せるかを考えて投げました。結果ストレートでは押せたので手応え自体は感じています。(まだ神宮で点を取られていませんよ)そうですね。試合前は正直そこも意識したんですけど、マウンドに上がって投げる以上ゼロが当たり前だと思っていて今後も継続していきたいです。それでも特には意識はせずに、三者凡退に抑えた結果ゼロだといいなと思って投げられればいいですね。(後を受けた投手の存在は)後ろには加藤や三宮さんがいたので、その分初回から腕を振れたのかなと思います。(次へむけて)首の皮一枚つながったと言っても過言ではないので、一戦必勝で連勝で取れるように頑張っていきたいです。

加藤拓也(政3)

(チームとして初めての勝ち点です)勝ててよかったです。チームとしても勢いがついてよかったと思います。(7回途中、8回表の前にマウンドで横尾選手からどのようなことを)力で押しきれ、と。2人でトレーニングしているので。8回も同じです。(2つの暴投がありましたが、調子はどうでしたか?)調子はよかったです。力で押しているので荒れるのは仕方ないと思って投げています。(土曜日に続き、投げている日に勝ちました)味方がうまく点をとってくれてよかったです。(次に向けて)一戦必勝なので、相手に関係なくやっていくだけです。

沓掛祥和(商3)

(今日の試合を振り返って)勝ててよかったです。横尾さんがホームランを打ってくれて、とにかく勝てて嬉しかったです。(今日は5番での起用だったがどのような気持ちで試合に臨んだか)打順はあまり考えなかったんですけど、試合前に今日は打順を入れ替えていくと監督さんから言われていました。横尾さんや谷田さんが塁に出たら自分は返してやろうという気持ちでやりましたが、今日は最後に返せなくて残念でした。(クリーンアップが本調子ではない中で自分なりに考えたことはあったか)自分は自分のバッティングをして、ランナーがいる時は自分が返して、いない時はチャンスメイクするようにと思っています。(守備では落ち着いて併殺をとっていた)守りはけっこう良かったと思います。練習ではいつも僕が横尾さんに怒られる役なので、神宮よりも練習の方が厳しいです。(苦しい3試合だったが、自身で何か収穫はあったか)やっぱり勝ち切ることが大事だと思うので、接戦でも強いチームでいられることが重要だと思いました。あとは、自分自身は明治戦ではあまり貢献できなかったので、次からはもっと打っていきたいです。(次回に向けて具体的にどういった調整を行うか)打ち込んで、調子を戻していければと思います。(東大戦に向けて一言)絶対、絶対に 勝ちます。2連勝です。

齋藤大輝(商3)

(本日の試合を振り返って)ピンチがたくさんありとても苦しい試合だったのですが、ピッチャーもみんな粘り強く投げてくれたことが勝てた要因ではないかと思います。(オープン戦の時と打撃の感覚に違いは)リーグ戦に入って少しずれてるというところはありますが、バットを振れてないわけではないのでこれからしっかり合わせていきます。(本日は勝ち点を取ったが)この勝ち点は大きいと思うので、この勢いに乗りたいです。(来週に向けて)とにかく負けられないので、全部勝つ勢いで戦っていきます。

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