第25回関東女子サッカーリーグ 後期第4節 vs武蔵丘短期大学
2019/07/15(月)11:00KO @慶應義塾大学下田グラウンド
下田グラウンドに笑顔が弾けた。早慶定期戦から中2日で迎えた関東リーグ後期第2戦。18分に課題であった先制点を松木が奪うと、試合は終始慶大ペースに。後半は無数のチャンスシーンを作り、48、52、66分と立て続けにゴールを奪った。守備でも全体が間延びすることなく、素早い切り替えと体を投げ出した守備で最後までゴールを割らせず。今季初の複数得点で大勝した慶大。躍動する荒鷲が久しぶりに帰ってきた。
【スコア】
慶應義塾大学4-0武蔵丘短期大学
1-0 18分 松木里緒(慶應義塾大学)
2-0 48分 山本華乃(慶應義塾大学)
3-0 52分 奥本くるみ(慶應義塾大学)
4-0 66分 松木里緒(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 尾崎栞(法4・県立多摩)
DF 中井里衣子(総2・作陽)
DF 奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース)
DF 足立智佳(環3・大阪桐蔭)→64分 庄司夏穂(総4・聖和学園)
DF ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)→46分 佐藤幸恵(総3・十文字)
MF 松木里緒(環4・常盤木学園)→84分 藤田椰也子(経2・SOCIOS.FC)
MF 勝木日南子(総4・大和) ©
MF 髙橋佳里(総1・常盤木学園)
MF 小川愛(総3・神村学園)
FW 高月彩香(環2・村田女子)→77分 内藤孝穂(総3・常盤木学園)
FW 山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)→55分 鈴木紗理(総3・十文字)
あの大敗から3日。早くも挽回を期する後半戦の戦いがやってきた。対戦相手の武短大は前日に皇后杯埼玉県予選決勝を戦っていた為、慶大は中2日でありながらコンディション面で有利であった。早慶定期戦と異なり、髙橋佳里(総1・常盤木学園)、ブラフ フェイ(文1・スフィーダ世田谷FCユース)、高月彩香(環2・村田女子)が先発メンバーに起用された。また、ベンチにはユニバーシアード・ナポリ大会から帰国した主将:工藤真子(総4・日テレ・メニーナ)の姿があったが、試合には出場しなかった。
この日の慶大は早慶定期戦の悔しさをピッチ上で力に変えた。間延びすることなくコンパクトな陣形を保って試合に入ると、さっそく4分にはブラフのクロスに勝木日南子(総4・大和)が合わせて相手ゴールに迫った。その10分後、小川愛(総3・神村学園)のインターセプトから右サイドの松木里緒(環4・常盤木学園)を経由し、最後はゴール前の山本華乃(理3・横須賀シーガルズ)へ、という綺麗なミドルカウンターも見せた。
そして迎えた18分、ブラフが右サイドを突破したところからPA内で前を向いた松木は、見事にニアサイドを打ち抜いてネットを揺らした。先制点を取られて苦しんできた慶大にとって、余裕を持つことができる大きな1点となった。その後も、小川が「切り替えのところが原点」と語ったトランジションの速さや、球際の激しさを見せてボールを握り続けた慶大。27分に山本、29分に松木、36分に勝木と前線の選手たちがいずれも枠内シュートを放った。45分には山本が相手DFを一枚はがして松木へパス。松木は難しい体勢からシュートを放ったが、これは惜しくも相手GKのナイスセーブに阻まれた。追加点こそ奪えなかったものの、1-0と久しぶりに前半をリードして終えた。
伊藤監督はハーフタイムでブラフに代わって佐藤幸恵(総3・十文字)を投入。そして、後半開始から20分間はまさに慶大の独壇場となった。「後半立ち上がりを引き締めて入れた」(伊藤監督)中、48分にはPA内で崩し切ると最後は山本がストライカーらしい力強いシュートを蹴りこんだ。追加点を奪った慶大は今季リーグ戦初の複数得点をマーク。波に乗った。
3分後にはCKで弾かれたボールをキッカー足立智佳(環3・大阪桐蔭)が再びクロス。これを奥本くるみ(環4・浦和レッズレディースユース)が右足で決め、リードを広げた。大量リードで伸び伸びとプレーする中、59分には中井里衣子(総2・作陽)が見事にカウンターの芽を摘むなど守備陣も活躍。そして66分には途中出場の庄司夏穂(総4・聖和学園)がファーサイドに精度の高いグラウンダーのクロスを供給すると、そこに詰めた松木が冷静に流し込んで本日2点目のゴール。試合を決定づけた。
一方、71分、82分のピンチは尾崎栞(法4・県立多摩)がしっかりとセーブ。両CBの身を挺したスライディングなども光り、クリーンシートを達成した。試合終了間際には鈴木が単独でPA内に侵入し、あわや5点目かという華麗なループシュートを放ったが右ポストに嫌われゴールならず。しかし、終わってみれば大量4得点のゴールラッシュで圧勝した慶大。得失点差もー5からー1へ大幅に良化し、降格圏脱出へ向けて非常に価値ある勝ち点3を手にした。
4月20日の前期第2節(1◯0)以来およそ3か月ぶりのリーグ戦勝利に、下田グラウンドは笑顔に包まれた。今季初の複数得点さらにクリーンシート達成と、結果だけ見ればほぼ満点と言ってよい試合。選手たちが早慶定期戦の後悔を引きずらず、ピッチ上での力にそれを昇華させていたのは会場にいた観客全員に伝わったはずだ。あえてネガティブな点を挙げるとすれば、自陣近くでの不用意な横パスが散見されたところ。この試合では失点につながらなかったものの今後は気を付けたい。
武蔵丘短期大学のコンディション不良、主力の欠場と慶大有利であったのは確か。しかし、今日はいずれにしても勝利したという結果が大きな意味を持つように思える。そして前期リーグ、定期戦と続いた悪い流れを一気に払しょくできるのでは、と誰もが期待せずにはいられない快勝劇となった。「もっとやれると思う。」小川のこの言葉が気休めなどではないことを証明する戦いが、またここから始まる。
(記事:柴田航太郎 写真:堀口綾乃)
*次戦7月21日はTwitterでの速報及び戦評の公開は行わない予定です。誠に申し訳ありません。
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伊藤洋平監督
――今季ベストの試合でしたか
この点差で勝って尚且つ無失点っていうのは今までには無かったので、そういう意味ではベストゲームかもしれないです。
――チーム全体でハードワークできていた
2つあると思っていて、1個はその早慶戦での悔しさだったり。もう1個はあちらのコンディション不良ですね。なので相対的にこっちがコンディション良く見えたのかなって思います。
――先制点を奪ったことで余裕を持ってゲームメイクできたのでは
先制点の大事さが分かったと同時に、逆にこっちが先制点を食らった時の厳しさも同時に分かったというか。やっぱりこういう展開を続けていかないと勝ち点を拾っていけないので、いい勉強になりました。
――圧倒的に攻勢となった時間帯はどこが良かったとお考えですか
ちょっとエラーが出たところを整理したりとか、1ー0で勝ってたんですけど後半の立ち上がりを皆んなが気を引き締めて入ってくれたので、そこが良かったかなと思います。
――両CBが体を張って、
本当にそうですね。
--いましたが、無失点の守備陣をどう評価されていますか
後半からディフェンスラインのところも少し修正しましたしGKも体を張って止めてくれたので、そこは本当に誇らしいなと思います。
松木里緒(環4・常盤木学園)主務
――なによりも結果を残しました
関東リーグ何が何でも残留しなきゃいけなくて、この前の早慶戦で惨敗して気持ち切り替えて臨んだ一戦でした。自分もチームもいま一度振り返って、結果的に2点取れたのはすごい安心してます
――早慶戦の悔しさはやはりバネになったのか
ラストの早慶戦がああいう形になってしまってすごい後悔ばっかだったので、変わるきっかけになったしこっからかなって思います。
――チーム全体でハードワークが光りました
気持ちが入ってた部分もあったし、武蔵丘短期大学は昨日も試合で、また主力メンバーがフットサルの大会に行ってていないってこともありました。「運動量の部分では負けられないよねって」って伊藤監督からも言われていたので走り勝つことは一番だし、球際のところは前期で全然ダメだったので負けられないとミーティングでも確認していました。
――次戦に向けて意気込みを
2部残留と上位に向けて負けられない試合が続くので、しっかりまた準備したいと思います。
小川愛(総3・神村学園)
--4発で快勝しました
早慶戦でああいう不甲斐ない試合をしてしまったということで、チーム全体で気持ちだけでは負けないっていう風に試合に入りました。安心してるわけではなく、もっとやれると思います。
--迫力ある攻撃を見せましたが要因はどこだとお考えですか
相手のゴールしか目指してなかったので、それが良かったかなと思います。
--相手のゴールという言葉がありましたが、小川選手はここ数試合積極的にミドルシュートを放っています
ビルドアップとかチームの流れっていうところを意識し過ぎて一番大事なゴールが見えてなかったなって自分で思ったので、もっとゴールを目指してやらないといけないと意識してやってます。
--ボールを奪われた瞬間の切り替えに関しての声かけが多かった
切り替えのところは、このチーム始まってからずっとそこを意識してやってきたので、色んな課題が見つかってきたシーズンですけど、やっぱり切り替えのところが原点というかビルドアップする上で一番忘れちゃいけないところなので、そこが意識してできていたのは良かったと思います。