今週末に行なわれる第4週で慶大は立大と対戦することとなる。ここまで両チームとも2カードを終えて無傷の4連勝と勢いに乗っている。ここで勝ち点を取った方が優勝に大きく近づく天王山に向けて、ここまでの両チームをデータから振り返ることで、立大戦の展望をしていきたい。
1.両チーム好調の要因は?
ここまで立大は早大法大相手に法大2回戦の引き分け挟んで、慶大は東大法大相手に4連勝を記録している。立大の開幕4連勝は昨年の秋以来。慶大の開幕4連勝は引き分けを挟めば2014年春以来、4戦4勝は2001年秋以来となる。なお2014年春は開幕6連勝し、早慶戦の末に優勝。2001年秋は開幕8連勝を飾り、第6週にして早慶戦を待たずに優勝を決めている。
六大学打撃成績(IsoPは長打率-打率、HR率はHR/打数) | ||||||
チーム | 得点 | 打率 | 長打率 | OPS | IsoP | HR率 |
慶大 | 31② | 0.319② | 0.468② | 0.873② | 0.149③ | 0.014③ |
立大 | 16③ | 0.257③ | 0.441③ | 0.730③ | 0.184① | 0.039① |
明大 | 42① | 0.350① | 0.511① | 0.933① | 0.161② | 0.006⑥ |
早大 | 13⑤ | 0.226⑤ | 0.333⑤ | 0.622⑤ | 0.107④ | 0.012④ |
法大 | 15④ | 0.251④ | 0.351④ | 0.655④ | 0.099⑤ | 0.019② |
東大 | 3⑥ | 0.134⑥ | 0.193⑥ | 0.369⑥ | 0.059⑥ | 0.008⑤ |
今季のデータを見てみると、立大は慶大や明大に打線では総合的にはやや劣る印象がある。それでも打線に強いイメージを持つのは、5試合で6本塁打を記録している長打力にあるだろう。今季がリーグ戦初出場ながら4番を任される三井健右(コミ2・大阪桐蔭)は打率.294で本塁打3本。早大2回戦から3戦連発を記録したことは記憶にも新しい。後ろを打つ5番の飯迫恵士(社会4・神戸国際大附)は打率.333。現役通算64本は2位と六大学を代表するバットマンだ。6番に座る藤野隼大(経営3・川越東)は打率.444で打率ランキング3位。昨季には4本塁打を放ったパワーも持ち合わせる6番ながら侮れない打者だ。この3人と、2番を打ち打率.294の寺山寛人(社会4・神戸国際大附)が打線の核となっている。クリーンアップが機能することで、得点につながっていると言えるだろう。
慶大打線も柳町達(商3・慶應)、郡司裕也(環3・仙台育英)、嶋田翔(環2・樹徳)のクリーンアップ3人がここまで打率3割超と好調だ。特に嶋田はリーグトップの打点8と走者をかえす役割をしっかり果たしている。東大戦ではやや不調気味に見えた柳町・郡司も法大戦では復調の兆しが見えており、期待は高まるばかりだ。また、小原和樹(環3・盛岡三)、中村健人(環3・中京大中京)、瀬戸西純(政2・慶應)の3人も打率.286と打線をしっかり支えている。主将の河合大樹(総4・関西学院)、副将の内田蓮(総4・三重)も打率こそ低いが河合は得点がチームトップの5、内田も得点4と打線全体でバランスが取れているといえる。
六大学投手成績(WHIPは1イニングの被出塁数) | ||||
チーム | 防御率 | 被打率 | 被OPS | WHIP |
慶大 | 1.50① | 0.200① | 0.511① | 1.00② |
立大 | 1.80② | 0.214② | 0.556② | 0.98① |
明大 | 2.00③ | 0.219③ | 0.627③ | 1.07③ |
早大 | 5.65⑤ | 0.312⑤ | 0.852⑤ | 1.70⑤ |
法大 | 4.29④ | 0.278④ | 0.744④ | 1.21④ |
東大 | 8.21⑥ | 0.345⑥ | 0.965⑥ | 2.21⑥ |
一方の投手は両チームとも好調だ。立大は田中誠也(コミ3・大阪桐蔭)が大黒柱として、3先発で3勝。失点はわずか2で防御率は0.39と圧倒的だ。被打率も.205で与四死球4、被長打も二塁打3本とのみと隙も見当たらない。エース田中に続く2戦目先発は手塚周(コミ3・福島)だがここまで2先発でともに4回持たずと苦しんでいる。クローザーの中川颯(コミ2・桐光学園)も法大戦2登板で2失点ずつとピリッとしない。一方でルーキーの川端健斗(コミ1・秀岳館)が中継ぎとしてイニングを大きく上回る三振を奪うなど好投している。場合によっては第2戦先発に抜擢される可能性もあり、注意しなければいけない存在だ。
慶大投手陣は東大戦で好投した先発が、法大戦では苦しんだ。1回戦先発の髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)は3回3失点。2回戦先発の菊地恭志郎(政4・慶應志木)も7回途中で4失点。しかし、髙橋亮は7被安打3四死球を与えながら、3回の3失点のみと試合は壊さず、菊地も初回の2失点以降は7回まで無失点と試合は作った。この下地が打線の援護と合わせて勝ち切れた要因と言っていいだろう。
このようになんとか役割を果たした先発の後を継ぐ中継ぎが大活躍。2試合とも2番手で登板した髙橋佑樹(環3・川越東)は1回戦で3回を無失点に抑え通算3勝目を挙げると、2回戦では一打同点のピンチで登板し、切り抜けてみせた。クローザーとして登板した石井雄也(商3・慶應志木)も1回戦では3回で被安打1と法大打線を沈黙させると、2回戦ではピンチこそ招いたが、ゼロに抑えて試合を締めくくった。法大戦で登板のなかった長谷部銀次(総2・中京大中京)も含めて中継ぎ陣は10回1/3で無失点。この安定感を立大戦でも続けていきたい。
2.立大対策
予想スタメン野手(○数字はリーグランキング) | ||||
選手 | 打率 | 打順 | 選手 | 打率 |
小原 | .286⑳ | 1 | 種田 | .182 |
河合 | .235㉕ | 2 | 寺山 | .294⑱ |
柳町 | .313⑰ | 3 | 江藤 | .118㊱ |
郡司 | .353⑪ | 4 | 三井 | .294⑱ |
嶋田 | .353⑪ | 5 | 飯迫 | .333⑭ |
内田 | .167㉝ | 6 | 藤野 | .444③ |
中村 | .286⑳ | 7 | 吉田 | .182 |
瀬戸西 | .286⑳ | 8 | 投手 | ―――― |
投手 | ―――― | 9 | 笠井 | .250 |
まず、上位に並ぶこれらの4人をうまく分断することが立大打線の対策となるだろう。また、打線全体では四球が少なく、三振がやや多い傾向がみられる。甘い球には注意して、カウントを進めていけばこれまで通り投手優位を保てるだろう。ここまで慶大投手陣は被本塁打0。六大学最強の矛と六大学最強の盾の対決にも注目が集まる。
両チーム投手陣(○数字内はリーグランキング) | ||||
選手 | 防御率 | 起用 | 選手 | 防御率 |
髙橋亮 | 2.45③ | 第1戦予想先発 | 田中誠 | 0.39① |
菊地 | 2.35 | 第2戦予想先発 | 手塚 | 5.68 |
髙橋佑 | 0.00 | セットアッパー | 川端健 | 0.00 |
石井 | 0.00 | クローザー | 中川 | 4.00 |
投手陣では、現時点で田中誠に隙は見られない。しかし、昨春や秋の対戦でも試合の中で隙が見当たらなかったが、わずかなほころびに付け込み大量得点してきた。今季も上位打線からワンチャンスを作り出し、クリーンアップで一気に攻めていきたい。法大戦でも相手にミスに付け込んで得点したり、1回戦で5回に一挙5得点で試合をひっくり返した。そのシーンの再現となれば目下最優秀防御率に黒星をつけることもできるだろう。
4連勝同士でぶつかる慶立戦。勝てば大きく優勝に近づき、負けると一歩後退という大事な一戦となる。ひるまずにこれまで通りの戦いで勝利を掴みとってほしい。
(記事・尾崎崚登)
対戦成績(第3週終了時点) | ||||||
| 慶大 | 明大 | 法大 | 立大 | 早大 | 東大 |
慶大 |
| 第6週 | 第4週 | 第8週 | ||
明大 | 第6週 |
| 第7週 | 第5週 | ●○○ | ○○ |
法大 | ●● | 第7週 |
| ●△● | 第6週 | 第5週 |
立大 | 第4週 | 第5週 | ○△○ |
| ○○ | 第7週 |
早大 | 第8週 | ○●● | 第6週 | ●● |
| 第4週 |
東大 | ●● | ●● | 第5週 | 第7週 | 第4週 |
|
順位表(第3週終了時点) | |||||||
順位 | 大学 | 勝ち点 | 試合 | 勝 | 敗 | 分 | 勝率 |
1 | 慶大 | 2 | 4 | 4 | 0 | 0 | 1.000 |
1 | 立大 | 2 | 5 | 4 | 0 | 1 | 1.000 |
3 | 明大 | 2 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0.800 |
4 | 早大 | 0 | 5 | 1 | 4 | 0 | 0.200 |
5 | 法大 | 0 | 5 | 0 | 4 | 1 | 0.000 |
5 | 東大 | 0 | 4 | 0 | 4 | 0 | 0.000 |