【競走】「陸上はアイデンティティ」法政二高の先輩後輩コンビが箱根路を目指す! 弓田一徹×村松駿平(後編)/箱根駅伝予選会直前特集2026②

競走

10月17日に開催される箱根駅伝予選会。本企画では、予選会での活躍が期待される9人の選手にインタビューを行いました。

今回話を伺ったのは、法政二高出身の弓田一徹(環3・法政二高)選手と村松駿平(総2・法政二高)選手。陸上競技を「欠かせないもの」と語る2人は、今年の予選会でどんな走りを見せるのか。2人の活躍から目が離せません!

 

 

 

 

――今シーズンを振り返ってください

弓田:去年とは正反対のシーズンです。去年はトラックの試合にどんどん出て、大幅に自己ベストを更新した後、怪我で長期離脱しました。今年は春休みにあまり練習を積めなかったこともあり、いきなり全力を出すのではなく、抑えめにシーズンに入って、練習を継続することを意識してきました。

4月の六大学陸上の弓田

途中でアクシデントがあり、結局怪我はしてしまいましたが、全く走れなかった期間は去年よりずっと短く、長い目で見れば去年より練習できています。タイムだけなら去年のほうが速いですが、シーズンを春と冬に分けるなら、今年の春は冬に向けて練習を積むための期間にできました。

村松:弓田さんのそういうところはやっぱりすごいです。自分は絶対に最初から飛ばして、怪我をしてしまうので(笑)。去年の予選会は走れなかったので、冬こそ結果を出したいと思い、練習で自ら引っ張るなど、練習への取り組み方をいろいろ変えてみたのですが、うまくいきませんでした。

5000mに限らず、2年くらい全種目で一度も自己ベストを更新できていなかった中、3月に体調不良で一度実家に戻りました。気持ちが切り替わったのかはわかりませんが、復帰後に久しぶりに走った1500mで2年ぶりの自己ベストが出て、そこで気持ちが楽になり、春先は状態が良かったです。

4月の六大学陸上の村松

直後の六大学でも、ベストは出ませんでしたが得点できて、関カレの標準も突破しました。去年立てた「2年生で関カレに出る」という目標を達成できたので、春はいいシーズンを過ごせました。ただ、試合が続いたこともあり関カレの時点で足の状態が良くはなく、出場という経験は得られたものの、そこで大きな怪我をしてしまいました。それを8月ごろまで引きずり、練習を十分に積めないまま合宿に臨むことになりました。

 

――夏の練習期間を経て、感じたことや得られた収穫を教えてください

弓田:僕は夏合宿中にアクシデントで怪我をしてしまいました。全く走れなかったのは1週間ほどですが、本格的に練習へ復帰するまでには1か月ほどかかり、選抜合宿にも行けませんでした。ただ、全力で練習できない中で、逆にやる気が湧いてきたんです。みんなが北海道で走り込んでいる間、僕は残って全カレの応援などをしていました。走れないなりにできることをやる中で、合宿組より精神的に鍛えられ、走りたいという気持ちを蓄えられたと思います。それに、合宿組は練習を積んだ分疲労も残っているはずですが、僕は一次合宿の疲れがちょうど抜けてきて、調子が上がってきています。周りと比べて遠回りをしましたが、順調にいかない中でどう軌道に乗せるか、その修正力を工夫しながら磨けたことが収穫です。

村松:自分は一次合宿の時点で怪我明けだったので、別メニューで取り組みました。ジョグで土台を作ることを主眼に、起伏のあるコースで脚づくりをしました。別メニューの中では、かなりいい練習ができました。蔵王(一次合宿地)とは相性が良く、毎回いい練習を積めている感覚があります。二次合宿までの間には日吉で少しきつめの強化期間があり、そこで体をしっかり戻せたので、いい状態で二次合宿に入れました。ただ、二次合宿では去年と同じく途中で離脱してしまって。去年から改善できていない部分なので、今後も課題になりそうです。それでも、去年はできなかった30キロ走などの長い練習には基本的に参加できました。長い距離への恐怖や不安をかなり払拭できたので、予選会を見据えるうえでは手応えのある夏でした。ここから仕上げていきます。

 

――予選会での個人としての目標を教えてください

弓田:去年は学生連合チームのメンバー入りを目標にしていたので、全体順位やチーム内順位など、周りとの比較を意識していました。今年はそこを一新して、タイムだけを考えるつもりです。

「65分というタイムにこだわりたい」

5、6月ごろに、力を100パーセント出せたときのA目標と最低限のB目標を立てました。B目標は65分切りで、関カレのハーフマラソンの標準記録が65分なので、ここは何としても達成したいです。僕は去年標準を切っていますが、その記録は有効期限の関係で来年は使えず、このままでは来年の関カレに出られません。予選会は長距離だけの大会ですが、関カレは部全体で戦う試合です。自分が出たいのはもちろん、来年4年生になる立場として、部のために出なければという思いもあります。出場権を来年につなぐためにも、65分というタイムにこだわりたいです。去年の予選会は65分半だったので、そこから30秒縮められれば、順位も自然とついてくると思います。

村松:自分は6月の時点で、A目標として65分切りを掲げました。理由は同じく関カレの標準です。今年の関カレでは3000mSCを走らせてもらいましたが、箱根駅伝出場を目指す以上、ハーフマラソンで戦えるようになりたいので。

「65分切り」

ただ、それ以上に今年はチームとしての結果が重要です。合宿で自分はBチームで練習していましたが、Aチームとの差は大きく感じました。本当はAチームに食らいつきたいのですが、今はBチームの練習をこなすだけで精一杯です。それでも、本番でAチームのメンバーを1人でも食っていければ、おのずと結果はついてくるはずです。Bチームの選手が結果を残せば、慶應が毎年苦戦しているチーム後方の選手のタイムが上がり、チームとしてもいい結果につながる。それが自分の予選会の目標です。

 

――お二人が考える予選会の「鍵」を教えてください

弓田:僕は「公園内」です。似たコースの立川ハーフは走ったことがありましたが、予選会は去年が初めてでした。先輩たちがみんな「公園内が大事」と言っていて、最初は起伏があるからといった表面的な理由だと思っていました。

「精神面の厳しさ」

でも実際に走って感じたのは、体が動かないのはもちろん、精神面の厳しさでした。終盤は他大学の応援も自チームの応援もたくさんいる中で、気持ちの面で他大学に押されてしまい、抜かれる一方でした。地形もきついので、やはり15km以降の公園内が鍵になります。去年は走行距離自体が少なく、15kmからゴールまで粘る練習をあまりできていなかったことが失速の原因でした。今年はスタミナ面でも去年よりいい状態で迎えられそうなので、前半の15kmは終盤に備える走りをして、去年失速した公園内で、今年は出し切ったと言えるレースにしたいです。

村松:自分は予選会を走ったことがないので、コースについてはあまり言えないのですが……。当たり前かもしれませんが、「気持ち」です。去年は裏方として、弓田先輩の言う一番きつい15km付近で応援していました。自分は日本人トップから慶應の選手まで、目の前でずっと見ていて。前のほうの選手にも余裕があるわけではなく、前も後ろもみんな同じようにきつそうな顔をしているんです。この人たちは本当に気持ちで走っているんだと感じました。だからこそ、「箱根に出たい」という思いをどこまで高められるかが、残り期間の勝負だと考えています。実際に走ってどこできつくなるかは、お楽しみです(笑)。

 

――予選会当日、スタートラインに立ったときにはどんな気持ちになると思いますか? 

弓田:初めて走った去年もそこまで緊張はしなかったので、今年も緊張にのまれることはないと思います。自信の面では、去年は怪我明けなのにどこか自信があるような、空元気に近い状態でした。今年は一度走っている分、初めてだからこその怖いもの知らずはもうありません。だからこそ、準備に全てがかかっています。準備が当日のメンタルを左右するので、最善の準備をして自信につなげたいです。

村松:わくわくしていると思います。去年は走るかもしれない状況で、当日の朝にアップまでしたものの、結局走りませんでした。寮に予選会の録画が残っていて、1人でたまに見返すのですが、自分もこの場所で走りたいと素直に思います。初出走なので怖いものはありませんし、緊張に押しつぶされるタイプでもないので、楽しんで走れそうです。

 

――最後に、予選会への意気込みをお願いします!

弓田:今年は周りのことは考えず、自分の力をタイムで示したいです。練習の段階から65分を切るための準備をして、本番で65分を切る。正直、それしか考えていません。自分でやると決めたことをやり抜くために、周りに流されず、自分の走りをします。

村松:「死ぬ気で出し切る」が自分のモットーです。どんなに遅いレースでも、最後の100mは全力でダッシュし、必ず胸を出してゴールする。そこを大事にしています。当日出せる力を、絶対に諦めず最後まで出し切る。予選会でも必ずそれを貫きます!

 
 
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取材:中島冬奈
記事:中原亜季帆
編集:野田誉志樹、中原亜季帆