【レスリング×相撲】レスリング部・佐藤秀一郎×相撲部・水野健太郎 小5の相撲大会で対戦した2人が慶大で運命の再開 部活・競技を超えた彼らの絆

レスリング

レスリング部・佐藤(左)と相撲部・水野(右)

 3月22日。ドーム立川立飛では、世界選手権大会進出を賭けたレスリングの全国大会が行われていた。慶大から出場したのは佐藤秀一郎(環3・八千代松陰)ただ一人。その佐藤に声援を送る、レスリング場では見慣れない身体の大きな男がいた。

 相撲部の新主将となったばかりの水野健太郎(総3・明大中野)。佐藤に誘われ、応援に駆けつけた。2人の出会いは小学校5年生の頃。相撲の関東大会1回戦で相まみえた。取り組みは水野に軍配が上がった。現在はレスリング部に所属する佐藤だが、小学校4年生から中学校3年生までは相撲もしていた。

水野(左)と佐藤(右)、小学校5年生の頃の相撲大会で対戦した(写真は本人提供)

 時は流れ、8年後。奇しくも慶大で再会を果たした。佐藤が声をかけ、水野も気が付いたと言う。それ以降も、学部こそ違ったが同じ湘南藤沢キャンパスであったため、同じ授業を履修することもあり、話す機会が増えていった。相撲経験のある佐藤が相撲部の団体戦に助っ人として参加することもあった。「強力な助っ人として大いに活躍してくれている」(水野)。
 また、相撲部の女子相撲世界チャンピオン・長谷川理央(総4・木造)が佐藤の父に減量法やトレーニングの仕方のアドバイスを受けるなど、佐藤と水野をきっかけにレスリング部と相撲部とのつながりも強くなっていった。「レスリングと相撲は近しいところがある」(水野)。マットと土俵の違いはあれど、身体の使い方など応用できることが多く、お互いに技術を共有することもあると言う。
 この日は佐藤が水野をレスリング観戦に誘った。身体の大きな水野は佐藤のタックル練習に協力し、試合前には佐藤が水野を肩車しながらスクワットした。下半身に力が入り、良いアップになると佐藤の父は言う。
 試合直前、水野が心境を語ってくれた。「勝って世界大会に行ってほしい」
 勝てば世界が決まる一戦。1―1。ラストポイントにより佐藤のビハインドで迎えた残り1分40秒。相手の体勢を崩した佐藤は、マットの外に押し出して1点を勝ち越し。相撲経験が活きたシーンだった。この1点が決勝点となり、佐藤は優勝。世界大会への切符を獲得した。
 試合後、水野は「結果が出て報われて良かった」と話した。それまで、あと一歩のところで優勝には届いていなかった佐藤がついに手にした金メダル。水野も自分のことのように喜んでいた。
 佐藤は水野について、「小学校5年生の関東大会の1回戦目で当たっていて、それからあまり関わりがなかったが、大学に入っていつも授業も一緒でほんとうに信頼している友達で、部活が違う中でも応援に来てくれたことに感謝している」と語り、応援についても「レスリング部の部員じゃないからこそ何か特別なものがあった」と感謝を口にした。
 佐藤秀一郎と水野健太郎。そして、レスリング部と相撲部。部活を、競技を超えて広がる絆は、まさしく慶應義塾の『社中協力』の精神を体現している。
 
(取材・記事:柄澤晃希)
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