第33回関東大学女子サッカーリーグ 第7節 vs大東文化大学
2019/10/20(日)17:30KO @大東文化大学総合グラウンド
慶大は2つの引き分けがありながらも5戦を終えて勝利がなく、勝ち点2と苦しんでいた。第7節の大東文化大戦は、勝ち点3のみを目指して臨んだ。試合序盤にブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)の二戦連発となるゴールで先制に成功。後半に入った57分、CKの作り直しからオウンゴールを誘い、価値ある追加点を挙げる。さらに5分後には、山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)がCKを頭で押し込んで試合をほぼ決定づける3点目を奪った。慶大はチーム全体でハードワークが顕著に見られ、上位の大東文化大を3-0で見事に撃破した。
【スコア】
慶應義塾大学3-0大東文化大学
【得点者】
1-0 8分 ブラフフェイ(慶應義塾大学)
2-0 57分 オウンゴール(慶應義塾大学)
3-0 62分 山本華乃(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 加藤楓琳(総4・常盤木学園) |
DF 熊谷明菜(総3・十文字) |
DF 佐藤幸恵(総3・十文字) |
DF 奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース) |
DF 工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)Ⓒ |
MF 秦野くるみ(総1・藤枝順心) |
MF 松木里緒(環4・常盤木学園)→85分 勝木日南子(総4・大和) |
MF 小川愛(総3・神村学園) |
MF 足立智佳(環3・大阪桐蔭)→90+2分 高月彩香(環2・村田女子) |
FW ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース) |
FW 山本華乃(理3・横須賀シーガルズ) |
慶大は0勝3敗2分で得失点差-9と、開幕してから2か月間非常に苦しんできた。13日に開催予定だった第6節が台風19号の影響で延期となり、試合前時点で残された試合は4つ。インカレ出場圏の7位以上に向けて「もう勝つしかない」(山本)一戦となった。メンバーは秦野くるみ(総1・藤枝順心)が前節に続いての先発を務め、ブラフと山本が2トップを形成した。
ホーム開催と3位につけている好調さを鑑みて、相手が「5バックではなく前から積極的にプレスをかけてくるのでは」という伊藤監督の予想は的中。「前で捕まえようと」(川本監督)する大東文化大と、足元でそれを回避する慶大という形はこの試合の見どころとなった。先制したのは慶大。「ファーストシュートを打つと決めていた」というブラフのシュートは、二戦連続のゴールとなった。左からのパスを中央で受け、反転してシュートという形は今季何度か見せており、今後も期待だ。一方、守備では取り組んできた”球際”と”空中戦”で優位に立ち、セットプレーの他には危険なシーンを作らせなかった。35分過ぎから自陣でのミスが続いてリズムを失いかけるも、1点リードで前半を折り返した。
前節も前半1点リードしながら追加点を取れず、引き分けに終わった慶大。しかし、今節はその貴重な追加点を57分に奪った。右CKが一度は弾かれるも、再び小川愛(総3・神村学園)が敵陣深くに侵入。グラウンダーの折り返しが相手のオウンゴールを誘った。これで勢いに乗ると5分後の62分、山本が小川の蹴った「ドンピシャ」の左CKを頭で押し込んでゴール。決定的な3点目で初勝利に近づいた。
66分に秦野くるみ(総1・藤枝順心)が、82分に松木里緒(環4・常盤木学園)が決定機を迎えたが、いずれも相手GKに阻まれる。しかし、交代枠を2枚使うなどして3点リードを保った慶大は、3-0で見事に大学リーグ初勝利。今季最多の3得点に加えて、クリーンシートを達成した完勝劇に慶大サイドは大いに沸いた。この日は「1つになって戦えた」(足立)、「勇敢に戦ってくれた」(伊藤監督)、「覚悟を決めて臨めた」(山本)と精神面での充実がプレーに表れていたソッカー部女子。最終ライン4人の1対1で負けないという意思や、被カウンター時のプレスバック、空中戦の激しさ等、戦う姿勢が随所に見られて充実の内容となった。
次週は昨季、三度引き分けた東洋大と対戦する。その東洋大は、台風の影響で延期となった第6節・帝京平成大学戦を23日(水)に戦う。週末の慶大戦は中3日で臨むこととなり、慶大は日程面で有利と言える。また、他会場では神大・東国大・筑波大・日体大がそろって敗れた。ここに来て勝ち点3差に6チームがひしめく大混戦となった大学リーグ。慶大の風はようやく、そして確かに吹き始めた。運命の残り3試合。今日の勝利を追い風に、荒鷲はまだ飛べることを証明する。
(記事:柴田航太郎 写真:小林由和)
(参考)直近6年のインカレ出場の最低勝ち点は10、8、8、7、10、10
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(注)慶應スポーツの機材繰りの関係で低倍率のものとなっております。ご了承下さい。
試合後のコメント(伊藤監督、川本監督、足立選手、山本選手、ブラフ選手)
川本竜史監督(大東文化大学)
――試合を終えて慶大の印象はいかがでしたか
だいたいこうスタイルは理解しているつもりだったけど、やっぱりそのスタイルに物の見事に飲み込まれたなという感じでした。
――逆にここを突いていこうといった部分はありましたか
いや、それはもう前で捕まえたかったけど、捕まえられなかったです。
伊藤洋平監督(慶應義塾大学)
――いろんな意味を持つ初勝利になりました
好調で勢いある相手に対して球際だったり空中戦で勇敢に戦ってくれたと思います。選手たちがたくましくなったという印象です。
――球際という言葉がありましたが、今日はいつもより"あと一歩"が出ていたように見えた
そうですね。それを今週1週間トレーニングしてきたのでその成果が出たのかなと思います。
――今日は大東文化大相手にどう行った準備をされてきましたか
我々と同じポゼッションサッカーを貫く日体大に対して5-4-1で構えて守備していたので、どう来るかなっていうのは正直あったんですけども。今の大東文化大の勢いだとかホームというのも考えて、(日体大とは違って)前から来るだろうなという準備をしてきました。
――それが的中したと
まあどっちがきても大丈夫なように準備してたんですけど、前から来る相手に対しては普段から慣れているので、その勢いに飲まれないようにするのだけを注意しようと話をしていました。
――前節は追加点を取れずに苦しくなりましたが、今日は後半の頭に追加点を取れました。あの2点目が大きかったのでは
なんか良い流れの時に1つ球際で負けてしまってネガティヴになっちゃうのが今までだったんですけど、それをやっぱりみんなでこの良い流れを維持しようという声かけだったり、チーム力っていうのはすごく上がっているかなと思います。
――これで勝ち点5、インカレ出場にはまだまだ足りないと思います
そうですね。
――残り3試合どのように戦っていきたいですか
本当に目の前の試合を1試合1試合やっていくだけなので変に皮算用しないでこの週末の相手を見据えてまた反省と改善を繰り返していきたいなと思います。
――この一勝はチームが変わるきっかけになるのではないですか
一番欲しかった結果が今まで出ていなかったので、内容は良いのでこの流れをしっかりとまた、さらに大きい勢いにしていきたいなと思います。
足立智佳(環3・大阪桐蔭)
ーー台風の影響で少し間隔が空いた中での試合となりましたが、どのような調整を
1週間空いたことはチームがここに準備する時間が増えたので、それはポジティブに捉えられていて武蔵短期大戦ではセカンドボールを拾えなかったり、競り負けることが多くてゲームの流れを掴めなかったので、浮き玉への処理とかファーストしっかりしてセカンドを収めてゲームをコントロールするという部分をこの期間でしっかり準備してきました。
ーー相手の積極的なプレスに対してしっかり対処していました
前から来るだろうということは試合前から予想できていたので、そこの準備は(プレスが)来ても慌てずにやろうというのはチームとしてもあったので、そこは焦らずにはやれていたかなと思います。
ーー今日の試合は球際をしっかり詰められている印象を受けました
球際も戦うという部分ではもっと自分たちが戦わなくてはいけないという課題があったので、そこはチームとしてももっとやろうというのはありましたし、個人的な課題としても球際で戦うとか、ボランチでしっかりマイボールにするという部分を練習からも意識してやってきたので、今日は試合でも出せて良かったかなと思います。
ーー今日の勝利がチームにもらたす意味とは
勝てていなかった中でこの1勝というのはすごいチームが変わっていくきっかけになると思いますし、この1勝でチームが勢いに乗れたり、今日一つになって戦えていたという手応えがあったので、これが継続できればもっともっとチームが強くなっていくと思うので、そういう意味ではすごい変化のきっかけになる勝利だったかなと思います。
ーーインカレに向けて来週からも負けられない試合が続きます
インカレに向けて絶対に勝利が必要になってくるので、今日と同じようにまたそれ以上にチームが一丸となってしっかり勝利を掴めるように頑張っていきます。
山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)
ーー台風の影響で少し間隔が空いた中での試合となりましたが、どのような調整を
もう勝つしかなかったのでもう1回球際の部分とか、空中戦の部分とか、そういう個人個人の球際の部分を見直して、チームに勢いをつけられるようなプレーを増やそうということでこの試合に臨みました。
ーー今日の自身のパフォーマンスに関して
今日はフェイ(ブラフ)とツートップで、お互いの良さを活かし合えるように相手を見ながらプレーするという事を考えながらできて良かったと思います。
ーー得点シーンを振り返って
今季はまだ自分自身はCKから得点ができていなかったので、今日の試合で決めることができて良かったですし、ボールもドンピシャで来たのですごいイメージ通りのゴールで良かったです。
ーー先程、足立選手が「今日の試合はチームが一つになって戦えていた」とおっしゃってましたがその辺りは
中断期間も含め色々なことにチームとして取り組んできて、今日の試合は一人一人がちゃんと覚悟を決めて臨めたからこそ勝利を掴み取れたのかなと私も考えています。
ーー今日の勝利がチームにもらたす意味とは
インカレが7位以上行けるということで、7位のチームと勝ち点差を縮められたので今日の勝ち点3は大きかったですし、無失点という結果も3点取れたということも次につながるかなと思います。
ーーインカレに向けて来週からも負けられない試合が続きます
来週は東洋大学で去年は3戦戦って全部引き分けだったので、今年は勝てるようにもう1回気を引き締めて頑張っていきたいと思います。
ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)
――大きな1勝となりました
入りからみんなが集中していてアップからの雰囲気も良かったので、あとは全員で点を決めるだけだなって思ってました。
――先制点のシーンを振り返って
立ち上がり早い時間帯でファーストシュートを打とうと決めていたので、そこで打ってコースが良くて入ってくれて良かったなって思います。
――左から中央でパスを受け、反転してシュートという形は今シーズン何度か見せています。意識しているのでしょうか
そうですね。イメージ通り今日はいけました。
――苦しいチーム状態で掴んだ勝利でチームも波に乗れるのでは
本当に今日は雰囲気が良かったので、このままの調子で来週の練習をして勝ち点を積み上げていきたいと思います。