勝ち点1で迎えた法大との初戦。2回表に倉田直幸(法3)の今季初安打となる適時打で先制すると、山口翔大(環4)の本塁打などでリードを広げ、先発の加藤拓也(政4)も5回まで1安打ピッチング。このまま試合が進んでいくと思われたが、6回裏に2ランを含む3点を入れられると、流れは一変。8回裏に同点とされ、9回裏にはサヨナラ適時打を浴び勝負あり。4点リードを守りきれず4−5で初戦を落とした。
10月8日(土)東京六大学野球春季リーグ 法大1回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
慶大 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
法大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1× | 5 |
慶大:●加藤拓—郡司
法大:菅野、内沢、三浦、○熊谷—伊藤士
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [5] | 沓掛祥和(商4・慶應義塾) |
| 5 | 内田蓮(総2・三重) |
2 | [7] | 河合大樹(総2・関西学院) |
| H | 天野康大(環3・智弁和歌山) |
| 7 | 重田清一(環4・佐賀西) |
3 | [8] | 柳町達(商1・慶應義塾) |
4 | [3] | 山本瑛大(商4・South Torrance) |
| 3 | 清水翔太(総3・桐蔭学園) |
5 | [9] | 山口翔大(環4・桐光学園) |
6 | [2] | 郡司裕也(環1・仙台育英) |
7 | [4] | 倉田直幸(法3・浜松西) |
8 | [1] | 加藤拓也(政4・慶應義塾) |
9 | [6] | 照屋塁(環3・沖縄尚学) |
慶大先発はエース加藤拓也(政4)。エースの名に恥じない快投を序盤は見せる。ストライク先行の投球で5回までわずか56球1安打3四死球無失点の堂々としたピッチング。初回と5回裏にピンチこそ作ったが、エースの貫禄と4年生としての意地でスタメンのうち7選手が3年生以下の法大打線を手玉に取った。
明大戦で2戦連続完封を食らった打線は加藤拓を援護する。2回表に先頭の山本瑛大(商4)が中安打で出塁すると犠打などで2死3塁の好機を作り、7番倉田直幸(法3)が遊撃への内野安打を放ち先制。倉田にとって今季初安打であった。3回表には不振にあえぐ慶大のニュースター柳町達(商1)の15打席ぶりの安打となる適時打が飛び出す。さらに4回表には山口翔大(環4)のバックスクリーンへの今季第2号となるソロ、5回表は1死2、3塁から山本瑛の内野ゴロの間に1点が入り4点を入れ、5回終了4−0とする。
ここから打線の中押し駄目押しと加藤拓のさらなる快投という青写真をスタンドの誰もが描いていたが、6回裏に脆く崩れる。先頭打者柴田に出塁を許すと1死2塁とされ、5番の川口に右前安打を許す。送球が本塁へと帰ってきて、オーバーランしていた2塁走者柴田を刺そうと捕手の郡司裕也(環1)が3塁にボールを送るも悪送球となってしまいその間に一点を返されてしまう。このプレーの際、沓掛祥和(商4)が走者との交錯で負傷。途中で交代し、明日以降の出場が危ぶまれる。このプレーで流れが法大に傾いたのか、続く5番中山が右中間に2ランを放ち1点差まで追い上げられる。
1点差まで詰められた打線は7回に得点圏まで走者を進めるもあと1点を入れられない。すると8回裏、1死3塁から中山がレフトへ大きなフライを放つ。その打球を左翼手の河合大樹(総2)がまさかの落球。犠飛としても十分な当たりであったため同点となる1点は仕方がなかったが、「ミスをしてしまうと野球の神様は勝たせてくれない」(大久保監督)という言葉通り、流れを法大に渡してしまう決定打となってしまった。9回裏、先頭打者を出塁させるも2死2塁まで加藤拓が粘ったが、最後は柴田にこの日の127球目をレフトに運ばれ万事休す。4点リードを守りきれず4−5でサヨナラ負け。初戦を落とした。
「もう勝つしかない」(加藤拓)。勝ち点3を首位明大が獲得している以上、優勝へこの法大戦では負けは許されなくなった。打線は明大戦の完封負けから良い兆しが見えてきたが、あと一本、あと一押しができなかった。それ以上にこの日、勝敗を分けたのは3失策の守備陣だろう。結果的にこうした細かいミスの積み重ねが流れを相手に受け渡す形となった。第2戦、第3戦。投手陣のリレーと復調してきた打線、そして守備陣の固い守りで勝利を手繰り寄せ、優勝前線に慶大の名を残してほしい。
記事:森田悠資
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
[5] | 沓掛 | 二ゴロ |
| 死球 |
| 遊安 |
| 遊ゴロ |
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5 | 内田 |
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| 左邪飛 |
[7] | 河合 | 空三振 |
| 一犠打 |
| 投犠野選 |
| 四球 |
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H | 天野 |
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| 二ゴロ |
7 | 重田 |
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[8] | 柳町 | 三ゴロ |
| 左安① |
| 一犠打 |
| 投ゴロ |
| 空三振 |
[3] | 山本瑛 |
| 中安 | 遊ゴロ |
| 遊ゴロ① |
| 遊ゴロ |
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3 | 清水翔 |
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[9] | 山口 |
| 投犠打 |
| 中本① | 一飛 |
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| 二ゴロ |
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[2] | 郡司 |
| 三ゴロ |
| 遊ゴロ |
| 中安 |
| 三ゴロ |
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[4] | 倉田 |
| 遊安① |
| 二飛 |
| 投犠打 |
| 右安 |
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[1] | 加藤拓 |
| 空三振 |
| 左安 |
| 空三振 |
| 左安 |
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[6] | 照屋 |
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| 二ゴロ | 見三振 |
| 一ゴロ |
| 三直 |
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◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
加藤拓 | 82/3 | 39 | 127 | 8 | 13 | 3 | 5 | 4 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
選手たちは法大のピッチャーに対してよく準備してきたと思う。しっかり試合に入ってくれたので、よくやってくれたと思う。前半は上手くいったものの、後半は相手のペースになってしまった。ミスも絡んでしまった。やはり、ミスをしてしまうと野球の神様は勝たせてくれない。6回裏のミスに関しては、試合中に起きたミスは仕方のないことで、悔いても仕方のないことだから、試合前からずっと選手たちには前向きにいこうと言っていた。サヨナラについては、試合のあやというか打順の巡り合わせもあって、2番も勝負だし、3番を歩かせて4番で勝負というのもどうかと。やはり加藤拓にはあそこでツーアウトを取って、踏ん張って、追い越されないで返ってきて欲しかった。向こうの気合が私たちを上回った結果だと思う。今日はケガ人や体調不良が出ていて、そこのマイナス要素がまだ払拭されていない。それは言い訳になってしまうが、明日は投手を繋いで頑張らなければいけないし、なんとか打線で点数を取らないといけないなと思う。今日は守り重視でいったら崩壊して、本当にうまくいかない。夏以降も点数を抑えようと守りを重点的に練習してきて、失点も少なくなってきた。それでも勝てなかった。加藤拓は1点、2点で勝ってくれるのに、エラーが絡んでしまい、予期せぬプレーが出てしまった。
加藤拓也(政4)
うまく味方が点を取ってくれていたので、そこで粘れなかった僕の力不足。チームを勝たせられなくて、申し訳ない。今日の調子は良くも悪くもなく、いつも通り投げていた。ヒットを打たれてから崩れたわけではないし、リズムが変わったわけではないが、先頭を出すことが多かったので、そこは抑えられなかった僕のミスだと思う。4点のリードがあったが、自分のやる事に変わりはないので、特に気持ちは変わらなかった。9回は、抑えようと思って投げたが、自分の力不足だった。負けたので、自分の投球内容についても気にしていない。もう勝つしかないので、自分のやれる事をやろうと思う。
山口翔大(環4)
序盤は良かったが、後半から相手の勢いに押されてしまった。沓掛が衝突したプレーでアウトが取れていれば法大の流れを切ることができていたのだが、点が入ってしまい、その流れでホームランを打たれた。その後のチャンスでこちらが点を取れなかったことで、完全に流れを持って行かれてしまった。ホームランを打ったときは、自分が1番驚いた。でも、そのあとも自分が打てていればあと2点3点は入ったと思うので、喜びきれない。明日はもっと厳しい試合、総力戦になると思うので頑張りたい。
山本瑛大(商4)
今日は勝てる試合を落としてしまったと感じている。法政の菅野投手はとても良くなっていて最初は驚いたが、2回では打てて本当に良かったと思う。今日はナイターになったが、ナイターでもやることは同じなので、いつも通りのプレーをしようと思った。春で自信をつけられたことが今季の打撃成績につながっている。この法政戦には、勝つ意識を持とう、という気持ちで臨んだ。明日はもう負けられないので、頑張りたい。
倉田直幸(法3)
悔しい。2死3塁の場面はヒット狙いでいった。早いと思ってヘッドスライディングした。調子が悪いとは思っていなかったのでヒットはそのうち出るだろうと思っていた。2本目はストレート狙っていたのでそれを自分のスイングをして打つことができた。直後の攻撃は単独スチールを試みたが、加藤さんが打ったという形。そのまま3塁まで行けてよかった。ナイターの施設がないので、対策は特にしていなかった。互いに注意しながらやっていた。明日勝てるように頑張る。
郡司裕也(環1)
加藤さんが打たれて負けたなら仕方ないのかなと思う。終わったことは切り替えて明日勝ちたい。(リード面では)序盤に真っ直ぐでけっこう押していたが、中盤になると相手が真っ直ぐを捉え始めたので変化球主体に切り替えた。最後にはそれを読まれたというか、つかまってしまったのでそこは反省点。加藤さんのときは基本的に加藤さんが投げやすいように本人に任せているところはある。今日は仕方ないが、明日以降は慶大の課題である2番手以降のピッチャーが出てくるので僕の力も重要になってくると思う。6回のエラーは、サードランナーが飛び出していたから投げたが思った以上に内側に入ってきていて、そこを見えていなかった。本当に負けたら終わりってところまで来てしまったから、背水の陣じゃないけど負けられない。総力戦になると思うがもう一回チームでひとつになって頑張っていきたい。