秋季リーグの最終成績が12位中11位であった慶大は、2部リーグ2位の亜細亜大学を相手に入替戦に臨んだ。勝てば11部リーグ残留、負ければ降格のまさに運命の一戦。1年前の入替戦で追う側として悲願のリーグ昇格を果たした慶大はにとって、絶対に負けられない試合である。第1セットは好調な出だしを見せると終始リードを保ちこのセットをものにする。第2セットも同様に序盤からリードを作り出し大差で勝利。このまま慶大がストレート勝利を収めるとおもわれた矢先、まさかの第3・4セットを相手に譲り試合はフルセットへ。最終セットは両者の思いがぶつかり合い拮抗(きっこう)した展開となるもこの激闘を制したのは慶大だった。持ち前の一体感と勢いの良さを大いに生かし見事1部リーグ残留を決めた。
2023年11月4日(土)
秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦
入替戦 慶大×亜細亜大
@会場非公開
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
得点 | ||
慶大 | セット | 亜細亜大 |
25 | 1 | 20 |
25 | 2 | 15 |
18 | 3 | 25 |
21 | 4 | 25 |
15 | 5 | 12 |
第1セット。松本喜輝(環4・九州産業)のサービスエース、芳賀祐介(環3・札幌北)、内田克弥(環3・松江工業)のスパイクなどで3点のリードで出だし好調の慶大。セット中盤、渡邊大昭(商3・慶應)の渾身のスパイクやサービスエースで3点を連続して得点し、点差はこのセット最大の6点差に。その後は取っては取られてのシーソーゲームが続いたが、最後は内田が1枚ブロックを決め、慶大は25―20でこのセットを取る。
死守したい第2セット、松本は1点目からスパイクを決めるとその後サービスエースも見せて5―2とし、序盤からチームに主導権をもたらす。幸先良いスタートを切った慶大の勢いはとまらない。セット中盤では2点リードで膠着するも内田の見事なブロックフォローなどでそれ以上の追随を許さない。山元の見事なオーバートスから渡邊が正確なスパイクを決めると芳賀のブロックがそれに続き、14―10と相手をつき放したところでタイムアウトを挟む。大槻の安定感あるトスワークで終盤は終始あぶなげないプレーを見せ、見事25―15で第2セットを手にした。
勝ち切りたい第3セット。サーブ、スパイクがなかなか決まらず、2―6の場面で慶大はタイムアウトを取る。切り替えたい慶大だが、その後も亜細亜大の勢いある攻撃に対応できず、6点のリードを許した場面で二度目のタイムアウト。11―15の場面から5点連続失点を許した慶大だが、山元康生(法2・慶應)が巧みなディグでボールを拾い、芳賀がスパイクを決め、嫌な流れを断ち切った。直後、ピンチサーバーとして出場した松山鼓太郎(商1・慶應)がしっかりとサーブを決め、相手のミスを誘った。しかしその後も亜細亜大の勢いは止まらず、19―25でこのセットを落とす。
今度こそ決め切りたい第4セット、序盤はサイドアウトの応酬が続き6―6の場面で芳賀の速攻が決まる。するとここから慶大に流れが傾き途中出場の松山の1枚ブロック、松本のスパイクで連続得点を挙げ9―6と一気にリードを作った。セット中盤も松本を中心に積極的に攻撃を仕掛け相手は2回分のタイムアウトを使い切る。しかし終盤、19―17の場面で3連続失点しまさかの逆転。相手のダイレクトも決まるなど主導権を奪われた慶大は反撃叶わず21―25でこのセットを終え、勝敗は最終セットに託されることとなった。
運命の最終セット、慶大のサーブミスで1点目を与えるもそこから島田・松本・渡邊のスパイクで3連続得点。慶大が流れをつかんだ瞬間であった。相手のタイムアウトを挟むも島田の好サーブ、息の合ったブロックでさらに2点を追加し5―1とする。7―4の場面、内田のスパイクでブロックアウトをとられ、さらにサーブミスもあり1点差にまで迫られる。両者試合に懸ける思いの強さは同じ。その後もシーソーゲームが続き10―10とするも、ここでセッター・大槻のプレーが光る。緊迫した場面でツーを決め会場を沸かせる。やはりこの1点が大きかったのだろう。ここから松本・渡邊がスパイクでそれぞれ大きな1点をもたらし15―12で勝利、追うものを退け見事1部リーグ残留を決めた。
(取材:上村真子、長掛舞依、ウジョンハ、工藤佑太、五関優太)
以下、選手コメント
星谷健太朗監督
――今のお気持ちは
まずリーグ戦色々ありながら戦い抜いて、結果として入替戦に行ったなかですけれども、このメンバーでもう1試合できたということに感謝したいですし、最高の応援の中で試合ができたことをほんとに幸せに思います。
――追いつかれるも最後勝ち切れたれた要因はどこにあると思いますか
もうみんなの日頃の努力、それに尽きると思います。
――全日本インカレに向けて
山場的には関東リーグ優勝のあ早稲田さんと同じ山ということで厳しい戦いが待っているのは明らかですけれども、結果以前にやるべきことをどんな時でもやれるように、しっかりと準備をしたいなと思います。
島田航希主将
――今日の試合を振り返って
去年1部から落ちて悔しい思いをしたので、入れ替え戦というあまりいいイメージのない試合で、しっかり今日勝ち切れたというのは、チームとして成長できる場だったし、うれしかったです。
―――サーブが特に良かったですが、サーブに限らずプレーで意識していたことは
自分たちはブロックが相手より高いので、ラリーに持ち込んでも得点できる自信はあったので、ミスを絶対に出さないという事を意識してサーブもスパイクもやりました。
――今日は2セット取って、その後追いつかれる形で第5セットまでいきましたが追いつかれた時の心境は
4セット目取られた時は、ちょっとやばいなというか、去年落ちたのがよぎったというか、あまり人生で経験できない気持ちになったんですけど、勝てる自信はあったので、あとは気持ちを強く持っていきました。
――今日の亜細亜大学の印象は
すごくトスが速くて、レシーブがすごくいいなという風に思って、自分たちが決まったっていうプレーでも、繋いで得点にしてきたりして、すごいやっててやりずらいチームでした。
――競った中で最後勝てた要因は
集中力を最後まで切らさないという所で、ブロックフォローとかいい場面で上がったりしたので、エースに打たせるっていう気持ちが全員でまとまって、一致団結して勝てたのかなっていう風に思います。
――次の目標は、全日本インカレに向けて
次は1回戦目から全日本インカレで西日本の王者の愛知学院と当たるので、相手が十分強いって事は承知なので、しっかり対策して去年負けた相手でもあるので、勝ちにいきたいと思います。その流れで日本一を目指してやっていきたいと思います。
大槻晟己副将
――今日の試合を振り返って
相手の実力を見ると、やっぱり1セット目とか2セット目の戦い方をしなければいけないところではあったのですが、ただやっぱり3、4セット目であのように入替戦らしい試合になってしまって、それでもそこで5セット目耐え切ったところは、すごくチームが成長できた部分だと感じます。あまりフルセットの勝率が今季になってから良くなかったので、そういう意味でひとつ殻を破れた試合だったのかなと思います。
――最後、勝ち切れた要因はどこにあると思いますか
みんなの1部に残りたいという思い が1つになった結果なのかなと思っています。4年生としても後輩たちに1部という立場を残してあげたいという気持ちと、あと後輩としても来年も1部でやりたいというベクトルがすごく最後合わさっていって、それが勢いとなって5セット目のあのような競った場面での康生のブロックフォローであったりとか、大昭が打ち切ってくれたりとかに繋がったのではないかなと思います。
――最終セット、大事な場面でツーを決めていました。その時のお気持ちは
狙ったツーというよりは、すごくキャッチがピュンと飛んできてしまって突発的なツーだったので、自分としても決まってすごくラッキーだなというのはありました。ただ相手としてもギリギリで戦ってる中で結果的にその隙間をつけたのは、監督も最後の集合で言ってたのですが僕たちがやってきた努力が運を掴んだ瞬間だったのかなと今思います。
――後輩に1部リーグでの戦いを引き継ぎます。来季、後輩に期待することはありますか
今の3年生とかは5回のリーグで3回も入替戦をしています。ずっとこの1部と2部の狭間にいるみたいな感じなので、やっぱり1部の中位・上位に来年は食い込んでいってほしいなと期待をしてます。
――全日本インカレに向けて
(初戦の愛知学院大学は)縁があるのか去年負けたチームなのでリベンジを果たして、そして次の試合も勝って、そしたら次は早稲田と当たるのでリベンジマッチの連続で、その勢いをつけて日本一まで駆け登りたいなと思います。
松本喜輝選手
――今日の試合を振り返って
1、2セット目取れて少し気が緩んでしまったというところはあるのですが、しっかりその後チーム一つになって締め直して5セット目取れたので、今年のチームが成長してきた証なのかなと思います。
――同点の場面、大事な場面でトスが上がっていましたが、その際、どのような気持ちでスパイクを打ちにいったか
4年生でエースとしてやらせてもらっているので、そういう時にトスが上がってくるのは、それを決め切るのが自分の仕事なので、そこは弱気にならずに自分の力信じてできたかなと思います。
――全日本インカレに向けて
去年負けた愛知学院大が初戦ということで、今回の試合での勢いを全日本インカレにも繋げていけるようにやっていきたいかなと思います。
渡邊大昭選手
――今日の試合を振り返って
2セット取って2セット取られてという苦しい展開だったのですが、最後、みんなで心一つにして、試合出てるメンバー、監督、コーチ、ベンチも含めて、チームが一つになって、いつも落ちてたボールが拾えて最後決め切れたので、すごく良かったかなと思います。
――セットが2対2と追いつかれる場面がありましたが、そこで感じたこと、思ったことはありましたか
決めるしかないなと思ってて、みんな下向いてたので、そこは自分がやっぱり、点を取らないとみんな上がっていかないかなと思ったので、気持ちを込めて打っていきました。
――全日本インカレに向けて
まず明日は、しっかりコンディションを整えてやっていくというのと、インカレは去年負けてしまった相手なので、しっかり対策をしてコンディションも整えて次のインカレではリベンジを果たせるように準備してやっていこうかなと思います。
芳賀祐介選手
――今日の試合を振り返って
やっぱり1、2セット目、こっちの良い流れが出てきてストートで終わるかなと思って試合出たのですが、やっぱり入替戦の独特の雰囲気というか、そういうのに押されてしまって自分たちのバレーができなくなって3、4セット押されてしまって、5セット目やっと取り戻したみたいな感じで、勝てたことは良かったのですが明日の全早慶面とか、あと全日本インカレに向けてもお互いのある試合だったので、そこを修正してまた練習に励みたいと思います。
――ご自身のプレーについて、状況が苦しくなる中でどんどん決定率が上がっていく印象を受けたのですが、振り返っていかがですか
やっぱり 僕は1年生の時から出させてもらってるのですが、1年生の頃はあまりトスも上がってこなくて信頼もされてなかったし実力もなかったのですが、だんだん3年生になって苦しい時に(トスが)上がってくることが多くなって、そういう時に決めるのがやっぱりチームのためにもなるし、クイックでは流れも作れると思います。
――今の心境だからこそ、次のリーグをどのようなものにしたいですか
今出場している4年生3人が抜けて、またいちからチームを作る中で、喜輝さんとか大エースが抜けてしまうのですが慶應としてやるバレーというのは変わらないと思います。自分が今チームでやってることをそのまま続けます!
――全日本インカレに向けて
相手が愛知学院大学で去年負けた相手が初戦に大一番であたって行って、そういうことできるようにしっかりと対策をして、また成長して全日本インカレから初日を迎えればいいと思います。
内田克弥選手
――今日の試合を振り返って
終わりよければ全て良しでよかったです。はい、ありがとうございます。
――セット前半と後半でご自身のプレーはどうでしたか
変わらなかった気がしますね。ずっとやることをやっていたと思います。
――ご自身のプレーについて振り返っていかがですか
ま、キャッチャーは乱れなかったので、それが俺のプレーなので、それができてたので良かったかなと思います。
――全日本インカレに向けて
頑張ります!
山元康生選手
――今のお気持ちは
いや、もう勝てて良かったです。もう本当に、本当に勝ててよかったです。
――今日の入替戦を振り返って
1、2セット目の入りがめっちゃ良くて、ある程度パスも返っていてよかったところで、やっぱり3セット目から体力がなくて足が動かなくなっちゃってというので、悪循環になってから修正できなくなっちゃったので、本当に苦しかったし、ずっとやられっぱなしでどうしようもなかったんですけど、最後勝ててよかったです。
――勝負を決定づける最高のディグでしたが
記憶はないです、ほぼ(笑)。もう気づいたら上がっててみたいな感じで、あれで勝てたって言ってくれていたので本当に良かったです。
――残りのシーズンどう戦っていきたいか
メンタル的に崩れちゃうとサーブレシーブが返らなくなっちゃうので、そこはしっかり切り替えて、できなくても次々で切り替えて、こういう経験を活かして、技術もそうだしメンタル面ももっともっと強くなっていきます。
久保田健介選手
――久保田さんがサーバーで入るとチームが一段と盛り上がっていましたが、どのような気持ちや意識で臨まれましたか
負けている場面とか、競っている場面とかで流れを変えるというのと、自分のサーブを打つというのを意識して、それの結果がブレイクとかエースとかになったので良かったです。
――残りのシーズンどう戦っていきたいか
チーム一丸となって全員バレーでやっていきたいです。
平山一之心選手
――今日の試合、ベンチからどのようなお気持ちで仲間を応援していましたか
負けられないって言ったらあれですけど、2部に下がってしまう試合だったので、まずベンチから勝つ。事前の練習でも会場を慶応色に染めようという声が出てたので、もう僕はそれの一端を担うことができていたので、慶應色に染められて良かったです。
――自らの応援で何か工夫したことは
1人1人チャンツという、1人1人の応援歌作っていたのは工夫しましたね。なんか全員で。
――全日本インカレに向けて
まさかの初戦が昨年負けてしまった愛知学院大学なので、リベンジマッチということで。目標日本一なので通過点でしかないので、絶対勝って早稲田と早慶戦をまたやって優勝します。