【野球】崩れた王者 惨敗を喫する　早大②

６月３日（日）東京六大学春季リーグ戦 早大２回戦

ここまで粘ってきた投手陣がついに崩壊した

勝てば慶大の完全優勝が決まる。そんな白熱が期待された試合に昨日同様大勢の観客が灼熱の太陽が降り注ぐ神宮に足を運んだ。しかし、試合展開は期待通りとはいかなかった。３回、慶大は本塁打と暴投で３点を失う。５回にも２本の適時打で２点、７回には適時打と２点本塁打で計９点と早大の勢いを止められずに大量失点を許す。一方打線も２日連続先発の小島の前に沈黙。終わってみれば早大の完封リレーが成立し９対０と不甲斐ない結果となった。

慶大バッテリー：●菊地、髙橋佑、田中裕、関根、木澤、石井―郡司

早大バッテリー：○小島、今西、徳山―岸本

早大本塁打：吉澤３号ソロ（３回）、小太刀１号２ラン（７回）

◆慶大出場選手

初回、早稲田の先発のマウンドに上がったのは昨日の試合で８回１３６球の完投をした主将の小島だ。幸先よく先制点を取りたい慶大は２番河合大樹（総４・関西学院）の中安打、郡司裕也（環３・仙台育英）の右安打で２死一、三塁のチャンスを作る。しかし、続く正木智也（政１・慶應）はフルカウントから１２４キロの変化球に手が出ず、見逃し三振。小島を前にして初回から先制することは出来なかった。

２安打と今日も結果を残した河合

その裏、慶大の先発のマウンドに上がったのは菊地恭志郎（政４・慶應志木）。池田、檜村を二ゴロ。福岡からは空三振を奪うなど、上々の立ち上がりを見せる。

２回表、６番内田蓮（総４・三重）が右安打、続く嶋田翔（環２・樹徳）が死球で出塁し無死一、二塁のチャンスを作るも、初回と同様、小島に粘り負けを喫し、この回も無得点に終わる。一方その裏、菊地も先制点は許すまじと、２つの三振を奪う。

３回表、柳町達（商３・慶應）がセンターへ二塁打を放ち、その後２死３塁となり正木が打席に立つ。レフトへ大きな当たりを放ち、球場がざわめいた。しかし、打球はフェンスを越えず、左翼手が捕球。得点には結びつかなかった。

その裏、７番吉澤の打球は直前の正木の打球と同じようにレフトに大きく上がった。だが、ボールが着地したのは慶大の応援席。先制となる今季３号のソロ本塁打を許してしまう。さらに、菊地は振り逃げのランナーを許しすと１死三塁のピンチを背負う。ここでこの回２つ目の暴投をし、２点目を許してしまう。菊地は檜村の打席間にも再び暴投をするなど、２回までと打って変わって不安定に。檜村を空三振に抑えて、お役御免となった。代わってマウンドに上がったのは依然無失点を続けている髙橋佑樹（環３・川越東）。４番加藤をセカンドへの緩い当たりに打ち取るも、結果は内野安打となり２死満塁にピンチを広げてしまう。岸本の打席、１ボールからの２球目。暴投で３点目のホームを踏ませてしまう。１イニングに４暴投という慶大らしくないミスが多発し、先に３点を献上した。

すぐにでも逆転をしたい慶大は２死から瀬戸西純（政２・慶應）の二塁打、代打長谷川晴哉（政４・八代）の四球でチャンスを作るも、続く小原は左飛に倒れる。ここまで毎回得点圏にランナーを進めながら、なかなか得点に結びつかない、王者慶大らしくない攻撃が続く。

９回を三者凡退で抑えた石井

次に試合が動いたのは５回裏。前の回からマウンドに上がった田中裕貴（環４・芝）は２死を奪うも、檜村に四球を許すと、福岡の打球はセンターへ。ここで風のいたずらか柳町が目測を誤り適時二塁打となってしまう。岸本にもレフトに適時打を放たれ、差を５点にまで広げられた。

７回表、先頭の小原和樹（環３・盛岡三）が中安打を放ち出塁。続く河合の打席間に二塁へ進むも、河合の打球は投手小島の前に転がり、塁を飛び出していた小原がタッチアウトとなり、チャンスを無駄にしてしまう。４番郡司も２死一塁からライト前に安打を放つも、一塁ランナーの河合が三塁タッチアウトとなり、無得点に終わる。小島はこの回で降板。昨日と合わせて２６１球を投じながらも今日は慶大にホーム生還を許さなかった。

その裏、試合を決定づける一打が飛び出す。前の回から登板していた関根智輝（環２・城東）が２死一、二塁の場面から岸本に２点適時打、続く小太刀には自身リーグ戦初となる本塁打が飛び出し、さらに２点を失い、０－９となった。８回まで毎回ヒットでランナーを出した慶大だったが、９回にはついに塁にすら出られず、大敗を喫した。

バント失敗、先制点の献上という課題をこの試合でも解決できなかった。そしてバッテリーエラー、外野のエラー、走塁ミス、ミスショット。ここまでの慶大からは考えられないほどミスが連発し、作り出したチャンスもことごとく潰し残塁は１２。まさに「屈辱」（大久保監督）という試合だった。３回戦はこれらの課題にしっかり向き合い、立て直していかなければならない。

それでも信じている。立大戦では相手エースに完璧に抑えられながら、２日後の対戦ではきっちり借りを返した。明大戦では胴上げを阻止されながらも、翌日は死闘を勝ちきる強さを見せた。早大から勝ち点を奪取出来れば、完全優勝が実現し胸を張って三田キャンパスへの優勝パレードへと臨める。王者慶大、今日の大敗の屈辱を見事晴らし、明日こそは若き血を神宮に鳴り響かせる。タダでは転ばない、慶大ナインの意地に今一度期待しようではないか。

（記事：小林歩　写真：尾崎崚登）

◆打撃成績

◆投手成績

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日の試合を振り返って

うちの先制のチャンスあったところで、３回チャンスを逃してしまいました。向こうにあの一球（菊地の２失点目の暴投）から流れが一挙に変わっちゃいましたね。

――小島投手が２試合連続の先発のマウンドに上がりました

想定していたパターンの１つとして小島の２連投はあると思っていましたね。

――今日の無得点は打線の沈黙が原因か小島投手の好投が原因か

展開がそうさせてしまったと思います。接戦で試合が進んでいたら、作戦面で攻撃の仕方も変わったのですがね。３点から５点目の柳町のセンターフライを見失ったやつも、いつもなら３点で踏ん張って、徐々に詰めていくことが出来るのですが、あの４、５点目がちょっとがっくりくる瞬間でした。

――試合後に選手にはどのような言葉をかけられましたか

「屈辱だね」と。「去年の春に優勝逃したのと同じくらいの負け方だな」と。「やっぱりミスが重なってしまってちょっと間違えてしまうとこういう風になってしまうんだよ」と。「優勝はしているけれども本当にどっちに転がるか分からない状況で戦ってきたのだから油断しないでやり続けるしかないよな」と。でも優勝が消えたわけではないし、早慶戦には勝たないと、やはり勝ってパレードしたいし、かといってこの１敗で全否定されるわけでもないので。今日観た人は「なんだ」と思うかもしれないが、積み重ねてきたものがあって、それが一挙に崩れるようなチームでは僕はないと思うので、みんながまた明日新たな気持ちで頑張って欲しいですね。

――明日勝てば完全優勝でパレードです

今日やれればベストでしたけど、勝ってこんだけ多く日曜日に来てもらったので、応援しても頂いた方には申し訳ないなという気持ちはありますけれども、ただ野球だし、勝負の世界なので簡単ではないというのがあります。結果を受け止めて、明日しっかりと立て直していい試合をして勝ちます。

河合大樹主将（環４・関西学院）

――今日の試合を振り返って

本当に悔しいです。

――早大は２日連続で小島投手が先発でした。予想はされていましたか

予想してはいませんでしたが、（早大の中で）小島投手が一番いい投手ですし、可能性はあるかなとは思っていました。

――今日は２安打を放ちました。打席を振り返っていかがですか

昨日の反省を生かして、どういった球を打つのかを自分の中で決めて打席に入りました。その中で打てたので、今日は良かったなと思います。

――河合主将から見て、今日の敗因は

先に点を与えてしまったり、こちらのミスで流れを渡してしまったりなど、自分たちがやってはいけないことを今日は全て出してしまったなと思っています。

――最後に、明日に向けて意気込みを

明日は絶対に勝つしかないので、今日出た課題を反省し、試合に向けてしっかりと準備して臨みたいと思います。

内田蓮副将（総４・三重）

――今日の試合を振り返って

結果的にはスコアを見ても分かるように、今日は早稲田さんの意地にやられたというか、正直なところコテンパンにやられたという感じです。

――小島投手が連投しましたが

予想外ではあったのですが、昨日見ているというのは事実としてあるので、なんとか早いうちから点を取って、援護してあげたかったかなと思います。

――今日は１０安打とヒットの数が増えましたが

昨日に比べればヒットも出て、チャンスも作れたのですが、打席に入る内容とかはよくなっていますが、点につながらなかったので、そこは悔しいです。

――ご自身も今日２安打でした

昨日、３三振やられていたので、そこで大久保監督からもアドバイスを頂いて、修正はできたので、個人的には明日につながる打席もあったので、そこだけはプラスに捉えてやっていきたいと思います。

――監督からのアドバイスというのは

本当に基本的なことで、打席の入り方やメンタルの部分、タイミングをもう少し早く取ろうということとか、すごく基礎的なことなのですが、それによってだいぶ変わりました。

――今日の敗因は

点を序盤に先制できなかったのと、あとはやっぱり無駄な点を与えてしまったことですね。ワイルドピッチ、守備のミス、相手に流れをやってしまったなと思います。

――明日に向けて意気込みを

とにかく明日、勝ってパレードするのが何よりだと思うので、早稲田さんは勝ち点５で優勝させないぞという気持ちで、絶対思い切って来ると思うので、それ以上に僕らが闘志を出してやるだけだと思います。

石井雄也（商３・慶應志木）

――今日の試合を振り返って

投手も野手もミスがいっぱい出てしまって、投打にかみ合わないような、全然うまくいかない試合だったかなと思います。

――ミスの原因は

油断とかはないんですけど、単純にまだ実力不足というか、今までよく出来すぎていた分、調子が悪かったらこれくらいの実力だよという試合かなと思います。

――ご自身の登板を振り返って

何とか流れを持ってこれるように三振を奪っていきたいと思っていました。よくばりですけど、最後のバッターを三振取れませんでした。そこから攻撃につなげていきたかったです。

――優勝したことへの感想は

今季は調子が良くて、監督から最初言われていたように防御率も０点台でこれているので、あと１試合何とかもっとゼロで抑えられるように頑張りたいと思います。

――明日に向けて

明日負けたら完全優勝ではなくなるので、ワセダに勝つというチーム目標を達成するためにも明日は長いイニング投げるつもりでしっかり準備して臨みたいと思います。

木澤尚文（商２・慶應）

――今日の試合を振り返って

チームとしては、２連勝で今日パレードしようという気持ちではあったのですが、結果的に大敗してしまって、みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

――今日の自身の登板を振り返っていかがですか

監督と助監督の方から出番があるなら劣勢だぞと言われていて、結構序盤から向こうに点が入っていたので、これは出番があるなと思って準備していたので。結果登板は２球だったのですが、しっかり自分の持っているものを出せたかなと思います。

――自身の持ち味は

まっすぐのスピードが自分で一番の武器だと思っているので、多少コントロールが悪くても、力のこもったスピードボールを投げることができれば打者も打ちづらいと思うので、そこだけは無くさずにいたいと思います。

――早慶戦は初登板でした

外野のスタンドまでいっぱいで、こういう所で野球ができるって幸せだなと思って楽しんで投げました。

――最後に明日に向けて一言お願いします

なんとか死に物狂いで勝ち点をとって、パレードしたいと思います。