【弓術】三年連続の日本一達成!勢いに乗る弓術部にインタビュー

弓道

 

 

 

 

 

2021年11月21日、全日本学生弓道王座戦で優勝を果たし、三年連続日本一となった男子弓術部。今年度さらなる飛躍を誓う部員の皆さんにお話を伺った。インタビューに答えてくださったのは主将の関口敦正(経4・慶應)選手と中村久高(商2・慶應藤沢)選手。

 

――まずは他己紹介をお願いします

関口:久高君(中村)は高校時代からインターハイのメンバーに選ばれてて、大学でも王座戦で大活躍してくれました。今年もエースとして頑張ってくれるような期待の子です。真面目で結果が伴わないとしっかり練習するような子なのでとても信頼を置いていました。

中村:自分が高校の時から知ってた憧れの存在です。特に指導力というところが素晴らしくて、僕も入部してから毎日関口さんに見ていただいて。今回の日本一も関口さんのご指導のおかげかなと思っております。

関口:よくできた後輩です(笑)

 

昨年度を振り返って

――三年連続の日本一ならびに王座戦優勝おめでとうございます

関口:ありがとうございます。今年は大事な局面で勝てなかった試合が続いた中で、こうして最後の最後で一番大きな王座優勝を獲れて大変うれしく思います。

中村:僕は本当にうれしかったという思いが一番強くて。中高と弓道をやってきて日本一というところは一度も獲れなくて。そういった中で大学は日本一が狙える環境が整っていたので入部させていただきました。本当に一年目で獲れるとは思っていなかったんですけれども、獲れてすごくうれしく思います。

 

――今まで敗れた日大や筑波大に勝利しての優勝でしたが

関口:今年の一年間を振り返るとやはり筑波大や日大に負けてベスト8やベスト4で敗れたというのがあったのでかなり思い入れが強かったです。また、一回戦の相手である名工大も部員に名古屋出身の子がおり、その子の思いもあったので今回の王座戦は総じて因縁深い相手でした。その中で勝利できたのはうれしかったです。

 

――王座戦の中で特に緊張した試合は

中村:僕はもちろん全試合緊張したんですけど、特に緊張したのは初戦の名工大戦でした。結果だけみると引き分けで、そのあとの競射(サドンデス)をやるとなってしまって。正直僕は想定もしていなかったので緊張しましたし、二本引いて決着がついてしまうのでそこが僕の人生の中でも緊張した二本だったかなと思います。

 

――中村選手は当時一年生ながら高い命中率で勝利に貢献されましたが

中村:緊張はすごいするタイプだというのを中学時代から自分でわかっていました。そのうえで練習して疲れた状態は緊張したときの状態よりきついこともわかっていたので、沢山練習しました。

 

――関口選手の緊張した試合は

関口:局面ごとでだいぶ変わるのですが、初戦の名工大戦は緊張というよりは試合を通じて自分がチームの足を引っ張ってて、この状態で負けたらやばいなというのが強くて。名工大戦では12本引くんですけど、3回あって、2回は同じ場所に初矢を抜いたんですね。そこは本来自分ではあまり想定していなかったというか、いい矢で抜いた状態でした。それがなんでだろうなというふうに理由がつかめなくて。どうして抜いているのかわからないなという状態で過ごしていたので、そこが一番緊張したと思います。

 

――初戦はお二人にとって思い入れのある試合であったということでしょうか

関口:そうでしたね、なんか(笑)王座の試合は人生で一回行けるかどうかのビッグなイベントで僕が一年生のころに出た王座というものも10年ぶりくらいで。本当に感慨深いものであったのでそういった意味では初戦というのはかなり緊張したのかなと思いますね。

 

――その王座戦の決勝で関口選手は皆中賞を獲得されましたが

関口:そうですね、要因を三つあげると一つ目は「いろんな状態を想定しておくこと」です。たとえ周りの状況がどんなに変化しても対応してそのうえで自分がやるべきことをしっかりやり遂げようという感じだったので、試合を通じて大きなイレギュラーが起きて自分がやるべきことが分からなくなるということはなかったです。二つ目は「ちゃんとやること」です。練習を含めてどんな状況でも自分がやるべきことを全うし、行動目標に最後まで集中できるかというところを大事にしていました。三つ目は「想い」というところです。私個人としては四年生への感謝というのと優勝したい、下剋上をしっかり果たすというのがあって、この想いというのが試合を通じて最後まで残っていたというのがよい結果につながったのかなと思います。

 

――チーム全体としての優勝の要因は

関口:苦しい状況でも自分たちがやるべきことをやり遂げるというのがチームとしてかなり徹底できており、そういったところが最後の最後での逆転につながったのかなと思います。

高い的中率を誇る2年生中村選手

――下級生の目線から見た要因は

中村:やっぱりチーム全員があきらめなかったというところかなと思っていて。忙しいはずの三、四年生の方々はゼミが終わった後でも夜に練習したりしていらっしゃってて、そういう小さな積み重ねというか、妥協しなかったところが優勝につながったのかなと思います。

 

――対面方式が徐々に再開されていますが

中村:王座に出て思ったのはやっぱり対面試合の方が緊張感があってすごく疲れるなということです。オンラインだと相手もいないですし、時間的にも半分くらいの時間で終わってしまうので。特に王座戦では伊勢という憧れの舞台で引いた上に、強い相手も全国各地から来ていて、しかも時間も長くて何日もあるといういろいろなことが重なって、とても疲れたので対面は疲れるなという印象が僕の中では一番強いですね。

関口:対面試合は確かに時間の制約があります。オンラインだと大体同時に引くことが多いんですけど、対面だと交互に引くんですね。なので、二倍時間がかかるっていうのは確かにそうで、かつ相手や相手の選手の手伝いの人たちも見ているという緊張感マックスな状態で試合をやるので、緊張度としてはオンラインもすごく緊張するんですけど、対面の方が私は緊張した覚えがあります。対面だとまた少し空気が変わるというか、相手の雰囲気に呑まれるということもあるのでそこはちょっと難しいです。なので、そんな状態でも自分たちのやるべきことをやり遂げることができるかどうかが対面試合で勝つためには必要なのかなと思っています。

 

――コロナ禍も二年目に入りましたが変化は

関口:コロナとは関係がないのですが、監督が代わってから特にメンタルトレーナーや姿勢トレーナーの方をお招きすることがあって、弓道以外のいろいろな競技の方からどうやってスポーツに取り組むべきかというところを教わったのは違いとしてありました。あとは練習が常時二部練になりました。

 

――変化はチームにどのような影響を

関口:二部練でいえば、例えばAグループとBグループに分かれた時に、Aグループだけで試合に出るメンバーをしっかり揃えようみたいな感じでお互いが競争心をもってできたということがありました。これがリーグ戦での選手層の厚さにつながったと思います。また、新しい指導法に関して、私たちは弓道7年目や10年目の経験者で今まであまり他の運動には詳しくなかったのですが、この環境の変化によって例えば体がすごく硬くて可動域が少なかったなど自分の知らなかったことを知るきっかけを得られたのは、部にとってプラスに働いたのではないかと思います。

 

来年度に向けて

――意気込みは

中村:もちろん来年も日本一を全力で取りにいきたいというのは変わらないです。ただ、二連覇の前に今年は特に王座に出場することから始まりますし、去年以上に一試合一試合の重みが増えるのかなと思っているので、そこは舞い上がらずにしっかり地に足付けて一本一本を大切に引いていきたいなと思います。

関口:僕は二つ目標を決めていて、一つ目がインカレ優勝で二つ目が一番の目的なんですけど一部復帰というのがあって。昨年リーグ二部に降格してしまったので一部復帰というと義務的になってしまいますが、どちらかというと一部復帰は日本一を取ること以上に価値があると私たちはすごく思っています。なので今年一年かけて一部復帰という一番大きくて輝きを持っているタイトルに向かって、部全体で精進していくというのが目標ですかね。

 

――主将としての意気込みは

関口:部として今年掲げたスローガンがあって、それは「輝く」という字に「望む」と書いて「きぼう」と呼びます。この「輝望」には二つ意味があって、一つ目が「一部復帰」というタイトルが持つ最高の輝きを常に望む集団でいようというもので、二つ目が弓道に加えて部員それぞれが担う役割やステージで輝きを放って部活動に臨もうというものです。體育會として勝ちを求める姿勢があるべき姿だと思うのですが、それと同じくらい理想とする姿というのを実現していく、そういった部の運営をしていきたいなと考えております。

 

――選手としての意気込みは

中村:僕はまだ下級生なので部をどうこうっていうのはあまり考えられないのですが、大学四年間の目標として、王座と同時に行われる東西対抗戦という個人戦で一番大きな試合に出ることを掲げているので、今年もそこに対しては強くいきたいなと思っています。そう考えると、その東西対抗戦に出るにはリーグ戦ではほとんど外せないので、これから秋まで100本引いて98本当たるのではなく、ちゃんと100本詰め切れるような状態に持っていけるように手を抜かずに練習していきたいなと思います。

 

――最後に新入生にメッセージをお願いします

関口:今年度僕たちは一部復帰という一番大きなタイトルを取りに行く集団なので、その夢に向かって努力する姿勢や夢を実現する中で感じられる充実感を必ず提供できる自信が僕たち弓術部にはあります。そういった環境に身を置きたいという方や弓道を純粋に好きな方にはすごくおすすめできるので、ぜひ入部していただけると嬉しいなと思います。

 

――お忙しい中、ありがとうございました!!

 

一部復帰という目標に向かって、日々研鑽を積む慶大弓術部。その姿勢や熱意は画面上からも伝わってきた。輝望を胸に彼らは今年も更なる躍進を遂げるだろう、取材を終えそう確信した。

(取材はオンラインで行いました。)

(取材:黒川心平)

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