【ボクシング】三連覇ならずも、新世代の成長見えた/ボクシング早慶定期戦

第59回目という長い歴史を持つボクシング早慶定期戦。リーグ戦が終了し、4年生にとっては最後の、下級生にとっては新しいチームの体制が決まって最初の試合でもある。第44回目からは早慶交互に開催地を移しており、今年は早大早稲田キャンパスでの開催となった。慶大は去年・一昨年と続けて勝利を収め、今回は三連覇を目指し試合に臨んだが、惜しくも3-4で敗れ優勝杯は早大の手に渡った。結果としては負けてしまったが、主力はしっかりと結果を残し、また2年生らも来年への期待感を抱かせる力強い試合を見せてくれた。

 

第59回 ボクシング早慶定期戦

2015年12月5日(土) 12:00 開会式・試合開始

@早稲田大学早稲田キャンパス17号館

 

慶應義塾大学3-4早稲田大学

 

出場選手

LF 和田龍之介(理4・慶應義塾高)F 松井祐樹(政4・慶應義塾高)/B 杉山和義(商2・大宮)/L1 田中和樹(総3・鎌倉学園)/L2 折敷出陸(法2・慶應義塾高)/LW 古山貫太郎(経2・慶應義塾高)/W 梅津志門(商3・慶應義塾高)

 

 初戦は4年の和田が登場。大学最後の試合を勝利で終え有終の美を飾りたいところであったが、相手はインターハイ優勝経験を持つ岩田。実績に怖気づくことなく開始から果敢に攻めるが、パンチを見極められなかなか当たらない。そして空振る隙に逆に強烈なパンチを浴びてしまい、1Rからダウンを奪われてしまう。その後も相手からペースを奪い返せないまま、1R終了のゴングと同時に3つ目のダウンを奪われTKO負けを喫した。

1戦目 和田

1戦目 和田

 

 

2戦目 松井

2戦目 松井 

 

続いて和田と同じく最終学年の松井は、みんなに勝利をプレゼント」するために試合に臨んだ。1Rは前へ向かってくる相手に冷静に立ち向かい、攻撃の間を縫ってボディを攻めるなど一発を確実に積み重ねていく。2Rに突入しても相手の勢いは変わらず、松井もそれに押されて撃ち込まれる場面も。しかし徐々にペースを戻し、ボディからの攻撃だけでなく顔面へのクリーンヒットも決まるようになる。このまま形勢逆転かと思われたが、3Rでは疲れからか手数が減ってしまう。松井の動きが止まったところで連続攻撃を決められ、盛り返すことが出来ないまま3-0でのポイント負けとなってしまった。試合後にはまだまだ相手の選手の頑張り、攻撃に対して対応できていなかった」と振り返り、涙を浮かべて悔しさをあらわにしていた。

 

 

 

 

3戦目 杉山

3戦目 杉山

 

 3人目となりそろそろ勝利が欲しい慶大。「首を取る」と事前に宣言もした2年の杉山が早大の主将に挑んだ。序盤から積極的に仕掛けてくる相手に対し杉山はしっかりと自分の間合いを保ち、ボディを始点とする連続攻撃を中心に試合を進める。しかし3Rに入ると疲れが見え始め、そこを見逃さなかった相手にラッシュを決められてしまう。それでも後半からは最後の力を振り絞って前進し、相手を押し返してそのまま試合の流れを引き寄せた。判定を聞くまではどちらが勝ったか全く予想のつかない試合展開だったが、結果は2-1で早大・赤井の手が上がった。惜しくも試合には負けてしまったが、2年生ながら威圧感のある相手と互角に戦い抜いたその姿に期待が高まる。

 

 

 

 負ければチームの敗北も決まるという状況で臨む4試合目、エース田中が逆転への突破口を開いた。身長差のある選手との対戦だったが、一瞬で相手の懐に入り込めるスピードを生かして連続攻撃を決めていく。相手の攻撃に対しても力やスタミナで押すのではなく、見極めた上で防御やフットワークでダメージを軽減しクリーンヒットをほとんど許さない。そのまま終始試合の流れを離さなかった田中が鮮やかに3-0でポイント勝ちを収めた。試合後「相手選手がカウンター対策をしっかりしていたので、そこは苦労しました」と語ったが、それを感じさせない程に安定した強さを見せてくれた。

4戦目 田中

4戦目 田中

 

 

5戦目 折敷出

5戦目 折敷出

逆転勝利への希望を繋ぐ5人目は2年の折敷出。1Rは相手の長いリーチを生かした遠くからの一発に押され気味で、リング端まで追い込まれたあと撃ち込まれてしまう。2Rからは折敷出も前に出るが、徐々に相手とのスタミナの差が出てきてしまう。3Rには動きが止まった隙に連続でパンチを浴び、遂にダウンを奪われる。疲れとも戦いながら最後まで相手に食らいついたが、健闘届かず3-0でのポイント負けとなった。この時点で早大の勝利が確定し、三連覇という目標には届かなかった。

 

 

 

 

6戦目 古山

6戦目 古山

 

チーム戦と個人戦両方の要素を持つ大学ボクシング。チームとしての勝利は叶わなくても、6人目古山は開始のゴングが鳴る前から闘志を燃やしていた。序盤から前へ前へと進み、背の高い相手に対し低い姿勢で上下の攻撃を繰り出していく。2Rも勢い変わらず開始早々ラッシュを浴びせ、常に先手を取っていくスタイルで相手を攻め続ける。3Rは相手の攻撃を受ける場面もあったが、徹底的な下からの攻撃という「作戦通り」の試合運びで3-0でのポイント勝ちを収め、「ずっと憧れだった早慶戦」で初勝利を手にした。

 

 

 

 

最後に登場したのは3年梅津。開始から相手が前へ向かってきたが、「逆にクールに捌いて」しっかりと自分の距離を保つ。また「直線的な」相手のパンチは体を大きく使ってかわし、低い位置からの攻撃というパターンを作ることで試合は梅津のペースに。2Rまではそのような受け身の攻撃が続いたが3Rからは一転、積極的に自らも前に出て正面からの攻撃に切り替える。相手のパンチに全く怯まないタフさも見せ、3-0で見事な勝利を収めた。

勝利が決まった瞬間の梅津

勝利が決まった瞬間の梅津

 

チームの勝敗は5人目で決まってしまったものの、終わってみれば3-4、しかも1試合は判定の票が割れるという大接戦であった。試合後には「早稲田の方が勝利に対する気持ちが少しだけ強かったゆえの今回の結果」という講評があったように、間違いなく早大は切磋琢磨して共に高めあう素晴らしいライバルである。来年は節目の第60回、そして日吉での開催とあってリベンジへの舞台は既に整っている。さらに2年生らの善戦が目立ったことも喜ばしい。田中新主将のもとで作り上げられたチームが、一年後どのような戦いを見せてくれるか今から楽しみだ。

 

(記事・下川薫/写真・江島健生)

 

 

以下試合後選手インタビュー

 

松井祐樹(政4・慶應義塾高)

 

(今日の試合を振りかえって)自分が勝てなかった、そこで試合が決まってしまったので・・・。選手全員で今まで練習を頑張ってきて、それで今日しっかり勝って、みんなに勝利をプレゼントしたかったんですが・・・。僕ができなかったので、今回はほんとに悔しいです。(今回で最後の早慶戦となったが)最後勝ちたかったという気持ちと最後と思わずに挑もうと思っていたので、初心を忘れないようにもしていました。結果としては勝てませんでしたが、まだまだ相手の選手の頑張り、攻撃に対して対応できていなかったので、全部自分の責任だと思っています。(来年のチームに向けて)今回はこういう形になってしまいましたが、僕はこれからも全力でサポートをしていって勝たせたいというふうに思います。今後は僕自身試合には出れませんが、何でもできることをすべてやって支援していきたいと思うので、次は絶対に勝ってほしいなと思います。

 

 

田中 和樹(総3・鎌倉学園高)

 

(今日の試合を振り返って)個人としては対策していたことを生かして勝つことができたのですが、チームとしては早慶戦三連覇を目指していたので残念です。(相手選手の印象は)リーグ戦で早大と対戦したときと同じ選手だったんですが、相手選手がカウンター対策をしっかりしていたので、そこは苦労しました。(来年度に向けて意気込みを)早慶戦での敗戦を糧にして、来季は自分が主将として今年以上の結果が出せるよう頑張りたいです。

 

 

梅津 志門.(商3・慶應義塾高)

(試合を振り返って)相手が気持ちが入っている部分があったので、そこは逆にクールに捌いてポイントを明確に取ろうと思いました。技術的な面では、相手は直線的な動きが多かったのでサイドに散らして長いパンチを当て、さらに上下に散らせるという点を集中して練習してきました。今回はそれが上手く出せたと思います。(来年度は副将という立場だが)一対一のスポーツですが、ボクシングはとても怖い競技です。そこで、部員数の多さを生かしてオール·フォア·ワン、つまりチームで勝つという精神で固めていきたいと思っています。(来年に向けて)来年は自分も最後、定期戦としても60回目という区切りの良い年。次も絶対僕で決めたいです。オフはボクシングから離れて全く違う事をしたいと思っています。そこから何か新しい発見があるかもしれないので。

 

 

古山貫太郎(経2・慶應義塾高)

 

(今日の試合を振りかえって)元から予想通りの相手だったんで、けっこう2週間くらい前から対策を練って、その作戦通りやることができたので勝つことができたと思います。(早慶戦で初勝利だが)ずっと憧れだった早慶戦で勝てたので、それはすごくよかったんですが、チームとして負けてしまったので、来年のリーグ戦では絶対Aクラスに入れるように頑張りたいと思います。(今年一年のチームを振りかえって)リーグ戦2部昇格して、最初で4位という予想以上の結果が出て、早慶戦勝って締めくくりたかったんですが、少し気が抜けてた部分もあったのかなと思うので、気を引き締めて来年からやっていきたいと思います。(来年の目標)リーグ戦で全勝したいと思います!

タイトルとURLをコピーしました