大学選手権出場権5枠を争う全7戦の関東大学対抗戦を終え、4位通過で見事切符を手にした慶大。大学選手権出場決定を記念して、注目選手の対談企画を数回に渡ってお届けします。
第5弾は、9番のSH(スクラムハーフ)というポジションを担う小城選手と橋本選手。スクラムから出てきたボールを左右にさばく「パスのスペシャリスト」とも言われるSHは、試合中にどんなことを考えてプレーしているのか、聞いてきました。
小城大和(商4・北嶺)
橋本弾介(法3・慶應)
ーーまずは他己紹介をお願いします!
小城:うわー…(笑)そうですね、彼の強みは体の強さにあると思ってて。FWにもどんどんタックルしますし、捕まっても(タックルで倒されても)そこから前に行く力があるなという風に思います。
あとはキックがすごく上手くて、自分は少しキックが苦手なタイプなので、すごいなと思います。
あとは今3年生で、来年は4年生なんですけど、今シーズンもリーダーシップ発揮して、いろんな場面でチームを引っ張ってくれてますし、絶対に来年のチームの「核」の1人になる選手だと思うので、本当に頼もしいなという風に思います。
橋本:今年の「核」の小城大和なんですけど(笑)ラグビー的な強みで言うと、シンプルにめちゃくちゃ足が速くて、誰かが抜けてそのサポートについて走るとか、テンポが上がるとか、そういうのを見てると、いいなあ〜と(笑)
ラグビー以外で言うと、シンプルに人として良い男なんですよね。僕らBKは後輩も多くて、そんな中結構いじらせていただいたりしてるんですけど、心広く受け止めてもらっています(笑)それに、若いBKも引っ張ってもらっているので、本当に尊敬してます。
ーー今の話と少し被りますが、お互い評価しているところや、自分と違うなという部分はどこですか?
小城:弾介はSHとしての資質がすごいあるなと思っています。1番は強気なところですね。弾介はチームの中でもトップクラスに負けず嫌いで、プレーにも自分のメンタルとか強気な部分が出ていて、勝負するポイントをわかってるというのは、SHとして大事なところだと思うので、そこが本当にすごいなと思います。
自分の違うところは、さっきも言ったんですけど、アタックで体張れるし、テンポも出るし、幅広いところでチームのために動けるっていうところですね。
橋本:こう言ってますけどこの人もハードタックラーで、ガンガンFWの前に立ってます(笑)あとは予測がすごいと思っていて、ボールが転がる先にいるんです。僕はどちらかと言うと反応型っていうか、こぼれたボールをバッと拾いに行くタイプなんですよ。それに対して大和さんはもうボールがこぼれたらそこにいるって感じで、彼は頭も良いので、そういういろんなことを考えながらやってるのかなという部分は僕と違うなと思います。
ーーお二人が務めるSHはどんなポジションで、やっていてどんなところが面白いと感じますか?
橋本:そうですね。単純にSHは1番ボールに触れるポジションだと思ってて、その分ミスできないとか責任はあると思うんですけど、それがやっぱりSHの魅力としては1番大きいのかなと思いますね。僕から全部の攻撃が始まるので、言っちゃえば王様みたいな、そういうところはSHの魅力としてはありますかね。あとはFWとBKを繋ぐっていうのも役割としてありますね。今意識してるのは、FWとどれだけ喋れるかっていうところで、去年までは結構BKだけで完結してた部分があったんですけど、今年は結構いろんなFWに声かけたりとか、試合中もFWとコミュニケーションを取ったりしていて、そうやっていろんな人と喋るっていうのもSHならではなんじゃないかなと思います。
小城:ほぼ言ってくれた通りですね(笑)もう1個楽しさがあるとすれば、チームがトライを取ったら、トライを決めた人が主役みたいなところあるじゃないですか。でもそこまで繋げたボールも最初はSHからなんだよなって(笑)トライした選手に対して「ほんとすごいな」って言いながら、心の中では「しめしめ、俺のパスから始まったんだよな」って思っておくと(笑)そういう、たくさんボール触るポジションだからこその楽しさっていうのは魅力の1つかなと思います。
ーー対抗戦を振り返って、自身やチームのプレーの良かったところはどこですか?
橋本:チームとしては最初の2試合、筑波戦、明治戦とうまくいかなくて。 なのでそこから次の試合までの1ヶ月でやろうとしていたラグビーに立ち返ろうっていうことになって、そこから上手く勢いに乗れて選手権出場を決められたっていうのは良かったかなと思います。 個人としては、あまりプレーとしては良いシーズンではなかったのでちょっと難しいですけど、自分のやるべきことをしっかりやろうというのは、自分の中で再認識できたのでそれは良かったかなと思います。
小城:チームとしては、慶應のラグビーっていうところに立ち戻って上手くでき始めてるのかなとは思ってます。ここからは大学選手権という負けたら終わりの試合が続くので、どれだけ4年生とか核になる人たちが中心になって引っ張っていけるかっていうところが大事になってきます。そこに注力して頑張っていきたいなという風に思ってます。
ーーでは最後に、大学選手権という大会の魅力を教えてください
小城:チームとして、前に上がってディフェンスをする、そして低く刺さるタックルを見てほしいなと思います。 初戦の東洋大学は外国人選手も多くいて、体が大きくて強い選手がたくさんいるので、そこに対してフィジカルでは決して勝てているとは言えない慶應が、低く刺さるタックルをして倒してトライを取りに行くっていう姿勢を見ていただけたら嬉しいです。
橋本:そうですね、僕も被っちゃうんですけど、体の大きい相手に低く刺さるタックルというのが慶應のラグビーだと思っていて、東洋大学は選手みんな大きいので、慶應ラグビーを体現できるように頑張る姿を見ていただけたら、きっと魅力も伝わるんじゃないかなと思います。
アイキャッチ用写真の撮影時、1つポーズをお願いすると、長時間考えた末に橋本選手から「こんなポーズはどう?」と提案。それに対して小城選手は被せ気味で「やだ」と即答。一体どんなポーズを提案していたんでしょう…。カメラ準備で見逃してしまったのが悔やまれます…(笑)
同じポジションを争うライバルながらも、良好な関係性を見せてくれた今年の「核」と来年の「核」のお二人。
プレースタイルの違うSHに注目しながら試合を見てみるのも面白いかもしれませんね。
12月14日(土)に、慶大の最初の大学選手権の試合が行われます。初戦の対戦相手は東洋大学。春の交流戦では慶大が10トライをあげて快勝。今年の目標である「ベスト4以上」に向けて大事な初戦ということで、大きな期待がかかります。
負ければ終わりのこの大会。今の中山組を見られるのも残り数試合となりました。
ぜひ応援に行って、秩父宮を黄色に染め上げましょう!
(取材・文:宇田川志乃)