最下位・東農大との一戦は、これ以上負けられないチーム同士の手堅い展開に。前半は両チームシュート1本ずつにとどまり、後半になってもお互いに集中力を切らさず均衡は破られない。60分頃から走り勝った慶大が徐々に押し込み、終盤には惜しいチャンスを何度も作ったものの、東農大の執念のディフェンスに阻まれ最後まで得点は生まれず。「最低限」のスコアレスドローで勝ち点1を積み上げた。
第92回関東大学サッカーリーグ戦 第18節 vs東京農業大学
2018/10/28(日)11:30KO@立正大グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学0―0東京農業大学
【得点者】
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総3・横浜F・マリノスユース) |
DF佐藤海徳(政3・桐光学園) |
DF鴻巣良真(総4・国学院久我山) |
DF野村京平(総3・国学院久我山) |
DF 中島玲央(総4・柏レイソルU-18) |
MF 江本優貴(総3・大宮アルディージャユース) |
MF八田和己(総3・桐蔭学園) |
MF橋本健人(総1・横浜FCユース)→71分 松岡瑠夢(総2・FC東京U-18) |
MF松木駿之介(総4・青森山田) |
MF小谷春日(環4・藤枝東)→55分 ピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ) |
FW山田盛央(総3・藤枝東) |
秋が訪れ、長丁場の関東リーグも残り5試合となった。一刻も早く残留を決めたい7位の慶大。しかし、最下位に沈む東農大も死に物狂いで勝ち点を奪いにくる時期だ。簡単な試合はひとつもない。
この日の慶大は「前半は0-0でいい」「残り15分で相手が落ちる」(松木駿之介=総4・青森山田)というゲームプラン。前半は両チームのハードワークが光り、手堅い展開となった。その中でも小谷春日(環4・藤枝東)が得意のサイドの裏への抜け出しを繰り返し攻撃を活性化させたが、シュートチャンスはお互いにほとんど生まれず。唯一と言っていい得点機は26分、右サイドから小谷がクロスを上げ、ファーサイドで待っていた松木がワントラップから左足シュートを放ったが枠外。守備は鴻巣良真(総4・国学院久我山)、野村京平(総3・国学院久我山)を中心に危なげなく東農大の攻撃を跳ね返し続け、結局シュート数はどちらも1本ずつ。プラン通りの0-0で前半を折り返した。
後半に入り53分、カウンターから左サイドの裏を取られこの日初めての大きなピンチを迎えたものの、シュートは枠を外れ危機一髪。これ以降は前半と同様、東農大攻撃陣に見せ場を作らせず試合を進めた。55分に前節決勝弾を決めたピーダーセン世穏(経3・FCトリプレッタ)を投入して2トップに変更すると、徐々に慶大がゴールに襲いかかるシーンも増える。62分に松木がドリブル突破から放った強烈なシュートはGK正面。68分には佐藤海徳(政3・桐光学園)のクロスから再び松木にチャンスが訪れたが、相手DFの体を張ったブロックに防がれた。71分、慶大はドリブラー松岡瑠夢(総2・FC東京U-18)を投入し、勝負の「残り15分」へ。リサーチ通り運動量が落ちた東農大を攻め立てた。しかし、負ければ残留が厳しくなる東農大も執念を見せる。87分、89分とペナルティエリア内で松岡の前にボールが転がったが、シュートはどちらも相手DFの決死のブロックに防がれる。終了間際の90+2分には佐藤がフリーで強烈なミドルシュートを放ったが、低い弾道は惜しくもゴール左へ。あと一歩のところで勝ち越せず、スコアレスドローとなった。
ほぼプラン通りに進めた中での勝ち点1はやや物足りない感もあるが、慶大の成長が見えた試合でもあった。それは「90分間走り負けないこと」(冨田賢監督)。前期、体力切れで勝ち切れない試合が目立ったことで、夏に重点的に取り組んだ課題だ。この日の後半、徐々にパフォーマンスを落としていった東農大に対し、慶大は交代枠を1枚残して最後まで集中力を保ち続けた。夏の成果は確実に出ている。「来季につなげていけるように」(冨田監督)というテーマも浮かぶ季節。こういった成長を積み重ねることが、何よりも来季につながるだろう。
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試合後コメント
冨田賢監督
今日は最低限負けちゃいけないゲームだったから、もちろん勝ちたかったけど、負けちゃうと本当に(残留が)分かんなくなっちゃうから、残留という今の目標を達成するために最低限の結果かなと思います。
――お互いにハードワークした手堅い試合だった
基本的にはやっぱり負けない戦い方、打ち合ってというよりは絶対に失点しない中でもちろんチャンスがあれば決めるっていう準備をしてきたので。まあ最後決め切れてれば……スカウティング通り、残り15分で(相手は)落ちるっていうのは分かってたから、そこでシュート5、6本打ったんじゃないかと思うけど、決定機は作れてそこで決めたかったけど。まあ最後は東農大さんも体張って、負けちゃうと終わっちゃうからね、そういう気持ちの出たゲームだったんじゃないかなと思います。
――早めにピーダーセン、松岡を投入して仕掛けた
そうだね。ひとつは、ブロックを敷いてくるのは想定していて、その時に前半何回かあったようにカウンターを食らうシーンがあって。練習の中でもそういうカウンターを受けるシーンがあったから、そこは修正しようということで。狙いとしては、相手がセットして守る分うちのサイドバックへのプレッシャーはなくなるから、そこから長いボールを蹴ってセカンドボールを全員で拾うっていうゲームプランで。そういう意味では彼らを入れてそういうシーンが出てきたかな。そこが後半数多くチャンスを作れた原因じゃないかなと。
――最後の15分は相手が落ちたのに対してこちらはパフォーマンスが落ちなかった
そうだね。そこはもう、今年の夏にチームとして色々な課題を克服しようとしたけど、一番は体力のところで、そこを90分走り負けないこと。素走りもしたし、選手たちは苦しかったと思うけど、そこをみんなで乗り越えたのが今日の最後の15分につながったのかなと。今日も暑くなったから。
――次節に向けて
まずはもう残留を決めること。神大が今日勝ったしまだまだ分からないけど、なるべく1試合でも早く決めて、その後は来季につなげていけるように、僕自身もフルパワーで来年に何かつなげられるようにしたいと思います。
松木駿之介(総4・青森山田)主将
今日で残留を決めたいなということで、みんなで頑張ったんですけど、相手もよく戦っていたと思いますし、僕たちも出し切った中で勝ち切れなかったんで、特に悲観するゲームではないかなと思います。
――最低限の負けないゲームはできたか
リスクマネジメントという部分はすごく意識しようということで、相手がカウンターを狙っている中でよく対応できていたと思いますし、こちらも決定機が何本かあったんですけど、そこは力が足りなかったと思います。
――前半は特にチャンスが少なかったが、何を意識していたか
前半は相手がかなり強い圧力で来ていたので、冷静に戦って、前半は0-0でいいということでやってました。相手が絶対に後半落ちて、間につけたりとかできてくるだろうと考えていたので、そこはプラン通りだったかなと思います。
――後半相手が落ちた中でこちらは落ちずに攻められたところは手応えを感じるか
そうですね。みんなよく走れてたと思いますし、後半勝負になった中で、相手が残り15分の失点数がかなり多いのが分かっていたので、あともう一歩力が出し切れなかった思いはありますけど、現状の力なのかなと思います。
――松木選手の得意な得点パターンである右サイドからのクロスが多く入っていたが
相手が5バックだったのと、ショートカウンターも怖いのでサイドから攻めようとしていて、僕はクロスを上げるような選手ではないので、基本的には右から、(佐藤)海徳は精度の高いキックを持ってますし、(山田)盛央(総3・藤枝東)は縦に仕掛けて良いクロスを上げられますし、ハシケン(橋本健人=総1・横浜FCユース)もカットインして左足で良いボールを入れられるので、そこはひとつ起点になったかなと思います。
――次節に向けて
僕たちの中で残留が近づいた感覚はなくて、神大も今日勝ちましたし、結構危機感が強くなっているので、来週は集中応援日でもあるのでそこで勝って、日体大の昇格をなくして自分たちも残留を決めてというゲームをしたいですね。
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