【ラグビー】127代蹴球部、いざ出陣! スローガン「ALL IN」に込められた決意/2026年蹴球部新体制インタビュー vol.1 笠原悠真×恩田優一郎×石野創太郎

ラグビー

接戦の末、花園ラグビー場で「日本一」の夢が潰えてから約4か月。再び大学ラグビーの頂を目指し、新たなスローガン「ALL IN」を掲げた127代蹴球部の戦いが幕を開ける。今回ケイスポでは、今年度リーダーとして蹴球部を引っ張る11人に今シーズンの意気込みを伺った。初回となる今回は、主将・恩田優一郎(政4・慶應)、副将・笠原悠真(政4・慶應)、Jr.リーダー・石野創太郎(理4・川和)にインタビュー。ラストイヤーを迎えた3人は、それぞれどのような思いで楕円球に向き合うのか。

 

ーー他己紹介

恩田→笠原:笠原悠真です。法学部政治学科で、俺と一緒ですね。悠真は本当に明るくて、オングラウンドでもオフグラウンドでも、この代の元気印みたいな感じで、いつも色んな人と明るく接しているので、ポジティブな人間だと思っています。個人的には小学校の頃からの知り合いなので、慶應に入ってまた一緒にラグビーできて嬉しいなと思っています。

笠原→石野:石野創太郎です。川和高校出身のCTB/WTBで、去年くらいから「魂のプレーヤー」としての地位を確立し始めて、その能力を買われてJr.リーダーに任命された男です。今、優一郎(恩田)が僕のことを元気印と言ってくれましたが、創太郎(石野)は僕以上に明るく元気に練習を引っ張ってくれるので、みんなからの信頼も厚い選手です。今年は彼の元気の溢れるプレーに注目していただければと思います。

石野→恩田:彼は恩田優一郎君です。ザ・キャプテンという感じの人で、小学校からずっとキャプテンをやってきて、キャプテンシーを素質として備えています。また冷静で一貫性があるというか、自分の芯がしっかり確立されていて、どんな状況でもブレないところが彼の強みだと思っています。あとは、僕も彼も神奈川県出身なので、小中学校時代に何度か対戦経験があって、アフターマッチファンクション(試合後に両チームの選手、スタッフ、レフェリーが集まる交流会)の時に、彼が主将として僕のチームに神がかったアドバイスというか、悟りを開いたかのような発言をしていて、僕は内心「こいつやべえな」と思っていました。

恩田:(笑)

石野→恩田:あとはオンオフの切り替えですかね。普段はかなりリラックスしているのですが、スイッチが入るとすごく頼もしい存在です。

 

ーーお互いの長所

石野→恩田:やっぱり頼りがいがあるところですかね。「俺についてこい」みたいな雰囲気は出さないけれど、でもオーラがあるというか。人間性の部分でも「さすが慶應」と思っていただけるような蹴球部の代表だと思います。

笠原→恩田:背中で、プレーで引っ張るタイプですね。

 

石野→笠原:同期だけでなく、後輩でもスタッフでも関係なく、全員を巻き込んでいくところが彼の長所です。いつもポジティブで、蹴球部を常に明るくしてくれるような存在だと思います。

恩田→笠原:みんなに平等に明るく接してくれるところが、みんなから信頼を得ているポイントなのだと思っています。

 

恩田→石野:石野の長所は一貫性ですね。1年生の時から自分のスタイルをブレずに貫いてきて、それが周りに認められているというのはすごいことだと思います。「蹴球部でプレーがしたい」という思いを存分に出しているのが石野です。

笠原→石野:全部員の中で1番ラグビーが好きなのが創太郎だと思います。それが彼の長所です。

他己紹介の順番を決める3人。左から、笠原、恩田、石野。

ーー慶大蹴球部への入部の決め手

笠原:僕は塾高(慶應義塾高校)出身なのですが、ラグビー自体は6歳の頃からプレーしていて、ずっと続けてきたラグビーを辞めたくないという責任感といいますか、大学生になって別の競技を始めるという考えは自分の中にはなかったというのが大きな理由です。あとは恩田を中心に同期がラグビーを続ける中で、もう1度、同じグラウンドで一緒に頑張りたいと思ったのも理由の1つですね。

恩田:僕も悠真と同じで、大学でラグビーをやるために塾高に入ったので、大学で続けることは当たり前のことでした。もう1つ理由を挙げると、先輩と同期の存在が大きかったですね。先輩方のことも同期のことも大好きだったので、まだまだ一緒にラグビーがしたいと思って入部を決めました。

石野:僕の小学校の頃のラグビースクールの先輩に古田京(令元医卒・慶應)さんという先輩がいて、その方は2019年の代で医学部生ながら蹴球部の主将を務めた方です。古田さんが勉強とラグビーの両方で、第一線で活躍する姿を見て「かっこいいな」と思い、慶大蹴球部を意識し始めました。それで高校受験のタイミングで塾高を目指したのですが、落ちてしまって公立の川和高校に進学しました。川和ではラグビー部員が僕だけになってしまうことがあって、その時に自分がいかにラグビーが大好きだったかを再認識し、無名校出身の選手が魂を見せて早稲田のようなスター集団に立ち向かうという慶應のスタイルに惹かれ、慶應でラグビーをやること以外の選択肢はないと心に決めました。

 

ーー127代の特徴

石野:部員が少ないだけでなく、スタッフと選手の割合が1:1くらいの割合になるくらい選手が少ないというのが特徴だと思います。そういう意味では、僕の高校時代に少し似ている印象もあります。人数が少ないことの利点としては、横のつながりができやすいことだと思っているので、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)しあって高めていけるような代だと思っています。

恩田:代の雰囲気としては穏やかなところが特徴だと思います。126代の人たちは個性的な人たちが多かったのですが、今年はみんな丸いというか穏やかで、人数が少ない分仲が良いというのも特徴の1つですかね。

笠原:大体言われてしまったのですが、、、(笑)あとは、オンオフの切り替えの所ですかね。オンの時、グラウンドではしっかり頑張る一方で、オフの時はとても仲が良いですし、みんなで遊びに行ったりします。そういうオンオフの切り替えの部分も、127代の良い所なのかなと思います。

 

ーー恩田選手、笠原選手は塾高出身。高校時代と大学時代で意識が変化したことなどはあるか

恩田:自分が1年生の頃、当時の4年生に対してすごく憧れを抱いたんです。憧れの先輩方が着ていたジャージを自分が着ることができる嬉しさや、同じジャージを着る責任感というのは高校の頃にはなかった感覚だと思います。

笠原:当たり前ではありますが、高校から大学になると黒黄に袖を通すことが何倍も難しくなります。このジャージを着るために求められる熱量も、実際に黒黄を着て対抗戦に出られた時の嬉しさも、圧倒的に増えたと感じています。

 

 

ーー石野選手、高校時代との環境の変化について

石野:まず部員が多いというのが大きな違いですね。あとは内部生の存在というのが僕の中ではカルチャーショックでした。高校までずっと公立だったので、内部進学という選択肢がなかったので、そこに驚きました。内部生の人たちは、大学の授業などでもコミュニティの繋がりを駆使して効率よく単位を取っているというか、、、僕はとにかく量をこなすタイプだったので「こういう生き方もあるのか!」と思いました(笑)

 

ーー石野選手、理工学部との両立について

石野:理工学部との両立についてですが、慶應には「リコタイ」(理工学部体育会)が存在するくらい、体育会と理工学部のどちらもお互いを想定していないので、両立は大変ですね。授業がある日はひたすら勉強して、部活行って、また勉強して、寝て、朝起きたらウエイト行って、ウエイト終わってご飯食べたらまた授業、の繰り返しです。根性が鍛えられます(笑)ただ、ラグビーも理工学部の勉強も大好きなので、目の前のことを楽しむだけだと思って過ごしています

恩田、笠原:おぉ〜。さすが(笑)

ーー主将・副将・Jr.リーダーを務める上で意識していること

恩田:今までの主将と比べると、僕は実力というかスキルで主将になった人間ではなく、1年生の頃の下積みもあって主将になったタイプなので、努力を継続することを大事にしています。僕が努力し続けることができれば、みんなも僕についてきてくれると思うので、そこは意識していますね。

笠原:僕の役割は2つあると思っていて、1つは情熱を持つこと、もう1つは全員を巻き込むということです。主将の恩田が背中で引っ張るタイプなので、自分はそれをサポートしつつ、自分も成長しつつ、練習中は後輩など色んな人を巻き込みながら、全員でチームを1つの方向に持っていけるように意識しています。あと、これは恩田と一緒なのですが、僕も歴代の副将と比べてスキルが無いので、ラグビーの実力を買われたというより、チームをまとめる力を求められていると思うので、プレー以外の部分でも貢献できたらと思います。

石野:Jr.リーダーの役割は主将、副将とは少し異なっています。蹴球部にはシニア/ジュニアという2つのグレードがあり、僕の役割は下位グレードのジュニアを引っ張ることです。僕は入部当初は周りのレベルに全くついていけず、ずっとジュニアにいたのですが、努力を続けて去年やっとシニアに上がれたという経験を持っています。その中で、ジュニアもシニアも経験した僕にジュニアを引っ張ってほしいという風にお願いされたので、引き受けました。今ジュニアでなかなか活躍できていなくても、努力次第で上のチームで活躍できるという希望を持ってもらいたいと思っていて、そのためには自分がまずジュニアを引っ張って、最後はシニアで公式戦に出て、1人でも多くのジュニアの選手に「下から努力して這い上がった先輩がいるから自分も頑張ろう」と思ってもらえるように頑張ります。

 

ーーJr.リーダーという役割が新設された経緯

笠原:実は僕らが1年生だった時の4年生の代の時まではずっとあった役職なんですよね。

石野:シーズンが深まるにつれ、シニアとジュニアの間にモチベーションの差が生まれてきてしまうというのが課題でした。どのグレードでも強いチームが日本一に近づけると思うので、下のグレードの選手たちも自分たちで目標を持ってプレーし続けてほしいということで、ヘッドコーチの和田拓(平23法卒)さんから復活させようという案が出たという流れです。

 

ーー各役職への就任経緯

恩田:僕は努力する姿勢、一貫性を持っているところを買われたと思っています。あと、僕も石野と同じで、最初は1番低いグレードからスタートして、努力して着実にレベルアップして今シニアでプレーしているという経緯があるので、全てのグレードの立場になって考えられるというところも、主将に選んでいただいた要因の1つなのかなと思っています。

笠原:自分が持っている情熱と、みんなを巻き込めるところに加えて、去年1年間、優一郎と一緒にリーダーとしてチームの方針を決めたりしていたので、そういう経験も買われたのではないかと思います。

石野:ジュニアからシニアへ、ひたむきな努力で上がった人間で、そのひたむきさ、姿勢を買われていると思っているので、みんなをまとめ上げるリーダーシップというより、自分が努力する姿を見せることはブレずに続けます。

練習中、Jr.チームを鼓舞する石野

ーー幹部陣全体として意識していること

笠原:今年のスローガンは「ALL IN」なので、1つ1つの練習を絶対に無駄にしないということを常に意識しています。たとえば、練習前にリーダー陣が学生コーチも含めて全員で集まって「今日の練習ではこれを意識しよう」「チームのメンバーにこういう声かけをしよう」「このメニューではこういう部分にフォーカスしよう」のような細かい部分を話し合っています。リーダー陣が率先して1つ1つの練習を無駄にしないための取り組みをしています。

恩田:これは去年から引き継いでいることですが「リーダー陣だからこそ成長する必要がある」ということは肝に銘じています。リーダー自ら成長する意欲、姿勢を見せないと、周りもついてこないので。

 

ーーお三方のプレーヤーとしての特徴

石野:メンタル、パッションの部分は対抗戦トップレベルだと思っています。あとはWTBなので、ステップやパスは得意な方ですね。ただ。悠真や怜大(松田怜大=環4・桐蔭学園/BKリーダー)、そして対抗戦トップクラスの選手と比べるとまだまだ足りない部分が多いと自覚しているので、努力で追いついて、慶應の戦力として活躍できるよう、更に成長していきたいと思います。

恩田→石野:石野の強みはステップだと思います。最近瞬発系のトレーニングに取り組んでいて、瞬間的なキレのようなものに磨きがかかっていると思うので、そこは強みなのかなと。

笠原→石野:パスはこの3年間で1番成長していると思います。

石野:パス、最初はひどかったもんね。

恩田→石野:あと去年くらいからハイボールうまいよね。

石野:ハイボールは強くなった。伊吹央(令8経卒)さんが毎日やってたから、一緒にやろうと思って。航希(森航希=環4・桐蔭学園)にハイパントを蹴ってもらって、練習してました。

 

恩田:接点、コンタクトの部分が自分の強みです。タックルでもボールキャリーでも、攻守両方で自分の力を発揮できると思っています。あとは、堅実なプレーが多いプレーヤーでもあると思います。派手なプレーはなくとも、着々と自分のやるべきことをやるというスタイルだと思っています。

コンタクトに自信を持つ恩田(中央)

石野→恩田:本人が言っている通りで、ブレイクダウンの強さと安定感が強みだと思います。

笠原→恩田:恩田の強みだと思うところは、責任感があり、信頼できるプレーをするところです。タックルを受けた後に雑なオフロードパスを選んでしまうと、ターンオーバーに繋がったりするわけですが、恩田はそういう不注意なプレーはしません。また、プレッシャーの中でミスが起きたとしても、必ず挽回してくれます。例えば、去年の早慶戦で恩田は早稲田のキックオフを落球したのですが、その後相手のパスが乱れたところでターンオーバーする「禊(みそぎ)セービング」を見せてくれました。

 

笠原:自分はディフェンスが得意なのと、パス、キックなどのスキル面の安定感が強みだと思っています。逆に、WTBとしての圧倒的なスピードや決定力、ハイボールキャッチなどの部分はもっと磨いていきたいです。

恩田→笠原:悠真はやっぱりディフェンスじゃない?圧倒的に。

石野→笠原:体を張るプレーですかね。自分からしっかり体を当てに行くディフェンスは彼の特徴です。あとはベーシックスキル。キックもパスも、常に一貫性を持って高いレベルを保っているという印象です。

 

ーーラストイヤーを迎えるにあたって

恩田:チームとしてはずっとベスト8を越えられていませんし、特に昨季はチームとして日本一を掲げて努力し、雰囲気とかクオリティは悪くないと思っていた中で、中で、結果としてはベスト16に終わってしまったのがすごく悔しかったので、今年こそは掲げた「日本一」を成し遂げたいと思っています。

笠原:3年間を振り返ると、結果としては日本一どころか正月越えも出来ていないという状況ですが、年々良くなっていくというか、成長しているという印象があります。去年も椋平さん(=今野椋平/令8環卒)たちが色々な部分をガラッと変えてくれて、チームとしても良い方向に向かっていったという感覚でした。僕たちの代は1人でチームを引っ張れる選手がいない分、3年間積み上げてきたものを更に成長させる必要があると思っています。成長し続けた先に日本一が待っていると思います。

石野:3年間振り返ると、どの代の時も4年生が先頭に立っていて、僕らを引っ張ってくれたという感覚があります。どの代の人たちにもついていきたくなりますし、この人たちのために勝ちたいと思えるような4年生が居てくれたことが大きかったんです。僕たちも、後輩たちに「今の4年生のために勝ちたい」と思ってもらえるような先輩にならなければ、チーム一丸となって日本一を目指すことはできないと思っています。

 

ーー昨季の振り返り(個人)

笠原:昨シーズンはまずリーダーに指名され、チームに対する責任感が芽生えたところからスタートしました。ただ、春シーズンは思うように試合に出られず、強みをもう1回洗い出したり、自分に何が必要なのか、何が求められているのかを分析したりして、自分を見つめなおしました。その成果もあってか、夏合宿ではすごく良い調子で過ごすことができ、この勢いで対抗戦頑張ろうと思っていた中で、合宿の最終盤に怪我をしてしまって。後輩や126代の先輩方がすごく良いプレーをしている姿をピッチの外から観ていたことはすごく悔しかったです。対抗戦未出場で終わったわけではなく、接戦になった慶明戦などに出場することはできましたが、プレータイムとしては短かったので、総じて悔しさの残る1年になりました。今年は更に立場が変わって副将になるので、秋の公式戦に主力として出場することはマストだと思っています。

恩田:僕もリーダーに指名していただいて春シーズンに入ったのですが、春季大会の流経大戦で大怪我をしてしまって、11月まで復帰できないという状況になってしまいました。リーダーに就任したのに、プレーで貢献できないことが何より苦しかったです。対抗戦の明治戦でスタメンに復帰してからは、早慶戦にも出ることが出来ましたし、シーズン後半に向けて尻上がりに良くなってはいましたが、プレー内容は納得できるようなものではありませんでした。今年はもっとプレーの精度を上げていきたいですし、シーズンを通してグラウンドに立ち続けなければいけないと思うので、怪我だけはしないように気を付けたいです。

石野:2年生まではずっと下のチームにいて、黒黄ジャージとは距離が遠い感覚があり、自分が黒黄を着るイメージが全然湧かなかったのですが、去年は1年間「変わる」ということをテーマに取り組んで、意識の部分から自分を変えた結果、上のチームに上がることが出来て、夏合宿でも怪我無くずっと上のチームに居ることができました。同時に、上のチームに居たことで当事者意識というか、自分がチームの一員であることの意識も増していきました。自分主導の意識の変化と、環境による意識の変化の両輪で、自分の中では劇的な変化があった1年間でした。

 

ーー昨季の振り返り(チーム)

恩田:チームとしても「変わる」ということにフォーカスして春シーズンに入って、自分たちの中でもある程度感触を得ていた矢先、春の最終戦で青学に負けてしまって「ちょっとやばいんじゃないか」という雰囲気になりつつも、夏合宿で自分たちのやるべきことをもう1度信じて、信じたことをやり続けた結果、秋シーズンの初戦で青学にしっかりリベンジできて、負けては締まったものの明治にもとても良い試合ができて、すごく良い流れに乗っていました。最後は(大学)選手権の初戦で京産に負けてしまったのですが、チームとして変わった部分は大きかったですし、自分が今まで見てきた3年間の中で1番強かったですし、強さを実感できるようなチームになったと感じています。

ーー昨季印象に残った試合

恩田:秋の早慶戦です。最初のプレーで自分がノックフォワードをして、僕のミスから始まったという意味で忘れられませんし、忘れてはいけない試合だと思っています。

石野:僕は明治戦です。僕が出ていたわけではなくて、バックアップメンバーとして一緒にアップをしたりしていたのですが、あの試合は全員が同じ絵を見てプレーしていて、全員が今までやってきたことを信じてプレーしていて、その雰囲気をグラウンドの脇から感じていました。最終盤、自陣のインゴール前で「魂のタックル」で失点を防いだシーンに象徴されるように、信じて取り組んできたことが形になったという意味ですごく印象的でした。

笠原:僕は夏合宿の関西学院大学戦です。昨年1番良いプレーができた試合だと思っていて、相手にトライを取られて、トライ後のコンバージョンを決められたら同点、という局面で自分がチャージして防いだというプレーが特に印象に残っています。春シーズンにもがいて、自分の強みを模索していた時に思い描いた「チームのためになる行動」をピッチで実現させることができた嬉しさというか、自分がアピールできる場所を見つけられたという意味で印象に残っています。

 

ーー昨季と比べリーダー陣の人数が増えた理由

恩田:今年のチームの特徴として、4年生の人数が少ないというのがどうしてもあって。4年生だけで頑張っても上手くいかないという考えのもと、全ての学年を巻き込んでチームを動かしたいという思いがありました。去年、3年生のリーダーは僕と悠真の2人でしたが、今年は3人選んでいますし、2年生からもリーダーを選んでいます。学年関係なく、チーム一丸となって強くなろうという狙いがあって、リーダー陣が増えたという経緯です。

ーー今年のチームの特徴

笠原:まだ試合がないので、ラグビーのスタイルという意味での特徴はわからないのですが、もっと抽象的なところで言うと、優一郎が言っていたように「全員で頑張る」という雰囲気があるチームだと思っています。上手い人だけが頑張るとか、フィジカルの強い人だけが体を張るわけではなく、みんなが頑張って体を張って努力をしています。練習中のひたむきな努力が試合に現れるようなチームになれればと思っています。

恩田:今年からナレッジミーティングという新たなミーティングも導入していて「全員が考えてラグビーをする」ということにも取り組んでいます。

練習前にもミーティング。 ポイントを整理して練習に臨む。

ーーナレッジミーティングとは

恩田:試合の動画を見て、その試合に対するお題のようなものが提示されて、それについて個人が考えて発表するミーティングです。例えば「このプレーはなぜ起きたのか」ということを個人で考えて、共有する機会を設けています。

石野:今まではミーティングの時間が長すぎると集中力が持たないという理由で15分くらいの短期集中型のミーティングをやっていたのですが、今は45分くらい時間をかけています。青貫監督が慶應の強みは考える力だ、と考えていた中で、その思考力を発揮する場が少なかったことに着目したことが、ミーティング改革のきっかけでした。試合の映像に関する議論に加え、去年のデータを踏まえて「この数値をこう伸ばそう」というようなデータに関する議論もしています。ミーティングの成果もあってか、みんなのラグビーIQが高まっていると感じています。この部分も、今季のチームの特徴と言えるかもしれません。

 

ーー今季の注目選手

石野:僕は森航希です。上の代に素晴らしいSHの先輩方がたくさんいらっしゃったので、僕と一緒に下のグレードで練習している時期も長かったのですが、練習後に自主トレに打ち込む努力家で、去年は対抗戦にも出ました。常に自分にベクトルを向け続けて、努力で這い上がった人なので、今年は絶対活躍してくれると思います。期待しています。

笠原:脇龍之介(商3・慶應)です。新3年生で、主にCTBで出場することが多い選手ですが、まず注目してほしいのは力強いボールキャリーです。(今野)椋平くんが抜けた12番のポジションを誰が担うのか、という部分はみなさん気になっていると思うのですが、そこに割って入れる選手だと思っています。個人的に、龍之介とは小学校からずっと一緒にラグビーをしてきた仲で、お互いの家もとても近いんです。そんな龍之介とラグビーができる最後の年になるので、そういう思い入れもあって注目選手に挙げさせていただきました。

恩田:僕は小川士潤(経3・慶應)です。3年生のPRなのですが、1年生の時に対抗戦デビューを飾って、去年も着実に出場機会を重ねてきた選手です。スクラムもどんどん強くなっていますし、ジェネラルの部分でもPRの中では上位に来るクオリティを持った選手だと思っています。1番には井吹勇吾(環3・慶應)というすごく良い選手がいるのですが、小川なら彼を抜かせるのではないかと思っています。

 

ーーオフシーズンに取り組んだこと

笠原:去年の8月にした怪我が昨シーズン終わりにもう1度響いてしまって、シーズンの最後に脳震盪もやってしまったので、今はリハビリに取り組んでいます。冬の時期はみんなで盛り上げながら練習でき、すごく成長できる時期なのですが、自分はグラウンドでみんなと一緒に頑張ることができないのが悔しいです。ただ、副将としてチームにどう貢献できるかを考えた時に、一緒にプレーすることはできないけど、全部の練習に帯同して、自分ができるアドバイスだったり、声かけで盛り上げたりという所を意識しています。チームとして取り組んでいるところについては、僕より2人(恩田、石野)の方が詳しいと思うので、任せます。

リハビリに打ち込む笠原

恩田:個人として、基礎の部分をより固めるという部分に3年間取り組んできたので、その基礎の精度を上げていくということを徹底しています。チームとしても、この時期は基礎的なメニューが多いので、基礎の中に苦手な部分がある人はその改善に取り組んだり、僕みたいに基礎をひたすら固める人がいたり、という感じです。シーズン開始に向けた土台作りをしているというイメージです。

石野:チームとして今意識していることはスローガンの「ALL IN」です。このスローガンには1つ1つの練習に全てを懸けることだけでなく、1年通して全てを懸けるという意味も込められています。オフシーズンに培ったベーシックスキルが対抗戦を戦う上での土台になるので、今の時期の練習の全てが秋の公式戦に繋がるということを常に意識して取り組んでいます。個人としても、1つ1つのスキルに対してこだわって「ALL IN」しています。

 

ーー日本一を目指す中で突き詰めなければいけないと考えていること

恩田:1つ1つの細かいプレーにこだわることだと思います。パスのクオリティやボールキャリーした後の判断などで「パスが通ったからOK」とか「陣地進めたからOK」とならず、細かいところまでこだわることが大事だと思います。

石野:付け加えると、ウエイトのクオリティにもこだわりたいです。他大学に比べて体が小さい分、小さくても屈強な体を作る必要があると思います。ウエイトだけでなく、運動量を増やすためのラントレーニングなど、そういう部分にもチームとして細かくこだわっていきたいです。

笠原:練習中から試合と同等の緊張感を出すことが大事だと思っています。去年、練習ではとても良いクオリティでプレーできましたし、みんなで日本一を信じて、達成できると思っていた中で、最後の京産大戦でああいう負け方(終盤に逆転するも、直後のキックオフをレシーブできず、サヨナラトライで敗退)をしてしまったので、常に試合と同等の緊張感をもって練習するということが大事だと思っています。

 

ーー今季の目標と意気込み

石野:僕はJr.リーダーという役割をやっているので、まずは春、下のグレードで試合に出続けて、勝利に導けるようなプレーをしていきたいです。

笠原:個人としての目標としては、まずは怪我から復帰することです。そして、今年は春に早慶戦、慶明戦が両方あるというすごく貴重な年なので、それぞれ良いプレーをしてトライを挙げることも大きな目標の1つです。チームとしての目標は、たくさん試合があるという貴重さを活かして、色んな部分で成長して、結果として春季大会で優勝、早慶戦、慶明戦で勝利を収められればと思います。1年間を通して、伝統ある塾蹴球部の副将を任せていただいたので、自分の笑顔や明るさを全面に出してチームを引っ張り、最後は日本一を達成したいと思います。

恩田:個人としては春シーズン全試合に出場してチームを勝たせることを目標としています。悠真が言ってくれたように今年の春は試合が多い貴重なシーズンになっているので、結果も重視しつつ、新たなチャレンジとフィードバックの反復も続けて、秋シーズンに繋がる収穫を得られればと思います。

 

ーーお忙しい中ありがとうございました!

(取材:髙木謙、福田龍之介 記事:髙木謙)

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