【ラグビー】快勝も後半失速し次戦に課題も残る一戦に 近大戦

慶明戦の怪我から復帰した立石

 対抗戦を2位で終え、シード権を獲得して開幕した大学選手権。1回戦の相手は関西大学Aリーグ3位・近畿大との一戦となった。対抗戦終盤で早大、帝京大と強豪を倒した勢いを持続させて勝ち進みたい慶大は、前半から積極的なアタックを見せ前半は26-0と圧倒するも、後半はトライも許す苦しい展開に。次戦・帝京大戦に向け、けが人が復帰し収穫もあった一方で、課題も残る一戦となった。

12月19日(日)12:00K.O 大学選手権1回戦対近大@近鉄花園ラグビー場

得点
慶大 チーム 近大
前半 後半 VS 前半 後半
4 2 T 0 1
3 2 G 0 1
0 1 PG 0 0
0 0 DG 0 0
26 17 小計 0 7
43 合計 7
【得点者】(慶大のみ)

T=児玉、小川、髙橋浩、竹本、高島、増田

G=高島5

出場選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 半田 恭平(経4) →17.土岐 昇平(総4)
2.HO 髙橋 浩平(経3) →16.金子 大介(総4)
3.PR 古田 哲也(環3)  
4.LO 栗原 大介(総3)  
5.LO 村田 毅(環4) →18.佐藤 大朗(総2)
6.FL 柴田 翼(環4)  
7.FL 高橋 立寛(環4)  
8.NO8 立石 真也(総4) →19.明本 大樹(総3)
9.SH 古岡 承勲(経4) →20.小斉平 聖人(商4)
10.SO 高島 大地(商4)  
11.WTB 三木 貴史(経4)  
12.CTB 竹本 竜太郎(環4) →21.落合 陽輔(経4)
13.CTB 増田 慶介(環4)  
14.WTB 児玉 健太郎(環1)  
15.FB 小川 優輔(環3)  
 

初めて黒黄ジャージの10番を着た高島

近大のキックオフで始まった前半、すぐに試合は動いた。ボールを回し、敵陣に攻め入る慶大は相手のペナルティーもあり、ボールを前に運ぶ。そして4分、SH古岡(経4)のクイックリスタートからSO高島(商4)へパス。それを受けた高島が左に開いていたWTB児玉(環1)に絶妙な飛ばしパスを出しトライ。その後のコンバージョンも高島がきっちり決め、あっという間に先制する。しかし対する近大も反撃。9分、モールを組むと20メートル以上のゲインでゴールラインまで5メートルまで迫られてしまう。しかし最後は痛恨のノックオン。振り出しに戻すことができない。そして16分、ラックから4人を経由し最後はFB小川(環3)が右サイドを突破しトライを挙げる。ところがこの後はセットプレーが安定せず、リズムに乗り切れない。それでも30分、マイボールラインアウトからLO栗原(総3)、NO8立石(総4)とつなぎHO髙橋浩(経3)がトライ。勢いそのままに37分にもCTB竹本(環4)が3人からのタックルにも動じずトライを奪い、26-0で前半を終えた。

ブレイクする増田

 点差を広げ、余裕を持ちたい後半。ところが4分、近大がボールを展開し、トライライン10メートルまで迫られてしまう。しかしここでも慶大のDFの集中は途切れず、最後は近大がスローフォワード。ピンチを脱したかに見えたが、6分にWTB三木(経4)が危険なタックルによる10分間のシンビンを受け、一人少ない展開を余儀なくされる。そして少しでも時間を使い10分間を乗り切りたい慶大は9分、近大のオフサイドからPGを選択。これを高島がきっちり決め、ようやく後半初得点を奪った。だがその後はターンオーバーされる場面もあり、なかなかチャンスを作れない。そんな中17分、モールにFW全員が入った近大はゴールライン直前まで迫り、なんとかラックを崩すものの最後はトライラインを割られてしまう。ところがここはその前に近大のオフサイドがあり、得点は認められない。そしてこのプレーから流れを引き戻した慶大。25分、アタックを続けた慶大は高島がトライを決める。だが1トライを決め、意地を見せたい近大もアタックを続ける。そして33分、ボールを展開された慶大はCTB増田(環4)のタックルでピンチを脱したかに見えたが、その後パスをつながれ痛恨のトライを許してしまう。このままでは終われない慶大。36分、ついにHO金子(総4)が復帰をはたすと終了間際にはSH小斉平(商4)、高島とつなぎ最後は増田が22メートルラインから一人交わしトライ。そしてそのままノーサイド。後半は2トライを奪うものの、近大の魂のこもったタックルを前に苦戦した恰好となってしまった。

 今季のチーム目標である「トリプルワン」。対抗戦優勝は叶わなかったが、ジュニア選手権優勝を果たし、最後の目標である大学選手権優勝に向けチームの雰囲気も「良い状態」と竹本主将も語る。そんな中で開幕した大学選手権。まずは初戦を突破し、日本一へ一歩前進した慶大フィフティーン。しかし1週間後には帝京大との一戦が待っている。今季、対抗戦では圧倒した相手だが、大学選手権ではディフェンディングチャンピオンとして慶大に牙をむいてくることは間違いない。日本一の歓喜に向けて―。まずは帝京大に返り討ちを見せて、「正月越え」を果たしてほしい。

By Daiki Yamamoto

監督・選手のコメント

林監督

(試合の感想は)今日は大学選手権1回戦で負けたら終わりという試合で、自分たちのラグビーを貫こうと。フィットネスを生かしてボールを動かしてトライを取る。ディフェンスでは低いタックルをする。ボールは速く動かせましたし、長所は出して勝てたのは嬉しく思っています。(対抗戦が終わってから大学選手権に向けて取り組んできたことは)長所を磨いていこうと。速い展開、ブレイクダウンの部分とフィットネスも継続してやっていきました。あとはパス、低いタックルといった自分たちの武器をもう1回磨いてきました。(修正すべき点は)受けたところでトライを1つ取られたことですね。もう少し粘り強くディフェンスできれば良かったと思います。相手の攻撃を寸断するように。後はモールのディフェンスで長い距離を進まれたので修正したいと思います。アタックでは良いテンポでできていたと思います。順メ、逆メの行き方もいろいろとうまく合わせられました。話以上にチャンスになっていないと思われるかもしれませんが、このレベルになるとそう簡単にオーバーラップのチャンスができるとは思っていないので。これから先はもっと前進していかなければいけないので、ボールをしっかり動かす準備をしていきたいなと思います。(メンバーについて)NO8の立石はいつも出ている小澤と遜色のないスピードと光るものがある選手ですね。小澤の体調があまり良くないのでベストなNO8ということで起用しました。SOの高島については先週のジュニア選手権で、後半から出て決勝トライを演出したことといつも出ている和田が練習で頭を打ってあまり体調が良くないので、これが現在のベストメンバーと思って組みました。

 
竹本主将
(試合を振り返って)慶應らしいアタックができたんですけど、最後に1本(トライを)取られてしまったのは残念です。でも、大学選手権は負けたら終わりなので、勝てて本当に良かったと思います。(チームに堅さは)それは無かったと思います。(後半に近大はどう変わったか)当たり前なんですけど、向こうも必死ですし、それに対して少し受けに回ってしまいましたね。(ゲームプランは)自陣でもチャンスがあればボールを繋いで主導権を握ることでした。ボールを持っている間は慶應が主導権を握れていたと思います。(トライシーンについて)無理をして行きすぎたな、というのはあります。でも、点を取るにはトライを重ねていかなければいけないので、良かったと思います。その前にタックルを外していることが多いのがダメです。最近納得いくタックルができていなくて、出ていないメンバーに顔見せできないので、次は帝京戦が決まっているのでぶっ刺しまくります!(Bksが積極的に1対1を仕掛けていたが)1v1で勝負していく、というのはもちろんありました。若干ラインシェイプが遅れて1v1になる場面になってしました。もっとシェイプしてFwdを動かしながらやっていかなければいけないと思います。でも、1v1で勝てていたことは良かったと思います。(今のチームの雰囲気は)最高の準備を1週間やって、最後は気持ちだと思うんですけど、出てないやつらが凄く頑張っていてエネルギーをもらっています。良い状態だと思います。(途中で交代していたが)腰を痛めてしまいました。早稲田戦で痛めていたところをやってしまって、代わりました。(次戦へ影響は)この後、高気圧酸素室に行ってすぐケアして、来週に備えるつもりです。(帝京大戦に向けての抱負を)対抗戦の結果は関係ないですし、慶應のタックルをし続けて、勝ちたいと思います。

髙橋浩

(振り返って)前半すごくいいリズムでできていたが、後半攻め疲れというか結構振り回していたんで、みんな疲れてしまったというところもあったが、勝てたので、次に挑戦できるということになったので、優勝に向けていいスタートが切れたのではないかと思う。(後半苦戦してしまった原因は)やっぱり外に外にっていう感じで、もっと縦に、やっぱり人を集めないと広がるので、やっぱり一発では(裏を)取れないので、縦に突く重要さかなとまた改めて思った。(今日はセットプレーで少し乱れてしまったが)ラインアウトは致命的なのは全然なかったので、僕としては全然気にしていないが、スクラムで一回ターンオーバーされてしまったので、思ったより近大が強かったということに焦っちゃって、自分たちのスクラムがうまく組めなかったというのがあるので、どんな相手でも自分たちのスクラムを組むだけだと。次帝京だが帝京はFWが強いので、負けないようにしっかりやりたい。(モールでも少し押されるシーンがあったが)モールは作らせちゃうと、モールを強みとしているチームだったと思うので、(モールを)作らせないというところでもう少し低くタックルして、そういうところで集中していくべきなのかなと思う。(前半にはトライを決めたが)あれは古岡さんとコミュニケーション取っていたので、空いているのも前のプレーでわかっていたので、僕のトライというよりかはみんなのトライというか。結構嬉しかったですけど。(今日出た課題はやはりモールディフェンスか)帝京もモールが強いと思うので、ゴール前でゴリゴリ来られたくないので、モールディフェンスをしっかりして、何よりモールを作らせないことを意識して今週の練習をしっかりやっていきたい。(帝京戦に向けて)やっぱり春負けて、夏負けて、秋一回勝っているが、まだ全然負けていると思うので、FWで勝てるようにしっかり強化していきたい。

立石

(今日の試合を振り返って)とりあえず勝てたということで次に進めてよかったです。けど近大にペースを握られてしまった時に受けてしまったのでそこは修正しなきゃいけないなと思います。(43-7という結果をどう受け止めているか)取られてしまったのが悔しい。やっぱり零封しなきゃいけないと思う。43点取れたのは自分達のラグビーができたかなと思うのでそこはよかったと思います。(フォーカスしていた点は)チームでは走ろうということ。後はタックルをやれば自分達のラグビーができると思っていた。自分は復帰戦だったのでとりあえずボールを持ちたいというのがフォーカスでした。(復帰戦ということで不安はなかったか)やっぱりケガの状態は気になっていたんですけど、試合が始まってしまえば何とかなるだろうと思っていたのでそんなに不安はなかったです。(前半は自分達のラグビーができたのか)そうですね。ただその中でもちょっとミスが多かったりとかFWのフォローが遅かったりしたのでそこは修正点かなと思います。(後半は自陣に釘付けになる場面も見られたが)そういうところで力が出ると思うので、(これからは)そういうところで自分達が落ち着いて切り抜けられたらいいなと思います。(自身のアタックに関して)全然ダメでしたね。突破もそんなにできなかったですし、もっと勝負したいなと思いました。(次の試合に向けて)次の試合は小澤とかも戻ってくると思うので、メンバーに入れるように1日1日頑張っていきます。 

高島

(今日の試合を振り返って)(Aチームで)初めての10番だったのですごく不安もあったんですけど、まあ落ち着いてできたと思います。(43-7という結果をどう受け止めているか)7点は自分のせいで取られたので、そこは反省しています。(フォーカスしていた点は)アタックは慶大のテンポでボールを動かしていこうと。それはうまくコントロールできたと思います。(ゲームメイクに関しては)テンポを早く上げようということに関しては意識して本当に球を動かそうという意識があったのでよかったと思います。(順メだけでなく逆メにもボールを振っていたのはなぜか)あんまりラックにディフェンスが入ってこなかったのでミスマッチを狙いたかったという意図が自分の中にあった。だがあまり効果的だったかはわからないです。けど状況状況に応じたプレーがみんなできていたと思います。(次の試合に向けて)次も出られるかわかんないので1週間練習してアピールしていきたいです。 

増田
(振り返って)選手権なので課題は出たと思うが、とりあえず勝とうということを前提に置いてきたので、とりあえず勝てたということは次につながったので良かったと思う。(今日の試合でフォーカスした点は)対抗戦で出た課題を修正しながら、まだまだ選手権でも強くなれるということだったので、BKsとしてはエリアコントロールとおもいっきりアタックしようということだったが、個人的にはいい突破もいくつかあったので次につながると思う。(前半はアタックが良かったが)みんな自信持って前に出れていたので、すごくテンポ良く前半は攻めれたと思う。(一方、後半は少し苦戦してしまったが)たとえば振り切った後でブレイクダウンのところで負けてしまったりとか、あとは相手のDFがラックを捨ててDFを張ってきてたので、そこで自分たちが我慢できずにミスしてしまい、そこを継続して攻められてしまった。でも相手もタックルがすごい良かったので、そこはちょっと苦戦した。(最後トライを決めたが振り返って)あそこは外のサインが出ていたが、自分の前が空いていたので思い切って勝負して、今シーズン初めてのトライだったので個人的には嬉しかった。(今日出た課題は)個人的にはいらないパスとかが多くて、ああいうところでミスしていると強い相手だとターンオーバーされてしまうので、外まで回しきった時にそこでBKsがしっかり球を出して、継続できるようにしたい。あとCTBとしてはラインに浮いたFWをうまく使うといったコントロールをしていきたいなと思う。(次戦・帝京戦に向けて)この前自分たちのいい形で勝てたが、次簡単に勝たしてくれる相手ではないので、向こうもすごい修正してくると思うので、自分たちは慶應のラグビーでトライを取って、あとは低いDFで相手のFWも強いので、BKsはエリアマネージメントと個人的にはボールを持ったら前に出て、チャンスを作っていきたい。
 
金子
(復帰戦だったが)短かったんですけど、出れないやつらの気持ちが自分が今まで出れていなかった分どんな気持ちか分かっていたので、どれだけ悔しいかとか。練習を積み重ねていない分、悔しさだけを誰よりも積み重ねてきたので、そういった意味でも、短かったんですけど自分の為になる5分間ぐらいだったかなと思います。(コンディションは)復帰しているので100%と言いたいですし、何も不安なくみんなに応援してもらえるように、時間を掛けて肩をケガしないようにやっている状態です。(肩の具合は)出ている以上は100%と言いたいです。ただ、初めての脱臼なので、今何%ぐらいなのかは分からないですね。やっぱり復帰しているので100%です!(早めの復帰か)そうですね。脱臼は手術をしなかったら3~5ヶ月くらいなんですけど、2ヶ月で無理やりと言えば無理やり復帰させていただきました。(実際に試合に出てみてどうだったか)フィールドプレーとかは怖さもなくやれました。次のメンバーに入れるように、2番を着れるようにチャレンジしていきたいと思います。(肩のケガのきっかけになったスクラムについては)周りから見たらどうだったかはビデオを見てみないと分からないですし、短い時間で相手もキツくなっている時間帯だったので、そこまで怖さはありませんでした。これからクラムが強くなっていくチームだと思うので、意識してやっていきたいと思います。(帝京大戦に向けて)出ることができれば圧倒すること、セットプレーを安定させることが慶應の2番の義務なので、出れないやつの分まで背負ってやりたいと思います。

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