慶應義塾大学体育研究所を特集した3本立てのシリーズ。今回は第2弾。体育研究所が掲げる3つの理念のうちの一つ、教育について、体育の授業の紹介をメインに深掘りする。
※第1弾はこちらからお読みください!:【体育研究所】「体育・スポーツを通じた塾風の涵養」 体育研究のプロたちが目指すもの/体育研究所特集 #1体育研究所とは | KEIO SPORTS PRESS
25年度はおよそ7000人もの塾生が体育の授業を履修した。授業は他の科目と同様に、期間内に履修申告をすればどの学部の学生でも履修可能。サッカーやバレーボール、バスケットボールなど体育の授業としてメジャーな競技はもちろん、慶大でしか履修できないような珍しい競技の授業も多数開講されている。
体育の授業はこの春学期だけで173もの科目が開講され、科目は4種に分類される。
最も多いのは“実技”の科目。体を動かすという意味では最もベーシックな体系の授業ではあるが、経験と知見が豊富な体育研究所のスタッフの授業を慶大が誇る豊富な施設で受けることができる貴重な機会だ。
中でもとりわけ特徴的なものをいくつか紹介する。
1つ目は、今年度より開講される山縣亮太所員による陸上競技の授業。山縣氏は2016年のリオデジャネイロ五輪で陸上男子4×100mリレーの1走を務め、銀メダル。2021年に記録した陸上男子100mの日本記録“9秒95”を保持する短距離走者だ。2021年の東京五輪では日本代表選手団の主将を務めた。輝かしい実績をもつ現役のランナーがこの春、体育研究所に加わった。陸上競技の授業は初級と中級の2コースに分け、初級では基礎的な筋力向上と正しい動作の習得を通して運動習慣の形成と基礎づくりを行い、中級では高負荷トレーニングや技術練習、スプリントタイプの分析を通してピッチとストライドの向上を目指す。また、記録測定も実施する。日吉キャンパス陸上競技場にて、“日本一速い男”から走り方を教わる貴重な体験ができる、イチオシの授業だ。
2つ目は、林卓史所員による硬式野球の授業。林氏は慶大野球部出身で、卒業後は慶大野球部助監督を務めるなど指導者経験が豊富。かつデータ分析にも精通している。日本におけるRapsodo(投球や打球などの弾道を測定する機器)導入の第一人者としても知られており、硬式野球の授業でもRapsodoを活用したデータ分析を行う。野球におけるデータリテラシーを高めることも、授業の目的として掲げている。また、ソフトボールや軟式球ではなく、硬式球で野球をすることも特徴だ。授業には慶大OBのプロ野球選手がオフのトレーニングに訪れることもあるという。
3つ目は、矢作拓也所員のアウトドアバレー。矢作氏はジュニアから社会人までの幅広いカテゴリーを対象に18年間バレーボール指導を行っており、競技者として活動を継続しながらチーム運営にも携わっている。アウトドアバレーは今年度から新たに開講される科目。平日の通常授業で7週間バレーボールを行い、その間の週末に2度、キャンパスを離れビーチバレーを行うことが特徴。4学期制科目として導入されており、春学期の場合は5月で授業が終わるため、6月以降の酷暑を避けてスポーツを楽しみ、単位を取得することができる。
4つ目は、自動車の授業。運転免許の交付を目的とするものではないが、単位を取得しながら自動車に関する確かな基礎を、体系的に習得できる授業となっている。慶應義塾高校近くの通称・イタリア半島にて実施される。
他にも、ヨットやアーチェリー、太極拳など特徴的な授業が多く、のべ40種類もの競技の授業が開講されている。

アーチェリー

器械体操
“実技”以外の科目としては、統計学やコーチング学などを駆使してスポーツを科学的に分析する“講義”があり、永田直也所員によるパフォーマンス心理学の講義などがある。他の体育科目は1単位だが、“講義”のみ2単位となっている。
また、理論に基づいて実践した自らの運動データを分析し、講義で活用する“演習”の科目も人気。”実技”と”講義”の合わせ技のような形態となっている。山内賢所員のスマートフィットネス&アスレチックトレーニングは、体を動かすことに健康と安全分野を関連付けながら学ぶことができる。
長期休みにシーズンスポーツや登山などを行う“特定期間集中”の科目は、短期間で単位の取得が可能で、合宿の楽しさも好評だ。春学期はアウトドアレクリエーション、秋学期はスキーなど全7科目が開講されている。注意点は他の科目と同様、学期の最初に履修申告する必要があること。履修申告期間を逃すと、それ以降希望しても履修することはできない。

アウトドアレクリエーション

アウトドアレクリエーション
さらに、25年度からはゼミも展開している。26年度は稲見崇孝所員のスポーツサイエンスゼミと、坂井副所長のスポーツ価値創造ゼミが開講される。(ゼミ入会条件はシラバスを要確認)
※体育授業に関して、詳しくは各自の『時間割検索・シラバス』、体育研究所のサイトをご参照ください。また、科目によって大学保健管理センターが実施する定期健康診断を受診することが必須となります。そちらも合わせてご確認ください。
第3弾では、所員や研究内容、スポーツ振興の活動について深掘りする。
第3弾はこちらからお読みください!:【体育研究所】所員と研究内容 スポーツ振興の活動を紹介/体育研究所特集 #3研究・スポーツ振興編 | KEIO SPORTS PRESS
体育研究所リンク:慶應義塾大学体育研究所 – Keio University Institute of Physical Education
※写真はすべて体育研究所提供
(取材:柄澤晃希、蕭敏星)


