やっと見られた秋晴れだった。インカレ出場が限りなく遠のく一方で、一部リーグ残留もほぼ確定済み。メンタル面の調整が難しいと思われた慶大だが、強敵・流経大相手に危なげのない快勝。試合後、4年生は口を揃えた。サッカー選手としてのプライドをかけて。慶應のプライドをかけて。最後の戦いが始まった。
第84回関東サッカーリーグ戦【後期】1部リーグ 第19節
2010/11/3(水)13:50 KO@たつのこフットボールフィールド
慶應義塾大学2-0流通経済大学
{得点者}前半21分 深澤(慶大)、後半5分日髙(慶大)
中盤からボールが出ない慎重な立ち上がりから、主導権を引き寄せたのは慶大だった。横川(総4)のロングスローなどをアクセントに、ボランチを起点にサイドで勝負を挑む。すると、荒れたピッチを意識してか、シュートで終わろうという声が飛び交いだした21分。日髙(総3)のパスを受けた河井から、右に流れた深澤(理4)へボールが出る。縦のスペースに自らドリブルで持ち込み上げたクロスは、吸い込まれるようにゴールの中へ。「狙ったシュートではなかった」(深澤)が、絶えず裏を狙い続けた姿勢が実り、待望の先制点。これで一気にペースを引き寄せると続く26分には同じく右サイド、加美(環4)を追い越した田中(環3)が中央よりでボールを受けてシュート。惜しくも枠を外したが、得点の匂いを感じさせる。
試合を決定付ける追加点は後半5分。右サイドからの攻撃で完全に相手DFをひきつけたところから、加美が中央へパス、河井がスルーしたボールはフリーで反応したのは中盤を駆け上がった日髙。左足からの鋭いシュートがネットに突き刺さった。守備では、ショートパスの組み立てに警戒して準備をしてきたという慶大だったが、この日の流経大は一貫してロングボールを武藤に放り込む構え。終了間際、藤田(政2)の退場により10人で戦うシーンもあったが、それを見越して「開き直ってラインをしっかり下げて」(三上主将・政4)危なげのない対応。GK中川(環3)の活躍もあり、無失点で試合を終えた。
「ここで手を抜かないことがサッカー選手としてのプライド」(三上)。今季ずっと意識してきた、サイドを起点とした攻撃からの2得点。そして無失点。内容は悪くないが結果が伴わず、引き分け、負けとぐずついた前2節を晴らす一勝となった。次節は既に降格の決まった拓大が相手だが、「またしっかりいい準備をして、また勝ち点3を取れるように」(加美)。消化試合は作らない。残り3節、記録に残らなくとも、記憶に残る戦いが見たい。
By Yuri Takeo
三上主将
(試合前に気をつけたこと)気持ちとしては前節でインカレ出場が遠くなってしまった中で残り4試合を戦わなければならない難しさはありましたが、ここで手を抜かないことがサッカー選手としてのプライドだと思うので。そういう気持ちで流経大戦には挑みました。内容としては、流経大はサイドチェンジの多いチームなのでそこに注意をして。また、もっとビルドアップしてくるかと思っていたんですが、ロングボール主体で来た流経大に対して少し対応が遅れてしまった。もっと早くからラインを下げてもよかったかなと思います。(攻撃は)細かいところでのミスが多くて、フィニッシュにいけない部分がまだみられたので、そこが改善点かなとおもいます。(具体的には)筑波に負けてからは本当にクロスの練習はして来ましたし、精度の部分を高めて、この試合の勢いを継続して行きたいとおもいます。(退場に際しては)仕方のないことですし、DFラインを下げて、4人のラインを2つ組むイメージでした。相手はロングボール狙いということもわかっていたので、開き直ってラインをしっかり下げて。なので、危ない感じが特に退場後に強まったような感覚はないです。(次節は)相手の拓大はすでに降格が決まったチームで、難しい部分もあると思うんですけど、強い流経大に勝てたことをちゃんと生かして、油断のないように。それこそ、サッカー選手としての姿、プライドをもって全力を尽くしたいとおもいます。
加美
(振り返って)まず残留決められたっていうことと、久しぶりに勝ち点3取れて非常に良かったと思います。(ご自身のプレーを振り返って)全体的にミスが多くて満足できる内容ではなかったんですけど、クロスの場面(後半18分、22分)とか、前回筑波大戦で工夫が足りなくて下げたりしていたところを今回反省を生かしてマイナスや逆サイドなど工夫して入れることができたので、そこは少し改善できたかなと思います。(ミスが多かった原因は)単純に技術面のミスであったり判断のミスであったんですけど、もうちょっといい状態で受けてワンタッチツータッチで簡単に蹴れるようにできたら良かったなと思います。(グラウンドの状態が悪かったとお聞きしたのですが)それもあるんですけど、そのなかでもやっぱりしっかり繋いでいかないと自分たちのリズムができないので、その環境のなかでしっかりやっていかないといけないと思います。(残りも少ないですが、4年生としてどういう思いでこれから臨みますか)残り3試合という少ないなかでチームに残せるものは勝つことしかないと思うので、ひたむきにプレーをる姿とか勝利を目指してやっていって、何か来年にでも残していけたらなと思います。(来週は中盤の構成も変わりますが)いぶ(藤田)も結構代表とかで抜けたりしちゃっていたので、穴はサブの選手でしっかり埋めてくれると思うので、そこの心配は大丈夫です。(次節への意気込みをお願いします)本当に勝つしかないと思うので、それに向けてまたしっかりいい準備をしてまた勝ち点3取れるようにやっていきたいです。
深澤
(試合前に意識したことは)このスタジアムで試合をした過去2戦というのが、どちらも立ち上がりがうまく行かなかった試合だったので。そこを気をつけるところはありました。(流経大は)昨年に比べるとショートパスが減って、ロングボールが主体になったという印象はありますが、うちはCBも小回りがきくし、足のはやい選手もサイドにいるので。安心して任せられました。(得点は)狙ったシュートではなかったが、調子の良くないなかでチームを勢い付けられる1点という結果を取ることができたとポジティブに捉えようと思っています。(今後改善していく部分は)課題だなと今日感じたのはファーストタッチですね。良いところで受けたのにトラップでチャンスを生かせなかったことがあったので。(残り3節で意識することは)結果によって上にいくことも下にいくことも可能性が薄いという中でも、今慶應で出られていること、そのプライドをもって、慶應の選手としての姿を残り3節でもきちんと見せたい。
河井
(振り返って)勝てば1部残留が決まる試合ということだったので、インカレ出場を目指すことはできなくなったんですけど、そういう逆のモチベーションもあって今日はいい意識でみんな試合に入れたし、結果もついてきたので良かったんじゃないかなと。(勝因は)一人ひとりがやるべきことをやったので勝てたのかなと。(アシストシーンを振り返っていただいて)慶太(日)が呼んでいたので。慶太の技術のお陰です。(残りも少なくなりましたが今後に向けて)1部で戦えることは選手にとって経験やモチベーションにもなると思うし、残りは4年生を送り出す意味でも3試合意識して勝てるようにしたいと思います。
(今日の試合を振り返って)インカレ出場の可能性が無くなって、一勝すれば残留。それにしてもチームとしても個人としてもモチベーションを保つのが大変な試合だったんですけど、やっぱり慶應の代表として出してもらっている。そのみんなの想いを背負って戦っていて、どの試合も関係ないという意味で、そういう気持ちを持って戦えて勝利できて良かったなと(得点のシーンを振り返って)中央戦も筑波戦もチャンスは何度もあったのに、自分を含めて最後の部分で決めきれないのが慶應の課題だったんですけど、本当にこの一週間クロスからのシュート、崩しの部分ですごく練習していたので、狙い通りの点だったんで、やってきて良かったなと。(負けたら流経大と順位が入れ替わるという状況でプレッシャーがあったか)特にそういうプレッシャーはなかった。前期に4‐0で勝っていたのが、自信になっていたし、最近の試合はいい試合ができていて、勝てない試合が多かったので、自分達のサッカーに疑問を感じたことは一度もなかったし、自信を持って戦えたのが、良かった(一人退場した後、守備的にならざるを得なかったと思うが、退場後のチームのパフォーマンスは)どういうやり方をするにしても、残った10人がどういう戦い方をするかっていうのを統一しなくてはいけない。そういう意味ではすごい統一した意志を持って、まあ確かに点を取りに行くっていう意味では難しかったが、しっかり守ってブロック作って意志統一してできたんで、なんとかなったと思う。(次節に向けて)あと三戦っていうのはこのメンバーでできるラストの三試合で、この結果っていうのは来年に繋がると思うし、本当に一試合も無駄にしないで、一試合一試合成長していくのを目標にやっていきたいと思うので、あと三試合、しっかり勝っていきたいと思います。
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