【應援指導部(吹奏楽団)】魅力は応援だけじゃない!定期演奏会に向けた練習に密着

應援指導部

普段は野球やアメリカンフットボール、ラクロスなど様々な競技の応援に駆け付け選手たちを後押しし、体育会全体を盛り上げている應援指導部ですが、応援活動以外にも年に1回定期演奏会を行っています。今回は吹奏楽団の定期演奏会に向けた一日練習の様子をお伝えします!

この日は終日定期演奏会の練習をする日だった。まず部員たちはウォーミングアップとして応援歌練習を行った。「躍る太陽」、そしてこの日が野球の立大戦前であったため、1・2年生は立大の応援歌「行け立教健児」を歌った。六大学の第1応援歌くらいは覚えておこうということで行っているといい、対戦相手への敬意も忘れない。

その後、ストレッチと筋トレをする様子が見えた。定期演奏会ではドリルという歩きながら楽器を吹くステージがあるため、毎練習行っている。筋トレとストレッチまでは部員たちはリラックスした雰囲気で取り組んでいた。

筋トレの様子

アップが終わると本格的に定期演奏会の練習に入る。この日の午前には主にドリルの練習が行われた。床に注目してほしい。黒い目印は歩幅を、赤い目印は全体の位置を示している。歩く向きや間隔がとても大切になるのだ。

床の印に注目

まずは、おのおのが自分が立つ位置の書かれている紙を持ちながら動きを確認する時間が20分ほど続いた。そして個人での確認が終わると全体でも動きの確認。このような楽器を吹かずに位置を確認する「コマ発」というメニューに部員たちは真剣に取り組んでいた。このフォーメーションはドリルの責任者と3年生の練習スタッフが考えていて、定期演奏会も応援と同様に、部員たちによって一つ一つ作り上げられているのだ。

各自確認する時間も取られた

頭の中で考えていたことを実践するのは難しい。そのため途中で不安な箇所があると、小節ごとや楽器ごとに動きを再確認し、時には微調整をする。「密集しているから楽器持ったらできるのか」という声が上がるなど、実際に楽器を持ってみても同じ動きができるのか念入りに確認していた。「誰が誰の前を通るのか」といった細かい指示まで出される。

ドリルでは、歩きながら演奏するという迫力から全体の動きに注目が集まりがちだが、個人の動きにも注目だ。ひざを曲げずに滑らかに歩き、止まる瞬間まで意識する。さらに、ただ動けばいいのではなく「左肩引き」と「右肩引き」のどちらのほうが美しく見えるかを議論する場面もあった。細部にまでこだわるからこそ全体を見た時にも綺麗に見えるのである。

そしてようやく楽器を持った練習だ。しかし、演奏することはなく楽器を持った状態でも問題なく動けるかを確認する時間が取られた。ドリルでは、楽器を吹く、指定の位置に動く、歩き方に気を配るなど考えることが多いため、このように段階を踏んで練習を行っている。

楽器を持って吹かずに動きを確認

コマ発の後には歩き方の基礎練習を行った。滑らかな動きの「コースタイル」とキレのある動きの「カレッジスタイル」の2つがあり、部員たちは練習に励んだ。

最後に楽器を吹きながら動く時間だ。「メロディーが埋もれてしまっているので、自分がメロディーではない時は控えめに吹いてください」など演奏技術に関すること、動き方に関することなど、様々な問題点を一つ一つ確認していった。

前半に行われたコマ発で他の人たちとは明らかに違う動き方をしている部員がいた。この部員たちは見栄えのために旗を振るガードという役割を担う。応援の時には楽器を吹くといい、普段から旗を振っているわけではないので、ドリル時のみガードの練習を行っている。全体が基礎練習に入るタイミングで食堂の屋上に移動し、旗を持って練習に取り組んでいた。大きな旗を振るために少しのズレでも乱れて見えてしまう。タイミングをそろえることの難しさがうかがえた。

ガードの練習

最後に「細かい部分を詰めていこう」とまとめ、午前の練習は終了した。「音を付けて100%になるように、音無しでは150%」と目標を高く設定し次回のドリルの練習に臨む。

 

昼食をはさんで午後は日吉記念館で、演奏の練習が行われた。楽器は車を使い全て自分たちで搬入、片付けまで行う。個人での練習を終えた後、パートごとに分かれて練習が行われた。そして基礎合奏が行われた後に「サウンド・オブ・ミュージックメドレー」合奏を練習して本日の練習は終了した。練習中には指揮者から「皆さん神宮での音になっています」と指摘があり、応援での演奏と定期演奏会での演奏の切り替えは難しいことである。

午後は座奏の練習

インタビューでもお答えいただいています。ぜひご覧ください。

慶大の應援指導部吹奏楽団は、応援・ドリル・演奏という3つを行うことができる数少ない団体である。選手を後押しする応援と豊かな表現力で魅せる定期演奏会。4年生はこの定期演奏会で引退となり、そこに懸ける思いは強い。「感謝と集大成」の舞台に向けて、様々な思いをはせながら練習に励んでいる。

 

指揮スタッフ・Nさん(3年男子部員)のコメント

指揮を務めたNさん

――練習を振り返って

私が指揮を担当している定期演奏会で演奏する曲ですが、一曲一曲を集めて一つの曲にしているので、曲ごとに完成させる必要がありました。そんな中、今回初めて全部通ったのは一安心できました。ただ、音程など細かいところは課題があると思うので、今後細かく見ていきたいと思います。

――神宮球場と演奏会での演奏の切り替えは

秋季リーグ戦が始まってからは応援活動が多く、大きな音を飛ばすことが求められていました。応援の音に慣れてしまっているものを切り替えるためには、普段から演奏会で吹く音をしっかりイメージできているかが重要になってくると思います。そういう切り替えのためには基礎練習が大事なので、一人一人が基礎をおろそかにせず、(演奏会を)イメージしながら吹くことが大切だと思っています。

(記事、取材:長沢美伸)

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