【アメフト】後悔と覚悟――積み上げた礎を次代へ、強さを繋ぐ/4年生卒業企画「光るとき」 No.22 赤木龍士朗

アメフト

25年度に卒業を迎える4年生を特集する特別企画「光るとき」。第22回となる今回は、アメリカンフットボール部のLB・赤木龍士朗(政4・鎌倉学園)。兄の背中を追い、高校でアメフトを始め、慶大へとたどり着いた赤木。1年時から試合に出場し、鮮烈なデビューを飾った。その順風満帆の歩みの裏には、高校時代から胸に残り続ける後悔があった。

兄の背中を追って――慶應とフットボール、その始まり

赤木がアメフトを始めた背景には、同競技に打ち込んできた父と兄の存在があった。兄は慶大で活躍した赤木凜太朗(令和5年卒)である。慶應でプレーしていた兄の背中を追い、中学受験で慶應義塾を志したが、その挑戦は叶わなかった。それでも思いは消えず、大学での慶大進学というかたちでリベンジを果たした。さらに、高校で始めたアメリカンフットボールでも、選んだポジションはラインバッカー(LB)。そこにもまた、同じくLBとしてプレーしていた兄の存在があった。兄の歩んだ道は、いつしか自分自身の目標となり、進路にも競技人生にも大きな影響を与えていた。

夢の共演と最高の船出

赤木のUNICORNSでの生活はこれ以上ない船出となった。1年目から出場機会を与えられ、デビュー戦の横浜国立大との試合は2サックを決める申し分のないスタートを切ることに成功した。更には、背中を追い続けてきた兄・凜太朗と憧れ続けた慶大のユニフォームで一緒にプレイするという夢も叶えることができた。

未熟さと向き合った2年目――成長への転機

最大の挫折となったのが2年生の時だ。チームが不祥事による活動休止になり練習がない時期も続いた。その上、赤木は1年時から試合に出ていたことに対して、「少し天狗になってしまっていた部分があり、あまり成長できなかった」と振り返る。そういう状況下で、口酸っぱく赤木の態度を指摘し続けてきたのは昨年、主将を務めた横手謙太朗(医4・慶應)である。高い観察力を持つ横手は、練習中にわずかでも気の緩みが見えれば見逃さなかった。練習を抜いている瞬間があれば、遠慮なくストレートに言葉を投げかけた。その指摘は時に厳しくもあったが、だからこそ赤木にとっては自らを省みる契機となった。そして、「親友」として語るのが、倉田直(理4・南山)だ。慶應義塾高校出身の部員が多いチームの中で、赤木にとって外部高校出身の倉田は、どこか肩の力を抜ける居心地のいい存在であった。同期の横手、倉田、そして、赤木を中心としていたUNICORNSのLBパート。3人はいずれも1年時から試合に出場してきた実力者である。互いに高いレベルに身を置いていたからこそ、自然と求め合う基準も上がった。時にぶつかり、時に支え合いながら切磋琢磨した日々が、赤木の安定したパフォーマンス、そしてその後の成長へと確かにつながっていったのである。

赤木と昨年度主将・横手

後悔と覚悟――強さを継続させるために

また、赤木を大きく変えたのは昨年最上級生として務めあげたKICKINGリーダー。その背景には彼の揺るぎない信念があった。彼は鎌倉学園時代には、主将としてチームを率いた。コロナ禍という特殊な状況も重なり、最終的には慶應義塾と鎌倉学園の同時優勝という結果に終わった。周囲から見ると、それは華々しいゴールラインを切ったかのような幕引きだった。しかし、赤木の胸中は決して晴れやかな気持ちだけではなかった。自身の卒業後に、鎌倉学園は徐々に勢いを失ってしまう。その現実を目の当たりにして、「自分が後輩のこと、後で残されたチームのことを考え切れていなかった」と高校時代の後悔を語った。その後悔は、大学に入った後も彼の中で残り続けた。だからこそ、それは彼にとって、肩書き以上の意味を持っていた。「自分の考えをしっかり下に伝えて、継続的にチームが強くなる制度や文化を残していきたい」その強い意志を胸に、赤木は目先の成果だけでなく、自分が去った後を見据えながら組織づくりに向き合い続けたのである。

仲間と体現した覚悟

赤木は大学での4年間を通して、高校時代に抱いた後悔と向き合い続けてきた。ただ勝つだけではなく、自分が去った後も組織がより良くあり続けることを見据え、土台づくりに心を砕いてきた。また、自らを高めてくれる仲間や、自身の未熟さに気づかせてくれたかけがえのない存在に恵まれた4年間でもあった。UNICORNSにとって昨季は、非常に悔しさの残るシーズンだった。それでも、最後の青学大との入れ替え戦では、赤木をはじめとする4年生たちが、後輩たちに最高峰の舞台を託すために意地を見せ、必死に戦い抜いて守り切った。

思いを、未来へ託して

赤木が残したケミストリーは、単なる結束ではない。学年の垣根を越えて本音をぶつけ合い、互いを高め合う土壌だ。その土台をさらに発展させながら、彼の願いのように下級生も積極的に絡み合い、遠慮なく声を上げられる、若く活気あふれるチームへ。赤木の思いが脈々と受け継がれ、その願いの通りにチームがさらに進化していくことを心から願う。

(取材、記事:水野翔馬)

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