【ソッカー(女子)】関東リーグ1部2部入れ替え戦 土壇場の失点でまさかの2部降格 TEAM2018ラストゲームは悔しい結末に

ソッカー

慶大は、引き分け以上で1部残留となる1部2部入れ替え戦に臨んだ。20分に先制を許すと、2分後にもあっさりと失点。しかし、27分に山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)がこぼれ球を押し込んで反撃の狼煙を挙げ、39分には工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)のミドルシュートがさく裂し同点に追いつく。このまま試合を終わらせたい慶大であったが、終了間際にCKからまさかの失点。一時は1部残留を手中に収めかけたかに見えたが、TEAM2018最後の試合は無情にも2部降格という結果に終わった。

第24回関東女子サッカーリーグ 1部2部入れ替え戦 vs尚美学園大学

2018/12/30(日)13:00KO @慶應義塾大学下田グラウンド

【スコア】

慶應義塾大学2-3尚美学園大学

0-1 20分 徳田優香(尚美学園大学)

0-2 22分 斉藤礼佳(尚美学園大学)

1-2 27分 山本華乃(慶應義塾大学)

2-2 39分 工藤真子(慶應義塾大学)

2-3 90+1分 岩根有香里(尚美学園大学)

◇慶大出場選手

GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園)

DF 熊谷明奈(総2・十文字)

DF 佐藤幸恵(総2・十文字)

DF 足立智佳(環2・大阪桐蔭)

DF 小川愛(総2・神村学園)

MF 松木里緒(環3・常盤木学園)

MF 平田朋(環1・日ノ本学園)→83分 勝木日南子(総3・大和)

MF 中島菜々子(総4・十文字)Ⓒ

MF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)

FW 鈴木紗理(総2・十文字)

FW 山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)

全日本大学女子サッカー選手権大会では創部史上初の勝利を挙げながらも、2回戦で敗退した慶大。神戸で味わった悔しさもまだ記憶に新しい中、年の暮れのホーム下田グラウンドで関東リーグ1部2部入れ替え戦に臨んだ。先発は足立智佳(環2・大阪桐蔭)以外インカレ2回戦と同様の布陣。今季の対戦は無いものの、昨季は辛酸をなめさせられた尚美大だけに苦戦が予想された。

 

今季、立ち上がりに苦しむことの多かった慶大だが、この試合ではここ数試合と同様に試合開始からペースをつかんだ。2分には工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)がドリブルで持ち上がり、足立智佳(環2・大阪桐蔭)のクロスから山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)が頭で合わせるという得意の攻撃パターンを見せる。前線の2枚でプレスをかけてくる尚美大に対し、慶大は中島菜々子(総4・十文字)が両CBの間に落ちて数的有利を生み出し、安定してボールを保持した。しかし、相手のプレッシャーに押され、バックパス直後に改めてパスコースを創出する動きに欠ける場面が目立ち、徐々にリズムを失う。波状攻撃を受けた慶大は、20分に中央からスルーパスを通され先制点を許すと、5日前のインカレ2回戦でも致命傷となった課題、連続失点がここでも露呈してしまう。悪い流れを払しょくできないでいると、2分後に志鎌奈津美(環4・常盤木学園)の頭を越えていくループシュートを決められあっさり追加点を許してしまった。まさにインカレ2回戦の再現のような形で2点ビハインド。ここからの挽回は厳しいかに思えた。だが27分に、松木里緒(環3・常盤木学園)のシュートを相手GKが弾いたこぼれ球に山本が詰めて反撃の狼煙を挙げると、試合は再び慶大ペースに。36分には絶好の位置で工藤が倒されFKを得る。しかし、キッカー鈴木紗理(総2・十文字)が巻いて放ったボールはクロスバーに当たり惜しくもゴールとはならなかった。そして迎えた39分、長い縦パスが工藤につながると工藤は相手DFと競り合いながらドリブルで前進。思い切りよく右足を振りぬくとボールはGKの手を弾いてネットを揺らした。わずか20分弱で追いついた慶大は同点で前半を終えた。

 

後半開始直後、前半の勢いそのままに2度決定機を迎える。47分に山本がドリブルで敵陣に侵入すると、最後は工藤がフリーでシュート。枠を捉えればゴールといったシーンであったが、力んでしまいボールはクロスバーの上へ。更に2分後には松木のシュートがポストすれすれを通過する惜しい場面もあった。すると、両チーム共に動きのあった前半から一転、どちらにもシュートが生まれない展開に。引き分けでも1部残留の慶大は無理をせずボールを運び、丁寧に繋いでいく。またボールを失っても高い位置で即時奪回を試み、何度かショートカウンターでチャンスを生んだ。83分には逆サイドの松木と共にギャップを上手く活用し、攻撃を活性化させた平田朋(環1・日ノ本学園)に代わって勝木日南子(総3・大和)を投入。85分を過ぎ、残りの交代枠を使うなどして時間を進め、慶大が1部残留を決めるかに思われた。最終ラインでパスを回す慶大に対し、尚美大は激しいプレッシャーとパワープレーで対抗。そして90+1分、悲劇の時間がやってくる。「コミュニケーションミス」(伊藤洋平監督)から相手にセットプレーを与えると、ゴール前中央で完璧に頭で合わせられ失点。試合はそのまま終了し、慶大はまさかの結末で2部に降格した。劇的な結末に歓喜する尚美大の横で、選手たちはしばらくその場から動けず、ピッチに倒れこむ者もいた。

 

“まさか”の結末と表現した最後の失点。しかし、本当に“まさか”なのだろうか。1年間を通して常についてまわった連続失点という課題。そして試合運びの部分での課題、「最後の最後の弱さ」(中島)。大学リーグ1部残留やインカレ初勝利など正の軌跡の裏で、ずっと克服しきれなかった自分たちの弱点が一気に噴出したように思えた。ただ、山本が「1年間の課題が最後の最後で出てしまった」と語ったが、ピッチにいた選手たちがそれを一番痛感したのは間違いなく、その悔しさは計り知れない。TEAM2018は悔しい敗戦で幕を閉じることとなったが、ここまで積み上げてきた“慶大らしいサッカー”は必ず受け継がれていく。最短での1部復帰とインカレでのリベンジは4年生から後輩たちに託された。来季、TEAM2019がソッカー部女子の歴史を大きく塗り替えることを期して、TEAM2018に別れを告げたい。

(記事:柴田航太郎 写真:小林将平、岩見拓哉)

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以下、試合後コメント

伊藤洋平監督

――厳しい結果となりましたが、試合を振り返って

またしても連続で失点してしまってシーズン通しての課題が出たかなという感じです。

――しかし連続失点のあと、2点差を追いついた

追いついたのはプラスに評価できますけど連続して失点しなければ、順当にやっていれば勝てた試合だと思うので非常にもったいなかったなと思います。

――終盤の戦い方は難しかったと思われるが、土壇場で失点してしまった

基本的にはその点差、状況で試合を終わらせたいときは、ボールを持ちながら相手が前に出てきたところを突いていくという考え方なんですけど、そういったプランはありながらもやっぱりプレッシャー以上のサポートはとれなかったですし、最後コーナーにしてしまったシーンも結局自分たちのコミュニケーションミスで、自分たちで首を絞めてしまいました。

――この1年間、アウェイにも多くの観客が詰めかけました。応援してくださった方々にメッセージをお願いします

今日も満席に近い方々が来て下さって、こういうサッカーをすることでもちろん批判とか非難されることもあるんですけど、共感してくださる方もたくさんいらっしゃって、そういった方々がもっと増えていってもらえればと思いますし、降格しましたけれどもまた必ずこの舞台に帰ってきますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。

 

中島菜々子(総4・十文字)主将

――今日の試合を振り返って

まず、立ち上がりから相手の前からのプレスに対策はしてたんですけど、ちょっと苦しめられて前半2失点してしまって、前半の間に取り返せたのはチームとしても勢いに乗ってたしすごい良かったんですけど、やっぱラスト1分とか最後の最後の弱さ。今シーズン通して立ち上がりとか終盤の弱さを克服しきれなかったなと思います。

――ご自身はこれで引退となりますが、4年間振り返っていただいて

本当に慶應入ってからはサッカー面ではずっと試合に出させてもらうことができたし、サッカー以外の面でも多くのことを学ぶことができたし成長できたし、沢山の人に応援されるチームでこれまでのサッカー生活の中で一番楽しい4年間だったなと思います。

――来年のTEAM2019にむけてメッセージを

関東リーグが2部になってしまったことは本当に申し訳ない気持ちで一杯なんですけど、最短での1部復帰っていうのを目指してほしいし、今年後輩たちは初めてインカレの舞台を見たと思うんですけど、あの楽しさとか悔しさとかは絶対残ってると思うので必ずインカレの舞台に出場してほしいなと思います。

 

工藤真子(総3・日テレ・メニーナ)副将

――試合を振り返って

来年は2部なんだなという、1部に残りたかったなという思いがあります。

――今季はどのようなシーズンだったか

山あり谷ありの一年だったなと思って、もちろんチームが良い時は良いし悪い時は悪いし、連続失点のところとか結構いつも慶應の弱い部分だったし、そういうところを最後まで変えられなかったというのがちょっと悔いというか、もったいないなという感じですね。

――来季に向けて

まずは関東リーグで1部に昇格するということは大前提として、インカレも今年は2回戦で負けてしまったので来年こそはもっと勝ちたいし、もっと強い慶應を作っていかなくてはいけないので、チーム一丸となって頑張っていきたいなと思っています。

 

志鎌奈津美(環4・常盤木学園)

――試合を振り返って

やっぱり悔しいですね。

――4年間を振り返って

1年から3年まではフィールドプレーヤーとしてやってきて、1年の時はインカレに出て1回戦敗退してすごく悔しい思いをして、2年も先輩に引っ張ってもらいながらも、その年も結構苦しい年というか全然勝てない年で、大学リーグとかも骨折とかして全然出られなくて、最後入れ替え戦に出たけど負けてとか、本当にいろんな、インカレ出て降格してまた3年でW昇格してとか、本当にいろんな経験をさせてもらったからこそ今年4年目でインカレに行けたりとかできたのはその3年間の経験とかがあったからだなというのは凄くあって、3年生までは自分の中で点を取るということを凄くこだわっていてやってきた中で最後の年にキーパーをすることになって、最初は本当にすごく複雑な気持ちというか、いろんなぐちゃぐちゃした気持ちはあったけど、でももうやるしかないって割り切ってからはもうとにかく時間がない中でどれだけやれるかということだけを考えてきたので、まあ、苦しいことの方が多かった気もするけど、でもインカレも行けて、まだ続けたかったですけど、そうですね…やれることはやったのかなというのはありつつ、やっぱりインカレもベスト4に行きたかったし今回も1部残留をして次に繋げたかったなという気持ちがあるので、後輩たちに何を残せたのか分からないけど、自分の中でインカレに一回でも出た経験とか降格したり昇格したりっていういろんな経験が最終的に自分が4年生になった時に凄く生きたと思うので、まあいろんな経験をしながら後輩たちも最後自分が4年生になった時に結果を残せるように頑張って欲しいと思います。

――この4年間で得たものは

最後の最後に1年通して感じたのは、自分が上手くなりたいとか成長したいって思って行動すればどのタイミングからでもいくらでもサッカーは上手くなれるし、その反面同じ一年を過ごしていても、手を抜いているわけではないんだろうけど、何も考えずに過ごしていればそれなりの結果しか出ないしというのは凄く感じたので、いかに少ない時間の中でどういうふうに自分が成長していけるかっていうのをただ考えるだけじゃなくてどうなりたいかっていうところから逆算して実際に実行してやっていくことの大切さとかっていうのは、本当にいろんなポジションとか、特にこの一年間を通して得たものです。

――後輩たちへのメッセージ

やっぱりサッカーをするのは選手一人ひとり自分たちなので、誰に何を言われようと、とにかく自分の意思を一番に大事にしてほしいということと、本当に後悔のないようにというか、自分で何か選択があるとするんだったら人に言われてやるんじゃなくて自分の意志で決めるのがやっぱり自信にもつながると思うし最後までやり切る力にもなると思うし、とにかく自分の意思を大事にして、その中で仲間とか後輩とかいろんな人のためにどう影響を与えていけるのかっていうことを考えながら自分の意思を大事にしながらサッカーを楽しんでほしいなと思います。

――最後に、4年間応援して下さった人たちへのメッセージと自身の今後について

まず4年間、本当にいろんな人に応援をしていただいて、本当に十何年サッカーをしてきた中でもやっぱり凄く濃い4年間だったなと思っていて、神戸に行ってもいっぱい応援をしに来てくれる人たちがいるし応援に来れなくてもすごく気にかけて声をかけてくれる人もいるし、自分にとってそういう人たちの存在は本当に大きかったので、そういう人たちのためにもサッカーを頑張ろうと思えたしすごく力になったので、感謝の気持ちしかないです。本当にありがとうございます。で今後は、社会人になって新たなフィールドにはなるんですけど、やっぱり自分のやりたいことを一番にやりつつ成長できるように頑張っていくことと、サッカーは多分これからも続けると思うので、どのレベルでやるかとか配属とかも何も決まっていないのでどこでやるかとかも全然決まっていないんですけど、何かしらのかたちでずっとサッカーは続けていくので、またもしかしたら後輩と会う可能性もあるしサッカーを続けていればいろんな人にまた会えたり応援してもらったりとかいろんなことがあると思うので、そういうのも続けて頑張りながら新たなフィールドでも頑張って飛躍できるように頑張っていきたいと思います。

 

山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)

――厳しい結果となりました

今日は何が何でも残留しなきゃいけない試合で4年生の為にも勝って終わりたかったんですけど、最後の最後でやられてしまって連続失点であったり、最後にやられちゃうところとか、1年間の課題が最後の最後でも出てしまったなと感じました。

――個人としてはこの試合でも点を決めた

あのシーンは負けていたのでキーパーのこぼれ球は反応しようといつも心掛けているので、ちゃんと反応できたことはよかったです。

――来年に向けて意気込みを

今年1部で戦ってインカレも戦って、自分がもっと点を取らなきゃいけないということをめちゃめちゃ痛感したので来年3年生になって上級生になるのでもっと点を取ってチームを勝利に導けるような選手になりたいと思いました。

 

※2018シーズンもどんな時でも快く取材に応じてくださった慶應義塾体育会ソッカー部女子の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。また、この試合をもって引退される4年生の皆様、4年間本当にお疲れさまでした。皆様の今後のご活躍を、慶應スポーツ新聞会女子サッカー取材班一同、心より願っております。そして2019シーズンも、引き続きよろしくお願いいたします!

 

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