【バスケ】掴みきれなかった勝利、大東大の前に屈する

途中負傷しながらも蛯名はチームに貢献し続けた。

前日玉川大相手に途中まで競る展開を見せたが、終盤一気に突き放し勝利。ベスト16へと駒を進めた。そして今日の相手は大東文化大。昨季1部昇格を果たし、勢いに乗るチームだ。「準々決勝の大東にどれだけ戦えるかがトーナメントの鍵」と佐々木HC。ここでどこまで主将家治を中心とした若い慶大が通用するのか。ベスト8進出をかけ両校のプライドが激突した。

第60回関東大学バスケットボール選手権大会 準々決勝

2011/05/11(水)@代々木第二体育館
慶大‐大東大
1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 20 19 16 17 72
大東大 20 21 18 19 78
慶大のスタメンは、家治主将(環4)、蛯名(法2)、中島(総2)、本橋(環2)、伊藤(環1)。

ルーキーながら随所に光るプレイを見せる伊藤

1Q、ルーキー伊藤がドライブインから得点し、慶大が先制。更に蛯名のバスケットカウントと続き慶大は課題の「試合の入り」に成功する。対する大東大も慶大ディフェンスを徐々に翻弄。インサイド、アウトサイドをうまく使いバランス良く加点していく。慶大は流れをつかもうと春本(環4)がジャンパーを沈めるも、大東大もやり返し一進一退の攻防が続く。終盤に金子副将(環4)がバスケットカウントで気を吐くと20-20、両校譲らず1Qを終える。2Q、慶大の立ち上がりは重かった。それでも家治がオフェンスでチームを引っ張ると、伊藤も好プレイを見せチームに貢献。しかし大東大にオフェンスリバウンドを立て続けに奪われ始めると慶大の流れが傾き始める。しかしここで蛯名が苦しい慶大を救う。スリーポイントを沈めると更にスティールからワンマン速攻。蛯名の連続得点で34-34と再び同点に。しかしその後は慶大がターンオーバーを重ねてしまいチャンスを生かせず。39-41と大東大に一歩リードされ前半終了。

家治はこの試合徹底マークされ、いつもの得点能力を発揮できず。

後半、大東大の猛攻を守りきれず連続失点。中島、蛯名が何とか決め返すも序々に慶大のシュートが落ち始める。その後も試合は大東ペース。家治のタフショット、金子のフリースローで苦しいながら加点していくも、大東大は点差を縮めさせない。慶大は3Q終了直前にジャンパーを沈められ55-59で最終Qへ。最終Q、開始すぐに金子がスリーポイントを沈めると、1点差に。しかし大東大の放つシュートが連続でリングに吸い込まれると62-68。ここで慶大は勝負に出る。ゾーンディフェンスを敢行。大東大は攻めあぐねターンオーバーを連発する。しかし「決めきれないのが今の実力」(佐々木HC)としっかり得点に結びつけることが出来ない。慶大は再び必死に追い上げ、最後にファウルゲームに持ち込むも万事休す。72-78で試合終了。

無常にも試合終了のブザーが鳴り響いた。ベスト8進出の道が絶たれた瞬間だった。ここ数年春のトーナメントでは好成績を収めているだけにベスト16での敗退のショックは慶大にとって大きいはず。「相手へのプレッシャーもないし、決定力もない」(佐々木HC)とやはり主力が3人抜けた穴をこのトーナメントまでに埋めることは難しかった。しかし「この悔しさを忘れずに頑張りたい」(家治)、若く伸びしろのあるチームにとってこの敗北、悔しさは一回りも二回りも成長する機会になりうるはずだ。新人戦、早慶戦と春シーズンの主要大会はまだ残っている。短い間でどれだけチームとして成長し、4年生を中心に一丸となっていくかが春の、今年の慶大の命運を握っているのではないか。慶大のこれからの巻き返しとチームとしての成熟に期待したい。

By Shigehisa Osajima

コメント

佐々木HC

最後まで自分達の流れに出来ませんでしたね。(その原因は)大事な所でディフェンスもオフェンスも決めきれない。最後もゾーンにした所で相手が3つミスをしたので、あそこで1つでも決めていれば流れは変わるんだけど、決めきれないのが今の実力ですね。トランジションも出来ないし、セットオフェンスも1本も決められなかったね。(セットオフェンスを重点的に取り組んだのか)セットはだいぶ練習したんだけど、弱い時はダメなんです。やろうとしてることをきちんとやり遂げられない。スキル不足だね。(試合経験の少なさが原因か)というよりも、なぜシステムをやるのかが理解出来てないですね。どんな意味があってゾーンをやるのか、サインプレーをやるのかということのポイントが絞れてないです。去年やってた先輩達の残像でなんとなくやっているだけなので、相手へのプレッシャーもないし、決定力もない。(今後改善していく点は)ポイントガードの育成と、ペイント内の4、5番の選手の育成。それからスコアラーの育成ですね。家治が30点取っても試合には勝てないんですよ。我々は80点以上の試合を頭に置いて、出来れば100点取りたいと思ってやってるから、彼が30点取っても、残りの70点誰が取るのかという話です。やっぱり20点取る人が3人いないと厳しい。そうすればそこにばらけていくので。ああやって集中するのは私が最もダメとするチームの典型ですよ。本当は矢嶋に期待してるんだけどね。(伊藤選手について)彼はいい選手だけど、春に関しては他にも4年のガードがいるのでそこを使っていこうということでした。今あんまり伊藤を使い過ぎると、秋までのチーム作りが難しくなってしまうので。ただ今日を乗り越えればそのバランスが上手くいくはずだったんですけど…。だから彼らには、高度なことを要求して結果それがミスになってしまって申し訳ないね、とは言ったんだけど、多分それが何なのかは分かってないと思う。つまり僕の考えてるチームの育成と彼らが考えてる現実は相当かけ離れてる。いつも言うのはそれがシンクロしてこないと強いチームにならないし勝てない。(これからの練習は)もう1回上級生にチャンスを与えて、彼らがそれを乗り越えてくれるかどうかです。竹内がいない時にもトーナメントで負けたんだけど、その後の早慶戦の練習は血の雨でしたよ。練習が全然進まない。1つ1つを全て訂正していくので。それで早慶戦に勝ったんだけど、本当はあんまりそういう劇薬は使いたくないんです。でもそれを使わないといけないぐらいダメになってます。家治が孤軍奮闘だからね。(新人戦に向けての展望)新人戦は優勝しないといけないですね。でもスコアラーが育ってないのが心配です。

家治主将

勝ちたかったっていうのが一番大きくて、今年のチームは試合経験が少ないんで今日勝ったらどんな形でもあと3試合できるという状況だったのでそれがなくなったことはうちのチームの成長という意味でもマイナスですね。こういう競った試合で勝つっていうことが貴重な経験になると思うんですけど、負けてしまったんでこれからこの悔しさを忘れずに頑張りたいと思います。(試合後HC含め全員でミーティングをしていたが何を話したか)今の時点での実力はここまでだけど、今日の相手と実力差はそんなにないし、何がいけなかったかというと詰めの部分で自分たちに多くのミスが出てしまった所にあって、そういう部分でチームがまだ出来上がっていないと首脳陣はおっしゃられていて、これからは新人戦、早慶戦、リーグ戦と試合は続くのでそこまでにはもう1回頑張ってチームというのを作ろうと皆で意思確認しました。(学年がバラバラということもあり選手間で意思の疎通が取れていないのか)若いチームなのでいい流れの時は皆集中力をもってプレーできているんですけど、こういう競った試合や相手に流れが行きそうなときにまだ皆自分のプレーで精一杯というか、そういう時こそチームでまとまってディフェンスとか頑張らなければいけないけどそれが出来ていないし、僕自身も今日はまとめきれなかったんでキャプテンとしてまだまだだなと思いました。(ご自身のプレーを振り返って)結構相手のディフェンスが上手くて、自分ではいい感じで打ったんですけどそれがリングに嫌われてしまって、その時に去年までは自分がシュートを落としても岩下さんとか祐典さんがリバウンドを拾ってくれる人がいたんですけど、オフェンスリバウンドを取るのは難しいので絶対に決めるというつもりでいかないといけないと思います。今日はその強い思いが裏目に出て力みすぎたかなと思います。(今一番改善しなければいけないことは)全部だと思うんですけど、特に去年の4年生3人が抜けた穴がまだ埋めきれていない部分、その中でもセンターの岩下さんが抜けたところを皆で埋めようとしていたんですけど、そこも出来ていないし、まずはリバウンドが課題です。あとは攻守の切り替えもまだまだ遅いと思うし、トランジッションがうちのチームの売りなのでもっとスピードをつけなければいけないと思います。(6月の早慶戦に向けて)早慶戦は絶対勝たなければいけないし、勝てば20年ぶりの勝ち越しで、僕らも絶対に負けたくないという気持ちなのでそれまでにチームを仕上げたいです。

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