慶應スポーツ新聞会

【端艇】第39回軽量級選手権大会――絆がつかんだ銀メダル――

 

第39回全日本軽量級選手権大会が5月26~28日に戸田ボートコースで開催され、慶大端艇部の“軽量選抜”が日本一を目指した。全国の精鋭相手に慶大は大苦戦。多くのクルーが敗者復活戦に敗れ敗退していく。しかし、そんな中、一際その強さを見せたのは“凸凹コンビ”だった。

 

第39回軽量級選手権大会 5/26(金)〜5/28(日)@戸田漕艇場

 

決勝に向かう凸凹コンビ

2人で左右一本ずつのオールを漕ぐ舵手無しペアという種目で今大会コンビを組んだのは内田優志主将(政4)と新井勇大(経2)の二人である。内田は身長171cm、一方新井は身長188cm、そんな一見凸凹な二人。しかし、その関係は長く深く濃いものである。二人は慶應志木高校の端艇部時代からの先輩後輩関係だ。志木校端艇部に新井が入部したときの主将だった内田は新井にとって入部の理由となった存在であり、内田も飛びぬけた資質を持った新井に対して熱心な指導を行った。内田は自身が高校を卒業してからも当時高校生である新井と一緒に艇に乗るなど、漕ぎのみに留まらず多岐にわたる影響を新井に与えた。

そんな二人は当然のように大学でもボートを続け、今では内田は慶應大学端艇部全体の精神的支柱である主将に、新井は二年生ながら先の早慶レガッタに対校エイトの一員として出場する端艇部の若きエースへと成長した。

この全日本軽量級選手権は、①漕手の平均体重は 70kg 以下であること。②個人およびシングルスカルの選手は 72.5kg 以下であること。という出場資格を満たす必要がある。今年度の端艇部はこの資格を満たす選手がさほど多くない。早慶レガッタの対校エイトのクルーの中で純粋にこの資格を満たすのは内田だけだった。しかし、内田は新井にとって「高1からの憧れの存在」であり、この大会を「やっと二人で漕げるレース」だと捉えていた。だからこそ、監督に直談判し、6kgの減量をしてまでしてこの大会に参加した。

今回の軽量級選手権における舵手なしペアは各大学、特に早稲田大学とボートにおける絶対王者の日本大学のエース級の選手が集まる種目となった。予選ではその早大といきなり当たることになったが、スタートからその差を広げ、最後に早大に追い上げられたものの一位通過、見事準決勝へとコマを進めた。

準決勝。無風の理想的なレースコンディションの中、慶大クルーが圧巻漕ぎを見せる。理想通り、序盤から中盤にかけ、スピードを落とさずにぐんぐん進む。終盤にはラストスパートをかける必要もない程の差をつけゴール、決勝一位に向けて弾みをつけるレースとなった。ちなみにこの時のタイム6:52,46はこの種目の最速タイムであった。

そして決勝、絶対王者日本大学が隣のレーンにいる中でレースはスタート、「思いの外、出ることができた」(新井)と、見事なスタートを決め500m地点を首位で通過。しかしここからレースは激化した。早大、日大、そして慶大と三艇横一線のまま1000mが過ぎた。慶大は何度も何度もアタックを仕掛け、他の艇を引き離そうと試みるが、一漕ぎが大きく強い日大がじわじわと先を行く。この段階で早稲田は離れはじめ、日大と慶大の争いとなった。日大に追いすがる慶大はラストスパートでレートを跳ね上げ、決死の追撃を見せるも日大の歓喜の声がむなしく後方で響いた。結果は3位に11秒差をつけた2位。銀メダル獲得となった。しかし、ゴール後、二人の表情には笑みはなく淡々と前だけを見据えていた。

表彰式に並ぶ3校(早大・日大・慶大)

決勝のレースは「練習以上のものが出た」(新井)と、一定の満足感を見せたが、今年の早慶レガッタでの敗戦の責任を主将として人の何十倍、何百倍も感じていた内田のために「何としても勝ちたかった」と悔しさをにじませる。それでも軽量級における日本代表候補が集まった舵手なしペアという種目で2位という結果をつかみ取ることで、自らの実力が日本屈指であると証明した。

 

今回の軽量級選手権において見事に舵手無しペアは銀メダルを獲得したが、慶大から出場した他のクルーにとっては決して満足いく大会ではなかった。それは内田優志主将(政4)の「部全体のレベルがまだまだ低い」という言葉からも感じられる。しかし、今回の大会は自分の立ち位置を確認するには絶好に機会であったのは間違いない。来たるインカレ、全日本選手権で悲願の「総合優勝」を達成するために“軽量”“重量”級合わせたオール慶大の戦いはまだ始まったばかりなのだ。

 

           (記事・辻慈生、写真・辻慈生、岩本弘之)

 

・以下選手コメント

 

内田優志主将(政4)

 

(大会全体を振り返って)

新井とのペアで、試合直前まで漕ぎに修正を加えながら高い完成度で臨めたと思う。

 

(予選から準決勝)

いかにして中盤から後半に向けて勝負できる形に持っているかという所、つまり前半を楽に漕ぐところの確認してきた。決勝でも同じように修正していた。

 

(新井と乗って)

新井も含め自分もまだまだだということを改めて実感した。ポテンシャルはもっと高いところにありそうなのに上手く出し切れていない印象を持った。

新井はこれからの端艇部のエンジンを担っていく存在だから、さらに強くなってもらわないといけない。

 

(これからにむけて)

部全体のレベルがまだまだ低いので、毎日の指導と部員のやる気を盛り上げることで着々と部を盛り上げたい。

 

新井勇大(経2)

 

(考えていたレースプランは)

ニュージーランド代表のペアを参考にして、作戦としてはスタート無理しすぎないで、中盤以降同じリズム、早いテンポで漕ぎ切るのが理想だった。

(予選のレースを振り返って)

スタートは良かったんですけど、後半で疲れと共に意識が薄れてきて、自分たちの中でどんどんリズムを悪くしてしまった。

(準決勝を振り返って)

予選の日の午後と、中日に2人で色々とビデオを見て研究して新しい感覚を試しながら、今までやってきたことの確認をして、もう一回、中盤以降高い艇速で漕ぎ続けられるように練習した。 準決勝では、そのことが結構再現できて、手応えもあった。

(決勝の相手で日大は早いとわかっていた中でどうやって勝ちに行くと話していたか)

もう毎年、毎レース日大がスタートから突っ込んでくるってわかっていて、自分達が準決勝よりも何段階も高いレベルの漕ぎをしないと勝てないともわかっていたので、スタートから攻めるのは当然で、中盤以降も当たり前のように攻めるって意識を2人で持って試合に臨んだ。 (実際のレースは) スタートは思いの外出ることができたのですが、第2クォーターの終わりからからじりじり日大が上がってきて、そこで何度もアタック仕掛けたんですが、日大の一本一本長い漕ぎにどんどん追いつかれて、さらに前に出られた。そこでも何度もアタックしたんですけど、詰めることができなくて、ラストスパートの時には勝負できる場所にいなかったという感じ。

(レースの感想は)

2人でずっと攻めて、レートも今までのレースにないくらい高く漕げて、自分達としては練習以上のものが出たかなという感じなんですけど、相手の方がだいぶ上手で、夏に向けての課題がたくさん出たかなという感じ。 今年の早慶レガッタに負けてしまって、内田先輩は今まで五連覇してきた中で責任を僕よりも何十倍も何百倍も感じていた。だから、どうしてもこの軽量級選手権で内田先輩を勝たせたくて、高1から同じ高校の憧れの存在で、やっと2人で漕げるレースだったから、本当に優勝したかったです。

 

 

・大会結果一覧

圧倒的漕力で準決勝を漕ぎぬけた

 

 

男子舵手なしペア

 

S:新井勇太(経2)

 

B:内田優志(政4)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選A組

1:44.45

3:35.66

5:29.44

7:21.45

1

準決勝進出

準決B組

1:38.16

3:21.77

5:05.77

6:52.46

1

決勝進出

決勝

1:40.89

3:29.58

5:18.55

7:03.72

2

銀メダル獲得

 

 

男子舵手なしフォア

スパートをかける舵手なしフォア

 

 

S:宮嵜裕之(法2)

 

3:栗野稜平(政2)

 

2:麓政人(医3)

 

B:辻井将仁(総3)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選D組

1:35.26

3:17.40

5:02.65

6:46.11

3

敗者復活へ

敗復B組

1:42.13

3:26.99

5:16.75

7:08.38

2

敗復敗退

 

 

男子舵手なしクォドルプル

戸田ボートコースを漕ぐ舵手なしクォドルプル

 

 

S:南雲正樹(商3)

 

3:藤原健太郎(経3)

 

2:三輪崇(商2)

 

B:堀優作(商2)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選C組

1:39.72

3:25.64

5:13.07

6:59.83

4

敗者復活へ

敗復C組

1:43.69

3:29.85

5:19.54

7:07.05

4

敗復敗退

 

 

男子エイト

 

C:黒田諒(商3)

 

S:古谷高尚(商1)

 

7:平本尚暉(経3)

1年生も加わった男子エイト

 

6:貴舩隆介(商2)

 

5:堀江直人(経2)

 

4:兼杉春樹(政2)

 

3:前田翼(文2)

 

2:八木志洋(文2)

 

B:藤本源大(商3)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選C組

1:36.81

3:20.83

5:07.82

6:55.46

3

敗者復活へ

敗復B組

1:37.68

3:20.28

5:09.08

6:54.51

5

敗復敗退

競り合う3年生ダブル

 

 

女子ダブル

 

S:萩原沙柚子(政3)

 

B:渥美優(環3)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選B組

1:58.04

4:00.42

6:03.06

7:59.48

4

敗者復活へ

敗復A組

1:58.31

4:04.85

6:14.24

8:21.23

2

敗復敗退

 

ダブルを漕ぐ2年生コンビ

 

 

女子ダブル

 

S:江藤祐実(経2)

 

B:松原佳代子(商2)

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選A組

2:09.28

4:21.41

6:32.15

8:46.17

5

敗者復活へ

敗復D組

2:08.35

4:21.07

6:42.00

9:02.14

5

敗復敗退

予選を漕ぎぬける女子部主将

 

 

女子シングル

 

 

S:野方千裕(政4)

 

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選F組

2:12.37

4:38.17

7:12.70

9:56.08

4

敗者復活へ

敗復C組

2:05.17

4:15.67

6:26.78

8:42.23

2

敗復敗退

 

雨の中を漕ぐ芝崎

 

 

女子シングル

 

 

S:芝崎佐和子(経3)

 

 

 

500m

1000m

1500m

2000m

着順

結果

予選D組

2:09.13

4:26.01

6:44.96

9:04.96

4

敗者復活へ

敗復A組

2:04.30

4:16.71

6:29.20

8:40.02

2

敗復敗退

 

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