【端艇】日本一へ向け課題は明白に／第９８回全日本選手権大会

全日本の決勝を闘った男子舵手なしフォア

早慶レガッタ中止――。すべてを懸け積み上げてきたものを発揮する場を失った悔しさ。それを乗り越えようやく舞台は整った。限られた時間の中で部員一人一人が漕力を伸ばしてきた慶大。今大会は４クルーが順位決定戦、２クルーが決勝に進むなど１０月末に行われるインカレでの日本一へ向け、大きな一歩を踏み出した。

第９８回全日本選手権大会

１０／８（木）〜１１（日）　＠戸田漕艇場

・詳細

待ちに待った慶大端艇部の2020年の戦いが幕を開けた。

今年度は異例続き。開催直前に決まった早慶レガッタの中止。新型コロナウイルス感染拡大による活動自粛、インカレの延期。

端艇部員はボートに乗れる機会も限られ、思うように練習ができないもどかしさを抱えていた。しかし、その限られた状況下でも「技術の向上」に「集中力を割く」ことで「一人一人の漕力の向上」に繋がったと主将の村上廉太郎(政４・慶應志木)は語る。慶大端艇部が目指すのは全日本の表彰台とその先の日本一。その目標に向かって今季の初戦に臨んだ。

大会初日。例年はたくさんの観客で埋め尽くされ活気にあふれる戸田ボートコース。しかし今年度は寂しさを感じる無観客開催に。そんな中でも慶大はこれまでの成果を見せつける。スタートから強さを見せた男子舵手なしフォアが予選1着となり決勝進出を果たし、男子シングルスカルの新井勇大(経4・慶應志木)も大きく水を空けて予選を1着で通過。

続く2日目は男子舵手なしフォアに続けと言わんばかりに着実に敗者復活戦を通過し、計4クルーが準決勝進出を決める。3日目の準決勝および順位決定戦では社会人や強豪校に一歩及ばなかったが、それぞれのクルーがしっかりと試合経験を積み、インカレに向けて課題が明白になったという点で非常にポジティブなものとして捉えられるだろう。

そして最終日。男子シングルスカルの新井勇大は3位入賞、男子舵手なしフォアは「自分たちの思い描くようなレースにできなかった」(鍛治田有史＝政４・慶應)と5位に沈んだ。しかし、全日本の決勝という大舞台で闘ったという自信は必ずインカレでも生かされるに違いない。

激戦を制し準決勝へ駒を進めた男子エイト

主将の村上は今大会を振り返り、「まだまだインカレまでに大きく修正する必要はあるが、２週間次第では優勝を狙える確信が持てる大会だった」と自信をのぞかせた。また、決勝の舞台を経験した鍛治田も「これまで１ヶ月ほどやってきた土台はあり、そこは間違っていなかったと思うので、あと２週間は課題の修正の所をもっと詰めていきたい」とさらに気を引き締めた。

今大会、慶大端艇部はこれまでの過程への自信と試合を通して出た新たな課題と大きな収穫があった。残りわずかしかないインカレまでの準備期間でどれだけそれらの課題と向き合い「変化」できるのか。「今まで見たことのないような慶應、結果を出したい」と力強く語った主将村上の言葉を私たちは楽しみに――。必ずや私たちに驚きと感動をもたらしてくれることだろう。

【第４７回全日本大学選手権大会は１０月２２日（木）～２５日（日）に開催されます。】

・大会結果

男子エイト

C:向井新(経4)

S:村上廉太郎(政4)

7:古谷高章(商4)

6:大下陽士(法2)

5:石田新之介(法2)

4:田村直親(政4)

3:亞厂拓海(経3)

2:朝日捷太(経3)

B:永田大智(環4)

男子舵手なしフォア

S:鍛治田有史(政4)

3:勝野健(経3)

2:足利海知(商3)

B:野村瑛斗(総2)

男子シングルスカル

S:新井勇大(経4)

男子舵手付きフォア

C:森田大陽(商4)

S:赤堀太一(商2)

3:浦敬太郎(経4)

2:磯田大貴(政2)

B:大島諒也(政2)

男子舵手なしペア

S:橋本健之介(法2)

B:大森琉斗(政2)

男子ダブルスカル

S:田上諒(経3)

B:小宮山息吹(経4)

男子舵手なしクォドルプル

S:佐藤晴信(経3)

3:三浦治樹(商4)

2:笹生洪太(法2)

B:七條怜史(法3)

女子エイト

C:水谷智咲(環4)

S:遠藤佳奈(商4)

7:兼子佳恵(政3)

6:伊地知真優(環2)

5:根岸彩子(政4)

4:三神真優子(政2)

3:松井萌(経2)

2:山崎絢乃(政3)

B:流石章代(総4)

（記事：東修司、写真提供：慶應義塾體育會端艇部）