【アメフト】後数ヤードの差に泣く 第59回早慶戦

 

ユニコーンズを応援する誰もが昨年のような劇的な勝利を期待していた。しかし今年はビッグベア―ズの厚い壁を乗り越えることはできなかった。4月29日(祝)に第59回早慶アメリカンフットボール対校戦が駒沢陸上競技場で行われ、慶大は12―27で敗戦。早慶戦2年連続勝利はならなかった。

得点
慶大 早大
0 1Q 7
3 2Q 6
7 3Q 0
2 4Q 14
12 合計 27
 

早大のキックオフで試合が始まると、慶大は3回の攻撃で10ydゲインすることができずパントを選択する。するとここから早大の攻撃が始まる。相手RB末吉智のビッグゲインを契機に、ラフィングザパサーの反則も重なりボールが自陣ゴールライン寸前へ。ディフェンス陣が何とか粘るものの、最後はやはり末吉智を止められずTDを許し早大に先制を許してしまう。その後も早大の攻撃する時間帯が続いたが、LB森(環4)のQBサックが決まるなどディフェンス陣が奮起。相手攻撃をパントに追い込むとDB松崎(経4)がリターンから70ydのゲインを決め一気に敵陣10yd付近まで攻め込んで1Qを終える。

 チャンスで迎えた2Q。誰もが慶大のTDを期待したが、最後攻めきれない。反則にも助けられて敵陣2ydまで迫るもランプレーが決まらずTDを取り切れない。その後相手の攻撃のシリーズを好タックルで早々にパントに追い込むとまた慶大にチャンスが訪れる。QB徳島(政4)のランプレーなどでじりじりと相手ゴールラインに迫る。そして徳島からTE栃川( 経4)へのパスがつながり再びボールは敵陣2yd付近へ。しかしここでも慶大の攻撃が決まらない。RBを使って何とかボールを押し込もうとするもことごとく早大ディフェンスに止められてしまう。結局4stダウンまで追い込まれ慶大はギャンブルではなくFGを選択。これをDB加藤(経4)が決め、3点を返し2Qを終える。

3Q。試合の流れが慶大に来つつあるなかで、慶大RB陣が本領を発揮する。2分に相手にFGを決められてしまうものの、リターンから慶大の怒涛のランプレーが始まる。自陣28yd地点でまずRB小平(商4)が相手ディフェンスの網をかいくぐるようなプレーで20ydゲイン。そして3分徳島のパスを受けたWR吉田(経4)がフィールド右端を駆け上がりそのまま50ydを走り切りそのままTD。10―10の同点に持ち込む。さらにこの後早大にFGを決められるものの早大の攻撃の時間を短く抑え、攻撃の時間が長く続くといった好循環は続く。しかしそれでもTDまでは持っていけずもどかしいまま10-13で4Qへと突入する。

 そして迎えた4Q。早大の攻撃のシリーズで自陣43yd地点で相手QBに43ydのパスを通されピンチを迎える。そしてここで鍵を握ったのはやはり相手RB末吉智だった。1stダウンはパスミスで事なきを得たが、2stダウンで末吉智を止められなかった。「末吉君を止めるのが1番の鍵」(山澤監督)だったがここ一番で止め切れず失点を許す。そしてここからはずっと早大の流れのまま試合が続き、8分にもまた末吉智にTDを許し10―27に。最後はセイフティで2点を返すものの万事休す。結果は12―27で敗戦という結果になった。

「そんなに力の差があった相手ではなかったんですけど、やっぱり勝負弱さが出ました」DB末富主将(経4)と悔しさをにじませた。攻めきれなかった数yd。その数ydが関東王者との差だったのかもしれない。しかしディフェンス面では相手攻撃を何度も止めるなど収穫もあった。アメフトはリーグ戦の秋が本番。それまでいかに「チームを固めるか」(山澤監督)。新生ユニコーンズの挑戦は始まったばかりだ。

By Kazuhiro Takai

 

監督・選手のコメント

山澤監督

早稲田は関東のチャンピオンチームなのでライバルではありますよね。チャレンジャーとしてのぞもうと、勝ちに行こうと思いました。第3Qまでは何とか対抗できていたんですが、第4Qでミスが出て一気に崩れてしまったことが反省点として残っています。まだまだ春の段階ですので試行錯誤していることもあるし、やるべきことがちゃんと出来ていない。レベルの差がありましたからもう一回チームとして組み立て直して、秋のリーグ戦が本番なのでそこに臨みたいなと思っています。(前半は後数ydでTDというチャンスが何度かあったと思うが)そこで取れなかったことは嫌ですね。本来だったらTDを取るところがFG1本で終わってしまいましたから。詰めの甘さもこれからの課題ですね。しっかり取るべきところでTDを取れないということが問題があったので、オフェンスチームは十分に意識してもらってゴール近くなってからのオフェンスの強化を図りたいなと思っています。(ディフェンスに関して)最初に取られてはしまったが、それ以降は結構抑えてくれて第3Qまでは10―10でしたからディフェンスはよくやったかなと思っています。(早大RB末吉選手を止めるプレーも数多く出ましたが)その辺はね、意識していました。当然彼らも末吉君を止めるのが1番の鍵だということはわかってましたから。その点がしっかりできている部分もあったのでそこは大きな収穫だと思っています。(春シーズンで改善していく点は)リーグ戦がある秋が本番だと思っていますので、それに向けてチームの戦力の掘り起こしをやる部分があります。例えば若手だけの試合もありますし、色んな機会を与えてそれを踏まえた夏合宿でチームを固める。ただそうは言っても早稲田と同志社は定期戦なので勝ちにこだわると。後は色んな力を見る、推し量るという意味で見ていますから勝敗にこだわるというよりもなるべくチーム力を上げるためにゲームをこなしていくという形になりますね。(次の学習院大戦はBチームの試合になるか)そうですね。人数が多い分、なるべく層を厚くしたいというのがありますので若手にも出場の機会を与えて、実戦と練習では違う部分がありますのでそれをなるべく学んでほしいと思っています。(今後の試合について)明治と関学とあるんですがそれを1軍でバチバチやると。それは当然タフな試合になると思います。

末富主将

そんなに力の差があった相手ではなかったんですけど、やっぱり勝負弱さが出ましたね。(早大相手に意識していた点は)自分らのアメフトを最初から最後までやろうと。(負けてしまった要因は勝負弱さにあるか)3点差つけられた時から勝てるでしょうと思っていたんですが、オフェンスが要所で取れるところで取れなかったのが一番大きかった。ディフェンスがずっと耐えきれなかったのはメンタルの弱さが出たかなと思います。(第1,2Qは互角に戦えていたと思うが)最初は勝てるぞという気持ちが強かったから。(前半FGを狙わなかったが)あれだけ攻め込んでTD取れないというオフェンスの勝負弱さが出た。そこでFGを狙うのは逃げなので攻めた結果ですね。(ディフェンスに関して)ディフェンスは結構健闘できたと思いますね。思ってたよりはしっかりとめることが出来たのでやっぱりオフェンスですね。(第4Qに出た早大のロングパスがターニングポイントになってしまったか)あれは完全に自分のせいですね。試合中に落ち着いてプレーするというのは意識していたんですけど、ちょっと途切れてしまったのがミスにつながったと思いますね。(相手の反則が多かったと思うが)そうですね。ただその分罰退があったのでミスに付け込めなかった僕らの勝負弱さが出てしまった。(収穫は)ディフェンスはそこそこ形が出来てきているんじゃないかなと。オフェンスは強いチーム相手に決まったプレーを決まらなかったプレーが見えたと思う。どのプレーが完成度高く出来ていてまだ完成度が低いプレーは何かということが見えてきたので(明大戦への意気込みは)早慶戦が節目ということでまず気を引き締めなきゃと思いますね。今回も先週戦同様気持ちの弱さが出てしまったので、アメフトにどうやって取り組むかや試合にどうやって取り組むかを見直していきます。

徳島オフェンスリーダー

(試合を振り返って)前に専修大との試合の後に、強いところだったら命取りになっていたミスを改善しなければいけないということができなくて、ゴールラインのいいところまで攻めて、何回も点が取れないという苦しい状況にしてしまったので、やっぱり詰めの甘さというのを露呈した試合だったかなと思う。(前半はかなり良い流れだったが)そうですね。それでも得点できなかったことが、詰めの甘さだと思う。(一方、後半は失速してしまったが)戦術的なことで言えば、(早大の)ディフェンスがちょっと作戦を変えてきたので、そこに対応しきれなかったことと、48分間集中を保たなければならなかったが、後半それがちょっと切れてしまったかなというのがあって、僕自身も前半に比べて悪いプレーをしてしまったので、それが原因かなと思う。(自身の今日の出来は)QBの出来が試合の結果だと思うので、そういう意味では最悪だった。結果としてターンオーバーはなかったが、やってはいけないプレーをいくつかやってしまったかなというところがあります。(後半に入る際の指示は)詰めのところ以外は良い感じで進んでいたので、萎えずに後半も集中力を保っていこうということだったが、それができなかった。(今後に向けて)見に来てくれた人もたくさんいるが、残念な姿になって大変申し訳ないのですが、秋は選手、スタッフで観客が喜んでくれるような試合にするためによりハードに練習していきたいと思います。

大橋ディフェンスリーダー

(試合を振り返って)ディフェンスのシステム的にはそんなに負けているとは思わなかった。最終的にはタックル力の欠如です。(敗因はディフェンスということか)そうですね。僕はディフェンスの選手なので、ディフェンスの事しか考えていないです。(個人の出来は)個人としては、怪我から復帰したばかりで、あまり思いきり出来の良いプレーはできなかった。(ゲーム終盤で離されてしまったのはなぜか)慶應は流れに乗らないと、相手を止められないし、点も全然取れないチームで、沈む時はずっと沈みっぱなしなので、一回相手に取られてから、ダメなムードがずっとサイドラインにありました。そこから立ち直れなかったという感じです。(末吉選手について、なぜ止められなかったか)なんで末吉を止められなかったんだろうね。今週一週間の練習で、相手が早稲田であるということを、四年が意識付けできていなくて、なんとなくこなした一週間になってしまったせいで、こういう結末になったのかな、と思っています。(次戦に向けて見つかった課題は)今日全然足りなかったタックル力の向上と、相手を研究するというスカウティングをしっかりしていかなければならないと思います。

青木副将

(今日の試合を振り返って)正直勝てる試合だった。ゴール前に3回来て、それを全部取っていれば21点で31対27で勝っていた。オフェンスラインでOLとバックがゴールラインに出せないし、QBで後ろにパスを出せなかった。オフェンスのせいで負けてしまったと感じている。(早大の印象は)相手のDL、LBに関しては思ったよりは強くなかったというのがあって、僕自身も何度もいいブロックができてましたし、ただ、早大は去年甲子園に行っていたり、経験の面で差が出てしまった。もうすぐ点が取れそうな所で取れなかったのも、僕らはコーチなどとコミュニケーションできず、なんでとまっているのかなあと結論が出ないままだったので、そういうところで組織力の差が出てしまったと思う。(自身のオフェンスの出来は)僕自身のプレーは80点、90点くらいの点数をあげられると思う。ただ、全体になると細かいミスやイージーミスが増えていたので、正直20点、30点といったところ。(チーム全体の課題は)早大は当たり前のことを当たり前にやってるので、それは日々の練習からやらなければいけないこと。早大はゴール前の厳しいシチュエーションでもディフェンスは声を出して頑張っていたし、僕らはあんまり泥臭くなくて、かっこよくかっこよくしてしまおうという選手が多い。ただ、この負けは全員にとって悔しいと思うので、また一回ミーティングをして締め直して、秋に向けて頑張っていきたいと思う。

小島副将

(今日の試合を振り返って)力不足っていう感じですね。細かいところでミスが出て、自分たちのペースでアメフトができなかったのでこういう舞台で自分たちのアメフトが出来ないっていうのは力不足かなと思います。反省点の多い試合かなと思います。(試合の展開については)前半も思ったアメフトが出来なかったんですけど、後半は前半以上にミスが出てしまった。後半の勝負どころでミスが出てしまって自分たちのアメフトが出来ないというのがチームの現状だと思います。(攻撃陣の出来は)今日は攻撃陣がホントに踏ん張れなくて大事なところでタッチダウンが取れないというのが非常に多くて、攻撃陣の実力不足というのが正直なところです。(今日の試合にはどんな気持ちで臨んでいたか)早慶戦ということで早稲田には絶対負けられないというのがあったので、気合い入れて絶対ぶっ倒すっていう気持ちでした。(今後の目標は)まだ春なので早慶戦には負けてはしまったが、自分たちは日本一目指しているので今回早稲田という強いチームと戦って得た反省点・修正すべき点をしっかり直して、秋しっかり爆発して日本一目指していきたいと思います。

安田副将

(今日の試合を振り返って)もちろん勝つつもりでしたけど、負けたのは非常に悔しかったです。プレーで負けたというより、チームマネジメント面で自分達で悪い流れをつくって自滅したなという感じ。正直負けたんですけど負けた気になれないというのが自分の中にあります。(ディフェンス全体の出来は)ディフェンスは自分達で悪い流れをつくるまではそこそこ止まっていたし、総合的に見て相手のRBの末吉がヤバイヤバイというふうに言われてましたけど、最初のうちは止まっていたし、自滅してからが良くなくて敗因はそこにあると思います。(末吉選手を抑えるための具体的な対策は)プレーもベンチコーディネーターと話して末吉を止めるためだけのパスゲージとかもつくったし、最初のうちはしっかり機能していたけれど後半に入ってからが悪かった。(これからの課題は)まずディフェンスラインとしては、今日早稲田とあたってみて、去年早稲田は甲子園ボウルに行って大きな舞台を経験してきて、フィジカルも自分達より勝っていたし、そういう意味でまずフィジカルをアップすること。あとやっぱりメンタル面で、チームが落ちたときにいかに上げていくかというのが重要であって、今日は一回落ちて落ちっぱなしで終わってしまったので、自分達で流れをつくれれば絶対に戻すことが出来るから、そこで自分達が落ちたときにいかに上げるかというのがチームとしての課題だと思います。

(今日の試合を振り返って)ディフェンスもミスが目立ったので、やはりこれからまだ時間があるのでちょっとミスを個人個人減らしていくことが大事だと思います。(自身の出来は)ちょっと入りが悪かったんですが、そのあと思いっきり出来たのでその思い切りを最初から持つことが出来たらよかったかなと思っています。(末吉選手とのマッチアップは)そうですね。まだフィジカルが足りないので、相手は良いランニングバックなのでもっと激しく倒せるように、これからもっとトレーニングがんばっていきたいと思います。(後半に入るに当たっての指示は)指示は変わらず思いっきりそとからシャットアウトしろっていうことだったので指示されたとおり思いっきりやりました。(チームとしての修正点は)やっぱりアグレッシブさとフィジカルですね。あとはディフェンス全体で言うとミスが多かった。個々のミスが多かったので個々のミスをしっかりつぶしてより完璧なディフェンスに、自分自身もしていきたいと思います。(次回の試合に向けて)今回は成長になる良い試合だったと思うのでそれをしっかり受け入れてもっともっとアグレッシブにプレーできるようにしていきたいです。

小平

(今日の試合を振り返って)前半は押され気味だったが、要所要所で盛り返せる部分もあってハーフタイムは、ちょっといい具合に戻しつつ迎えられた。結局その後もいい流れはあったが、バック陣のミスでなかなか波に乗り切れなくてこのような形になってしまった。流れに乗りきれなかった原因は、ランニングバック陣、僕のファンブルも含めてゴールラインで取れなかったりしたところもあって、これらは今後の課題にしていきたい。(後半にかけて失速してしまった感じを受けたが)後半の失点はディフェンスのせいというより、その前の序盤においても終盤でもオフェンスがしっかり決めるところを決められなかったところにあると思っている。(ランプレーが多かったが個人の出来としては)試合を通して走れたところもあったが、今日は何よりボールを落としてターンオーバーされてしまったのでそれを差し引いても0点かなと。(逆に今日の試合での収穫は)早稲田という去年の日本一のチームにここまで戦えたこと。勝てるんじゃないかという雰囲気もあったし、今後しっかり要所を詰められればまだまだいいチームになれる可能性もあるので、勝負所での詰めの甘さをしっかりやっていきたい。(今後の試合に向けて)自分は一本目でランニングバックをやらせてもらっているが、今日は不甲斐無かったと思うので次は自分が引っぱって勝ちにいきたい。

松崎

(今日の試合を振り返って)久しぶりの強い相手で最初はなかなか体がついていかなかったんですが、徐々にスピードに慣れてきて途中相手の選手を止める場面もあったんですけど、やっぱり最後は実力の差が出たという感じです。(ご自身のリターンの場面について)自分はリターンのリーダーをやっていて、自分がリターンを決めて勝ちたい、という気持ちがあったので今日は積極的にいこうと思っていて、結果的に決められたので良かったです。でも、試合の結果が結果なので素直には喜べないです。(早慶戦に向けての作戦、早大の末吉選手への対策などはありましたか)末吉選手を止めるには、やっぱり戦術云々というよりタックルを1つ1つ丁寧に強い相手に対してしていくということが課題で、練習中もそれを意識してやっていたんですがやっぱり今日はタックルミスが多かったです。秋シーズンまで時間があるし、残りの試合もタックルを意識して練習していきたいと思います。次戦(明大戦)に向けて)明治も早稲田と同じくらい強いチームで、でも今日早稲田とやって試合感は戻ってきていると思うので、明治には絶対勝つ、という気持ちで挑みたいと思っています。

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