【ソッカー(男子)】開幕前特集第1弾! 大ケガからの復活へ、松木駿之介インタビュー

慶應義塾体育会ソッカー部の2017シーズン初戦、天皇杯予選準決勝・駒大戦が3月22日(水)に迫っている。昨季は関東大学サッカーリーグで6位、全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)では2回戦敗退に終わった慶大。今季は再び優勝争いに加わりたいところだ。ケイスポでは、今季開幕に向けて選手・監督に意気込みを語ってもらった。

 

第1弾は、昨季のインカレ開幕直前に左ひざ半月板損傷の大ケガを負い、現在復帰に向けてリハビリに取り組んでいる松木駿之介(総3・青森山田高)の単独インタビューをお届けする。昨季の成績や、ケガを負って自分自身と向き合った時間、そして今後について迫った。

――現在のひざの回復具合はいかがですか?

昨年12月にケガをしてからもう少しで3カ月が経つんですけど、やっとジョギングを始められる状態で。今年は関東リーグの開幕が天皇杯予選の影響で少し遅いと聞いているので、開幕戦でゴールを決めることを目標に、今やっています。

 

――リハビリは順調ですか?

すごく順調です。

 

――トレーニングではどれくらいの負荷をかけてやっているのですか?

全く走れていないんですけど、トレーナーの三浦(哲哉)さんと体作りというのはすごくやっていて、オフの日でも三浦さんが来てくれたりして。まあまだ効果はサッカーをしていないので感じられていないですけど、すごく体つきは変わってきたなと思います。

 

――フィジカルをかなり鍛えていると

今年はこういうケガをした影響もあるし、去年ドリブルしている最中に体をぶつけられて倒れてしまうということが多かったので、そこを改善する良い時間だなということもあってそこに集中して今はトレーニングしています。

 

――では、昨季のお話に移らせていただきます。まず、昨季を振り返っていただけますか?

一昨年はチームとして優勝争いをしたということもあるし、個人としても新人賞をいただいたりとか充実したシーズンを送れた中で、去年降格争いやインカレ出場権争いをしてすごくやっている最中は辛いシーズンだったんですけど、今振り返ってみれば「楽しかったな」と思えるシーズンでもあったと思います。

 

――「楽しかった」というのはどのあたりに感じていますか?

一昨年経験したリーグの状況と全く違って。その中で去年の4年生の方々が残してくれたものというのはすごく大きいと思うし、そういう中で出場していた自分や他の選手が今年のチームに伝えていくというのは大事だと思うので。そういう経験をできたというのは、楽しかったです。

 

――優勝争いと残留争いを経験して、より成長できたと

たぶんそういう成長を自分で感じられるから、振り返ってみて「楽しかった」と感じられるシーズンだったんだと思います。

――自身の成績についてはいかがですか?

自分の成績は、プレーをしていても1年生の時の方がガンガンやっていましたし、結果だけ見ても得点数は1年生の成績を上回ることができず不甲斐ないシーズンでもあって。厳しいシーズンでした。

 

――松木選手自身も、1年次の方がガンガンプレーしていたと感じますか?

サッカーをやっていても1年生の時は毎週毎週楽しめていましたし、去年は何かこう守りに入ってしまったというか。それは全日本大学選抜に入って少し勘違いした部分もあると思うし、そういうことと向き合いながら送ったシーズンでした。

 

――昨季、試合後のインタビューで「相手のマークが厳しくなったというよりは自分の感覚が合っていない」と話していたが、そのあたりは最終的にはどうだったのでしょうか?

最後の方はだいぶ自分の中で過信というより自信の方に移せていたし、自分のプレーを出して楽しむという部分は最後の方はできていたかなと思います。

 

――第20節・早大戦(3○1)でのヘディングゴールは「らしさ」が出ていたように思います

そうですね、最後の方は自分のストロングポイントの出し方というのをすごく意識して試合に挑んでいたので。最後の方は出せたかなと思います。

 

――自分の中で完全燃焼か不完全燃焼かと言えばどちらでしたか?

難しいですけど、まあ不完全だったかなとは思います。少し時間を無駄にしてしまっていた夏過ぎの時期もあって。ただそこで気持ちを入れ替えることもできて、新鮮な気持ちでその後はやれていたので、そこからは気持ちよくサッカーと向き合えていましたけど…。そういったことも考えると時間を無駄にしてしまったこともあったかなと思います。

 

――夏過ぎの時期にはどのようなことがあったのですか?

後期の開幕近くなんですけど。夏に全日本大学選抜の方で活動して「自分はやれるんだ」という自信を持って帰ってきたつもりなんですけど、その自信がいつしか過信に変わっていて。後期の頭なんかはずっと点を取れていなかった中でやっと点が取れ始めて、たぶん周りには「調子上がってきたな」というふうに見ていた人もいるかもしれないんですけど、自分の中では失点が自分のサボりから生まれてしまったものだったりとか、そういうシーンが増えてきて。その時を振り返ると、マインドの面でだいぶ変わってしまっていたかなとは思います。ただそこで、(第14節)順大戦で前半終了で交代させられて、須田(芳正)監督からは体力面のこととかを言われたんですけど、自分の勘違いしている点とかを振り返られたので、そこが自分の中で変われた試合でした。

 

――試合を見に来ていたお客さんからすれば、松木選手や山本哲平(政卒)さんのゴール数が伸びなかったのは単純にチームの戦い方のせいだと思っていた人が多いと思います。でもそれは決してそうじゃなくて、自分自身の問題だったということですか?

正直ゴールの数というのは、自分一人で点を決められる力は今はありませんし、チームの状況もあると思うんですけど。パフォーマンスに関しては明らかに自分が落としていったなというのは感じました。勘違いしていた時期もあったりして、そういうところは自分自身の問題でもあるし。逆にそういうところをしっかりできれば、チームとして戦えて状況も変わってきて、それで自分にも返ってくると思うので。まずチームのために戦うということで自分のゴールの数というのも変わってくると思いますし、チームの状況のせいだったとは考えていないです。

 

――「過信」という言葉についてですが、昨年の開幕前取材の時には、溝渕雄志(環卒・現ジェフユナイテッド千葉)さんから「根拠のない自信がないとやっていけない」という話をされたとおっしゃっていました。その自信と過信というところは非常に難しいものなのではないでしょうか?

本当に自信と過信って紙一重だと思います。自分で自信を持とうとするのも難しいし、良い自信も少し超えてしまうと過信になってしまって勘違いが生まれたりするので。そこは自分自身と常に会話しながらやっていかないといつの間にか自身が過信に変わったりするので、難しいですけどそこは向き合ってやっていきたいです。

 

――松木選手がよく言うところの「謙虚さ」がやはり必要になると

謙虚さが無くなればサッカー選手としても人間としても終わってしまうと思うし、高校の時からはそれは常に言われていた言葉なので、そこは今でも大切にしています。

 

正直「今後サッカーできなくなるかな」っていうくらい追い込まれた

 

――インカレ目前にして大ケガを負ってしまいましたが、まずその時の状況を説明していただけますか?

(1回戦)前々日の紅白戦でプレーの関係ないところで接触してしまって、ロッキングという症状なんですけど、全くひざを伸ばすことも曲げることもできずにひざが固まって動かなくなってしまって。「もしかしたらサッカーをやれなくなってしまうんじゃないか」と思うくらい自分自身不安を感じていました。それでも、これくらいで済んだことは良かったかなというふうに捉えています。

 

――その瞬間の気持ちというのは

インカレの心配よりも、正直「今後サッカーできなくなるかな」っていうくらい追い込まれました。ひざが全く動かず立つこともできなくて。自分のサッカー人生でここまでのケガをしたことが無かったので、すごく怖さもあって、不安になっていました。その時は周りにはへらへらしていましたけど、「終わっちゃった」とか言って。でも正直相当怖かったですね。

 

――さすがにメンタルに来ましたか?

やった直後は来ました。自分がどれくらいのケガをしたのか分からなくて。ただ病院に行って半月板損傷と言われて、手術をして全然良くなるというふうに聞いたので、そこからはその不安も消えて、ひたすら復帰に向けてというモチベーションに変えられましたけど、やった直後は相当心に来ましたね。

 

――リハビリで辛いことなどはありませんでしたか?

比較的順調に進んでいて、辛いということもないですし、常にトレーナーの三浦さんがトレーニングを考えてくれていて今の状況でもやれるトレーニングをしているので、すごく復帰した後の自分の可能性を感じられています。モチベーション高くやれています。

 

――ボールを蹴ることができない日々が続く中で自分と向き合う時間がたくさんあったと思いますが、そこでどのようなことを考えましたか?

自分がサッカーをやっている意味というのはすごく考えました。3カ月間走ることもできないという状況は物心ついてからは無かったので。たくさん今までケガをしてきましたけど、プロを目指しているので「この先サッカー人生が続いていく中でもし大きなケガをして本当にサッカーができなくなったら、俺は何をするんだろう」とか、余計なことかもしれないですけどそういうことも考えました。そういうことを考えている中で、自分がサッカーをやる目的というのは、やっぱり「今までのサッカー人生で支えてくれた人に恩返しすることなのかな」という答えに辿り着いて、今年だったら三浦さんが本当に自分のサポートをしてくれて、「三浦さんのために結果を出したいな」という気持ちが自然と生まれてきましたし、そういうことを結構時間をかけて考えていました。

 

――再発などの恐怖も今後あると思いますが、プレーに影響することはないと思いますか?

全くしないと思います。周りからも半月板をやった人の話を聞きますけど、「プレーしている時にこういう動作が怖い、痛い」とかそういう話も聞く中で、それでもやっぱり自分の良さはアグレッシブさの部分だと思うので、そこは消しちゃいけないなというふうに常にイメージしながらリハビリしています。

 

――復帰に向けた焦りはありませんか?

焦りは全くないですね。開幕に間に合わせられるかは分からないですけど、もちろん選手である以上スタメンを目指します。でもそこは監督が決めることだし、ただ開幕戦で何としてでもどこかで試合に出て、少しの時間でもいいからピッチに立たせてもらって点を決めたいという思いがあるので、そこに向けてモチベーションを切らさずにやっています。ただ、そんなに「早く復帰しなきゃ」とかいうよりは、しっかり治して、ケガをする前よりも良い状態に戻して復帰して初めて、本当の意味での復帰だと思うので。焦って早く復帰してパフォーマンスが戻らなければそれは復帰とは言えないと思うし、そういうことを考えながらリハビリをしています。

 

――夏にはユニバーシアードが控えています。復帰後、全日本大学選抜に入ってそこで戦うために思い描いているプランはありますか?

もちろんずっとイメージはしています。この冬、オフの期間にデンソーカップとかがあって選抜の活動の状況とかは常にチェックしていました。まだ時間はあるし、また食い込んでいけるようなチャンスはあると思うので、まずリーグ戦で復帰して、前期で自分自身の持っている力を出せれば、バックアップメンバーなり何か見てもらえるチャンスをいただけると思うので、そこで帯同メンバーに入れてもらって自分の力を見せて、最後勝ち取るというイメージはできています。

 

――全日本大学選抜の前線は中野誠也(筑波大4年)選手や三苫薫(筑波大2年)選手、ジャーメイン良(流経大4年)選手らが争う激戦区ですが、それでもそこに割って入っていく自信はありますか?

特に自分の左サイドのポジションだったら順大の米田隼也選手や三苫選手は個の力をすごく持っている選手なので、客観的に見ても自分は(個の)力で劣ると思っています。ただ自分にはその二人が持っていない、ボールを持っていないところでの試合への関わり方だったり、サッカー選手としての総合的な力というのはその二人にも負けないという自信を持っているので、特にビビったりとかはしていないですね。

 

チームのためにプレーしていけば、それが結果的に自分の得点数の向上につながる

 

――昨季のリーグ戦では、その中野選手や三苫選手の所属する筑波大が昇格組でしたが優勝争いに加わっていました。本当にどこが勝ってもおかしくない今季の関東リーグですが、それを制するために慶大に必要なことは何だと思いますか?

まあ同じ学生なので力に差はないと思いますし、だからこそありきたりですけどチームが一つになるという部分が本当に大事になってくるかなというふうに思っています。そこは慶應の良いところでもあって、ただ去年は少しうまくいかなかったことでもあるなとも思いました。けどそこは最後の最後に去年の4年生が残してくれたものでもあると思うし、最後はこうすればチームは勝てるという道筋を見せて伝えてくれたので、そういう慶應の良い伝統というのを新チームに絡ませながらやっていければ、必ず一人一人の能力を上回るチームでも勝つことはできると思っています。

 

――新チームの雰囲気はいかがですか?

グラウンド内外において今の4年生はすごく仲が良くて、それはすごく伝わってきます。今年はチームとして「凡事徹底」というのをチームとして掲げて、当たり前のことを当たり前にやる、その当たり前のレベルを上げるということで、全員が取り組める目標でもあると思うし、そういう細かい一つ一つのことを当たり前にやっていくことで、「勝利の神様は細部に宿る」じゃないですけど、勝利に近づけるかなというのは感じています。

 

――今年のチームと去年のチームで違うことは何かありますか?

今年の4年生が新チームの弱さとかを謙虚にしっかり捉えています。去年は正直、一昨年に優勝争いをしたメンバーが多く残ってそれこそ過信になっていた部分もあると思うし、でも今年はもうみんなが「自分たちは能力がないんだ、関東リーグの中じゃ弱いチームなんだ」というふうに認識できているので、そこは強みかなとも思います。

 

――その中でも目標にリーグ優勝を掲げているというのは、やはりそれは絶対的なものなのでしょうか?

相手も同じ学生だから絶対優勝できないというわけではないですし、むしろこういうチームの方が優勝できるんじゃないかなというふうにも感じています。しっかり自分たちの能力が分かっているので、チーム全体で戦うということを体現できれば可能性はあると思っています。

 

――チーム全体で見たときに、長年主力として試合に出場し続けていた宮地元貴(総卒・現名古屋グランパス)前主将の代がごそっと抜けて一気にスタメンの顔ぶれが変わることになりますが、そのあたりは今のところチームにどう作用していますか?

外から見ていて、すごく良い方向に向かっていると思います。今まで全くトップチームに絡んでこなかった選手も今じゃスタメン争いをするようになって、試合に出ていた選手たちにもすごく刺激になっていますし、僕もここまでの2年間ですごく多くの試合に出させてもらいましたけど、危機感もあります。入ってきた新1年生も良い選手で危機感を感じられる存在で、また新しい顔ぶれになってやるサッカーは全く違うので、自分の中では楽しみにしています。

 

――今年のチームはかなり前からいくというふうに聞いています

今はいろいろなことにチャレンジしていて、オールコートプレッシャーとかをやっているので相当体力とかもいりますけど、今までの関東リーグでもあまりないサッカーなので楽しみです。

 

――今までとは違う慶大を見ることができそうですか?

今まではどちらかというと守備に重きを置いてやって、そのベースは変わらないですけど、今まではブロックを敷いてしっかり守るというスタイルだったのが、積極的にアグレッシブに相手にプレッシャーをかけてボールを奪うという守備の形に変わっているので、全く違うディフェンスのやり方かなと捉えています。ただその中でも、去年までやってきたことの継続もあるので、今年新たに取り組んでいることをうまく整理しながらやっていければ大丈夫だと思います。

――その中に自分が復帰して入った時のイメージもできていますか?

試合を見るときはやっぱりそういう目で見ます。アグレッシブなサッカーが自分は大好きなので、頭を整理してイメージしながら見ています。

 

――自分の良さを生かせそうですか?

自分はボールが無いところでのポジショニングとかが強みの一つだと思っているので、そういうところからボールを奪いに行けるイメージというのはあります。自分は守備も好きなので、イメージはしやすいサッカーかなと思います。

 

――チームの攻撃面で見ると、昨年までのエースだった山本哲平さんがいなくなって松木選手に掛かる期待もより大きくなると思います

もちろんこの2年間哲平さんの存在は大きくて、自分は2年連続で哲平さんに成績で勝てずにチーム内2位の得点数でした。その哲平さんが抜けたことはすごく意識しますし、逆に言えば自分が点を取れなければチームは勝てないとも思います。やっぱり二桁得点を取れる選手がいないと優勝争いはできないと思いますし、そういう意味ではやっぱり自分が点を取るということは強く意識しています。ただその中で、目的を点を取ることにしたら自分はあまりプレーが良い方向にいかないので、チームのためにプレーしていけば、それが結果的に自分の得点数の向上につながると思うので、まずチームのために戦うことを第一に考えたいです。

 

チームとして、タイトルを獲る

 

――いよいよ3年生とすっかり上級生になりますが、学年としての役割にも変化はありますか?

今年は副務やグラウンドマネージャー、学連幹事であったりトレーナーであったりだとかそういう役職を毎日毎日ミーティングして決めて、自分たちの仲間からそういう役職に就く仲間が出て、すごくチーム作りという面で考えることも増えましたし、上級生になるんだなという実感がしています。

 

――後輩とのコミュニケーションはいかがですか?

自分はまあ親しみやすいタイプだと思うので後輩とは結構絡みますし、後輩も良くも悪くも自分のことを先輩だと思っていないので(笑)、自分の立ち位置というのも考えながら後輩と絡んでいって、後輩たちが伸び伸びとプレーを楽しめる環境を作ってあげることも大事かなと思います。

 

――自分が1年生として入ってきたときの3年生はどのような印象でしたか?

高校1年生と3年生の距離感だったのですごくビビっていましたけど、実際に慶應に入ってみて誰が2年生で誰が3年生で誰が4年生なのかの区別が全くできないくらいみんなすごく仲が良くて。変に威張っている人もいないですし、ただその中で組織としての厳しいこととかは言い合える人たちで、すごく大人に見えました。

 

――今その3年生という立場になってみていかがですか?

自分たちも仲が良いです。後輩たちに変なプレッシャーとかを感じてほしくないですし、最低限組織としての上下関係はありますけど、それ以外の面では伸び伸びやってほしいと思っています。自分も伸び伸び先輩にやらせてもらって、それでサッカーもうまくいったし私生活を楽しめたという部分もあるので、変に高校の時のように「先輩だからビシッと」みたいな感じで接されるのも何か違うのかなというふうに思います。

 

――1年次から松木選手の活躍を見てきた人の中には「もう3年生か」と感じる人もいると思いますが、松木選手自身はどのように思っていますか?

自分自身も「もう3年生なのか」と感じますし、3年目って自分はプロを目指しているのですごく意識する年でもあります。「その年にもう自分もなったのか」と考えるとすごく早いですね。ずっとこの2年間がむしゃらにやって来て、大学サッカーの中じゃ若いというか、そんな存在だったのがもう上級生になってそういう目で見られる学年になったので、すごく不思議ですね。

 

――3年次までの活躍で、先ほどの中野誠也選手や久保飛翔(環卒・現ファジアーノ岡山)さんなどは4年次のシーズンが開幕するころにはプロ入りが決まっていました。それを考えると、この1年は非常に大事になってくるのではないでしょうか?

正直3年目が全てなんじゃないかなとも思いますね、早めにプロ入りが決まる人は。3年目で点をボコスカ取って4年目であまり点を取れなくても、プロに行っている選手もいますし、それだけ3年生って大事なシーズンなんだなと感じています。なので、「この1年は思いっきりやってやろう」という気持ちがあります。

 

――プロというものを常に念頭に置きながらの1年ですか?

そうですね、もちろんプロというのはすごく意識しますし、小さいころからサッカーをやってきてずっと目標にしてきた場所なので、プロに行きたいという気持ちは強くあります。その中でチームとして戦うことの楽しさというか、そういうのも感じられているので、慶應として結果を残したいという気持ちも大きくあります。

 

――プロの練習に参加したりして何か意識は変わったりしましたか?

やっぱりそういう環境でやらせてもらって変わりましたね。例えば、練習参加に行ったときに一緒にやったプロの選手が首を切られたりしているのを見て、改めてプロというのは厳しい世界なんだなというのを感じますし、自分は学生であるしプロのことを考えながらもセカンドキャリアのことだったりも考える必要があると思います。そういう意識は結構持つようになりました。

 

――セカンドキャリアのことまで考えているのですね

漠然とです。今季の結果を見て自分の立ち位置というのがすごく分かってくると思うので、そこでまた明確にはっきりと考えていきたいですけど、自分がプロとしてやっていけるのかとか、そういうのを考えながらセカンドキャリアというのを今は漠然とイメージしています。

 

――そこまで考えることがやはり大学サッカー界からプロを目指すうえでは大事だと思いますか?

もちろんサッカーで結果を残せばいいんですけど。プロになってお金を稼げればそれに越したことはないですし、セカンドキャリアを考えるからといってサッカーから逃げるわけじゃないですし。ただ、大人になるので人生設計は大事かなと大学の授業とかに出ていても感じています。

 

――そういったことも、ケガをして考える時間が増えたのですか?

ケガをしているとサッカーをやらないので、思った以上に頭に余裕ができるというか、良い意味でいろいろと余計なことを考えています。

 

――では今気持ちの面ではフレッシュということですか?

今はすごくフレッシュですね。自分の人生の中でもかなり生きていることを楽しめているというか、いろいろな世界に今触れることができているので、楽しいですね。復帰した後のワクワクもありますし、いろいろなイベントに参加して今まで考えなかったことも考えるようになりましたし、大学生として楽しんでいます。

 

――気持ちの面での充実感は、今までで一番ですか?

そうですね、今は大学に入って一番楽しい時期かなと思います。いろいろな将来のことを考えたり。自分は良い意味でも悪い意味でも楽観的なので、「もしこうなっちゃったらどうしよう」というよりは、「なるようになる」と思っているので、もちろんそれは努力が前提ですけど、いろいろな将来をイメージしながら楽しんでいます。

 

――復帰してからのプレーにも良い影響が出そうですね

サッカーは私生活の充実も大事だと思います。それは今までのサッカー人生で自分自身すごく感じてきましたし、私生活が乱れるとサッカーも乱れます。そういう意味では、サッカー以外の趣味の時間も大事だと思いますね。

――長くなりましたが、最後に今季の目標を聞かせてください

まずチームとして、タイトルを獲ること。それが最大の目標で、それを達成することができれば自然と自分も評価されると思いますし、その目標を達成するために、自分は周りに生かされて周りを生かす選手だと思うので自分の良さを絡めながらやっていきたいです。

 

(取材 小林将平)

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