2022年、新型コロナウイルスの影響は続くも元来の勝ち点制に戻った東京六大学野球。春季リーグ戦では好調なスタートを見せ、最終的に早大に連勝は飾ったものの法大、明大から勝ち点を奪えず2位に終わる。
リベンジを掲げ迎えた秋季リーグ戦では、開幕の東大戦での不穏な敗戦から始まった。その後、4カード連続で3戦まで持ち込み粘り勝つが、優勝がかかった早大戦で2連敗を喫し、最終的には3位に終わった。
この悔しさをバネに、王座奪還・打倒ワセダに燃える慶大ナインを率いる新主将には廣瀬隆太(新商4・慶應)が、副主将には小川尚人(新環4・三重)と森下祐樹(新総4・米子東)、善波力(新商4・慶應)が、主務には藤井快(新商4・札幌旭丘)がそれぞれ就任し、新チームが始動した。今回は廣瀬新主将に2023年慶大野球部の展望を語ってもらった。
—主将になった経緯は
学年で話し合った結果自分になりました。
—自ら立候補?
立候補して、3人くらいの候補の中で投票して僕が最終的に選ばれました。
—主将になって変わったことは?
今までは先輩についていく立場でしたが、いざ自分が主将となってチームを俯瞰的に見られるようになって、まずは4年生がチームを引っ張っていかないと下級生がついてこないなとすごく感じています。
—これからどういうふうにチームをまとめたいか
4年生がみんなの模範となるような行動をとっていくチームですね。
—下山悠介(商4・慶應)前主将や監督から何か言葉は
下山前主将から「自分らしく、キャプテンとなって気負いすぎることなく今まで通りやってくれればいい」と言われました。
監督からは特に何もないです(笑)
—”チーム下山”から引き継いでいきたいことは
4年生が強く、チーム全員が優勝に向かって、そのチームのために試合で出てない人も出ている人も一丸となっているところは本当に参考にしたいと思います。
—目指す主将像は
とにかく人の2、3倍ちゃんとする、見本となるような選手になることが第一かなと思っているので、普段から言葉より行動で引っ張っていけるようになりたいと思っています。
—副将3人の印象は
小川はとにかくチームのことについてよく考えていて、チームがどうやったら良くなるのかというのを考えていてくれる人です。一方で森下はピッチャーで、練習では分かれがちですけれど、ピッチャーのリーダーとして引っ張っていって欲しいなと思います。善波はとにかくチームで発信できる力があるので、そこで言葉でどんどんまとめていってもらいたいです。
—藤井主務の印象は
選手はマネージャーと関わることはないですが、マネージャーの中で決められたのならそこは信頼しています。裏方としてチームを支えていってもらいたいです。
—自身のプレー、チーム全体について、秋リーグでの自身の打撃評価は
今までの中で一番悪かったんじゃないですかねっていうくらい自己評価は低いです。
春に比べて3戦目が粘れなかったなという感じがします。最後の早稲田で正直普通にやれば勝てると思っていたところもありますが、やっぱり早稲田は慶應にめっぽう強くて、予想以上のプレーをしてきた点があるので、そこで最後の最後で粘りきれなかったというのは悔いが残ります。
—秋のリーグ全体から何かチームとして得たものは
3戦目を戦い抜く体力もメンタルも必要だなと感じましたし、早稲田は自分達が想像する以上に力を発揮してくるので、常に最高の状態の早稲田を想定しながら練習しなくてはならないと感じています。
—来年の自身の目標は
三冠王ですね。4割5本を目指します。
—下級生で期待している選手は
福住(=勇志、新商3・慶應)です。今は投手力不足と言われていて、福住はようやく怪我から復活して。プロに行けるような素材を持っていて、真っ直ぐとフォークがいいので、橋本(=達弥、環4・長田)さんみたいに活躍してくれればチームとしては強くなるかなと思います。
正直まだあまり見えていないところが多いのでこの冬に期待しています。
—下級生にアドバイスする際に意識していることは
僕は今サードを練習しているので、一緒になった後輩には教えています。後輩のプレーをよく観察してそれを自分に生かすこともありますし、本人に細かいとこまで気づいて教えてあげられるように意識しています。
—普段トレーニングは何をしているか
スクワット、クリーンアップ、デッドリフトなどの下半身や持ち上げる種目を基本的にやっています。デッドは200kgくらいです。
ベンチプレスなどの上半身を鍛えるトレーニングは1年の時に辞めてしまいました。
—プロテインやEAAなどの補給には何を使っているか
今はMUSASHI(ムサシ)のクアンを飲んでいます。吸収の早いアミノ酸が入っているので。
EAAは飲んでいないですが、トレーニング前にクレアチンは飲んでいます。
—野球選手は太ももが太いイメージだが、何で作っているか
スクワットです。足が太いのでファッションとか似合わなくなってしまいますが(笑)
—プランクなどの体幹トレーニングは
やります。特別トレーニングの中に含まれていて、サイドプランクで足を上げるのを左右45秒ずつって感じです。20種類くらいある中の最後の方なので本当にきついです。
左右の腕、左右の足の3点ついて残りの1点を20秒浮かせる体幹もしています。
—この人の筋肉は凄いという選手は
明治の上田希由翔の足はやばいです。太すぎるあれは、ごっつい。下山さんの足も衝撃は受けたけど、上田希由翔はほんとにやばい。野球は下半身が強いと軸もできて安定するので、すごいです。そして、慶應の選手はかなり細い。今年はみんな小粒なので、これから強化しないとなと思います。
—リーグ戦終了後のオープン戦では、浮橋幸太(新総3・富岡西)が三塁手を任されていたがそれはどのような意図か
それは監督がよく色々試させるのでその一環だと思いますが、多分長続きはしないです(笑)監督の意図は僕にもよくわかりません(笑)
—同じくオープン戦で捕手の宮崎恭輔(新環4・國學院久我山)が、一塁手にコンバートしていたが
本間(=颯太朗、新総3・慶應)のバッティングが良いので、スタメンには入れたいと監督が言っていて、その中で本間の守備位置を考えた時に本間が捕手、宮崎が一塁手が監督の中ではしっくりきているのかなと思いますが、まだわかりません。
—日本代表合宿はどうだったか
ピッチャーが例年よりもすごかったという印象です。この時期に150キロを大体超えていましたし。この時期に150超えられると打てないですからね(笑)今年もレベルが高いです。慶應に帰ってくるとまだまだだな、頑張らなきゃいけないなと感じています。
—ピッチャーは誰が良かったか
平成国際大の冨士(隼斗)です。
—キャッチャーは誰がすごかったか
上武大の進藤(勇也)です。見たことのない球を投げていました。あれはプロに行けますね。バッティングがプロで通用するかはわからないですが、守備は間違いないです。
—見ていてすごかった選手は
明治の宗山(塁)はすごい。バッティングも毎試合1本は打つし、守備もすごくうまい。肩が強いからかな。あれはドラフト1位確定ですね。彼に限らず、すごい奴しかいないです。敵わない奴ばかりです。代表合宿は本当にいい経験になりました。慶應にいると上の方なので勘違いしてしまいますが、全国に行って洗礼を受けるというか、叩き直されている感じがします。慶應の選手をみんな連れて行きたいですね(笑)目標がないと意識が上がらないと思いますし。
—慶大はどこを一番強化すればいいと思うか
全体のレベルアップは不可欠ですが、ピッチャーですね。ピッチャーが強ければ負けることはないので。外丸(=東眞、新環2・前橋育英)は投げるけど他はまだわからないですね。小川琳太郎(新経2・小松)もいいですね。外丸と小川のツートップで行ってほしいです。ピッチャーに関してはあまりよくわかりませんが、小川は持ってるモノが違うのではないかと思います。投げ方も綺麗で、力感なくすごい球がきますので増居(=翔太、総4・彦根東)さんを見ているようなイメージです。
—新チームの課題や強みは
リーグ戦経験が少ないので、世間的に見れば来年の慶應は弱いかなと思われるかもしれないけれど、逆にその分チーム全員が弱さを自覚しているというのがあると思うので、今までより意識高く練習していかないといけないというふうになって、結果的に他大学を上回るのではないかと思っています。つまり、課題と強みはリーグ経験の少なさとその自覚ですね。
—チームとしての目標は
“リーグ戦優勝・ワセダに勝つ・日本一”はチームとしての普遍の目標があるので、新チームとなってメンバーは変わりますけど、ぶらさずにやっていきたいです。
—最後にファンに一言
昨シーズンは悔しい結果に終わってしまいましたが、来年こそは”リーグ戦優勝・ワセダに勝つ・日本一”という目標に向かってチーム一丸となって頑張っていくので応援よろしくお願いします。
◆廣瀬隆太(ひろせ・りゅうた)
2001年4月7日生まれ。慶應義塾高を経て、商学部新4年の内野手。1年秋のリーグ戦から主力として活躍し、本塁打数は現役最多の13本を記録している。2年次には大学日本代表に選出され、3年秋にも大学日本代表候補合宿に帯同した。182センチ、91キロ。右投げ右打ち。
※当取材は12月9日(金)に実施しました。
(取材:岡澤侑祐、写真:北村可奈)