【バレーボール】見せつけられた力の差・・・今秋での復活を期す/第38回東日本バレーボール大学選手権 2回戦 vs中大

バレー戦評

大学公式戦初出場の高倉

東日本大学選手権(東日本インカレ)2日目。大東大とのフルセット(1回戦)を終えた慶大は、約3時間後にこの日2試合目に臨んだ。相手は関東1部の中大。序盤からサーブレシーブやブロックフォローなどでミスが相次ぎ、相手の高い守備力を前にスパイクも決められなくなり、ストレートで敗戦。今秋に1部復活を目指す慶大にとって、その力の差を痛感する1戦となった。 

 

 

2019年6月27日(木)

東日本バレーボール大学選手権

2回戦 慶大×中大

@北ガスアリーナ46

 

得点

慶大

セット

中大

18

25

20

25

15

25

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

26

谷舜介(環2・徳島城東)

WS

マルキナシム(総4・川越東)

MB

降小雨(商1・慶應)

OP

15

加藤靖丈(商2・慶應)

WS

吉田祝太郎(政3・慶應)

MB

12

清水柊吾(総3・広島城北)

Li

23

小出捺暉(環2・駿台学園)

途中出場

29

高倉真古都(商1・慶應)

21

富澤太凱(経4・慶應)

17

加藤真(商3・慶應)

宮川郁真(総2・松本県ヶ丘)

18

安達龍一(総1・洲本)

 

 

ダブルヘッダーのこの日、慶大の2戦目が始まったのはフルセットまでもつれ込んだ1回戦(大東大戦)から約3時間後。大東大戦第3セットから出場したOP加藤靖丈(商2・慶應)がスタメンに起用されたが、コートに立つ選手たちの顔ぶれはあまり変わらず、連戦を戦い抜く体力とも勝負することとなった。さらに、相手は関東1部の強敵、中大。「絶対倒すっていう感じで北海道まで来た」と谷舜介(環2・徳島城東)が語るように、2部降格に泣いた慶大が、この1か月の取り組みを試す舞台だ。

 

 

スタメンで起用された加藤靖

立ち上がりの慶大は、伸び伸びとしていた。WS吉田祝太郎(政3・慶應)のバックアタック、MB降小雨(商1・慶應)のブロックで早々にブレイクを奪う。だが、相手も譲らない。正確なサーブレシーブ、多彩な攻撃で着実に得点を重ねられた。中盤、サーブレシーブの乱れから失点が続き、次第に点差を離されていく。なんとか流れを変えたい慶大は、13-21の場面でピンチサーバー高倉真古都(商1・慶應)を投入。すると、大学公式戦初出場の高倉がコートの隅に落とすノータッチサービスエース。慶大のコート、ベンチ、応援席が大いに盛り上がった。このまま流れに乗りたい慶大だったが、最後まで中大が逃げ切り、18-25で第1セットを落とした。

 

 

サーブを打つ高倉

続く第2セット、慶大はOP富澤太凱副将(経4・慶應)をスタートから起用した。なんとか流れを作りたいところだったが、立ち上がりにレフト、センター、ライトの3位置でそれぞれスパイクミスによって失点。慶大は早々にタイムアウトを要求した。その後、Li小出捺暉(環2・駿台学園)が好レシーブを見せたほか、吉田・谷のサービスエースや、マルキナシム主将(総4・川越東)や富澤の気迫のスパイクなどでなんとか食らいついていった。終盤、17-19と追いつきたい場面で、サーブレシーブやブロックフォローでミスが続き、4連続失点。守備増強のため、春季リーグ戦までLiとして出場していた加藤真(商3・慶應)がコートに送り込まれ、直後には昨秋以来のスパイクを決めてみせた。だが、点差を詰めきることはできない。慶大は20-25でこのセットも落としてしまう。

 

 

Li小出のサーブレシーブ

あとがない第3セットだが、またも序盤に連続失点をしてしまう。サーブレシーブの乱れや相手のブロック戦術を背景にMB清水柊吾(総3・広島城北)と降の打数が極端に少なくなってしまった今試合、マルキ、富澤、吉田がスパイクで得点をもぎ取っていく。だが中盤にはブロックフォローなどでミスが目立ち、ずるずると引き離されて行ってしまった。中盤からは加藤靖と宮川郁真(総2・松本県ヶ丘)がコートに立ち、なんとか立て直そうとしたものの、反撃の力は残っていなかった。ばたばたとした印象をぬぐえないまま、15-25で試合終了。ストレートで敗戦し、ベスト32での幕切れとなった。

 

 

終始相手のペースで進む、苦しい展開となった。サーブレシーブやブロックフォローなどの不安定さが目立ったと同時に、両MBが封じられた慶大に「一発で決めきる力がなかった」(マルキ)点も苦しかった。

 

 

マルキ主将の力強いスパイクが戻ってきた

「今の感じで行くと、2部の秋リーグでも結果を残せないと思うので、2部のチームを当たり前に倒せるくらい、余裕をもってプレーできるように」。試合後、清水はこう話していた。入替戦後、新布陣となってから約1か月で迎えた今大会。通用するところ、不足しているところ、新たな可能性・・・色々なことが見えてきた大会だったのではないだろうか。チームはこれから2か月間、秋季リーグ戦までの強化期間に入る。今大会での経験を成長の材料に、さらなるパワーアップを図ってほしい。1季での1部復帰を手繰り寄せる力は、十分に秘めているはずだ。

 

 

(記事:藤澤薫 写真:持丸嘉昭)

 

 

以下、コメント(なお、同日に行われた1回戦についてのコメントも含みます。)

 

 

宗雲健司監督

 

――大東大戦を振り返って

体が全く動いていない中、コンディションも全然悪い中、2セット取られてから、諦めなかったという点は良かったと思います。3セット目以降、相手の攻撃をブロックで引っ掛けることができるようになり、こっちがやっとこさ乗り切ったという感じですかね。諦めなかったという点はすごく評価しています。

 

――大東大とは秋季リーグ戦で再び対戦することになります

大東文化に限らず、学生は油断していたみたいですけど、私はもつれると思っていました、2部の上位は同じような力があるので。受ける形では全くだめなので、1部に上がるんだという気持ちを切らさずに、2部でも戦いたいと思います。こっちのコンディションがしっかりしていれば、もっとできると思うので、ちゃんと対策もします。

 

――中大戦を振り返って

中央さんが強かったですね。力の差があるというか、それは感じましたね。春よりも力の差がある。しっかりとしたバレー、トリッキーなことをやったりとか、それはしょうがないですね。サーブでずっと押されててという感じですね。最後に選手に話したのは、点差がすごく離れて、下向くような恥ずかしいような内容であったけども、最後まで諦めないで集中しようと努力したことは次につながるんじゃないかと思います。

 

――ブロックに捕まるシーンが多かったが

まあ(相手の)ブロックも良いし、こっちのサーブレシーブが良くなくて、セッターの谷のトスも荒れていたので、スパイカーも打つところがなくて、苦しんでいたんだと思います。あんまりスパイカーを責められないけど、もう少し上手に柔らかいところに打って、吸い込ませたり、飛ばしたり、そういう風にしてくれたら良かったですけど、一本調子なのでね、それも改善点の一つですね。

 

――この夏取り組んでいきたいこと

サーブでは1部、2部のチームは崩れないので、ブロックとディフェンスの関係とかを含めてもう一度0から見直すような形で、サーブに頼らないブレイク力を身につけさせたいとは思います。

 

 

 

マルキナシム主将(総4・川越東)

 

――大東大戦を振り返って

朝、(10:00からの)第1試合で、ダブルヘッダーだったので、なるべくストレートで勝ちたいという気持ちが、どこかみんなあって。抑えたつもりは全然ないんですけど、それで立ち上がりが悪くて、そのままズルズルといってしまったんですが、最終的には勝ち切ることができて良かったと思います。正直、体があまり動いていなくて、この後ダブルヘッダーがある大会では、反省点として生かしていきたいと思います。

 

――第1、2セットを落としてそこから逆転できた要因は

特に何かあった訳ではないんですが、やはり気持ちが折れなかったこと、みんな気持ちが折れず試合を通してできたことですかね。1、2セット目も良い所が出ていたので、何に絞ったら自分たちができるのかということが分かっていたので、それが上手くはまったのが3、4、5セット目だと思います。

 

――中大戦を振り返って

ちょっと力の差が出てしまったのかなという、結果からみたらそういう印象だったのかなと思います。

 

――相手ブロックに捕まるシーンも多かった

相手のブロックとディグの関係に対して、正直に打ちすぎて、簡単に上げられて。1部で当たったときもそうだったんですが、サイドアウトが一発で決まらないというのが厳しく続いたのかなと思います。

 

――この夏、チームとして取り組んでいきたいことは

このチーム(布陣)になってからまだ日が浅くて。中央大は今日ジャンプサーブが多かったんですけど、ジャンプサーブが多いチームにもしっかりサイドアウトが取れるような練習というのが一番大事かなと思います。リードブロックのチームに対しては、決まっていると思うんですけど、今日みたいにコミット(ブロック)で対応してくるチームに対して、一発で決め切る力がなかったので、その決めきる力というのが今後課題になってくるのかなと思います。

 

 

 

清水柊吾(総3・広島城北)

 

――大東大戦を振り返って

1回戦も2回戦もなんですけど、やっぱりコミット(ブロック)でくるチームにまだまだうちが弱いなっていう印象があって。1回戦ももっとセッターとの信頼関係を築いていれば、もっと楽に勝てたんじゃないかなと思います。ただ、向こうも調子が良かったとは思うので、そこをもっと我慢して、我慢して、最後まで我慢して、競った上でセットが取れたらなお良かったなと思います。でもまあ結果的には巻き返せたので、そこは良かったと思います。

 

――2セット先取されてしまいました

まだちょっと…みんなそんなに思ってはないと思うんですけど、でもなんか心のどこかでやっぱり下のチームって思っちゃった部分が、そこにつながっちゃったんじゃないかなと思います。

 

――中大戦について

2回戦もまあ1試合目と同じ、結構コミットを使ってくるチームで、そこで上手くこっちの攻撃が組み立てられなくて、サイドアウトがなかなか切れなかった。そこでブレイク何回もされる場面っていうのが、1セットの中で結構あったので、そこをもうちょっと今後しっかりやっていかないといけないなと思います。

 

――今サイドアウトのお話がありましたが、ブレイクに関しては

結構ブロックとかはしっかり作戦立てていて、そこは多分、まあもっとコミットの1:1のブロックの技術をもっと上げていかないといけないっていうのはそうなんですけど、こっちのチャンスボールが返って来たり、向こうがフェイントしてきたりしたときの切り返しでこっちが点を取れていなかったので、そこはもうちょっと、段トスであったり、つなぎであったりとか、最後決め切るスパイクの能力だったりとか、そういうのが足りなかったんじゃないかなと思います。

 

――秋季リーグ戦までの期間で強化していきたいところは

自分としては、もっと谷とコンビを合わせます。僕の特徴とか、他の人にないところはやっぱり幅を使えることなので、その攻撃の精度をもっと上げていきたい。あと、ブロックも。ブロックの手の出し方とか、ステップとか、まだ全然改善の余地がたくさんあると思うので。樫村(樫村大仁=環3・茨城高専)が戻ってきたときに、自分がコートに立てるように、頑張りたいです。チームとしては、崩れたときにまだ立て直す力っていうのが全然ない。多分この今の感じで行くと、2部の秋リーグでも、結果を残せないと思うので、2部のチームを当たり前に倒せるくらい余裕をもってプレーできるように、もっと細かいところを詰めていく必要があると思います。

 

 

 

加藤靖丈(商2・慶應)

 

――大東大戦を振り返って

大東大戦は、正直勝って良かったな、っていう、あんまり喜べないってのが正直な感想です。これから2部でやる相手なので。勝ってよかったんですけど、あんまり相手に対応できていなかったというのが正直なところで、それでも勝ち切れたのは良かったなっていう感じですね。

 

――中大戦について

戦う力がないわけじゃないっていうのは全員分かっていると思うんですけど、だけどそれでなんか力の差が出ちゃったのかなという感じの試合でした。

 

――慶大のスパイクがブロックに阻まれるシーンが多かったように感じました

相手のサーブに崩されてブロックつきやすかったっていうのはあるんですけど、やっぱり、似たような状況になったときに、中大のほうがこっちのブロックが揃っていても(ブロックの隙間を)抜いて来たりっていう対応力があって、自分たちはそれで多分打つしか選択肢がなかったのかなと思っていて。そこでちょっと、ブロックに阻まれてしまって、そこが点差になって表れたんじゃないかなって思います。

 

――ご自身のプレーを振り返って

昨日よりも出場時間が長かったんですけど、サーブがちょっとあんまり良くなくて。サーブ以外のスパイクとかはまあ良かったんですけど、あんまり…とくに2試合目の中大戦で、スタメンで出させてもらったんですけど、そこであんまり期待通りの活躍ができなかったっていうのが、あんまり良くなかったなと思います。

 

――夏の期間、強化していきたいところは

多分色々あるとは思うんですけど、全体的なスキルアップ以上に、やっぱりメンタル面。試合がないこの2か月くらいでどれだけそこがレベルアップしていくかが重要だと思っています。個人としては、スパイクとサーブの攻撃面で期待されているものを伸ばさきゃいけないと思っていて。あとはディフェンスでも、「取れるかもしれないボールを確実に取る」っていう、そういう確実性を目指していきたいと思います。

 

 

 

谷舜介(環2・徳島城東)

 

――大東大戦を振り返って

朝一っていうこともあって、1・2セット目、多分みんなだと思うんですけど、なかなか思ったように動けずに、ようやく3セット目からちょっと動きが良くなってきて、自分たちのバレーを展開しようっていう話でやっていきました。

 

――中大戦について

今回中央と当たるっていうのは(組み合わせ発表時点で)もうわかっていて、絶対倒すっていう感じで北海道まで来ました。1セット目からみんな良い動きはしていたと思うんですけど、要所要所でその集中力が抜けたところを攻め込まれたかなという感じがします。

 

――計8セットの中でスパイカーが何人も出場されましたが、各選手について

(吉田)祝太郎さんは、キャッチもずっと返してもらっていて、なかなか自分のトスが合っていないけど、それを打ってくれていて、ありがとうって思いました。

マルキさんは、エースなので、やっぱり高いところから打ってほしいという思いもあったので、なるべく高いトスを上げて上から打ってもらおうという気持ちで上げました。

(加藤)靖丈は、結構Bチームのときから合わせてきていたので、特に何も考えずに。靖丈はもうだいたいトス分かるから、これでいいって思ってあげています。

(富澤)太凱さんまだ全然合っていなくて。これからもっと合わせていったらもっと強くなるから、いっぱい練習していきたいです。

降はとっても上げやすくて。元気なので、盛り上げたいときとかに降使って、どんどんチームの調子を上げていきたいと思いました。

(清水)柊吾さんは、結構クールなキャラなので、自分がちょっとアツくなっているときとかに声かけてもらったりして、そういうときに上げて、決めてもらっていました。

(宮川)郁真は、同級生で、同じBチームでやっていて、ずっと。高いところで打つのが持ち味だから、しっかりそのトスを上げたかったんですけど、思うようにできなくて。ちょっとあんまり気持ちよく打たせてあげれなかったなと思いました。

 

――この夏、強化していきたいところは

自分はまずトスの精度を上げることです。チームとしては、もっとディグの強化とか、勝つためのその考え方っていうのをもっとみんなが1つの思いをもってできたらいいなと思いました。

 

 

 

高倉真古都(商1・慶應)

 

――大学初出場となりましたが

ちょっと緊張したというのが本音で、でもベンチにいるってことは少しでもチームのプラスになることが仕事なので、その点に関しては良かったと思います。

 

――サービスエースを取りましたが

練習で打っているサーブが試合で打てて良かったというのが、自分で分析してそう感じます。サーブに関しては、自分のプレーに満足っていうか練習通りのプレーが出来て良かったかなと思いました。

 

――この夏取り組んでいきたいことは

サーブは一人でも練習できるし、サーブの強化はもちろんなんですけど、サーブだけでなく相手からの攻撃とかを拾うといった部分も含めて、自分たちが連続得点できるような形を作れるように練習したいと思います。

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