第76回早慶バスケットボール定期戦まであと2日。早慶戦企画第6弾となる今回は、慶大OBで栃木ブレックス所属の竹内公輔選手(2007年卒)のインタビューの模様をお届けする。洛南高、慶大、そしてプロでも輝かしい実績を残している日本最高峰のビッグマンが、なんと先日行われた現役vs OB戦(記事はこちら)に参加。その試合後の貴重なお時間を頂き、プロ生活や慶大時代の思い出、さらにはこれからの日本バスケといった様々な話題についてお話を伺った。
――2017-18シーズン、栃木ブレックスはシーホース三河に敗れ、クォーターファイナルで敗退となりました。この1年を振り返っていかがでしたか?
昨シーズンのメンバーが抜けたり、チャンピオンチームというプレッシャーがあったりした中、なんとかチャンピオンシップには辿り着くことができたので、もちろん満足はしてないですけど、次のシーズンに繋がる一年にはできたかなと思います。
――個人としてはどんなシーズンでしたか?
もっとできたとは思いますね。今、シーズンが終わって改めて振り返ってみると、もう少し我を出しても良かったかなと思います。
――2016-17シーズンはBリーグの初代王者の一員となりました
優勝するまでは本当に大変な道のりでした。多分実力だけでは優勝できなかったと思うので、やっぱり運も必要で、そういったものが無いと勝ちあがれないんだなっていうことは、優勝してから改めて感じました。
――一方で2017-18シーズンは、弟の竹内譲次選手が所属するアルバルク東京が優勝しました
僕らは今年、アルバルクに一度も勝つことができなかったし、すごく完成されたチームだったと思います。聞いた話によると、ものすごい練習を重ねていて、どのチームよりも練習していたとみんな言っていました。練習すれば勝てるっていうわけではないですけど、チームのルールを全員が守ってプレーする、素晴らしいチームだったなと思いますね。
――ここからは慶大時代の話に移りたいと思います。まずは慶大に進学を決めた理由を教えて頂けますか?
バスケットだけやる、バスケットだけやりたい、という人間にはなりたくなかったのが一番でした。そこでSFCは色んな授業があることを知って、バスケ以外のことも学べるかなと思って、慶大にしました。
――慶大バスケ部でも輝かしい実績を残しました。4年間振り返っていかがでしたか?
今思えば短い4年間だったな、と思いますね。初めて親元を離れて一人暮らしを始めて、午前にSFCの授業に行って、日吉に移動してバスケして・・・。練習して家に帰ったら夜の10時とかだったので、今考えるとよくやれたなあと(笑)。けれどその分すごく濃かったし、楽しい4年間でした。
――早慶戦の戦績は3勝1敗でした。印象に残っていることはありますか?
僕は4年生の時に日本代表の方に行っていたので(早慶戦に)出られなくて、それが1敗の時でした。なので、正直自分の中では「自分が出ていたら勝てた」というのがあって、現にその後のリーグ戦では、自分が出場してちゃんと早稲田に勝てました。「あの大学にはなめられないようにしないといけない」というのが、慶大のバスケットボール部に入ったときからありましたね。早慶戦の思い出っていうよりは、「この大学には早慶戦で負けられない」というような感じです。だから4年生の時に僕は出られなかったけど、後のリーグ戦では「お前ら勝てへんぞ」っていうのを見せてやりたかったし、力を示したかったですね。
――慶大の現役生と戦ってみていかがでしたか?
来週に大事な試合があるので、しっかりと仕上がっているなと感じました。自分たちが動けなくて相手にならなかったというのはあると思いますけどね。僕的には、チームの練習が明後日から2カ月ぶりに始まるので、久しぶりに良い運動になりました。懐かしいメンバーにも会うことができて、こういった風にOB戦を企画してくれるのは嬉しいです。
――気になった選手はいましたか?
気になった選手、というよりはチームとしてしっかりとバスケットができているな、と。言い方は悪いけど、物凄いタレントはいないと思います。でもそのことをしっかり理解して、全員でバスケットをしている印象を受けました。
――現役生に何かアドバイスはありますか?
戦術とかについては、僕はあまり口出ししたくないので出来ないです。一番は「遠慮するな」ってことですかね。天皇杯で大学生と試合をすることもありますが、彼らの持ち味はやっぱり思い切りの良さだと思うので、それは忘れずにやってほしいです。
――前日(6月29日)、バスケットボール日本代表はオーストラリア代表に歴史的勝利を収めました
新しい二人のメンバー(八村塁選手、ニック・ファジーカス選手)が、あそこまでチームを変えるのか、というのは感じました。あの二人が入ったことによって、周りのメンバーにプレーや心の余裕が生まれているなあ、と。状況判断もみんな良かったと思いますね。
――八村塁選手や渡邊雄太選手らは、まさに“竹内兄弟”以来の黄金世代と言えると思います。今の大学生選手にどんなことを期待したいですか?
八村選手なんかは本当にNBAに行けそうですしね。彼らが日本のバスケットを変えていかないといけない。でも彼らだけでは絶対に世界では勝てないし、周りのメンバーも彼らに続くようにならないといけない。“期待”というより、日本のバスケットを背負っていくことは、彼らにとっては“使命”だと思っています。もちろん僕が言わなくても彼らはわかっていると思うけれど、しっかりと責任をもって、年齢とかに関係なく引っ張っていってほしいですね。
――先日、竹内選手は栃木との契約継続が発表されました。2018-19シーズンへの意気込みをお願いします
もちろん王座奪還はしたいです。ありがたいことにファンも年々増えているので、そのファンの方々に楽しんでもらえるように意識したいです。それが一番です。
――最後に慶大のバスケファンに一言お願いします
最近は大学のバスケットを見ていないのであまりわからないし、他の大学はどうかも知らないけれど、本当に真面目に一生懸命やっていると思います。当たり前ですけどね。あとは、緻密さや勤勉さはどこの大学にも負けないと思うので、そういったことを選手がいかに出しているか、というのを見てくれたら面白いんじゃないかなと思いますね。
(取材:徳吉勇斗、写真:内田貴啓)
◆竹内公輔(たけうち・こうすけ)
206cm/100kg/PF・C/1985年1月29日生まれ/洛南高‐慶應義塾大/現・栃木ブレックス
慶大バスケ部OBで、現在はBリーグの栃木ブレックスでプレーする。高校時代には弟の譲次とツインタワーを形成し、3年時にウィンターカップ優勝、国体優勝を果たす。慶大でも1年時に1部昇格、2年時にはインカレとリーグの2冠を達成。4年時にもインカレ準優勝、天皇杯8強と輝かしい実績を残した。また個人としても2年時~4年時に3年連続でリバウンド王を獲得している。卒業後に入団したアイシンシーホースでは、ルーキーイヤーにいきなりブロック王を獲得し、新人王&ベスト5に選出。翌年からは2年連続でMVPを受賞した。その後はトヨタ自動車アルバルク、広島ドラゴンフライズを経て、2016年に栃木ブレックスへ加入。先発PFとして活躍し、Bリーグ初代王者の一員となった。日本代表としても、慶大在学中の2004年からプレーしている。圧倒的な高さを活かしたリバウンドやブロックが魅力で、ともに2mを超える譲次との“竹内兄弟”は、日本バスケ黄金期の象徴となっている。
第76回早慶バスケットボール定期戦は7月7日(土)に大田区総合体育館で開催されます。早慶両校の意地と意地がぶつかり合う白熱の一戦を、ぜひ会場でご覧ください!
女子戦12:30~ 男子戦14:30~