【應援指導部】進化する応援席 吹奏楽団・チアリーディング部門の挑戦と誇り /各カード直前企画NO.3

應援指導部

神宮球場に響き渡るファンファーレ、観客を巻き込む華やかな演技——それらすべてを支えているのが、慶應義塾大学應援指導部の吹奏楽団とチアリーディング部門だ。今年のスローガンは「進」。体育会組織として2年目を迎え、さらなる飛躍を目指して活動する4名の責任者・副責任者に、それぞれの想いや応援活動の裏側について話を聞いた。

 

まずは自己紹介と、それぞれのご担当について教えてください。

A.O. 吹奏楽団の責任者を務めています。

T.A. 吹奏楽団の副責任者を務めています。

Y.S. チアリーディング部門の責任者を務めています。

H.O. チアリーディング部門の副責任者を務めています。

 

普段、皆さんはどのような活動をされているのですか?

T.A. 部門責任者と副責任者は基本的にセットで動いており、部門の総括を担当しています。

H.O. 特定の業務に限らず、名簿管理や保険対応など、部を運営するうえで必要な基盤づくりを幅広く行っています。

 

今年度の吹奏楽団・チアリーディング部門の目標やスローガン、新たに挑戦したいことがあれば教えてください。

Y.S. チアリーディング部門では、「挑め」というスローガンを掲げています。過去の代を超える最強のチームを目指し、応援だけでなく、練習や渉外活動など多方面でチャレンジを続けています。

A.O. 吹奏楽団では、座奏(演奏活動)とマーチングの2つの柱があります。座奏の目標は「PRIDE」で、自分たちの音や演奏に誇りを持ってほしいという想いが込められています。マーチングでは、楽器隊のスローガンは「一糸不乱」、カラーガード隊(踊り)は「豪華絢爛」です。それぞれの演技で一体感と華やかさを追求しています。

今年新たに挑戦したいことは?

A.O. 昨年度から吹奏楽コンクールに参加しているので、より良い演奏を目指したいです。現在部員数も約60名に増えており、全員が輝ける場を作ることが目標です。

T.A. また、吹奏楽団に限らず、応援全体で使用している「全部門ツール」へのアクセスが増えています。さまざまな応援の場面で、吹奏楽団の部員も積極的に関わろうとしており、挑戦の幅が広がっています。

H.O. 「挑め」というスローガンのもと、演技の難易度向上、応援のクオリティ向上、そして今まで応援に行けていなかった体育会の試合にも新たに応援に行くなど、幅広く取り組んでいます。

 

吹奏楽団とチアリーディング部門は、応援活動でどのように連携されていますか?

H.O. 普段の練習では一緒にいるのが当たり前すぎて気づきにくいのですが、吹奏楽がいない場面に出ると、自分たちが演奏に支えられていたことを実感します。演奏があると、自然と気合も入るんです。

T.A. 吹奏楽団は「耳に訴える」、チアリーディング部は「目に訴える」という役割分担があります。この2つが合わさることで、より完成度の高い応援になります。演奏だけだと単調になりがちですが、チアの踊りや士気を高める演技が加わることで、応援席全体が一体となります。

 

応援が選手に届いたと感じる瞬間はありますか?

 

T.A. 例えば神宮球場で、朱雀などの名物音曲を使って応援しているとき、応援席が一体となって盛り上がり、選手がホームランを打つなど結果につながったとき、「届いたな」と感じます。また、ピンチの場面で声援を送った結果、連続三振などでしのげたときも、応援の力を感じます。

Y.S. 私の友人が、選手になるまでは応援の力を理解していなかったけれど、実際にフィールドに立ってその力を実感した、と言ってくれたことがあります。そうした言葉をいただけるのは本当に嬉しいです。

H.O. 昨年の夏合宿で成果発表会を行い、そこでチャンスパターンを披露したのですが、退場時に「勇気をもらえた」「かっこよかった」と声をかけていただき、応援が伝わっていると実感しました。

 

観客の皆さんに伝えたいことはありますか?

A.O. 今年、私が作曲したファンファーレ「彩」をぜひ聴いていただきたいです。応援席を明るく彩るような曲になっています。

T.A. 慶應は六大学の中でも毎回ファンファーレを変えていて、8回裏にはファンファーレだけのチャンスパターンがあります。上級生が手がけた渾身の曲ですので、注目してほしいです。

 

観客に特に注目してもらいたい点はありますか?

H.O. 應援指導部全体の今年のスローガンは「進」。体育会組織として2年目を迎え、地盤固めから次のステップへ進んでいます。

A.O. 應援指導部だけで完結するのではなく、体育会や観客も巻き込み、一体となった応援席を進化させたいと考えています。

H.O. これまでは「体育会」と「應援指導部」という関係性でしたが、今は目線が揃ってきていて、一緒に戦う仲間として応援できるようになったと感じています。

 

最後に、今年の目標と、観客へのメッセージをお願いします。

Y.S. チアリーディング部のスローガン「挑め」、そして應援指導部全体の「進」を意識し、毎回の応援をアップデートしていきたいと考えています。演技や応援のレベルアップを図り、1年を通してその成長を観客の皆さんに見ていただけたらと思います。

A.O. 吹奏楽団も、演奏に限らず旗や太鼓、指揮など多彩な役割があります。各自が輝く姿をぜひご覧いただき、一緒に応援を楽しんでもらえたら嬉しいです。

Y.S. 上級生として、下級生の模範となるべく、自らも成長し続けたいと考えています。特に時間をかけた努力の大切さを実感しているので、日々の積み重ねを大事にしています。

T.A. 私にとって應援指導部は「大きな家族」です。部員にもそう感じてもらえるような温かい環境をつくりたいと思います。

A.O. 責任者として視野を広く持ち、悩んでいる部員を支えられる存在でありたいです。初心を忘れず、熱意を持って最後の年を悔いなく過ごしたいと思っています。

H.O. 「常識を疑え」が私の信条です。良いことは残し、課題は改善するという柔軟さを持ちながら、より良い応援活動を模索していきたいです。

 

今年の應援指導部には、「挑め」「PRIDE」「一糸不乱」「豪華絢爛」、そして「進」など、多様なスローガンが掲げられている。応援を「送る」だけでなく、観客や体育会と「ともに創る」場へと進化しつつある今、彼らの挑戦は確実に、応援席を、そして慶應のスポーツ文化そのものを前進させている。今後も、彼らの演奏と演技に注目しよう。

 

(取材:岩切太志     記事:岩切太志・岡野響)

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