【野球】負けない野球を体現し、春秋連覇を果たす 早大➁

野球戦評

10月31日(日)東京六大学野球秋季リーグ戦 早大2回戦 @明治神宮野球場

春秋連覇を果たし喜ぶ慶大ナイン

優勝をかけて挑んだ大一番は、早大エース・徳山壮磨(スポ4・大阪桐蔭)、慶大・増居翔太(総3・彦根東)の投げ合いで幕を開けた。試合が動いたのは1回裏。増居が2死から満塁のピンチを招くと、6番・岩本久重(スポ4・大阪桐蔭)に走者一掃の適時二塁打を浴びて先制を許してしまう。この3点が重くのしかかる中、5回2死二、三塁のチャンスで渡部遼人(環4・桐光学園)が内野安打を放ち2点差に。7回にも2死一、二塁の場面で渡部遼が右前打を放ち1点を返すと、相手の送球ミスがからみ、同点に追いついた。投げては生井惇己(総3・慶應)、渡部淳一(政3・慶應)、橋本達弥(環3・長田)が無失点リレーを見せ、9回引き分け。早大と勝ち点6.5で並ぶも、勝率で上回り優勝を果たした。

 
慶大
早大

慶大バッテリー:増居、生井、渡部淳、橋本達-福井

早大バッテリー:徳山、西垣-岩本

 

◆慶大出場選手

打順守備位置名前(学部学年・出身校)
[8]萩尾匡也(環3・文徳)
R7新美貫太(政4・慶應)
生井惇己(総3・慶應)
若林将平(環4・履正社)
渡部淳一(政3・慶應)
橋本達弥(環3・長田)
[8] 渡部遼人(環4・桐光学園)
[5]下山悠介(商3・慶應)
[3]9正木智也(政4・慶應)
[4]3廣瀬隆太(商2・慶應)
[2]福井章吾(環4・大阪桐蔭)
[9]7橋本典之(環4・出雲)
[6]朝日晴人(環3・彦根東)
[1]増居翔太(総3・彦根東)
H4古川智也(環3・広島新庄)

苦しい試合だった。試合成立が心配される雨空のもとで始まった大一番。初回の攻防が試合展開に大きな影響を与えた。慶大はこの試合1番に抜擢された萩尾匡也(環3・文徳)、渡部遼の連打と盗塁で無死二、三塁のチャンスを迎えるも、後続が倒れ無得点。するとその裏、稲穂打線が牙を剥く。先発・増居が2死から四死球と今井脩斗(スポ4・早大本庄)の安打で満塁ピンチを迎えると、6番・岩本に外角のチェンジアップを右中間へ運ばれ、重すぎる3点を刻まれてしまう。

無念の途中交代に涙を流す萩尾

3回には萩尾が左前に安打を放つも、初回の走塁で痛めた足が限界を迎え涙の途中交代。早大エース・徳山の粘投を前に得点を奪うことができない展開に。チームの苦境を打破したのは、今季成長を遂げた切込隊長だった。5回、橋本典之(環4・出雲)のラッキーな内野安打から2死二、三塁のチャンスを迎えると、打席には2番・渡部遼。二遊間に飛んだ打球は遊撃手に好捕されるも、執念のヘッドスライディングが実りセーフ。1点を返すも、果敢に本塁を狙った朝日晴人(環3・彦根東)はタッチアウトとなった。

渡部遼が大活躍を見せた

その裏から増居に代わってマウンドに上がったのは生井。勢いのある直球を軸に2回0封2奪三振と、チームに流れを呼び込む好投を見せた。優勝のためになんとしてでも同点に追いつきたい慶大は7回。2死から途中出場の古川智也(環3・広島新庄)が安打を放つと、続く代打・若林将平(環4・履正社)が四球を選び一、二塁。このチャンスに渡部遼が右前打を放ち古川が生還し、まず1点。さらに、蛭間拓哉(スポ3・浦和学院)の送球が慶大ベンチに飛び込みボールデッド。安全進塁権が与えられ、若林が同点のホームを踏んだ。

本塁生還を果たした古川

7回からは今季好投を続ける渡部淳がバトンを受けると、8回2死一塁の場面で守護神・橋本達に継投する。橋本達が続く福本に安打を浴び、2死ながら一、三塁のピンチで、迎えるは昨秋優勝の夢を打ち砕いた蛭間。一打同点、長打が出れば逆転という場面でボールゾーンに落ちるフォークボールを2球続け、空振り三振。チームの思いを背負い、最高の投球でピンチを切り抜けてみせた。

橋本達が貫禄の投球を見せた

9回には、先頭の今井が放った安打性の打球を朝日が好捕。2死から岩本に二塁打を許したものの、最後は代打・小野元気(人4・芝浦工大柏)を二飛に打ち取り、最後まで早大に勝ち越しを許さなかった。連盟規定により3-3の引き分け、勝ち点6.5で並ぶも、勝率で早大を上回り春夏連覇の偉業を成し遂げた。

昨秋の敗戦を経て、「ワセダに勝つ」ことを1つの目標として戦ってきた慶大ナイン。結果だけを見れば1敗1分と、雪辱を果たすことは叶わなかった。しかし、今季4勝1敗5分と堀井監督の掲げる「負けない野球」を体現。粘り強い戦いぶりで、春夏連覇という偉業を成し遂げた。昨日に続く中継ぎ陣の好投も、そして4年生の執念が優勝に繋がったことだろう。選手たちの涙は激戦を物語り、神宮球場には鳴り止むことを知らない拍手が響き渡った。この先は早大を始めとしたライバルの思いも背負い、六大学史上初となる大学4冠へ。前人未到の挑戦に挑む慶大ナインの秋はまだまだ終わらない。

(記事:林亮佑、写真:國本葉月)

 

◆打撃成績

   
[7]萩尾右中2左安
R7新美中飛
生井
若林四球
渡部淳
橋本達空三振
[8] 渡部遼中安遊併遊安①右安①空三振
[5]下山左飛遊ゴロ遊ゴロ空三振
[3]9正木三邪飛右飛右安遊ゴロ
[4]3廣瀬右飛右安三ゴロ死球
[2]福井一ゴロ中飛空三振中飛
[9]7橋本典一ゴロ捕安投ゴロ空三振
[6]朝日見三振死球投ゴロ右2
[1]増居遊ゴロ
H4古川投犠打中安一犠打

◆投手成績

 投球回数打者数球数安打三振四死球失点自責
増居4166342233
生井262302000
渡部淳1 2/361912000
橋本達1 1/362422000

◆選手コメント

渡部遼人(環4・桐光学園)

まずは優勝することができ、嬉しいです。とにかく繋ぐという思いで打席に立てたことが良い結果になりました。全員で掴み取った優勝を無駄にすることなく、日本一に向けて明日から準備していきたいと思います。

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