リーグ戦前期を降格圏内の11位で終えた慶大。3カ月の中断期間を経て、いよいよ日体大との後期開幕戦を迎えた。試合は前後半ともに一貫して激しい攻防が繰り広げられ、両者ともになかなかゴールを奪えず。慶大はセットプレーを中心に好機を量産したが、決め手を欠いたまま試合終了。スコアレスドローで勝ち点1を分け合った。
第91回関東大学サッカーリーグ戦 第12節
2017/09/16(土)14:00KO@県立保土ヶ谷公園サッカー場
【スコア】
慶應義塾大学 0-0 日本体育大学
◇慶大出場選手
GK上田朝都(総2・横浜F・マリノスユース) |
DF手塚朋克(環4・静岡学園高) |
DF野村京平(総2・国学院久我山高) |
DF八田和己(総2・桐蔭学園高) |
DF北城俊幸(総2・青森山田高) |
MF杉本崇太朗(政1・名古屋グランパスU-18) → 78分 松岡瑠夢(総1・FC東京U-18) |
MF落合祥也(商2・横浜FCユース) |
MF近藤貫太(総4・愛媛FC) |
MF田中健太(法4・横浜F・マリノスユース) |
FW池田豊史貴(総4・浅野高) → 75分 ピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ) |
FW渡辺夏彦(総4・国学院久我山高) |
ついに迎えた、関東リーグ後期開幕戦。勝ち点で並ぶ日体大が相手だ。降格圏内の11位に沈む慶大は、攻守両面で立て直しを図り1部残留を目指す。スターティングメンバーにはケガで長らく戦列を離れていた池田豊史貴(総4・浅野高)とリーグ戦デビューとなる野村京平(総2・国学院久我山高)らが名を連ね、“勝負の夏”を終えたチームの成長に期待が掛かった。
雨が降る中で迎えたキックオフ。慶大は序盤から前線の池田に当てて落とす形でゴールへの糸口を探る。開始早々の2分に獲得したCKは得点に結びつけることができなかったが、両サイドを使ったワイドな攻撃でリズムを作っていく。11分にはPA手前でFKを与えるなど、日体大に攻め込まれるシーンもあったが、野村や八田和己(総2・桐蔭学園高)ら守備陣が積極的に応戦。得点は許さない。すると24分、慶大はゴール前でFKを獲得。池田の鋭いシュートは壁に直撃し、こぼれ球も押し込むことはできないものの、ゴールへの強い意識で相手を脅かす。しかし、直後の28分には相手に左サイドからのクロスをダイレクトで合わせられてしまう。なかなか流れを引き寄せきることができない慶大は、37分にPA手前からFKを獲得するが得点にはつながらず。前半は両者五分五分の攻防が繰り広げられ、スコアレスのまま折り返した。
後半立ち上がりの46分、慶大は日体大に中盤からロングシュートを狙われるが、GK上田朝都の好守で難を逃れる。ゴールに襲いかかってくる相手に対し、慶大はレベルアップした守備力で隙を与えない。杉本崇太朗(政1・名古屋グランパスU-18)や近藤貫太(総4・愛媛FC)らが前線から積極的に圧力をかけ、徐々にチャンスを創出していく。しかし、セットプレーなどを決め切ることができず、得点を奪えない。67分には近藤を起点に左サイドの北城俊幸(総2・青森山田高)が中にボールを送ると、田中健太(法4・横浜・Fマリノスユース)が頭で合わせたが枠の上へ。続く70分には杉本が得意のドリブルで切れ込み左足で鋭いシュートを放つが、これもゴールネットを揺らすことができない。もどかしい展開を打開するべく、慶大は池田に代えてピーダーセン世穏(経2・FCトリプレッタ)、杉本に代えて松岡瑠夢(総1・FC東京U-18)を投入。攻撃の連携を噛み合わせたいところであったが、終盤まで相手も攻守の手を緩めず、両者拮抗した展開のまま試合終了。開幕戦は痛み分けに終わった。
後期最初の試合で勝利を飾ることこそできなかったが、「夏にやったことを出せた」と手塚朋克(環4・静岡学園高)主将が振り返るように、前期欠いていた守備の安定感において改善が見られ、無失点という結果につながった。しかし、決定力においてはまだまだ修正すべき点が残る。長いリーグを戦う上で「少ないチャンスをモノにしないと」(須田監督)上位浮上のきっかけをつかむことはできない。次節の相手は、今夏の総理大臣杯で優勝を果たした法大だ。久しく味わっていない、歓喜の瞬間に向けて――。一皮剥けた荒鷲イレブンの力に期待したい。
(記事 髙橋春乃)
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試合後コメント
須田芳正監督
(試合を振り返って)非常にみんなファイトしていて良いゲームだったと思います。(後期開幕に向けて取り組んできたことは)体力トレーニングとあとは守備のトレーニングだったんで、今日はとにかく失点をなくそうっていうことでトレーニングしてきたんで、そういったことでは成果が出たっていうか、個人としても組織としてもしっかりと守備ができたんで、基本的にはすごく良いゲームだったなと。あとはだから我々は少ないチャンスをモノにしないと、というところで特にセットプレーのところで取れたらね、プラン通りだったんですけど、またその辺はトレーニングして詰めていきたいと思います。(今日の狙いは)基本的に我々はゼロで行くと。しっかり守備で速い攻撃、カウンターを目指そうということで、特に後半は取った後のすごく良い形で攻撃につながったんで、その質をもうちょっと高めていきたいなと思います。(先発起用した野村選手の評価)すごく落ち着いてね、集中して良いプレーをしていたと思います。(次節に向けて)いやもう一戦一戦集中して戦いたいと思います。
手塚朋克(環4・静岡学園高)主将
(試合を振り返って)今日は後期の最初ってことですごく集中した試合展開になったと思うんですけど、ただこれから生き残ってくためには決めるところであったり一つ一つのプレーをもっと集中すれば自ずと結果に繋がってくるんじゃないかなと、そういうふうに思いました。(後期開幕に向けて取り組んできたことは)基本的に守備のことを中心にやって、守備の基本的な一対一の技術であったり二対二の少ない人数の戦術をやって、かつチームとしてどう守備をしていくかってことを1回確認して、その守備からどうやって攻撃につなげていくかってことを確認したんで、そういう意味では今日はすごく集中した守備もできたし、その後の攻撃の展開もスムーズにできたので、夏にやったことは出せたんじゃないかなと思います。(10位の日体大が相手だったが)勝ち点が同じな分絶対勝たなきゃいけない試合だったんで、そういう意味では少し残念な気持ちがありますけど、まあただストレスのない試合でしたし、僕らとしてもしっかりやれた感のある試合だったので、相手関係なくこれからももっと継続して集中したトレーニングをして、1試合1試合勝利に向けて追求できればいいと思います。(リーグ後期の目標は)まずは残留を決めること、それを決めてからその後もう1回目標を立てると思うんで、その目標に向かうためには一戦一戦集中して勝ちにいかなきゃいけないんで、そういう意味で目標っていうのは一つ一つの試合に集中すること、まあそういう意味合いになってくると思います。(次節に向けて)前期勝利できているので、すごく良いイメージで入れると思うんで、1週間あるんで集中したトレーニングをして今日の試合のように集中した守備を継続して、かつあと少し向上できるように日々練習していきたいと思います。
池田豊史貴(総4・浅野高)
(試合を振り返って)自分のところはうまくボールが収まってよかったと思うんですけど、そこからシュートが少なかったり、攻撃に繋げるシーンが少なかったので、そこをもっと改善したいです。勝ち切れなかったのが本当にもったいないなと思います。(ようやくの復帰となった)前期すごく悔しい思いをして、早慶戦も出られなかったので、後期の関東リーグに出てその鬱憤を晴らすしかないので、そういう気持ちを一戦一戦込めてやろうという気持ちで臨みました。(マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、手応えは)この夏復帰してから自分のところをポイントとして攻撃するチームの決まりができていて、そこの仕事はできたかなと思うんですけど、その後ゴールに迫るシーンが少なかったのが悔いが残ります。(あと一歩のところで点が入らなかったが、チャンスを増やして決めていくには何が足りなかったのか)最後ゴール前に入っていくシーンで、一歩入るのが遅れたり一歩足が出なかったりというのがあったので、他の選手もそうなんですけど、自分のところで起点を作った後にもう一回ゴール前に入るシーンだったりを多く作れたらよかったと思います。(今日のように攻撃の中心になっていくことが多くなると思うが、どう感じているか)やってやろうという気持ちが強いです。楽しんでいます。(前期はチームが深刻な得点力不足に陥っていたが、見ていてどう感じたか)前期はもう全部がうまくいっていなくて、みんな他の何かのせいにしたりということもあったんですけど、今はチーム一丸となって、「お前やれよ」という集団から「みんなでやっていこう」という集団にちょっとずつ変わっていっていると思うので、そこは4年生が主導でもっとチーム一丸を深めていきたいと思っています。(次節に向けて)勝たないと本当に意味がないので、勝てるようにまずはゴールを決めたいと思います。
野村京平(総2・国学院久我山高)
(試合を振り返って)チームとしては無失点で抑えるということをコンセプトとしてやっていて、切り替えの部分もやれていたのは良かったんですけど、点を自分も含めて決められるところがあったので、そういったところを後期はこだわっていかないと勝ち点を積めないと思うので、もう少し得点の部分でもこだわっていきたいと思います。(リーグ戦は初出場だったが)今の慶應は厳しい状況に立たされているので、自分がとうしてもこのチームに貢献したいという気持ちが強かったですし、初出場ということで少しは緊張したんですけど、それよりもチームに貢献したいという気持ちの方が強かったので試合に入ってからは自分のプレーができたのかなと思います。(今日の守備面での狙いは)相手の10番の選手が逆サイドから自分の背後を狙ってくるという話をしていたのでそういったところを警戒していて、あとは後半から大きい9番の選手が入ってくるというのも聞いていたので、そういったところで1人で対応するんじゃなくて周りの選手と一緒に対応すると言うことを心掛けていました。(無失点で抑えられたが)この夏はクロスの対応などを練習していて、今日一つあったのはクロスがマイナスに上がった時に自分がシュートブロックをしたんですけど、そういったところでゴール前で必ず相手をフリーにさせずに出ていくということを心がけていたので、そういったところも含めてチーム全体として締まったゲームができたのかなと思います。(次節に向けて)法政は今波に乗っていると思うので、その波に乗らせないように僕は無失点を心掛けてチームも勝利できるようにやっていきたいと思います。