今年で7年目を迎える韓国・延世大との定期戦が日吉会堂で行われた。スポーツ・学問ともに交流の深い延世大だが、慶大はこれまでその身長とシュート精度の高さに歯が立たず過去6連敗を喫していた。そんな強敵を前にこれまでの数多の試合で培った自信と力を遺憾無く発揮した慶大。最後まで怯むことなく果敢に挑み続け、ついに白星をもぎ取った。この定期戦始まって以来、初の勝利である。
2014/12/21(日)@日吉会堂(慶應義塾高校体育館) | ||||||
第7回 延世大学校バスケットボール定期戦 vs延世大 | ||||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | ||
慶大 | 28 | 13 | 23 | 31 | 95 | |
延世大 | 23 | 22 | 18 | 25 | 88 | |
◆慶大スターティングメンバー◆ | ||||||
PG | #4 伊藤良太(環4・洛南高) | |||||
SG | #19 西戸良(総2・洛南高) | |||||
SF | #10 大元孝文(環3・洛南高) | |||||
SF | #6 権田隆人(政4・慶應高) | |||||
C | #22 トカチョフ サワ(環1・國學院久我山高) | |||||
[通算1勝6敗] |
3Q、両チームとも集中力を欠かさない、このゲームで一番白熱したQとなった。相手のリバウンドシュートで得点されると、慶大はやり返すように延世大のファールのかさんだ選手を中心に攻め込んだ。西戸のドライブやサワのインサイドカットイン、伊藤の3Pで連続して得点すると、その後はシュートの入れ合いとなり緊迫したシーソーゲームを展開。延世大はゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスを交互に仕掛けてくるも、慶大は長いシーズンで培った冷静な判断力でそれを難なく突破し、インカレで苦しんだゾーンディフェンスへの対応に成長の姿を見せた。その後も速攻から連続して3Pを沈めるなど勢いの止まらない慶大が残り1分で7点差をつけると、延世大は堪らずタイムアウトを要求し立て直しをはかる。残り20秒から延世大がブザービーターを含む2本の3Pを沈め、64対63の1点差で最終Qを迎えた。
4Q、「気持ちよくシュートを打てた」と語った、今試合通して絶好調の大元がこのQだけで3P3本を含む15得点と奮闘しチームを引っ張る。残り6分、5点差がついたところで延世大は最後のタイムアウトを取り勝負に出る。チームオフェンスで得点を重ねる延世大に対し、慶大は最後まで集中力を切らさないチームディフェンスに加え、リングに向かう強気のプレーを終始継続。相手スタート選手を5ファールで退場させると、勢いそのままに得点を量産し、残り2分で8点差をつける。ファウルゲームに持ち込まれた慶大は冷静にフリースローを全て沈め、相手を寄せ付けずそのまま95-88で悲願の初勝利を手にした。
「楽しくバスケットボールに取り組んだ」と伊藤が語ったように、強敵を前にしながらも全員が試合を心から楽しんでいることが見て取れる、そんなゲームであった。7年目にしてついに勝利を掴んだ慶大が次に見据えているのは、1月1日から始まるオールジャパンだ。4年ぶりの出場となる今大会。4年生にとって最後の大会になることに加え、3年生以下にとっても来シーズンに繋がる重要な試合となる。延世戦のようにバスケットボールの楽しさと慶大バスケ部の意地を全面に爆発させた試合を見せてくれることを期待したい。
(記事:宮崎玲衣)
[PG]伊藤良太主将(環4・洛南高)延世との定期戦の前は定期的にしか練習はしてこなかったんですけど、チームとしてこの期間は阪口先生も楽しんでやろうということで、すごい楽しくバスケットボールに取り組んだ結果本当にのびのびプレーしてシュートも入って本当にいい試合ができたなと思います。(95得点も奪えた要因は)相手はインサイドがすごい強い中で、全員でしっかり守ろうということで、ディフェンスが頑張れた部分と、あとはシュートの思いきりのよさがすごいよかったなと思っていて、相手のディフェンスも下がり気味だったので打ちやすかったという部分は正直ありました。(苦しんでいたオールコートプレスやゾーンへの対応は)前か ら当たってくることに対して、インカレでは悔しい結果に終わってしまって、このままじゃ終われないという気持ちもありましたし、僕自身今日はガードで絶対突破してやろうと思っていましたし、もし運べなくてもパスで絶対に繋ごうと意識していました。(シュートタッチも好調だったが)いい場面で決めることができたのはよかったんですけど、それより勝ててよかったという部分があって、みんなも思いきり楽しくやれていたと思うので、もう本当にそこに尽きます。(オールジャパンに向けて)本当にオールジャパンで最後なので、このチームでバスケをやるのは楽しいですし、こうして定期戦でも見に来てくれる人たちがたくさんいるので、慶應らしく一生懸命やって、楽しくみんなでバスケットボール をやって、勝ち負けはもちろんついてくるんですけど、笑顔で終われるように全力で頑張りたいと思います。
[SF]大元孝文(環3・洛南高)
正直勝てると思ってなかったので、慶応のいい部分が多く出て、勝てたっていうびっくりの方が大きいですね。勝つ気はあったんですけど、正直体格も差がある中で、どうやって勝つかとなるとやっぱりチームでシュートを多く決めることだというふうに話していたのでそれが上手く決まったことが今日の勝因だと思います。(延世大に対しての対策は)対策はしてないですね。ただすごく大きいので、ポストプレーをしてきたらみんなで守るという話はしていました。(相手のゾーンディフェンスに対して)インカレのときからゾーンプレスにはすごく手を焼いていたんですけど、今日はそんな引っかかることなくできました。ゾーンといっても相手が大きいので攻めるとしたらアウトサイドシュートになってくると思うんですけど、そのシュートが入ったというのがやはり今日一番大きかったんじゃないかと思います。(シュート確度が良かったが)僕もわりと気持ちよくシュートを打てた場面はあるんですけど、ちょっとのレイアップシュートだったりジャンプシュートだったり、そういったところで課題が見つかる試合だったので、それを年末と、年始のオールジャパンで改善していきたいです。そしてまたそれを来年につなげたいと思います。(来年のソウルでの延世大戦にむけて)あまり韓国のご飯とか寝るところとか好きじゃないんですけど(笑)、そういうのも一つの経験だと思うので、全て吸収して自分たちのバスケットボールに活かせればなと思います。
[C]トカチョフサワ(環1・國學院久我山高)
今日は奇跡が2回起こって、1つはファウルを4回するという奇跡、もう1つはそこから後半ファウルを1回もしないという奇跡です。死にたいって思った瞬間と生きていてよかったという瞬間を一度で二回味わえました。でも僕どうこうっていうよりチームが勝ててよかったと思っていますし、延世と7回試合してきて初めて勝てたので、4年生に初めての事を残せたのはすごく嬉しいなと思います。(2Q時点でファウルが4回になったがその後どんな気持ちでプレーしたか)攻める事については今日調子がよかったので、ファウルをしてしまったのはもったいなかったなと思います。でも落ち着いて考えたら自分のファウルは仕方ないファウルではなくて、よくわからない不要なファウルなので、後半は普通にやれば大丈夫じゃないかなと自分をポジティブに落ち着かせて頑張りました。(ハイスコアでの勝利。要因は)単純にみんなシュートが入ったからだと思います。普段シューティングをやっている効果が目に見えて出た試合でした。でも慶應はだいたい70点くらいしかとれないゲームが多いので、本来なら負ける試合でした。そういった部分ではディフェンスをもっと頑張らなくてはいけなかったし、反省すべき点だなと思います。自分のファウルがこんでしまってインサイドをばんばんやられてしまったのもその原因の一つだと思うのでファウルせずに守れるようにしたいです。(4年生との試合は残りわずかだが)4年生大好きなのでこういう試合を一つでも出来たらいいなと思います。オールジャパンも、(初戦の)九州電力は強いチームですけど、今日みたいにもしかしたらなにか起きるかもしれないので、まぁそれがバスケットの面白さなんですけど、こうなることを祈り、でもやっぱりちゃんと練習してなにか起こせるように頑張りたいです。
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