【相撲】新人力士、初陣に挑む 第68回東日本学生相撲新人選手権大会

 大学相撲のシーズンが、ついに幕を開けた。その初戦は、各大学の新入生が出場する東日本学生相撲新人選手権大会。大学に入って間もない初々しい新人力士たちが、新入生の中の頂点を目指し熱戦を演じた。慶大からは、渡辺雅治(理1・渋谷幕張)と北原英嗣(政1・慶應義塾)の2人の新人力士が出場したものの、いずれも一回戦で敗れた。

開会式に臨む2人(左から2人目までが北原、中央奥が渡辺)

5/13(土)13:00~ 第68回東日本学生相撲新人選手権大会

@靖国神社相撲場

 

 5月13日(土)、靖国神社相撲場で行われた東日本学生相撲新人選手権大会。この春、大学に入学した新入生だけが出場できる、体重無差別で行われる大会だ。新入生にとっては、記念すべき大学相撲での初陣となる本大会だったが、天気はあいにくの雨模様。それでも、土俵を取り囲む各大学の先輩力士たちから力強い応援が新入生に送られ、会場は普段以上の熱気に包まれていた。

 

 まず土俵に上がったのは、大学から相撲を始めた渡辺。人生初の本番の土俵だったが、「あまり動揺しなかった」と話すように終始落ち着いた様子で所作をこなし、取組に臨んだ。だが立合いで自分の2倍近くも体重のある相手選手の当たりをもろに受けると、そこから粘ることはできず。あえなく突き出しで敗れてしまった。練習である程度自分より身体の大きい選手との相撲には慣れていたはずだったが、「実際に当たってみると、慶大の選手とは違う感じを受けた」と率直に敗戦の弁を語った。とはいえ、渡辺はまだ相撲を始めて1ヶ月の初心者。他の選手以上に今後体重を増やし、大きく力を伸ばす余地を残している。当面の目標は体重別で全国に行くことだという。今後の飛躍に期待したい。

 

思うような相撲が取れなかった北原

 続いて、北原が土俵に姿を現した。北原は中学で全国ベスト8、高校総体には3年連続で出場するなど、各年代で好成績を残しており、神奈川ではほとんど敵無しの存在だった。そんな期待の大型新人が大学相撲の舞台でどういった相撲を見せるか、大きな期待が寄せられていた。注目の立合い。相手により低い姿勢でぶつけられ、差し手が入らない。いきなり土俵際に押し込まれたが、それでも粘って中央に押し戻し、右四つに体勢を戻した。だが掴まれた右のまわしから揺さぶられ、なかなか攻めに転じることができない。最後は鮮やかな下手投げをもらった。大学のデビュー戦は屈辱の1回戦敗退。北原にとっては、ほろ苦い初陣となった。今の課題について、「高校のときから同じように大学の先輩とやっていて、変化がないこと」と分析。今後の稽古のあり方を見直していくことを決意した。

 

2人の今後に期待だ(左・渡辺、右・北原)

 初陣を白星で飾ることはできなかった。だが、2人の大学4年間はまだ始まったばかり。彼らの将来にはとてつもなく大きな可能性が秘められている。試合後松田剛監督は「言われてやるのは大学生じゃない」と自立して考えることの重要性を語ってくれた。自分自身で問題を設定し、どうすればそれを改善できるか。何度も何度も試行錯誤を繰り返していく姿勢が今後の2人には求められる。今回の敗戦を糧にし、次はより一層たくましくなった姿で土俵に現れてくれることを期待したい。

 

(記事:江島健生、写真:津田侑奈)

 

結果

渡辺雅治(理1・渋谷幕張)(突き出し)石田航也(日大)

●北原英嗣(政1・慶應義塾)(下手投げ)日下雄斗(東農大)

 

 

以下、コメント

 

松田剛監督

 

 渡辺君は対戦相手が身体も非常に大きくて負けてしまったが、正々堂々戦ってくれた。所作もしっかりしていて、マナーも良くやってくれたので良かったと思う。初心者だが稽古に来て一歩一歩基礎をやっていて、これからが楽しみ。今後は、自分が大学で活躍できる場は何なのか考えることが重要になると思う。それが体重別であれ無差別であれ、そこで頑張ってほしいと思う。やはり言われてやるのは大学生じゃないので、自分からこういうことをやりたいからやらしてくれ、と言ってくれるようになると良いですね。

 

 北原君は、こっちも研究している一方で相手も研究してきているので、(力は)拮抗していた。新人戦というのは(体重で)ランク分けされず、無差別で戦うので、初戦から強豪校の選手と当たるので、勝ち負けはしょうがないところもある。それでも本人は反省するべきところは反省しないといけないということは良くわかっていると思う。高校のときとは違って、ちょっと大人っぽくなった分、ややのんびりしてきているから、もう少し欲を出してほしいかなと思う。高校相撲界では「北原」という名前はまあまあ通っていたかもしれないが、大学ではそうはいかない。また一から北原という名前を売っていってほしい。

 

渡辺雅治(理1・渋谷幕張)

 

 (初めての本番の土俵は)新鮮な気持ちだった。普段から自分より大きい選手とやっているので、土俵に入ったときはあまり動揺しなかったが、実際に当たってみると、慶大の選手とは違う感じを受けた。(相撲部に入ったのは)部費が無料で、相撲を見ることにも興味があったから。高校まではテニスをしていた。(相撲部で1ヶ月間稽古をしてきて)きつい。まだ最初の頃と比べると慣れてきてはいるものの、まだまだ課題あり、という感じ。(特にきついと感じる練習メニューは)申し合いという、実際に試合を行う練習。やはり経験値が全然少ないので、やれることが限られている。(今後の目標は)体重別で全国に行くこと。

 

北原英嗣(政1・慶應義塾)

 

 立合いで動揺してしまい、うまくいかなかった。高校のときから同じように大学の先輩とやっていて、変化がないことが課題。他大学の同期たちは強豪校に入って練習しているので、その分別に何かやらないといけないという危機感がある。(今後の)小さい目標としては、稽古を変えていくということで、他大学や高校に出稽古に行かせてもらうこと。大きな目標としては、1部の大学の選手に1勝でも2勝でもしていきたい。

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