【ラグビー】突き刺さるタックルで序盤から青学大を圧倒/関東大学春季大会 青学大戦

 

この後トライを決める辻

この後トライを決める辻

澄み渡る青空。選手達を包み込む暖かな陽射し。神奈川県相模原市、青山学院大学の緑ヶ丘グラウンド。13時のキックオフの笛で慶大の2016春季リーグ戦が始まった。結果は圧勝。激しいタックルからリズムを作ると、流れをものにしアタックへと展開。序盤からトライを量産する。前半に5トライを決め、勝負を決めた。後半にもトライを重ね、慶大は試合を通じて9トライと猛攻。青学大に黒黄の強さを見せつけた。

2016/5/1(日)13:00K.O.@青山学院大学淵野辺グラウンド

 

得点

慶大

 

青学大

前半

後半

 

前半

後半

5

4

T

1

1

4

3

G

1

1

0

0

PG

1

0

0

0

DG

0

0

33

26

小計

10

7

59

合計

17

 

 得点者(慶大のみ)

T=松岡、辻、山中、木口、丹治3、豊田祥、堀越

G=古田7

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

渡邊悠貴(経2・慶應)

→17長尾昴(環4・茗渓学園)

2.HO

松岡大介(環4・小倉)

→16中本慶太郎(経2・慶應)

3PR

角田匠輝(法4・慶應)

 →18榎本雄一(商4・慶應志木)

4.LO

辻雄康(文2・慶應)

 

5.LO

永末千加良(法3・慶應)

 

6.FL

廣川翔也(環4・東福岡)

→19豊田祥平(総4・ 國學院久我山)

7.FL

竹田和正(法4・慶應志木)

 

8.No.8

山中侃(商2・慶應)

 

9.SH

中鉢敦(経4・慶應)

 →21櫻井修(経4・慶應)

10.SO

古田京(医2・慶應)

 

11.WTB

小原錫満(総2・東海大仰星)

 →23豊田康平(総2・國學院久我山)

12.CTB

染原健人(理4・修猷館)

→22堀越貴晴(総3・茗渓学園)

13.CTB

木口俊亮(経4・仙台第三)

 

14.WTB

楠本遼(経4・慶應)

 

15.FB

丹治辰碩(政2・慶應)

→20 中村京介(文3・明和)

トライを決めた木口

トライを決めた木口

 

初戦の相手は青学大。負けられない戦いだが、初戦は誰もが固くなるもの。しかし、慶大伝統の魂のタックルを大いに発揮し、相手の攻めを許さなかった。慶大は一貫して得たチャンスを確実に得点へと結びつけていった。前半立ち上がりわずか3分。中央でSO古田にボールが渡ると、FB丹治へパス。丹治は密集地を物ともせず切れ味抜群のステップで相手を翻弄。あっという間に引き剝がしトライ成功。SO古田のコンバージョンも決まり、早速7-0。続く10分。ペナルティキックを獲得した慶大はキックで大きく陣地回復。左サイドのラインアウトから素早いモール形成。モールはじりじりと前進し、No.8山中がトライを決めた。難しい位置からのコンバージョンとなったが、SO古田が再び決め、14-0。さらに続く17分。慶大は左サイドからパスを繋ぎ、右サイドに一気に展開。最後にボールを受けたのはまたもFB丹治。素早い展開に青学大の対応は遅れ、そのままトライ。コンバージョンも決まり、21-0。その後31分、慶大はさらにFB丹治によって1トライを追加。しかし、35分。青学大にパスをインターセプトされ、一気にトライを許してしまう。だが、流れは渡さない。38分にはCTB木口がトライ。前半終了間際にペナルティゴールを奪われるものの、前半を33-10で折り返した。

 

力強く突破をはかる山中

力強く突破をはかる山中

後半も慶大のトライの嵐は止まらない。立ち上がりからFB丹治やLO辻のナイスゲインで流れを作る。常に敵陣でプレーを続け、2トライを獲得。そして18分には慶大のキックをキャッチした青学大の選手に対し、素早いタックル。そのまま押し出し、慶大のラインアウトとする。再び慶大はモールを形成し、HO松岡がトライ。そして、最後は27分。左サイドを駆け上がったCTB豊田康から素早いサポートを見せたLO豊田祥へパス。そのままトライを決める。兄弟間の連携で、会場を沸かせた。ピッチを照りつける陽射しは選手達を苦しめ、体力を奪う。このトライを最後に両チーム追加点はなく、ノーサイド。慶大は59-17で勝利し、大事な初戦をものにした。

 

 

「ディフェンスからまずチームを作れたのですごくよかった」(辻)。この言葉が勝因の全てと言っても過言ではない。慶大は一歩目の動き出しがいつにも増して早かった。そして素早いタックルで青学大からターンオーバーすると、SH中鉢から矢のようなパス。攻守の切り替えも早かった。最後はFB丹治を初めとし、モールからもトライを奪う。多彩な攻撃パターンを見せた。攻守で圧倒した慶大。だが、不安要素が無くなった訳ではない。「去年も初戦は勝てたんですが春の終盤で負けてしまった」(松岡)。大事な初戦で勝ち星をあげた慶大の次の課題は連勝。次節以降も勝ち続けることで流れを作りたい。次節の相手は大東大。選手達は口を揃えて外国人選手を警戒する。「個人技では少し難しくなると思うが、組織の力でディフェンスを突破したい」と丹治。圧倒的な攻撃力を持ち味とする留学生相手に、序盤からノーサイドまで魂のタックルを見せられるかが、勝負の鍵を握る。

 

【ケイスポ的MOM】慶大蹴球部の異端児・FB丹治辰碩

俊足で会場を沸かせた

俊足で会場を沸かせた

2年で慶大蹴球部に入部した異例の経歴を持つ丹治。その才能はすぐに開花した。デビュー戦の全早大戦を振り返り、「ランが自分の持ち味で、広いスペースを使ってランで勝負したいと思っていました」と語った丹治。出場した試合全てで光る活躍をする丹治。一旦ボールを持つとその走りは止まらない。相手ディフェンスを一瞬で引き剝がすアジリティ、そして、ディフェンスを置き去りにして駆け抜けるスピード。ボールを持った丹治は光り輝き、観客は彼がボールを持つと高揚する。何かやってくれる、その期待に応える天性の得点センス。それを彼は持っている。慶大蹴球部のディフェンスから作る勢いの終着点は彼である事は間違いない。

(記事・高橋廉太朗)

 

選手コメント

HO松岡

(今日の試合を振り返って)初戦なので結構緊張しましたが、気持ちで勝てたと思います。(初戦白星スタートについて)去年も初戦は勝てたんですが春の終盤で負けてしまったので、この調子で全部勝ちたいと思います。(今日良かった点は)低学年の皆が頑張ってくれたことと、全員が戦えていたところが良かったです。(自身もトライを決めましたが)あれはFWの皆のおかげですね。(スクラムの状態は)良いところもあったけど、悪いところもあったので、もっと練習したいと思います。(次節の相手は大東文化大ですが)去年の秋の大東文化大戦でスタメンだったのですが、途中で替えられてしまったので、自分のリベンジという気持ちも込めて頑張ります。

LO

(試合を振り返って)ディフェンスからまずチームを作れたのですごくよかったと思います。(今日のゲームプランは)しっかり基礎を固めるということと、エリアによって戦い方を変えるということでした。また、接点でこだわって、そこで100%以上の力を一人一人が出せるようにしっかりプレーをするようにという話でした。(ご自身のトライを振り返って)先輩からのフォローをしっかりもらって、トライを取り切れたのがよかったと思います。(次戦の大東文化大戦に向けて)接点一個一個でしっかり出し切って、相手に当たり負けしないような戦い方をしたいです。相手より低く強く戦って外国人選手に負けないようなプレーをしたいと思います。

SH中鉢

(今日の試合を振り返って)全体として流れは良かったのですが、修正しなければいけない点もあって、特にヘッドコーチからは取られたときの点数の重みを感じるように言われたので、そこは春シーズンこれからやっていく中で修正していきたいと思います。(初戦白星スタートについて)リーグ初戦ということで今までやってきた運動量とタックルやディフェンスの部分をしっかりと体現しようと試合に臨みましたが、その部分は良かったと思います。(スクラムの状態は)今日は要所要所でターンオーバー出来たところは良かったですけど、逆に相手にやられるところもあったので、そこは修正していくべきだと思います。(次節の相手は大東文化大ですが)大東文化大は外国人の大きい選手がいて、そこをいかに止められるかがキーポイントになっていくと思うので、今日出た修正点を改善して、ステップアップしていきたいと思っています。

FB丹治

(試合振り返って)楽しく思い切り出来ました。3トライ決めたが)前にスペースがあるという自分の好きな状況だったので、後はスペースに走り込むだけでした。スペースを見つけてそこにボールを持ち込むのが自分の長所だと思っているので、それが上手く出せたかなと思います。(初のリーグ戦だったが)2年から入部して、新人らしく思い切りプレーしようと。そして、それが出来たと思います。(この試合で1番記憶に残ったプレーは)今日はFBだったので色々なところに顔を出そうと思っていました。SOの古田から内返しでもらったパスを上手く運べたので、最初のトライが1番でした。(青学大に圧勝したが)練習を通じてフィットネスを鍛えてきたので、その部分は上手くいったと思います。怪我人が出てしまったが走り勝てた。それが点差に繋がったと思います。(次節の大東大に向けて)外国人選手がいてさらに強い相手になると思うので、個人技では少し難しくなると思うが、組織の力でディフェンスを突破したいです。

 

 

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