慶大は第2QにLB・戸田旭(総1・慶應)のインターセプトTDで先制するが、その後は法大に逆転を許し、7-10で前半を折り返す。第3Qは守備陣が粘りを見せる一方、攻撃陣はあと一歩のところで得点につなげられない。第4Qには10点差をつけられる苦しい展開となるが、RB・橋口塁(商4・慶應湘南藤沢)の50ヤード独走TD、QB・滝沢徹(経3・慶應)からWR・早川開志(総2・慶應)へのTDパスで3点差まで詰め寄る。最後まで諦めずに食らいついた慶大だったが、反撃もあと一歩及ばず。春に31年ぶりの勝利を挙げた法大を相手に、悔しい3点差での敗戦となった。
| | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
|---|
法政大学 | 0 | 10 | 0 | 14 | 24 |
慶應義塾大学 | 0 | 7 | 0 | 14 | 21 |
2026年10月3日(土)14:00~ 関東学生アメリカンフットボール1部TOP8第4節vs法政大学@アミノバイタルフィールド
第1Q
慶大のK・並里桜輝(経2・慶應NY)のキックオフで試合が始まる。キックはタッチバックとなり、法大の攻撃からスタート。慶大は立ち上がりから2連続でフレッシュを許すも、DL・天野甲明(政4・鎌倉学園)がQBサックを決め、法大の攻撃をパントに追い込む。

その後も慶大守備陣が粘りを見せる。法大の攻撃、2ndダウン残り12ヤードの場面では、LB・戸田が相手QBの約25ヤードのパスに手をかけ、パス成功を阻止。一方の慶大攻撃陣は、法大の堅い守備を前に思うように前進できない。それでも、好パントで陣地を回復し、相手にプレッシャーをかける。両校の守備陣が存在感を示した第1Qは、0-0のまま終了した。
第2Q
第2Qは法大の自陣15ヤードからの攻撃で幕を開ける。すると、その最初のプレーで試合が動く。法大QBが放ったパスをルーキーのLB・戸田がインターセプト!そのままエンドゾーンまで走り切り、先制のTDを奪う。続く並里のキックも成功し、慶大が7-0と先制した。
勢いに乗る慶大守備陣は、その後も法大に襲いかかる。法大の攻撃、2ndダウン残り1ヤードの場面では、天野がこの日2度目となるQBサックを決め、7ヤードのロスを与える。しかし、その後の慶大の攻撃では法大にインターセプトを許し、攻撃権を奪われる。法大はこの好機を生かし、36ヤードのFGを成功させ、7ー3と点差を縮めた。
再び突き放したい慶大。続く攻撃では、QB・滝沢がスクランブルから自ら走り、一度はフレッシュを獲得したかに見えた。しかし、ビデオレビューの結果、判定が覆り、4thダウン残り1ヤードとなる。こで慶大はギャンブルを選択するも、ランは法大守備陣に阻まれ、攻撃権を渡してしまう。
この好機を逃さなかった法大は、パスを中心に攻撃を組み立て、ゴール前約15ヤードまで前進。最後はTDを決め、慶大は7ー10と逆転を許す。守備陣の奮闘で先制に成功したものの、終盤に主導権を奪われた慶大。3点のビハインドを背負い、試合前半を終えた。
第3Q
パスを次々と通してくる法大オフェンスに対し、慶大守備は要所でビッグプレーで流れを渡さない。先日の立大戦で2TDのレシーバー・阿部賢利(営4・法政二)へのパスをDB・山下遥(経3・慶應)がカットすると、主将のDL・天野も鋭いラッシュでQBに迫り反則を誘う。最後はDL・山田向洋(経4・慶應)がパスカットを決め、法大をパントに追い込んだ。
攻撃では、RB・橋口塁(商4・慶應湘南藤沢)が力強いランを重ね、ランで一気に敵陣33ヤードまで前進する。流れを引き寄せる絶好機だったが、WR・富安航大(経2・慶應)へのパスはわずかに合わずパントに。このシーンもまた、あまりに紙一重。この試合をこのドライブが象徴していた。
第4Q
最終Q、慶大ディフェンスは歯車が噛み合い始めた法大オフェンスに押し込まれ、開始2分でTDを許す。残り10分余りで7-17。慶大は10点を追う展開となる。残り10分に2ポゼッション差に開いた差。
だがここで絶対に諦めないのが今年のUNICORNS。直後のキックオフで
RB・橋口が好リターンを見せ、
50ヤード地点から攻撃を開始。
直後のシリーズ。その1プレー目だった。TE・大島拓翔(政1・慶應)らのブロックで大きな走路が開くと、またも橋口が一気に抜け出し、そのままエンドゾーンへ。50ヤードの独走TD!
「抜けさえすれば独走できる」とチームメイトに評される橋口。実際に春リーグもキックオフリターンを成功させているが、ここまでのリーグ戦はその脚力だけではなく今年はセカンドエフォートに1ydを絞り出す意地を見ている。絶対的な脚力にフィジカルを手に入れたこの男に死角はない。
ラストイヤーに大きな成長を見せる橋口の独走TDで、慶大が14-17と再び3点差に詰め寄った。
しかし、またもここで慶大の前に立ちはだかったのが法大
TE・矢作一颯(法4・足立学園)だった。
慶大ディフェンスは2ndダウン残り11ヤードから矢作へパスを通されると
、直後にも矢作へのパスがつながる。この試合を通じて慶大ディフェンスは、矢作のパワーと、体格に似合わぬ走力に手を焼いた。
最後はTDランを許して
14-24。
慶大は再び10点差となった。
思えば昨年の開幕戦では、明大RB・高橋周平(令7卒=足立学園)に3本のTDを浴びた。足立学園は、現在の4年生が高校3年生だった2022年の関東大会、慶應義塾高校として13-19で惜敗した相手でもある。慶應義塾は、またも足立学園に苦しめられる結果となった。
残り6分を切って始まった慶大の攻撃。QB・滝沢がWR・髙原煌世(商2・慶應)へロングパスを通すと、相手守備の裏へ抜け出した髙原がキャッチし、一気にフレッシュを獲得する。さらに滝沢がフェイクを交えたスクランブルで2度のフレッシュを奪い、RB・鶴田眞司(経1・慶應)のランも加えて、慶大はじわじわとエンドゾーンに迫っていく。
そして残り2分を切って迎えた2ndダウン。QB・滝沢が走りながら投じたボールは、エンドゾーンで待つWR・早川の手に収まった。エンドゾーンの早川を見逃さなかった滝沢の好判断が光るTDパスで、慶大は21-24と3点差まで追いすがる。
だが、慶大に残された時間はあまりにも短かった。法大に残り時間を巧みに使われ、そのまま試合終了の笛が鳴る。春に31年ぶりの勝利を挙げた相手に、慶大は秋、わずか3点届かなかった。
WR・早川開志(総2・慶應)
ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか
最終的には負けるという形にはなりましたが、チームとして後半はランもパスもうまく通っていたと思います。プレーオフへの希望は残っているので、中央戦に向けて練習をし、精度を上げていきたいと思います。
ーー終盤、早川選手のタッチダウンで一気に試合が手の届くところまで近づきましたが、その時の心境は
この試合の前から絶対に勝ちたいという思いがあって、相手にリードされた場面で自分のタッチダウンでチームを勝たせたいという思いがあったので、決め切れたのはよかったですが、結果としては負けてしまったので、勝ち方についてもっと考え、取り組んでいきたいと思いました。
ーー次戦は中央大学との一戦です。次の試合に向けての意気込みは
今1勝3敗ではありますが、東大、法政戦で流れはつかめたと思うので、その良かった点を今後の練習で伸ばしていき、挑みたいと思います。

LB・山下敬輔(法3・慶應)
--今日の試合を振り返っていかがですか
そうですね、今日はもともと簡単なゲームにはならないと思っていました。その中で前半の早い段階で戸田がインターセプトを決めてくれて、いい入りができたんですけど、そこから様子を見るような形になってしまって。スコアとしても3点差ということで、あと1本届かなかったというところですね。
--ご自身のプレーについてはいかがでしたか
自分としては、初戦以降の2試合は怪我で欠場していて、今日が3試合ぶりの復帰という形でした。結構一歩前でプレーしようと心がけていた中で、ロスタックルを1本決められましたし、要所要所でいいタックルもできたので、個人的には良かったと思います。
--LB・戸田旭(総1・慶應)は3試合連続でインターセプトを決めています。同じポジションから見ていかがですか
入ってきたときから物おじせず、プレーもすごくて。1年生でそれができるというのは本当にすごいなと思いますし、チームとしても助かっています。
--次の中大戦に向けて一言お願いします
今日は結果として負けという形になってしまったんですけど、そこはもう切り替えて、明日から中大戦にフォーカスして、必ず勝利できるように準備していきます。

勝敗を分けた「1ヤード」
慶大守備は要所でビッグプレーを重ね、最後までモメンタムを手放さなかった。攻撃も第4Qに2本のTDを奪い、全勝の法大に真っ向から食い下がった。この日の慶大の戦いぶりは、一方的な展開で敗れた昨秋の対法大とは大きく異なるものだった。
それだけに、勝敗を分けたわずかな差が重くのしかかる。法大に絞り出された1ヤード。そして、あと1ヤード絞り出してフレッシュを獲得できていれば。あのパスがつながっていれば。要所要所でのわずかな差が3点の差だったのだろう。そう思わずにはいられない紙一重の敗戦だった。

春の法大戦後、オフェンスリーダーのWR・若月伶士郎(商4・慶應)は、今季のオフェンスのスローガン「GRIT」に込めた思いを「1ydに貪欲にこだわる」と語っていた。その1ヤードの重みを、慶大は改めて突きつけられた。
これで慶大の通算成績は1勝3敗。次節は10月18日(日)11:00から、アミノバイタルフィールドで中央大学と対戦する。リーグ戦は残り3試合。全勝の法大をあと一歩まで追い詰めた手応えを、慶大は白星につなげたい。
彼らなら絶対できる。
(記事:神戸佑貴、松永一真、取材:水野翔馬、山内悠暉、若月大空)