【ラグビー】Jr.選手権決勝直前特集①”慶大の命運を握るCTBコンビ” 柴田クマールサンディープ×中村圭介

左:柴田ク、右:中村圭

年の瀬も迫り、シーズンも佳境に入った慶大蹴球部。今回は11日に迫った関東Jr選手権決勝、そして日本一へ向けての大学選手権を前にした選手たちにお話しを伺った。第1弾となる今回はJr選手権優勝に向けてBKの中心となるCTBコンビの柴田クマールサンディープ(総4)、中村圭介(総4)両選手の対談。これまで4年間のお話やJr選手権、そしてその先の大学選手権に懸ける思いなどを語っていただいた。

――シーズンここまでを振り返っていかがですか

柴田 春は怪我でプレーできなくて悔しい思いをしましたが、夏以降は怪我もなく思うようにプレーできていて、先日のJr選手権の準決勝も勝つことができたのでいい流れで来ていると思います。

中村 僕は春、夏と秋も最初はAチームで出られていたんですけど個人としてパフォーマンスが良くなくて今はBチームに落ちました。ですが、少しずつ良いパフォーマンスができるようになって来ていて、特にこの前の準決勝では自分の良いところが出せたと思います。チームとしては勝ったり負けたりで、夏の調子がよくなくてそのまま秋も勝ててないので流れは良くないと思うんですけど、それをこのBチームで変えていきたいと思っています。

――昨年までと4年生となった今年は違いますか

柴田 昨年までは自分のこと、ラグビーのことに集中して先輩方に付いて行きました。今年は4年生ということで後輩の面倒を見たり、チームの運営の上で仲宗根(主将・総4)とか栗原(副将・総4)に任せるのではなく4年生全体でリーダーシップをとるということを春から掲げてやってきたので、やはり4年生としてチームを見るという点は違います。また、終わりも近づいているので焦りがある部分を昨年までとは違います。

中村 昨年まではジュニアが多かったんですけど、今年は春から黒黄を着ることも多くて春は自分自身が成長しなくてはならなくて精一杯だったんでした。夏からは合宿であったり秋のシーズンに向けて4年生が引っ張っていかなくてはいけないという気持ちも少しずつ出てきて、今は練習でも後輩に声をかけるようにしたり4年生としてラグビーだけではないところまで気を遣うようにしています。

――なぜ蹴球部に入ろうと思いましたか

柴田 高校の監督に勧められたというのと、高校のときから慶應のラグビー、黒黄に憧れていたというのがあって高校3年生の時に受験を決めました。

中村 大学に入るときはプレーするかを迷っていて、トレーナーでもいいかなと思っていたんですけど、桐蔭(学園)の同期で6人入ってとりあえずやってみたらってことでやってみることになりました。高校では3位という結果に終わったので、やるからには日本一を目指そうと決めたときから思っていました。

――入って高校時代と違った点はありましたか

柴田 先輩との上下関係が高校のときに比べて厳しくないということです。あとは個人個人の意識の高さですね。牛肉、豚肉を試合期は食べないという食事制限をしている人がいたり、全体練習が終わってから個人練習に励む選手を見たりしてそこは高校とは全然違うと思いました。

中村 僕は桐蔭学園時代が逆に上下関係とかが厳しくなくて、挨拶とかOBの方に敬意を持つとかそういうところは緩かったので厳しいなと思ったんですけど、今考えると桐蔭(学園)のときがおかしかったのかなと思います。(笑)僕の場合は神奈川で高校時代試合をした人も多かったので、そこまで私生活では大きな違いはありませんでした。プレー面では高校まではSHで大学になっていきなりCTBになったのでコンタクトの部分が全く違いました。

――CTBになった理由はなぜですか

中村 1年生対2年生の試合のときにSHは5人いたんですけど、仲宗根とか岩淵(法4)とか怪我をしていてCTBとWTBがいなくてどちらをやるかってなったときに僕がCTBやりますと言ってやったら、次の週もCTBとして試合に出ることになってそこから変わらずCTBになりました。

柴田 その時は僕も怪我していました。ちゃんと言って(笑)!

中村 あんまり記憶になかったものですいません(一同笑)

――入って挫折などを感じたことはありましたか

柴田 ずっとチームが上がれなくて、去年までCチームまで上がって怪我してしまったりしていたので、リハビリの長い生活と上がれないジレンマが一番苦しかったです。

中村 大きな怪我もなく1、2年のときもシニアに上がったりしていたんですけど、一番ショックだったのは去年の秋にJr選手権の決勝の週にシニアに上がったのに試合に出られなかったことがきつかったですね。

 

スピード感のあるアタックが持ち味の中村圭

――お互いにCTBですが、互いの良いところはどこですか

柴田 プレースタイルが全然違うのですが、中村のいいところはボールのもらい方やもらう瞬間のスピードの緩急が上手いと思うので、そこは盗もうとはしています。

中村 僕の場合は小さいのでまともに当ったら勝てないというのがあったので、自分がCTBとして役割を果たすには相手との駆け引きとしてもらい方とかもらうときのスピードとかは意識しています。クマールのいいところは練習中からいい意味でガツガツしていて上を目指す向上心が凄くあるということと、プレーだったらハイパントのキャッチ能力であったり、正面のタックルは凄く強いのでそういうところは凄いと思います。

柴田 ハイパントキャッチは高校のときから自信を持っています。ハイパントキャッチは自分の武器なのでそこは積極的に行こうと思っています。

――CTBの魅力は何ですか

柴田 CTBが強いチームは強いと思っていて、WTBを生かすのもCTBだし試合を決めるのもCTBかなと思っています。

中村 ラグビーに必要なランもパスもキックもタックルも自分の選択で自由にできることだと思います。

――12番と13番では役割は変わりますか

柴田 そんなに変わらないと思うんですけど僕は12番のほうがやりやすいと思います。12番のほうが縦に入ってくる相手が多くてディフェンスがしやすいです。

中村 昨年までは12番をやっていたんですけど、Aチームには仲宗根がいるので出るからには13番ということで13番で出続けていました。13番は12番より外の位置で慶應は外のWTBにいい選手がいるのでそこに繋いだり、ディフェンスでは外と内のコミュニケーションをとることが大切かなと思っています。

――CTBとして仲宗根主将はどういう存在ですか

柴田 1年生からずっと打倒仲宗根で追いかけてやっていて、今でも仲宗根を抜いてやろうという気持ちでやっています。ただ仲宗根と同じプレーでは仲宗根のほうが体も大きいですし自分は出られないので、強さの求められる12番で仲宗根より強くなることは難しいと思うんですけど、そこを追い求めつつ、武器として両足でのキックとかハイパントに競りに行くとか違う部分で抜いてやろうと思っています。

中村 中高、大学に入っても常に上にいて、おかしいですけど憧れのような存在で、今年は一緒にプレーすることもあって本当に凄いと思いました。でも今年は僕も仲宗根もキッカーをしていて一緒に練習するときは、俺のほうが上手いぞと意識してやっています。

柴田 たまたま主将だから試合に出ている、自分のほうができると僕は思っています。(笑)

――Jr選手権決勝が迫るなかで、二人は主にBksを引っ張る立場だと思いますが

柴田 Bチーム自体に4年生が少ない中で僕にできることは練習中に声を出すことと、試合中だったら自分に与えられた仕事をしてチームにいい雰囲気を持ってくることなので声を出しながらプレーで引っ張ることを心掛けています。

中村 僕は凄いプレーができるわけではなく、クマールみたいにプレーで引っ張っていくタイプではないので、Bチームにいるからには力を持っている下級生の選手たちがのびのび自分の力を出せるように、練習中ではコミュニケーションをとって、試合中はミスをしても励ましたり、いいプレーをしたらほめたりしてのびのびプレーできる環境を作るようにしています。

――Jr.チームの強さの源は何だと思いますか

柴田 Aチームの調子が良くなくて、Bチームとしては自分たちがいいプレーをすれば上がれるというのが一番のモチベーションです。Aチームが負けてBチームが勝てば自分たちが上がれると信じているのでAチームに上がりたいという気持ちが強さの源だと思います。

中村 クマールも言ったように黒黄を着て試合に出たいという気持ちが源だと思います。そして僕がBチームにきて思ったのがBチームは良くまとまっているということです。Aチームもまとまっているんですけど、Bチームのほうが力がないというかその分まとまっていかなければ勝てないという思いがあったり、ゲームキャプテンをやっている宮内(総4)を勝たせたいという後輩の思いがあったり、そういうまとまりがBチームの勝っている要因だと思います。

――Jr.選手権というのは2人にとってどんな意味を持つ大会だと思いますか

柴田 高校からラグビーやっている中で一番大きい大会なんですけど、本当の黒黄はAチームの22人が着るものだと思っているので、決勝もAチームに挑戦できる最後のチャンスだと思っています。そういう意味でも、また宮内を勝たせたいという意味でも勝ちたいと思っています。

中村 チームとしては目指してきた3冠の一つですし、今の悪い流れを変えるのはJr選手権での優勝だと思っているので凄く重要だと思っています。選手としては4年生として大学選手権に向けての最後のチャンスだし、個人としてはBチームは学生コーチの大橋(総4)がずっと見てくれているので大橋のためにも決勝で勝って、胴上げしてあげたいと思っています。

――決勝戦の相手は帝京大ですが

柴田 ファーストフェーズでは勝ったんですけど、勝ったとは言えないような試合でした。帝京大戦では自分もいいプレーができなかったので強い相手だと思います。

中村 帝京大は1年生のときは大学選手権で終わらされて、2年生のときは対抗戦の優勝を阻止されて、去年も大学選手権で負けている因縁の相手で悔しい思いをさせられているので、そういう意味でも勝ちたいという気持ちはあります。

――柴田選手は秩父宮で黒黄というのは初めてですが

柴田 本当に楽しみでしかないです。初めて秩父宮でプレーするのですごく緊張すると思うんですけど、楽しんでのびのびと慶應らしいプレーをしたいです。

この決勝戦では初めて黒黄ジャージに袖を通す柴田ク

――どんな思いでプレーしますか

柴田 憧れていた黒黄を秩父宮で着られることをまずうれしく思います。そして今まで4年間ほとんど苦しいことばかりでいい思いは少ないんですけど、これまで努力をしてきたことが初めて実ってJr選手権なんですけど秩父宮で黒黄が着られるので気持ちが高ぶっています。

中村 僕はAチームで出るためにも勝ちたいです。そして今年のスローガンは「FOR」ということで、自分のためはもちろん、プレーを諦めて僕たちのサポートをずっとしてくれた大橋のためや、Aチームに上がれない悔しい中でチームをまとめて決勝まで導いた宮内のためにも内容はどうであれ勝って優勝したいです。

――先に大学選手権もありますが改めてAチームへの思いはありますか

柴田 最初から11日に活躍して18日に秩父宮のグラウンドに立つという気持ちでやってきたので、18日は慶應の代表としてプレーしていると信じて11日プレーするだけです。

中村 チームとして目指してきたところですし、個人としても目指してきたので立ちたいという気持ちはあります。たとえ18日に上がれなかったとしてもいつ自分にチャンスが来るか分からないので、18日にメンバーに入りたいですけど、入れなくてもチャンスに備えて頑張っていきたいと思っています。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします

柴田 日吉のグラウンド以外の試合や、全てのグレードの試合を見に来てくれているファンの方がいる中で自分たちがプレーできている幸せを感じています。そういう人たちのためにも対抗戦では喜んでもらえる試合は少なかったので、Jr選手権なんですけど勝って少しでもファンの方に恩返しができればと思います。

中村 慶應のファンの方は温かい人が多くて、優しく声を掛けてくださる方も多いので、そういう人たちが少しでも喜んでもらえるように慶應らしく粘って勝利をもぎ取れるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。

――お忙しい中ありがとうございました!

By Hiroki Nakajima

柴田 クマール サンディープ(しばた クマール サンディープ)

愛知高校を経て、現在総合政策学部4年。肩の脱臼などの怪我に苦しみ4年生になって初めてBチーム入りを果たした苦労人。今季はシーズン途中からBチームのCTBとして活躍している。得意なプレーはハイパントキャッチ。176センチ85キロ

中村 圭介(なかむら けいすけ)

桐蔭学園高校を経て、現在総合政策学部4年。大学に入ってからSHからCTBに転向。正確なキックや相手との駆け引きの上手さで頭角を現し、今季は対抗戦でも28得点を挙げている。仲宗根主将とは中学時代から共にプレーしている。168センチ 75キロ

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