【ラグビー】進化したスクラムで筑波を圧倒。慶應が白星発進/関東大学対抗戦① vs筑波大

 待ちに待った対抗戦の開幕戦を迎えた。昨季5位で毎年大学選手権の出場権を争うライバル・筑波大との一戦。試合は先制点こそ筑波大に献上したものの、前半7分に宮本瑛介(経3・慶應)が鮮やかに抜け出し、すぐさま同点に。さらに32分、この日筑波大を圧倒したスクラムを起点にトライを決めると、36分にも追加点を奪い、前半を19-7で終える。後半立ち上がりは筑波大の追い上げを受け、一時は逆転を許したが、落ち着いた試合運びで、傾きかけた流れを引き戻していく。18分に逆転のトライを奪うと、24分と31分、40分に駄目押しの追加点。最後は粘る筑波大を突き放し、43-26で開幕戦を制した。

進化したスクラムで筑波大を圧倒した

 

9/24(日)15:00〜 関東大学対抗戦 vs筑波大 @キヤノンG

得点

慶大

 

筑波大

前半

後半

 

前半

後半

3

4

T

1

3

2

2

G

1

2

0

0

PG

0

0

0

0

DG

0

0

19

24

小計

7

19

43

合計

26

得点者(慶大のみ)

T=松村2、宮本、中村、江嵜、丹治、古田

G=古田4

慶大

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

細田隼都(商4・慶應)

 

2.HO

中本慶太郎(経3・慶應)

→前半36分 岡田遼大(経4・慶應志木)

3.PR

吉田雄大(総4・秋田)

 

4.LO

辻雄康(文3・慶應)

 

5.LO

佐藤大樹(総4・桐蔭学園)

 

6.FL

中村京介(文4・明和)

→後半8分 川合秀和(総2・國學院久我山)

7.FL

永末千加良(法4・慶應)

 

8.No.8

松村凜太郎(商4・慶應)

 

9.SH

江嵜真悟(商3・慶應)

→後半24分 小宮山大地(政4・慶應)

10.SO

古田京(医3・慶應)

 

11.WTB

宮本瑛介(経3・慶應)

→後半8分 金澤徹(商4・慶應)

12.CTB

堀越貴晴(総4・茗渓学園)

 

13.CTB

柏木明(経4・慶應)

 

14.WTB

高木一成(商2・慶應)

 

15.FB

丹治辰碩(政3・慶應)

→後半40分 栗原由太(総2・

桐蔭学園)

対抗戦デビュー戦で初トライを決めた宮本

 

 開始早々、慶大は自陣でのミスでいきなりピンチを迎える。前半4分、自陣ゴール前のラックから中央に突破され、早々に先制のトライを許してしまう。しかし7分、筑波大のフラットパスを対抗戦初出場のWTB宮本がインターセプトし、センターラインから独走でトライを決めた。その後は両チーム敵陣のミスが続き、スコアは膠着状態に入る。

 再び試合が動いたのは32分。慶大フォワード陣はスクラムでゴールラインまで押し込み、最後にNo.8松村凜太郎(商4・慶應)が逆転のトライを決めた。畳み掛けるように36分、慶大は中盤で筑波大のラインアウトのミスからボールを奪うと、そこから細かいパス回しで右に展開し相手の自陣まで一気に攻め上がる。パスを受けたFLの中村京介(文4・明和)が右サイドを突破し、三つ目のトライ。19-7で前半を折り返す。

 迎えた後半戦。序盤は筑波大の反撃に遭った。後半5分、ゴール前のラインアウトからモールでトライを奪われると、12分にラックを起点に個人による中央突破を許し、再び失点。ゴールキックも決まり、19-21と勝ち越しを許してしまう。

逆転のトライを決めた江嵜。秋季はハーフ団の要としての活躍に期待がかかる

 追いつきたい慶大は相手の粘りのディフェンスに手を焼きながらも、じわじわと相手のゴール前までに近づく。そして18分、ゴール前のラックからSH江嵜真悟(商3・小倉)が軽快なステップでタックラーをかわし、インゴールに飛び込んだ。逆転に成功した慶大は、再びここから勢いに乗り始める。

 24分にも、敵陣ゴール前のスクラムからパスを展開し、FB丹治辰碩(政3・慶應)がゴールポスト左横にトライ。31分にマイボールラインアウトからモールで勢いよく押し込み、最後No.8松村がグラウンディングした36分に得点を返されたが、40分にラックからパスを受けたSO古田京(医3・慶應)がトライを決め、そのままノーサイド。慶大が43-26で、対抗戦の初陣を飾った。

 

 大事な初戦をものにできたことが、何よりの収穫だ。前半二つ目のトライに象徴されたように、この試合の勝因はスクラムで圧倒的優位に立てたこと。後半は一時逆転を許したが、スクラムを起点としたアタックで、傾きかけた流れを一気に引き戻した。「多分対抗戦組で一番きつい練習をしてきた」(PR吉田雄大=総4・秋田)というハードな夏合宿中のスクラム特訓の成果が、初戦から実を結んだ形となった。

 一方で、春季からのウィークポイントだった立ち上がりの入り方については、今ひとつ課題が残った。「ひとまず今日は勝って良かったですが、こんな内容だとこれからどんどん相手が強くなると厳しい戦いになってくる」。LO佐藤大樹主将(総4・慶應)のこの言葉通り、今回の勝利に満足せず、更に自分たちのラグビーをブラッシュアップする必要があるのは明確だ。10/1(日)の成蹊大戦は出だしから慶應らしさを全開にしていきたい。

(記事:萬代理人 写真:江島健生、田中壱規)

以下、コメント

金沢篤HC

――試合を振り返って

いつもの力を発揮することをテーマに臨みました。ブレイクダウンのフィジカルのところでプレッシャーをかけようとしましたが、そこがなかなかうまくいかなかったです。ただセットプレーは前3がすごく頑張ってくれて、とても良かったと思いますが、全体的には出来は良くなかったです。(とりわけ)ディフェンスでのプレッシャー、アタックの判断というところが良くなかったですが、そんな中でも勝てたことは大きかったと思います。

――全体的にスクラムがとても良かった

スクラムは素晴らしかったと思います。スクラムのおかげでだいぶ流れを変えることができました。

――次の試合に向けて

対戦相手は成蹊大学ですが、相手どうこうより自分たちの力を発揮することが大事だと思うので、そういう準備をして試合に臨みたいと思います。

 

LO佐藤大樹主将(総4・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返って

今日はセットプレーだったりモールだったりといったFWのプレーがキーになると思っていて、結果的に勝ったのは良かったですが、そこまで良くもなかったので反省点はあります。ただ、スクラムは良かったので勝つことができたと思います。

――スクラムが勝利の要因と感じているということですか

そうですね。もし、イーブンくらいでも試合はもっときつくなっていたと思います。

――スクラムが良かった要因は

筑波はそこまでスクラムが強いチームではないので、もともとスクラムをコントロールしていくつもりでいました。今年から入ってくださったスクラムのスポットコーチの方とかもいて、夏合宿などでもこだわってやっています。今年は強みにしていきたいと思っているので、今日の試合で良かったのは手応えを感じられました。

――その他にチームで統一していた意識は

FWで相手を下げさせることを意識していました。フォーカスとしては前に出ていくアタックをみんなで意識していましたが、そこまで良くなかったと思います。

――今後に向けて

ひとまず今日は勝って良かったですが、こんな内容だとこれからどんどん相手が強くなると厳しい戦いになってくるので、今日の反省と修正をして、次は慶應らしいラグビーをできればと思います。

 

中村京介(文4・明和)

――今日の試合を振り返って

前半すごく悪い流れだったのを、FW8人の力で良い流れを持ってこれました。夏からずっとスクラム、セットピースに取り組んできたので、その結果が出て良かったと思います。

――今日は全体的にFWが良かった

そうですね。FWのセットプレーが勝っていた分、BKのミスなどをFW8人で取り返せたかなと思うので良かったと思います。

――夏の間、対抗戦に向けてどのようなことに重点を置いて練習をしてきたか

チームディフェンスとセットピース、キープアタッキングの部分にフォーカスをして夏合宿はやってきました。チームディフェンスではコミュニケーションが必要な練習をやってきたのですが、その部分が対抗戦という緊張の部分であまり出せず、前半はうまくいかなかったです。ただ後半はFWのセットプレーで良い流れを持ってきてくれると、だんだん声が出るようになって、そこはすごく良かったと思います。

――自身のプレーについてはどうでしたか

それほど 良くなかったと思っていましたが、あとで社会人のコーチの方から褒めていただけました。

――褒められたというのはどのような部分ですか

ディフェンス全体を自分が保っていたというか、入るとこは入って、入らないところは入らないで当たってすぐ出ることや、自分が立つことでディフェンスの統制がとれていたと褒めていただきました。

――これからの試合に向けて

今日は対抗戦初戦ということで、浮き足立つではありませんが、声がなく、緊張でガチガチになっていた部分があったので、リーダーとして他のリーダー達と協力し合いながら、チームとしてもっと声を出して、良い流れで明治や帝京、早稲田っていうところにつなげていけたらと思います。

 

松村凜太郎(商4・慶應)

――今日の試合を振り返って

大事な試合という位置付けで、自分たちのラグビーをしようという思いで開幕戦に臨みましたが、前半の立ち上がりは相手という要因ではなく自分たちが縮こまってしまって(自分たちのラグビーが)できませんでした。だいぶ苦戦しましたが、やっていくうちに体もあったまって、FWはスクラムとか練習でやってきたことが生きて良かったです。

――トライのシーンを振り返って

僕のトライはスクラムトライとモールからのトライだったんですけど、自分の実力というよりもFW8人がよく練習してきた結果、勝ち取ったトライだったので嬉しいです。

――チームにとって効果的な突破をしているシーンが度々ありましたが

筑波大より僕たちの方が走り屋でフィットネスが高く、僕自身もその部分を強みにしているので、そこがうまく生きて、後半体力差でゲインできたなという印象です。

――ラインアウトを振り返って

1週間ずっとBチームに筑波大のラインアウトをやってもらって、分析をして、ある程度サインを絞って取りきることを意識しました。それがうまくはまりました。

――チームの完成度は

チームが自分たちのラグビーができているときはどの大学にも負けないと感じますけど、メンタルの部分で、自分たちのラグビーができない時があるので、まだ80%くらいの完成度かなと思います。

――次の試合に向けて

次の成蹊大戦では前半できなかった自分たちのラグビーを最初からやって、80分間圧倒したいと思います。

 

吉田雄大(総4・秋田)

――勝利おめでとうございます。今のお気持ちを

初戦だったので、まず本当に白星取れてホッとしています。

――対抗戦開幕戦ということで何か意識する部分はありましたか

夏合宿を経て、東海戦のようにいつもの僕たちのスタイルで戦えれば絶対取れると思っていたので、そこを強く意識しました。

――事前の筑波の印象は

ブレイクダウンでフィジカルがすごく強く、(とりわけ)CTBの鈴木啓太選手が強い。とにかく難敵のイメージがありました。毎年苦戦していたので、ここは凄く難しいゲームだなと思っていました。

――実際にやってみて

そうですね。一時点差を詰められたりして、フィールドプレーとしては「あ、やばいな」と思っていたんですけど、今日はスクラムで全体的に勝てていたので、絶対この試合落とさないなという気持ちでいました。

――確かにスクラムでは圧倒していたように見受けられましたが、手応えは

そうですね。(前の)3人で全部ドミネートしていたので。1番の細田(隼都=商3・慶應)くんが最も頑張ってくれていたんですけど。3人で組めたかなと思います。

――一回逆転された時はどのようなムードになりましたか

いや、でも結局この試合は落とさないなとみんな思っていて、やってきたことさえ出せれば絶対に勝てるなと思っていたので。

――落ち着いて対処できたと

全く焦りとかは無かったです。

――夏合宿中はどのようなテーマをもって練習に取り組まれましたか

夏合宿中、スクラムは対抗戦で多分一番きつい練習をしてきたと思うので。そこは昨年と一緒なんですけどフォーカスしていて、8人で組むことと絶対に負けない気持ちが養われてきたので、そこで筑波に勝されたかなと思います。

 

――逆に今後課題になってくると感じたところなどありましたか

それこそペナルティーで食い込まれてしまったので、スクラムをもっと高めていって、どんな試合でもスクラムで今日みたく流れを取り戻せれば、昨年みたくタイトに戦えるかなと思うので、僕が前3ということもありますけど、もっとスクラムにこだわって頑張っていきたいと思います。

 

丹治辰碩(政3・慶應)

――今日の試合を振り返って

前半は自分たちのミスで攻められたところはありましたが、やってきたことを出せれば勝てるということがわかったので、そこは自信になりました。課題も見つかりましたけど。

――その課題というのは

前半のミス、プレーの精度やキック処理などです。

――今日の対抗戦初戦にあたってテーマは

チームとしては、慶應のチームカラーでもあるディフェンスをしっかりやろうと。個人では、ボールを持ったら厳守でトライを狙おう、ということですね。

――この夏の間の練習はどんなことをされていましたか

疲れた中での動きやディフェンスの強化を詰めてやっていました。

――今日の勝利は生かされたということですか

自分たちがやってきたことをできた時は流れも良く進んでいたので、あとはやはり精度を高めないと、というところですね。

――これからの対抗戦、意気込みは

いっぱいラインブレイクして、トライを決めたいです。

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