【ラクロス(女子)】〈新体制企画〉動き出した18チーム。友岡阿美主将×小久保磨里奈副将対談

女子ラクロス

新チームについて話す友岡(左)と小久保(右)

昨年栄光の日本一に輝いた17チームの引退から約2か月。新たな慶大女子ラクロス部が2月8日のキックオフをもってついに始動した。今年彼女たちは、上昇気流を意味する“UPDRAFT”をスローガンに掲げ、「全戦勝利」に挑む。今回は新幹部の友岡阿美主将(新政4・慶應女子)と小久保磨里奈副将(新政4・慶應NY)から、動き出した18チームについてお話を伺った。

【取材日 2月20日(火)】

 

 

――キックオフから2週間近くが経ちましたが、自分たちが主導するチームになったという実感はありますか?

友岡:めっちゃありますね(笑)

 

――例えばどのようなところでそう感じますか?

 小久保:今までは先輩たちが出してくれたメニューに対して全力で取り組もうという気持ちが大きかったんですけど、自分たちがチームを作っていくうえで、「こういうところが足りないからこういうことをやるべきだよね」って、学年的にも主体的にならなきゃいけないと感じました。より考えて出した結論をみんなで求めていくっていうのが今私たちの代で頑張っているし、できているのではないかと思います。

 

――現在は具体的にどのような活動をされていますか?

小久保:技術練ですね。今の時期は春合宿も含めて、技術を徹底的にやって、リーグ戦までに技術力を上げるという時期なので、本当に基礎的なメニューばかりやっています。

 

――チームの雰囲気が変わったと実感することはありましたか?

友岡:チームの雰囲気…。

小久保:やっぱり先輩がいないのは大きいし…でもいい意味で自由にやれるし、私たちオフが明けるまでもずっとチームについて考えてきたので、それをやっとみんなに提供できるというか…

友岡:解放できるというか?

小久保:そう!バーンって解放している感じなので、そういう意味では変わったのかな…?

 

――先日、17日にはチーム初戦となる六大学戦東大戦(記事はこちら)がありましたが、チームの完成度という面においてどのような印象を受けましたか?

友岡:まだまだ走れるかなという感じが大きかったです。やっぱり去年と同じではだめだということを自分たちも思っているので、去年できたことをまず越さなきゃいけないし、もっと上を目指すためには、試合だと点数だけを見ればいいかなと思うんですけど、私たちの求めているレベルではないのかなというのが正直な感想です。

 

――次に昨シーズンの振り返りをしていただきたいのですが、お二人とも昨年はどのような一年でしたか?

新主将の友岡

友岡:私はまず2個前のシーズンがずっとサブチームにいたので、リーグとかを経験していなくて、それで去年からリーグに出て。でもやっぱり自分がやってきたことの積み重ねから自信もついていたし、去年はきちんと自分のやるプレーに対して自信を持っていたことが大きかったです。自信をもってそこに取り組んでいたからこそ、日本一の舞台にも立てたし、日本一に自分が貢献できたのかなとも思います。だからこの2年と3年というのはいろんな意味で、いろんなチームにも行ったけど、すごくいい経験ができたと思います。

小久保:去年は、最初トップチームから入りました。一昨年もトップチームにいたんですけど、去年は絶対スタートからレギュラーを獲ろうという気持ちでした。でも、早々に怪我をしてしまい、結構辛かったです。それでも、やっぱりリーグ戦までには絶対スターティング獲りたいと思って、最初は自分ができるトレーニングをやって、練習に復帰したら、「自分が魅せる」という気持ちでやっていました。結果的には日本一という舞台に立つことができたし、スタートとしても出ることができました。でも、まだまだ爆発しきれていないなというのが去年の反省点としてあるので、今年は何の後悔もなくやり切ったと、爆発して終わりたいと思います。

 

――昨年果たした大学日本一、そして全日本優勝。あのときを振り返っていかがですか?

小久保:大学選手権は確実に獲ったと思う。

友岡:獲るっていう確信もあったし、関東のレベルが高い分、関東のFINAL4ですごく苦しんで勝ち抜いて、そこからあと2つは試合でやってきたことをやるだけでした。相手も学生だし、やることは変わらないなという面で確実に獲ったと。ただなんか、学生じゃない方がなかなか…

小久保:うんうん。でも関東のレベルは高いと感じました。社会人の方は全然違う雰囲気の試合だなと思いました。学生は学生同士なので、「取りたい」「優勝したい」っていう気持ちが強くて、気持ち込みの戦いでした。まあ、気持ち入っていないって言ったら変なんですけど。社会人はラクロスしている経験が長いので、自信があるし、それこそ本当に技術の高い人が多いので、どれだけ私たちが気持ちで食いついていけるか見せてやるという感じの試合でした。

 

――昨年引退された出原佳代子前主将(経4・慶應女子)の代の印象はどのようなものでしたか?

小久保:ポテンシャラーだなという感じです。技術的にも上手いし、スター性がある。プレーも目立つし、本当にすごいなって(笑)とりあえずポテンシャルがすごいって思っていました。

 

――次に新主将、副将としての質問です。お二人ともどういった経緯で主将と副将になりましたか。

友岡:(私が)決まったのは11月くらい?

小久保:11月終わりくらい?

友岡:そこから(副将が決まったのは)2週間ぐらい?12月半ばくらいか。

小久保:え、全日(全日本選手権)終わるときに決まってなかったっけ?

友岡:いや決まってない決まってない。

小久保:あ、12月31日ぐらいに話してたじゃん私たち。

友岡:そうだそうだ(笑)

小久保:だから年明けくらいに確定した感じです。

 

――別々に? 

小久保:はい。

 

――話し合いで?

 小久保:学年でずっとミーティングを重ねて。

友岡:25人でひたすら喋ってみたいな感じで。

小久保:誰がいいかとか一人一人意見を言っていって、その中でいろいろ考えて決まりました。

 

――友岡選手は主将に立候補されたのですか? 

友岡:立候補はしてないんですけど、他薦で何人かから挙げてもらったときに「私はやる覚悟はある」という話をして、そこで任せてもらいました。

 

――出原前主将と竹村薫前副将(環4・桐蔭学園)からは何かコメントを頂きましたか? 

友岡:頑張ってねとしか(笑)

小久保:それくらいだね(笑)

友岡:自分たちがすごく大きなタイトルを掴んだ分、私たちにも取ってほしいという気持ちはあったと思います。頑張ってほしいというのは私たちだけじゃなくて、この代とかこの下の代とか、自分たちの後輩に対して全員におっしゃっていました。

 

――就任してから自身の中で意識や心境に変化はありましたか? 

小久保:元々(昨年も副将をやっていたん)ですけど、責任のレベルが違いますね。去年は佳代子さんと薫さんがいて、サポートとしての副将だったので。それがもういなくて、「私たちが引っ張っていかなきゃ」という意識をもって、この100人を超えるかもしれない大所帯を引っ張っていかなきゃいけなくて、その一人一人に対して私は責任を持たなきゃいけないんだなという面では変わりました。

友岡:私はまーぴ(小久保)と違って元々(幹部に)就いていなくて、ただ育成を去年やっていたりして、チームを作るということに関しては変わらないかなと思っています。そこでは個のコミュニケーションを大切にしていた部分があるので、それをやっていけたらいいなと思っています。でも、やっぱり個のコミュニケーションだけじゃなくてチーム全体を見るとなってくると、立場としては違うなと感じています。今ですら83人いるので、これがもし100人に増えたら100人をどう見ていくか、どういう風にコミュニケーションをとって、個だけじゃなくてチーム間とかでも交流を足していくのか。いろいろな人が密に関われるようにするためにはどうしたらいいかなっていうのをすごく考えるきっかけになったと思います。

 

――お互いそれぞれがどのような主将、副将だと思っていますか? 

小久保:主将決めのときからなんですけど、「阿美しかいないでしょ」みたいな。その安心感というか、なんだろ…。やってくれるでしょうみたいな。言い方は変ですけど、そういう信頼があったから託したいし、絶対阿美ならできると。それを引っ張っていけるリーダー性もあるし、いい意味で意見がはっきりしているので、時には厳しいことも言うんですけど、それでもみんながついていきたいと思う主将だと思います。

友岡:ありがとうございます。

 

――友岡主将から見た小久保副将はいかがですか?

 友岡:小久保副将は、去年から副将をやっていて、すごく部のことも分かっています。自分が全く(幹部に)就いていなかったので、すごく安心感があって、わかっている人がいる分、頼れるし、いいなと思っています。あとは、ラクロスに対しても、何に対しても、とても真面目です。ラクロスに対する熱意が人から見たときに「すごく熱いな」と思える人なので、そういう人にみんながついていきたいと思うし、私もそれに負けてられないなと思えます。適任だと思うし、普段は見えないけどガッツみたいなものを上の人が見せてくれると、みんなもついていきたくなるので、すごくいい副将だと思います。

小久保:ありがとうございます。恥ずかしいね(笑)

 

――こんな主将・副将になりたいという理想像はありますか? 

小久保:単純に「18チームすごくよかったね」っていうチームが作れて、最終的にチームが終わったときに「阿美さんが主将で、まーぴ(小久保)さんが副将でよかったな」って言ってもらえるような、単純ですけど、そう言われたいです。

友岡:私自身、主将という役に就いたから偉いというのは全く思っていなくて、ただの名前を貰っただけで、みんなと対等だし、別に何が偉いというわけじゃないと思っています。だからそこで一歩引いてコミュニケーションをとられたりするのがすごく嫌です。自分も結構ふざけていたりして、そういうところで楽しくコミュニケーションをとりたいなと思っているので、良くも悪くも遠い主将より、どの人とも近い主将・副将であったらいいなと思っています。「いいチームだったね」って言われるのもそうなんですけど、勝っていく姿勢を私たちがいかに見せられるかみたいなのも大事だと思うので、そういうのもなりたい像かなと思います。

 

――続いて動き始めた新チームについてです。今シーズンのスローガン、UPDRAFTについて、どういう思いがありますか?

新副将の小久保

友岡:私たちがこれからこのチームで何をやりたいかというのを考えたときに、自分たちの力もどんどん爆発させて上に向かっていくっていう、上への意識もすごく強いんだけど、でもトップチームだけが勝ちに行くんじゃなくて、サブチームもそうだし、1年生もそうだし、なんなら周りの人、家族とか慶應のファンって思ってくれている人たちも、全員巻き込んで上を目指したいという思いがあったので、「上昇気流」いいんじゃない?みたいな感じで決まりました。

小久保:あとは、ラクロス界に新しい風を吹かせるという意味でも「上昇気流」にしました。いまは広報のアプローチだったり、ファンクラブを作ろうだったり、そういう新しいことにチャレンジしようと考えているので、そう意味でもUPDRAFTはいいんじゃないかとなりました。

 

 

――今年の目標は「全戦勝利」ということですが 

小久保:去年は確かに真の日本一を獲ったんですけど、リーグ戦の東海大戦を引き分けて、やっぱり全戦勝利で真の日本一になりたいねということになって、あえて全戦勝利をいれました。

友岡:去年成しえなかったことを全部したいという思いがあります。

 

――2連覇のプレッシャーは感じていますか? 

小久保:いや。私たちの考え的には、いい意味で去年のことは忘れようとしています。忘れようって言ったら変ですけど、去年は去年で置いておいて、2連覇とかそういうのはなしで、ゼロから考えようみたいな。ゼロから私たちのチームを作って、ゼロから真の日本一になるために自分たちで頑張っていこうとしていたので、プレッシャーとか特にないよね?

友岡:うん。プレッシャーはない。

小久保:今は、これから作り始めて日本一に向かう段階!という感じです(笑)

友岡:必死にやるだけ!みたいな(笑)

 

――新たに設置されたアナライジングチームとはどのようなチームですか?

友岡:キックオフする前に学年ミーティングを重ねるんですけど、「慶應のチームに何が足りないか」みたいな話をしたとき、「分析は頑張ってやっているけど、やっぱり個人個人のプレーだし、それが積もり積もるものじゃなくて結構単発で終わっているよね」という話が出ました。アナライジングはこれから絶対に必要になってくるし、自分たちの代で勝ちたいと思うんだったらそれぐらいの注力はしなきゃいけないなって話になって、アナライジングに興味のある子たちが上に立って、どういう風に分析してみたいなのを考えていく。まだ始まりかけなので具体的な話はできないんですけど、相手校の分析とかに力を入れて頑張っていこうみたいなのがアナライジングチームです。

 

――他に、この代で新しく変わったことはありますか。 

小久保:あとは、組織的な面で改革をしようとしています。誰がどの係をやるかというのがなあなあになっていた部分があったんですけど、人数も増えてきて、しっかり役職の仕事を分けて組織化しようということで、今年は広報の中でも枝分かれして、一人一人に責任を持ってもらって、主体性を持つようにしています。

友岡:あと、「海外の大学と試合したい!」という思いは強いんですけど、それを積極的にアプローチかけているのが海外遠征しかなくて、「もっと海外と関わりたいよね」みたいな話になりました。そこで、国際部というのを立ち上げていて、ラクロスが普及していない地域、ラクロス人口の少ない台湾やアジアの方を誘致して、ここでラクロスを一緒にしましょうみたいなのができたらベストだよねっていう話をしていました。

 

――現在の最高学年(新4年)はどのような学年だと思いますか?

友岡:仲いいとは言われるよね。

小久保:うん。

友岡:悪くはないよね、間違いなく。

小久保:そうだね。ちょっと幼いのかな?

友岡:騒ぎすぎちゃうよね。楽しくなりすぎちゃう(笑)

小久保:ちょっと楽しくなりすぎちゃう(笑)同期でたまたま練習するとき、楽しくて、わいわいわい!みたいになっちゃって、集中力がなくなっちゃうときがよくあります。楽しくなりがちだよね。

友岡:でも結構厳しく言う人もいるので。「それは絶対ちがうよ!」みたいな。

 

――その役割はどなたが?

二人:(石川)のどか(新政4・品川女子学院)とか(笑)

友岡:まあ私もやるし、まーぴ(小久保)もやるし。学年ミーティングをしていても、私たち議論が白熱しすぎると、わーってなっちゃうんで、最終的に挙手制が始まる(笑)「はい!」「はいあなた挙手!」みたいな(笑)ある意味楽しいよね。うん、楽しい学年だと思います。

 

――逆に、後輩の印象は

 友岡:一個下は私たちよりは控えめ。でもすごく頑張っている人が多い学年。

 小久保:真面目?

 友岡:ただ私たちとカラーが違うから見えてこないだけで、すごく頑張っているし、真面目なところに火が付いたらぼん!っていくと思うので、その力が欲しいね。

 小久保:借りたいですね。

 

――現1年(新2年)については? 

小久保:1年は元気。とりあえず元気です(笑)

友岡:なんかもう元気。

 

――自分たちの代と似ている?

友岡:似ていなくはないけど…

二人:似てないですね(笑)

小久保:元気さが違うよね。

友岡:それは若いんじゃない?ただ単に、1年っていう若さかもしれない。

小久保:そう、若い(笑)とにかく喋るし、すごい質問してくるし

友岡:物怖じしない代かもしれない。

小久保:本当に私たちより遠慮がない。

友岡:ガツガツ来ますね。

 

――最後に今後について。まずこれから行われる春合宿ではどのようなことを課題にしていますか

 小久保:春合宿は本当に基礎。基礎練で、技術力と運動量を10パーセントアップというのを今私たちは言っています。やっぱり技術をメインに特化するという形になると思います。

 

――運動量10%アップというのは? 

小久保:今年は走る質を変えようとしています。去年は走量という意味で運動量と言っていたんですけど、今年は走量ももちろん、その中でもスタートダッシュの走るスピードだったりとか?

友岡:切り替えしとか?

小久保:うん、切り返しのときのスピードの質とか、走る質をもうちょっと向上する意味で10%増しです。

 

――現在行われている六大学戦は、チームにとってどのような大会であると位置づけていますか?

友岡:やっぱりリーグで勝ちたいという思いが強いので、そのリーグからどんどん逆算していって、じゃあ今六大戦で何が必要で、この試合で何かをやったときにどういう課題が得られるか、みたいな。いい意味でステップアップしていくための場所であるという風に捉えています。私たちもそうだし、下の学年ももっとどんどんチャレンジして課題を見つけるっていう期間です。

小久保:チャレンジする場という感じです。

 

――今後試合をしていく中で、気になるチームはありますか?

友岡:とりあえず全部勝ちたい!

小久保:とりあえずね。

友岡:負けたくないよね、普通に。

小久保:とりあえず最初に早慶戦は勝ちたいね。

友岡:勝つ。

小久保:勝つしかないよねって感じです。

 

――では、今年の個人の目標はなんですか?

小久保:私はさっきも言ったように、爆発する。去年は結構DFメインでやっていたんですけど、今年はATも入る気満々でいるので、そういう意味でATでもDFでも爆発したいです。自分ができることを全部出して、失敗を恐れずチャレンジしまくって、後悔なく全部出し切ります。それが目標です。

友岡:私は、前線のプレイヤーとして点を取りに行かなきゃいけないと思っているし、すべての得点に絡めるようなプレイヤーになりたいと思っています。そこには手を抜かず、すべてのプレーを全力でやるっていうのもそうだし、それを見た誰かが「あれに負けていられない」という思いをもってくれるようなプレイヤーになりたいです。とにかく勝ちたくて、点を取るしかないので、必死に点を取りに行く、点に関わりに行くプレイヤーになりたいです。

 

――最後にチーム全体の抱負をお願いします

小久保:全戦勝利で日本一だよね。

友岡:ラクロスの勝利はもちろん、「ラクロスってこんなに面白いスポーツなんだ」ってみんなに思われたい。「慶應ラクロスってこういうチームなんだよ」っていうのを発信したうえで、みんなが見に来てくれて、「うわ!めっちゃ強いじゃん!応援したい!」みたいなのも欲しいね。

小久保:うんうん。

友岡:それをやるためにはやっぱり勝たなきゃいけないし、勝ったらそれを見てくれるし。ここをどっちも全力でやるのがチームとしていいんじゃないかと思います。

小久保:いいと思います。

友岡:じゃあそれで(笑)

 

――お忙しいなかありがとうございました!

 

 

(取材:堀口綾乃 写真:内田貴啓)

 

 

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