慶應スポーツ新聞会

【フィギュアスケート】復活の庄司、ラストイヤーの鈴木が健闘するも、全日本には届かず 第43回東日本選手権大会

最後の東日本選手権でフリー後には笑顔を見せた鈴木

第43回東日本選手権大会が小瀬スポーツ公園アイスアリーナで開催された。10月27日に女子ショートプログラム、29日に女子フリースケーティングが行われ、慶大からは9月の東京選手権大会で出場権を獲得した鈴木美桜(法4)と庄司理紗(総3)が演技を披露。上位6名に与えられる全日本選手権への切符を強い気持ちで目指したが、一歩届かず。全日本出場は逃したが、鈴木は最後の東日本選手権で万感の思いで美しい演技を見せ、庄司は苦しいシーズンから復活し、今後につながる大きな収穫を得た。

10月27日、29日 第43回東日本選手権大会@小瀬スポーツ公園アイスアリーナ

選手名

SP

FS

合計点

総合順位

庄司理紗

46.19点

75.34点

121.53点

9位

鈴木美桜

40.12点

74.10点

114.22点

15位

 

観客から大きな声援を受けた鈴木

大会1日目に行われた女子ショートプログラム。最初に登場したのは鈴木。少しでも上位に残るためにミスなく演技を終えたいところだったが、冒頭のトリプルトウループがステップアウトになると、続くトリプルサルコウも回転が抜けてしまう。最後のダブルアクセルはきれいに決め、終盤には徐々に壮大になっていく曲調に合わせ、自ら振り付けを行ったプログラムで持ち前の表現力を見せつけた。しかし、2つのトリプルジャンプが決まらなかったことで大きな得点源となるコンビネーションジャンプが入れられず、ショートは18位に沈んだ。それでも「フリーに向けて気持ちさえ立て直せれば大丈夫」と前向きに振り返り、フリーでの巻き返しを狙った。

SP後にほっとした表情を見せた庄司

庄司は全体の21番目に登場。東京ブロックのショートプログラムから「挑戦して終わりたい」という強い気持ちでジャンプの難易度を上げ、冒頭のジャンプをトリプルサルコウからトリプルループに変更した。そのジャンプを見事に着氷させると、続けて高さのあるトリプルトウループを決める。後半に入っても集中を切らさずに、柔軟性を活かしたI字スピンなど一つひとつの要素を丁寧にこなしていった。ステップでは手拍子で会場も一体となり、演技をビールマンスピンで締めると、ノーミスの演技に歓声が沸く。練習の積み重ねから掴んだ確かな自信とともに、9位という好位置でフリーに向かう。

 

美桜スマイルでリンクを舞う

ショートプログラムで、18位につけた鈴木。曲は、「オペラ座の怪人」だ。笑顔でリンクインすると、胸に手を当て、心を落ち着かせてから演技を始めた。冒頭のダブルアクセルは綺麗に着氷するが、次のサルコウジャンプが抜けてしまう。それでも、トリプルトウループ‐ダブルトウループのコンビネーションジャンプは確実に決めた。ピアノの音色とボーカルが入ったステップでは、しっとりと舞い、ジャッジの前でアピール。美しいビールマンスピンも披露し、観客を魅了した。その後もジャンプのミスがあったものの、「東日本選手権という舞台を楽しめた」という言葉通り、笑顔で演技を終えた。優美な世界観を表現した大人の演技は、みる者をうっとりとさせた。中学1年から出場を続け今回が最後となった大会を終え、「ほっとするとともに少し寂しい気持ち」と振り返った鈴木。残り少ない試合の中で、「ショートプログラムでしっかりジャンプを決めたい」と目標を語った。スケート人生の集大成となる物語を紡ぎ、美桜スマイルを見せてほしい。

「The Notebook」はステップが印象的だ

次に登場したのは、ショートプログラム9位と、全日本選手権を狙える位置につけた庄司。曲は、「The Notebook」。コーチと握手をしてから、スタート位置に向かった。序盤はトリプルトウループ―ダブルトウループなど、すべてのジャンプの要素を確実に決める。コミカルな曲調のステップでは、手首を使った振り付けと朗らかな表情で楽しく演じた。だが、中盤は「この一つのジャンプが全日本につながっていると重く捉えてしまった」と振り返るように、ジャンプが乱れる。それでも、その後はミスを引きずることなく、トリプルトウループやダブルアクセルを綺麗に着氷。しっとりとした曲調に変わった後半のステップでは、体を大きく使って情感豊かに舞い、思い入れのあるプログラムを演じ切った。全日本を逃した悔しさを滲ませながらも、「今までで一番成長できた」大会と振り返った庄司。 「自分の中でかけがえのない宝物というか、来年やまた次の試合につながる試合だった」と、充実した思いを語ってくれた。怪我や練習に前向きになれなかった長い時期を乗り越え、復活を遂げた今季。確かな手応えを胸に、次のステップへと踏み出す。

 全日本選手権には惜しくも届かなかったものの、両選手の強い思いがこもった美しい演技は、多くの観客の心に響いただろう。選手たちは、国体予選やインカレといったさらなる目標に向かって進んでいる。 

(記事 反保真優、伊藤史織、西村夏菜)

 

◇以下、選手コメント

鈴木美桜(法4

SP後

(東インカレから間も無いがコンディションは)特に体調を崩すこともなく、調子もそのまま維持はしてきていたので、コンディションの方はうまく調整できたかなと思います。(演技を振り返って)やっぱりトリプルジャンプが2本とも入らなくて点数もあまり出なかったです。今は終わったばっかりで何がだめだったかとかどういうところをもっと気を付けなきゃいけなかったのかというのがまだ自分の中で整理できてないので、結果が出たら自分でこの後しっかり振り返って、また明後日のフリーに向けて改善していきたいと思います。6分間練習では比較的ジャンプがよく決まっていたがジャンプの調子は)昨日も前日練習があって、いろんな選手が「このリンク滑りにくい」と言っている中、私はこのリンクは合っているなと自分でも思っていたので、本番でたまたまできなかったというくらい練習ではしっかり落ち着いてできていました。フリーに向けて気持ちさえ立て直せれば大丈夫だと思っています。(東インカレでは落ち着いて臨めたと振り返っていたが、今大会は気持ちの面ではどうだったか)朝少しジャンプで乱れていた部分があったので、そこでしっかり気持ちを切り替えて臨んだつもりだったんですが、ショートでジャンプ3つとなるとどうしても意識してしまう部分が心のどこかではあったのかなと思います。(試合前にコーチの方から何か声はかけられたか)朝終わって少し喝を入れられたというか、もっと自信を持ちなさいと言われました。出る前も佐藤信夫先生、久美子先生にも今までやってきたことを信じてと言って下さったので、あとは自分の気持ち次第だと思って臨んだつもりでした。(フリーに向けて)明日1日空くので、少しまた落ち着いて、フリーでは思い切りやるだけだと思うので、東インカレの時みたいに気持ちで引かないように前に向かって進んでやるだけだと思って頑張りたいと思います。

FS後

(演技を終えて今の気持ちは)何で最後転んじゃったんだろうという感じです。でも今は、後悔は無いと言ったら嘘なんですが、もっとこうすれば良かったなとかもっと攻めれば良かったなという気持ちではなくて、とりあえず終わったという感じで、ほっとするとともにちょっと寂しい気持ちです。(演技を振り返って)全体的にはすごく落ち着いて演技はできていたかなと思います。2個目のトウループの前とかでちょっと後ろに向いた時にグラっていってしまったときに、一瞬「あっ」っと思ってしまったので、そういう面でもう少し最後まで気を抜かずにジャンプができたらなというのはあります。(ショートプログラム後、重点的に練習してきたことはあったか)ショートの後も調子は全然悪くなくて、昨日のお昼の練習でも本当に調整する程度っていう感じで特に重点的に直して取り組んだというものは無いです。(ジャンプ構成で何か作戦はあったか)本当は1個目のトウループで3連続の予定だったんですけど、トウループを降りた時に少しぐらついてしまったので、ここをトリプルトウループ、ダブルトウループだけにして後半のフリップのところで3連続にしようと演技中に変えたところはありました。(ラストシーズンとなったが、今大会への思いは)東日本という舞台が中学1年の時にジュニアに上がってから10回目でした。やっぱり全日本に出るためにはどうしても通過しないといけない舞台で、もちろん意識してしまうところはあるんですけど、ショートが終わった時点で「全日本」というよりかはフリーでどれだけ自分の演技ができるかだと思っていました。そういう意味では最後の東日本だったんですが、東日本という舞台を楽しめたかなとは思います。(インカレ出場も決まっているが、残り少ない試合に向けてどのようなプログラムにしていきたいか)インカレでショートがもう一度滑れて、今のショートプログラムは全然完璧に滑り切れてないので、まずはそのショートプログラムでしっかりジャンプを決めたいです。「Time to say goodbye」という曲を選んだので、きちんと引退のような演技ができるようにしたいです。フリーは本当に今日みたいに自分が楽しんで滑れればいいかなと思っています。

庄司理紗(総3

SP後

(東インカレから気を付けてきたことは)先週の試合がフリーだけだったので、ショートに関してはブロック大会の良いイメージがそのまま残っていました。6分間(練習)もそうで、普段も全然ループが決まらなくて、レベルアップしたい気持ちがあってループに変えたものの、ずっとサルコウに変えようか迷っていました。全日本に出る、出ない以前に自分の中で今年の締めくくりとして良いものを、挑戦して終わりたいという気持ちがあったのでループを入れて、それが入ったので良かったと思います。(今大会への思いは)去年の今の時期と比べると、自分が練習をいっぱいしてきたという自信につながるものがすごく大きかったので、まだまだなんですが、緊張する場面で頑張れているなとは思います。このような大きな舞台で東京から離れたところでやることになって、全日本に行きたいという思いもあったのでプレッシャーはあったのですが、最終的にのびのび楽しむことをイメージしてやってきました。(試合前にコーチの方とは)私はよくジャンプの前に迷って、特にアクセルは前から踏み込むので他のジャンプよりやめやすいんですが、「そういうところで迷わないで思い切って跳べば、できるよ」と言われたので、どっちみちもし失敗するにせよ、思いっきり迷わず跳ぼうと思いました。(演技を振り返って)緊張はしていたんですが、音が鳴った時にちゃんと氷には乗れていたので、落ち着いていたかなと思いました。東インカレの時はあまり集中できていなかったのですが、それができていたのでちゃんと楽しんで思いっきり滑ることができたと思います。(フリーに向けて)東インカレの時が特に、自分の中で楽しめなくて、小さくなって、小さくなってしまったので、自分なりに点数や順位は気にしないで、できるだけ大きく私なりの「きみに読む物語」の世界が伝わったら良いなという気持ちで楽しんで踊れたらと思います。

FS後

(ショートから調整してきたことは)私の中でどこのジャンプが心配というのは特になかったのですが、ちゃんと4分間集中してやり切ること、また、ジャンプ自体を直すというよりは変に壊さないように、維持をしようと調整してきました。(ショートは9位。全日本が見えない位置ではなかったが、演技前に意識はしたか)狙ってしまって、ミスがありました。悪い出来ではなかったんですが、私の中でスイッチが入ったのが秋に入ってくらいで遅かったのでもう少し早くから準備をちゃんとしておくべきだったと反省しています。残りまだシーズンはあるので国体予選に向けて練習でやっていることが試合でできるようにしたいなと思います。(演技を振り返って)今日は特に自分に負けないことを意識してやりました。氷にもちゃんと乗っていて、調子も悪くなくて、ただ、(全日本に)手が届きそうな位置にいただけに変に固まってしまいました。「この一つのジャンプが全日本につながっている」と重く捉えてしまったのが原因かなと思って、もっと軽くいつもみたいに跳べば良かったのかなと。そういう面では集中ができていなかったのかなと思うんですが、東インカレの時とは違って前向きだったので、あまり悪かったなという風には思わなかったです。(今大会は自身にとってどのような大会になったか)今までで一番成長できたなと思っています。けがが続いたりだとか思うように練習に前向きになれない時期からすごく何年もかかってしまって、やっと前向きにいつも練習できる年になったので結果としてフリーはあまり良くなかったですが、自分の中でかけがえのない宝物というか、来年やまた次の試合につながる試合だったなと思います。

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