應援指導部は応援活動以外にも、年に一度の定期演奏会に向けて、日々練習を行っています。今回は吹奏楽団の練習を統括する4年生3人に定期演奏会についてインタビューしました!
――自己紹介をお願いします
Iさん:本年度指揮を務めております吹奏楽団4年です。よろしくお願いします。
Mさん:本年度ガードチーフを務めております吹奏楽団4年です。よろしくお願いします。
Oさん:本年度ドラムメジャーを務めております吹奏楽団4年です。よろしくお願いします。
※ドラムメジャー、ガードチーフとは、歩きながら楽器を演奏したり、旗を振ったりして隊形を作り上げるマーチングにおいて、練習を統括する人を指します。ドラムメジャーは楽器の演奏隊、ガードチーフは旗を扱うチームの長になります。
――はじめに、定期演奏会とは何ですか?
Iさん:定期演奏会は唯一應援指導部が主役になる舞台だと思っております。普段私たちは体育会の選手の皆さんが活躍する瞬間や、輝く瞬間を応援という形でサポートするという活動をしているのですが、そうした中で唯一私たちが表舞台に立って主役として頑張れる舞台が定期演奏会だと考えています。毎年掲げているテーマが「感謝と集大成」で、言葉の通り普段応援という機会を頂いていること、活動させていただいていることへの感謝と、その代の最後の活動になるのでその代としての集大成を見せられるような場になればと思っています。
――今年の定期演奏会のテーマは
Iさん:特に新たなテーマを掲げているわけではないのですが、今までよりも来ていただいたお客様と一緒に盛り上がったり自分たちもステージに関われたりするような、そういったことができると良いなと考えています。
――今年の代の特徴
Mさん:何があるかな(笑)。まとまりはある方だと思います。一体感みたいなところが、強いて挙げるなら特徴ですかね。
――例年とは異なり夏から定期演奏会の練習をしている理由は
Mさん:昨年度や一昨年度は前期、いわゆる4月から7月あたりは新型コロナウイルスの関係でなかなか練習ができない状況が続いており、本年度やっと一年を通して対面練習ができるという機会に恵まれました。その中で、いつどのような状況、緊急事態宣言とかが出るか分からない中で、ステージのクオリティーなどを担保するためにも早めの練習開始となりました。
――過去2年とは異なったスケジュールでしたが、今年の夏感じた事は?
Mさん:過去2年、夏までの練習時間が少なかったため夏に基礎をやって、そこから演奏会に向けてという形でした。一方で今年度は良いスタートダッシュが切れた結果、部員の余裕がある状態で定期演奏会に向けて準備し始めることができたという点で、良かったのではないかと思います。
Iさん:夏から定期演奏会の曲をやり始めたものの、今年は例年以上に難しい曲を選んでしまったなと感じていて、早めに練習に取り組めた事は良かったかなと思いつつ、一日一日の練習を無駄にしないように、あと残り2カ月頑張るべきだなと思いました。
――最後の定期演奏会、定期演奏会とはどのような存在のものか
Iさん:唯一自分が主役になる機会と言いますか、自分たちの演奏やパフォーマンスを楽しみにしていただいている方たちが来てくださる場なので、今まで自分が培ってきた技術や表現を思いっきり出し切りたいと思います。個人的にも学生最後の表舞台だと思っていて、私はおそらく社会人になってもステージに乗る機会はないと思いますので、悔いのない、やり切ったと思えるパフォーマンスにしたいと思っています。
Mさん:普段は他に主役の方がいて花を添えるような活動や応援をメインで行っていますが、私たちの演奏や演技自体を楽しみにしてくださって、それに感動してくださる皆さんがいるということをうれしく思っています。それに向けて部員一同演奏技術の向上に励む機会が定期演奏会ですので、すごく貴重で我々自身も成長できる場です。楽しみにしながらも責任を感じ、求められるものに対して精いっぱい応えたいという気持ちが大きいです。また、現役最後の活動になり私たち(4年生)は定期演奏会をもって引退になるので、部員と一緒に演奏できる機会が最後だと思うと寂しい気持ちもありつつ楽しく終わりたいという思いが強いです。
Oさん:私もMが言ってくれたことと同じ思いを持っています。普段支えてくださっている方に恩返しができる場です。当日は1日だけですが、定期演奏会は、そこに向けて全員で努力して切磋琢磨していける過程が誰にとっても財産になるような存在だと思っています。何回か経験してきた定期演奏会ですが、下級生の頃はフレッシュな気持ちだったことや初めて自分の曲を持って緊張していた3年生など、毎年違う思いを持って(ステージに)乗っています。先輩方の思いや、「昨年はこんな重圧の中で乗られていたのかな」などいろいろな方に思いをはせられるような機会でもあると思っています。
――なぜ「應援」指導部が応援ではない定期演奏会をやっているのか、定期演奏会の意義とは何でしょうか
Iさん:難しいですね……(笑)
答えではないのかもしれませんが…私の感じていたことは、應援指導部が応援という活動をさせていただいく中で、大学の方やコーチの方、体育会の皆さん、部員の家族など本当に多くの方に支えられています。そういった方々への感謝の気持ちを届ける場として定期演奏会があるのだと思っています。自分たちが活動してきた中で培ってきた技術や達成感を作り上げるという意味もあると思うのですが、應援指導部の定期演奏会がある意味はそれ以上に「誰かのために」ということが優先されると思います。
Mさん:我々は自己満足の演奏ではなく誰かのために演奏するという信条に惹かれた部員たちが集まっています。演奏会というステージで我々の音楽を届ける場があっても良いのではないかということがあります。あとは、Iの繰り返しになりますが、我々の活動を普段支えてくださっている方に感謝を表せる絶好の機会という意味もあります。また、演奏技術や表現力の向上など応援技術にも生きるような基礎的な技術の向上のモチベーションとしても定期演奏会が挙げられると思います。確かな技術力がないと人を応援することはできませんし、応援活動以外のゴールとして定期演奏会が設定されているのだと思います。
Oさん:いつも支えてくださっている方への恩返しで、私たちから主体的に発信しフォーカスが当たり、感謝を表す場、部員のモチベーションともなる場です。応援と言っても演奏や踊りなどツールがいろいろあると思うのですが、ただ漫然と競技場に行って吹いているのではなく、吹奏楽団として確かな技術をもって応援したいという思いを持っているので、技術向上の目的という面もあると思っています。
――難しい質問にご丁寧に回答いただきありがとうございます!
――応援する時と定期演奏会での演奏の違いや切り替えは
Iさん:神宮で演奏する曲はいろいろな楽器が1つのメロディーを吹くことが多いです。みんなが歌えるようなフレーズを、メロディーを担当する楽器が吹いていて、あとは伴奏があるという曲構成になっています。定期演奏会で扱う曲は、各楽器によって役割が複雑で、メロディーを担当している人もいれば、飾りの音を作っている人もいます。また、メロディーに対抗する別のハーモニーを作っていたり、音楽全体の土台となる部分を吹いている人がいたり、一人一人の音が求められるのが、定期演奏会で扱う曲の難しいところです。もう一つ、音量が難しいと思っていて、球場だと選手に届く演奏を目指しているので、基本的には大きく強い音で吹いているのですが、演奏会で扱う曲はそうとも限らないです。いい意味で強弱が一つの表現につながるので、そのコントロールが難しいと思います。
Mさん:屋外の応援活動で求められる音は、遠くまで届くハリのある音ですが、それが必ずしも室内のホールの状況で求められるかというとそうではなく、もっと柔らかい豊かな音や淡く広がるような音も求められるようになります。どのような環境下で楽器を鳴らしているのかという点で、神宮の音と室内の座奏で吹く音は異なると思います。またメロディー範囲の厚みが根本的に違い、神宮球場等の応援活動ではキャッチ―なフレーズを耳に残るような形で演奏しますが、室内ではそうではなく静かな情景や怪しい雰囲気の場面、華やかな時など曲が表したいフレーズの幅が変わってきます。そういう面では求められる音色は変わってくると思います。
Oさん:意識していることは屋外では選手に届く音量と、また応援とは異なる座奏で磨いた表現力を応援に還元するという循環もあると思っています。個人的には、応援での音量を座奏でも表現したいと思っています。あまり応援と座奏とで奏法に差が付かないように、基礎的なことを意識して、どんな時でも音量が出せるように、お腹に力を入れることや息のスピードを保つなど頑張っているところです。また、応援は屋外が多いので、もっと周りの音を全力で聞くという意識も強くなると思います。
――新歓活動について、吹奏楽団の魅力や入ってほしい人は
Iさん:どんな人でもチャレンジができる環境だと思っています。私自身は中高と楽器はやっていたのですが、大学で應援指導部に入って別の楽器に挑戦することができましたし、ドリルという歩きながら演奏するということにも挑戦できました。今まで音楽を続けてきた人も新たな気持ちで何かを始めることができるということが良さだと思います。音楽未経験者の方も大歓迎で、ゼロから楽しむことができるということも良さだと思います。
Mさん:どの団体よりも多くの人に音楽を届けられるところです。音楽によって誰かの後押しができるとても素敵な団体だと自負しています。興味を持ってくれた時点でぜひ入ってほしいと思いますが、強いて挙げるなら、音楽が大好きで、自分のためだけでなく人に届けるという信条に共感してくれる人や、何事にもチャレンジできる人だとより部活動を楽しめると思います。ぜひ入ってほしいです!
Oさん:ただの音楽団体ではなく、応援・演奏・ドリルという3つの活動をしていることはかなり特殊だと感じます。活動範囲が広い分、応援が好きということは全員の共通点であると思うのですが、部員個人のバックグラウンドや入部希望理由も違います。また、チアリーディング部員との関わりなど、普通の音楽団体よりもいろいろな人との出会いがあるのが、良いところだと思っています。何事にも好奇心と向上心がある人はとても楽しめると思います。
――定期演奏会に来てくださる方へ
Mさん:演奏会と銘打っていて演奏もやりますが、他にもチアリーディング部のステージやドリル(マーチング)ステージもあって、聴覚でも視覚でも楽しめるようなステージになっているので、それを味わっていただきたいです!
Oさん:普段、いろいろな応援活動に行かせていただいて、選手や観客の方がどうやったら楽しんでもらえるかを部員一同緻密に考えています。そういう応援の熱量や取り組み方の集大成で、普段の応援活動の準備が定期演奏会の運営や一つ一つの演技にもつながっていくのだと思っています。体育会の応援なくして成り立たない定期演奏会だと思うので、細かい部分も見て欲しいなと思います!
Iさん:私も何回も演奏会(の舞台)に乗ってきたのですが、應援指導部での定期演奏会でしかできないことがたくさんあるなと思っていて、他の音楽団体の演奏会では味わうことのできない興奮や感動を、来ていただいた方には保証できます。部員一人一人が本当にいい顔をして演奏しているので、そういうところにも注目してほしいです。ステージに乗っている間はステージの成功や素敵な表現に命を懸けていて、絶対後悔はさせないのでぜひ来ていただけたらと思います!
――お忙しい中ありがとうございます!
(取材:五関優太、長沢美伸)