【弓道】 またしても準決勝で苦杯 男子団体4位  全国大学弓道選抜大会

どうすれば決勝に進めるのか―。 準決勝で惜敗した全関東から1週間、慶大弓術部は全国から精鋭が集まる全国選抜の舞台に臨んだ。男子は1回戦で早大との大接戦を制し、順調にトーナメントを勝ち進んでいく。迎えた準決勝の相手は西日本工業大。後半にリードを奪いそのまま逃げ切りたかったが、最後の4本目でまさかの失速。相手に逆転を許し、団体4位で大会を終えた。一方の女子は1回戦で惨敗。男女ともに課題の残る大会となった。

 

26全国大学弓道選抜大会

 

6月28日(土)、29日(日)@全日本弓道連盟中央道場 

 

女子団体結果…1回戦敗退  

ポジション

選手名

予選

1回戦

大前(おおまえ)

小林由紀恵(看3・清真学園高)

(なか)

陣内友莉(総2・西武文理高)

(おち)

五十嵐瑛美子(商4・慶應女子高)

合計

 

対戦校

 

 

信州大

合計

 

 

 
男子団体結果…団体4位  

ポジション

選手名

予選

1回戦

2回戦

準決勝

3位決定戦

大前(おおまえ)

菅谷脩

(法2・韮山高)

〇〇〇〇 4

2番

小野和也

(法3・慶應高)

×〇×× 1

3番

林康弘

(政4・慶應志木高)

〇〇〇× 3

(おち)(まえ)

渡邊幸四郎

(商4・慶應湘南藤沢高)

〇〇〇× 3

(おち)

村田賢祐

(法3・慶應高)

×〇〇〇 3

合計

 

17

18

16

14

16

対戦校

 

 

早大

東北大

西日本工業大

立命館大

合計

 

 

17

15

15

18

※ 1回の試合で各選手4本の矢を放つ。トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始める。男子団体は1チーム5人の試合形式で、計20本のうち的に(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。

 

祭りのような雰囲気の全関東から1週間。次なる戦いは全国各地のリーグを代表する大学が選抜され頂点を目指す、全国選抜大会だ。大学の大会では今大会のみとなる、全日本弓道連盟主催の大会。普段の学生主催の大会とは異なり、チームには入場から退場まで統一された動き(体配)が求められ、応援の掛け声等も禁止される。しかも会場は全日本弓道連盟の中央道場。明治神宮の境内にある、厳かな美しい弓道場だ。弦音と的中音のみが聞こえる厳粛な空気の中で、慶大は全国の猛者たちに挑んでいった。

不動の大前としてチームを引っ張る小林(看3)

不動の大前としてチームを引っ張る小林(看3) 

 

28日の予選を男女ともに通過し、迎えた29日の決勝トーナメント。今年から1部に昇格した女子は、全国トップレベルの東京都リーグ1部校としての力を示しておきたいところ。しかし1回戦であたった信州大に対し、思うように的中を重ねられない。全関東で抜群の安定感をみせた大前・小林(看3)だが、前半でつまずいてしまい2中。他の2人もチーム内の悪い流れを断ち切れず、合計6中にとどまる。相手の8中を下回り、1回戦敗退という悔しい結果となった。

 

一方の男子は全関東の準決勝で法大に逆転負け。昨年の全関東、全国選抜、インカレと全て準決勝で敗退している。それだけに今大会は何としても決勝に進みたいところ。だがトーナメント初戦、慶大の前にいきなり強敵が立ちはだかる。1回戦の相手は早大。2部に所属しているが、全関東では1部の明大を破り、昨年王座を獲得した桜美林大に1本差で惜敗するなど実力は十分。ましてや相手が慶大となれば、持てる力を全てぶつけてくることが予想された。試合はやはり両者一歩も譲らぬ緊迫した展開に。しかし慶大チームも「自分がもっと中(あ)てていこうという姿勢を持っていた」(渡邊主将・商4)と、相手の気迫に負けず的中を伸ばし続ける。「いいパフォーマンスができた」(本間監督)の言葉通り、2番・小野(法3)から落・村田(法3)まで4人が皆中(4本全て的中すること)する圧巻の試合運びで慶大が勝利。1部校の貫録を見せつけ、18中対17中の大接戦を制した。

ぴたりと揃った動きで矢をつがえる

ぴたりと揃った動きで矢をつがえる 

 

勢いに乗った慶大は、続く2回戦でも東北大相手に安定感のある行射に徹する。相手の大前が1中を出してしまったことにも助けられ、16中対15中と勝利。準決勝に進んだ。

 

準決勝の相手は西日本工業大。トーナメント1回戦では17中、2回戦では18中と調子を上げてきており、手強い相手だ。決勝進出がかかる一戦、会場は両校の緊張感で張り詰めた空気に。前半は相手の落前、落が2本目を連続で外し、8中対8中のタイで折り返す。すると3本目で、慶大が1本のリードを奪うことに成功。だが落とし穴が最後の4本目に待っていた。相手は慶大よりも先に引き終わり計15中。このまま逃げ切れば勝利、そうした状況が慶大選手の気持ちを揺さぶってしまったか。「周りの的中に振り回されたりして、自分が完璧に中たると思わない矢を離してしまった」(渡邊主将)。会(矢を放つ前、最後の状態)で粘り切れず、「狙いこみが足りなかった」(渡邊主将)状態で離してしまう。2番小野、3番林(政4)、落前渡邊と周囲につられるように連続で外してしまい、万事休す。14中対15中と逆転負けを喫し、決勝進出はならなかった。

 

2年生ながら、大前の役割を十分に果たしている菅谷

2年生ながら、大前の役割を十分に果たしている菅谷 

 

入賞をかけた3位決定戦の相手は関西の強豪・立命館大。慶大は準決勝の負けを引きずってしまったか、ここでも思うように的中を伸ばせない。大前の菅谷(法2)は2回戦から3連続皆中をする奮闘をみせたが、結局この試合は16中対18中と差をつけられ敗北。入賞を逃し、男子は団体4位で大会を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3番の林副将 4年生としてチームを中心から鼓舞する

3番の林副将 4年生としてチームを中心から鼓舞する 

「非常に悔しく課題が残りました」。試合後渡邊主将は厳しい表情でこう振り返った。今日の試合は1回戦から準決勝まで、全て1本差で決着がついている。全国の舞台は1本のミスが命取りになる厳しい世界だ。そうした中で勝ち切れた接戦、競り負けた接戦の両方を経験できたことは次につながるだろう。また渡邊主将が「射形が試合の最後まで持たない」と分析したように、全関東同様にトーナメントが進むにつれて思うような射ができず、的中が落ちていってしまった。「回を重ねていくと、やはりみんな体が硬くなって伸びあいが弱く」(本間監督)なると課題をつかんだ春の試合。長丁場となる秋のリーグ戦に向け、基本に忠実な練習を質・量ともに重ねていくことが大切だろう。次なる戦いは8月に神戸で行われるインカレ。ここで頂点に立てば、厳しいリーグ戦で優勝せずとも目標の王座決定戦出場を果たすことができる。準決勝の壁を乗り越え、インカレ決勝で勝つ慶大の姿を見たい。全ては11月に伊勢神宮で王座をつかむために。弓術部は進化の夏を迎えようとしている。

 

 

 

                                                                                                                                (記事 砂川昌輝)

 

 

監督、選手のコメント

本間 勤監督

(団体4位という結果をどう受け止めるか)全関東と一緒であと一歩の壁を乗り越えられなかったのは残念です。勝負がかかった時に、本当はこうすれば中るという射をできる確率が下がっていったのが心残りですね。それをどう練習で乗り越えていくかが課題だと思いました。(選手はどのように選んだか)基本に忠実にまっすぐ正しく引けている人を選びました。そのような人は自然と中りが高いですし、かつスムーズに引けている人を中心に選びました。(初戦の早大との試合は、接戦を勝ちきれた)いいパフォーマンスができました。集中してやるべきことがみんなできていたので、あれを続けられるかが今後の課題だと思いますね。(準決勝はどう見ていたか)あそこがやはり課題で、回を重ねていくとやはりみんな体が硬くなって伸びあいが弱くなります。弓の中に体を割り込むようななめらかな動きができなくなって、手先に力が入っていたと思います。なぜ上手く引けるのにそうした悪い射になるのか、みんなで考えながら克服していきたいと思いますね。(インカレに向けて)今日の試合、先週の全関東といっぱい課題が出たので、一つでも二つでもつぶせるように頑張りたいと思います。

 

渡邊 幸四郎主将(商4)

(今日の大会を振り返って)東北大と戦ったとき相手から勝ちをもらうような形で先に進んだのですが、その後僕たちが勝ちを譲るような形で負けてしまいました。そこから崩れてしまって三位決定戦もだめだったということで、非常に悔しく課題が残りました。(一回戦は早大が相手だったが)最初から強いところというのは選抜ならではのことなのですが、前回の全関東で相手よりも一本中てるという気持ちだと負けちゃうねっていうのをみんなで反省として持っていました。だから自分がもっと一本中てていこうという姿勢を持っていて、強敵だろうと集中しようと昨日抽選が発表された時点でみんな心がけていたので、ある程度結果が出せたんじゃないかなと思います。(準決勝での勝負の分かれ目は)各自が周りの的中に振り回されたりして、自分が完璧に中たると思わない矢を離してしまったというところで狙いこみが足りなかったのかなと思いました。(今大会で見えた課題は)射形が試合の最後まで持たない。みんなどんどん変化して劣化していってしまうというところが一番の課題かなと思っています。あとはそれと同じようなことなのですが、勝ちきれないということで去年が全関3位、選抜ベスト4で今年も全関3位で選抜ベスト4なんですね。人が変わってもこれっていうのはうちの部の特徴として試合の後半まで良くなっていくような試合運びができていないのかなと思うので、そういったところはまた基本に忠実にやっていけたらなと思います。(インカレに向けての意気込み)今回悲惨な結果だったととらえているので、ただ早稲田戦のように最初から集中して結果を出すことができたという一面もあるので、その二つを過大評価せず過小評価せずにいい回を増やしていきたいです。さっき言ったような試合の後半でも頑張れるような射形っていうのを基本に忠実に作り上げていく、そしてインカレを優勝して王座出場権を獲得したいと思ってします

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